石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月9日

(平成26年9月9日(火) 11:01~11:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 <まち・ひと・しごと創生の推進にあたっての総理指示>
 閣議後に安倍総理から、まち・ひと・しごと創生の推進にあたっての基本方針について指示をいただいたところであります。
 御入室いただきます際にお配りをいたしました資料をお目通しいただきたいと思います。7項目ございます。重要なものですので、ご覧をいただきながら御説明というか朗読になって恐縮であります。
 まち・ひと・しごと創生の推進にあたっては以下を基本とし、魅力あふれる地方の創生に全力をあげて取り組むこと。
 1・人口減少克服、地方創生、(東京一極集中是正)に正面から取り組むこと。
 2・今までの地域再生関連の政策を検証・総括し、客観的な現状分析と将来予測を踏まえ、短期・中長期の政策目標を明確に設定すること。
 3・政策の企画立案・実行にあたっては、各府省の縦割りを断固排除し、バラマキ型の対応を絶対にすることがないよう、地方創生担当大臣において調整し、一元的・効果的・効率的に政策を実施すること。
 4・人口減少の克服と地域経済の成長に資する歳出・税制・地方交付税・社会保障制度などの制度改革につき検討・実行すること。
 5・地方の熱意や創意・自主性を基本とし、地域の個性を尊重し、全国どこでも同じ枠にはめるような手法は採らないこと。
 6・国と地方の協議や地方自治体間での広域的な連携を行う体制を構築し、また地域に根ざした民間の創意工夫を後押しすること。
 7・今後の取組みにあたっては、現場に積極的に出向き、地域における先進・成功事例だけではなく、成功に至らなかった事例も含め、得られた知見を今後の政策展開に活かすことということであります。
 これはかなり含意のある指示でありまして、この指示に基づきまして、今後、まち・ひと・しごと創生の政策の実現を早急に図ってまいりたいと、かように思っておるところでございます。ということが1点。
 2点は、補佐官の発令であります。
 本日付で内閣府特命担当大臣、私の補佐官として伊藤達也衆議院議員を任命いたしました。先ほど辞令を交付したところであります。
 伊藤補佐官には、国家戦略特別区域等における中小企業を始めとした地域経済の振興など地方創生に関する重要事項を担当し、私を補佐していただくことということに相なります。よろしくお願いを申し上げます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今の冒頭のお話にありました大臣補佐官についてなんですけれども、副大臣、政務官もいますが、この補佐官との仕事の線引きの違い、狙いの違い、大臣の起用の意図について教えてください。
(答)基本的に補佐官というのは、その名が示すごとくスタッフ的な機能を担うことになります。今回、各省庁の縦割りを断固として排していかなければならない、バラマキはやらないということにしておりますが、言うは易し行うは難しでありまして、実にそれは困難な作業であるということになります。
 副大臣の平さん、政務官の小泉さん、お二人とも極めて能力の高い、そして言うべきことをきちんと言う、責任は自分でとるという、私が心から信頼をする副大臣、政務官でありますが、この大臣たる私を補佐するに当たって、いろいろな知見を持ち、内閣府で金融担当大臣も務め、そしてまた、福田内閣総理大臣の補佐官も務めということで、この種の縦割りを排し強力に政策を実施するということにおいて、極めて強力な補佐体制が必要であります。そこは政治家として平さん、小泉さんとともにチームとしてこの事業を成し遂げていくという観点から、このことに知見の高い伊藤さんをお願いしたということであります。
(問)冒頭御発言あった総理の指示なんですが、まず1点、これ閣議の中で指示があったということではなく、閣議後に石破大臣に宛てた指示であるということでよろしいんでしょうか。
(答)さようでございます。
(問)改めまして、今日指示がありまして、大臣の受け止め、お考えをお聞かせください。
(答)これは先ほど縷々お話をしたとおりでありまして、これはかなり今までの総理指示とはスタイルの異なったものであります。ですから、読んでいただければわかるというお話なのですけれども、この一つ一つに極めて強い総理の思いがございます。バラマキはしない、縦割りは断固─断固というところに意味があるのですが排除するということでありますし、調整し一元的・効果的・効率的と、これは言葉では簡単だけれども実行する。つまり、これから実施するこの本部の仕事が、これに適ったものなのかどうなのかということは常に検証しながらやる。これに適わないものはやらないということでございます。
 そしてもう一つは、国が何かやってくれるでしょうという話ではございません。それぞれの地域においてまち・ひと・しごとを創生するとは一体どういうことなのでしょうか。それぞれの地域によって実情は全然違うわけで、国が何かしてくれるでしょうという話ではない。ですから、5におきまして、熱意、創意・自主性を基本とし、個性を尊重するというのはそういうことなのであって、どこでもかんでも同じことをやりますとか、そういうお話では全然ございません。それぞれの地域で考えてくださいということを強調しておるわけでございます。
 さらに、これは公でやればできるというお話ではなくて、民間の創意工夫というものを活かしていかなければなりません。後押しするというのは、要は、片一方においては、邪魔するなということがあります。そしてまた、そういうものを後押しするということは一体何であるかということで、それはすぐ補助金みたいな話になるんですけど、それだけではあるまいと、この後押しの中ではいろいろな意味が含まれておるわけでございます。
 更に7番ですが、これは私、農林水産省に長くおりましたが、成功事例というのは持ってくるんですね、大喜びで。だけど、その裏には山ほど失敗事例があるはずなのです。むしろ成功事例よりも失敗事例のほうにいろいろなシーズはあるだろうと私は思っておるわけでございまして、さすがに失敗事例とは書けないので、成功に至らなかった事例というふうに書きましたが、そういうものもちゃんと検証していかなければならない。一生懸命みんながやったのに何でうまくいかなかったんだろうというのは山ほどあるはずでございます。そこから成功事例を導いていかなければいかんのでありまして、そこは何らかの誤りがあって失敗に至ったということもあるはずです。それは誰の責任だ、彼の責任だなどということを追及しようというつもりは全くないが、それを活かしていかなければ、これから先のまち・ひと・しごとを創生するという事業はできないと、そういう思いでこの総理指示というのはできていると、それが総理のお考えであり、その総理の指示のとおりにやるということであります。
(問)総理指示の中の4番についてお伺いしたいんですが、この歳出・税制・交付税・社会保障制度改革ということについても検討するようにということなんですが、これはまち・ひと・しごと本部、あるいはその下に置かれる有識者会議で議論されていくということなのか、また、諮問会議とか自民党内の税制調査会とかの議論の整合性というのはどういうふうになるのでしょうか。
(答)整合性をとることは極めて重要でありますが、あちらも立て、こちらも立てということで、できたものはみんなエッジの利かないものになっちゃいましたということではどうにもならんということでございます。いろいろな諮問会議あるいは自由民主党の税調、あるいは自民党の各部会でいろいろなお話が出ますでしょう。しかし、それは政府・与党一体でございますから、この総理指示は私に対して出されたものではありますが、同時に政府・与党全体に対して日本国内閣総理大臣として出されたものだという認識を私自身持っておるところでございます。整合性はとります。しかし、そこにおいての成果物は、この指示というものにまさしく適ったものであるかどうかということが問われるということの認識を私自身持っております。
(問)この総理指示の5番に関してなんですけれども、これから地方自治体とか、あるいは6団体からの要望を受けたり、あるいは提案を受けたりということが増えてくると思うんですが、ここで国と地方の協議の場という公に認められた場をこれにどう反映させていくかということについてお考えを伺いたい。
(答)これは、就任後、全国知事会会長の山田さん、あるいは昨日は市長会会長の森さんがお越しになりました。これを活かすのは協議の場だけではございません。協議の場だけにそれを委ねようという考えは私自身持っておりませんで、それはそこにおいてなされた議論、実際一番近いところにいるのが町村会、それから市長会、そして知事会ということになるわけですが、そこの方々との議論というのは、協議の場のみならずいろいろな場で持ちたいと思っております。そこは事務方が書いたものをそのまま読み上げるというようなものはやってもほとんど意味がありませんので、そこにおいて本音の議論が、できればものによりますが、報道の皆様方にもご覧いただけるような形で、そしてまた時間が来ましたのでお終いですというようなことにならないような形でやり、なおかつ、そこで何が決まったのか、何を合意したのか、決まっていないとすれば、次の会議で何をやるのかということを頻度と密度両方からよく考えてそういう場を持たねばならないと考えております。
(問)総理指示の3番についてお尋ねします。バラマキ型の対応は絶対にすることがないようとありまして、バラマキ型のようなものは断固やらないというお話がありましたけれども、何をもってバラマキというのか、その物差しはどうするのかということが重要だと思うんですけど、そこについての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)これは、民主党政権のときに、バラマキはだめよということを我々言ってまいりました。私は、政調会長として何度も予算委員会に立って、バラマキはだめよということを言ってまいりました。では、まさしく御指摘のようにバラマキとは何でございましょうということでありますが、言葉の遊びをするつもりは私はないんですけれども、広辞苑で「バラマキ」というのを引いてみると、バラバラと散らして、まあ、それはそうだろうね。あとは、金銭などを多くの人に見境なく与える。これがバラマキの定義であって、この「見境なく」というところが極めて大事なんだろうねというふうに思っております。つまり、今までいろいろな事業をやってきた。その中でこれはバラマキだよねというものもあろうかと思います。ですから、それはもうやり玉に挙げるつもりはありませんが、かくかくしかじか、こういうものをバラマキというのだと。要するに、政策の効果がいかに発現するかということを検証しないままに、とにかく金配ればいいただろうというようなのをバラマキというのだと概念的には思っておるわけでございます。
 同じようなお話で「重複」ということがございますが、同じ目標である。しかしながら、異なる施策として実施されたとか、同じ手法を通じて異なる政策目標を達成しようとか、そういう本来一元化できるものがあるのではないか。本来一元化すべきであるのに、各省庁に跨っているもの、これを重複というのだというふうに認識をいたしておるわけでございます。ですから、バラマキはだめ、重複はだめといっても、これをバラマキという、これを重複というという定義をきちんとした上でこれから臨みたいと考えております。
(問)今日の総理指示とは違ってしまうんですが、今朝、全米オープンテニスで錦織圭選手が準優勝、快挙だと思います。島根県出身でもありますが、これについて御所感があればお願いします。
 もう一点、スポーツの可能性ですね、地方創生にとってスポーツの可能性について、大臣、どういう御所見があるかお願いします。
(答)同じ山陰出身でもありますし、快挙という表現はそれはそのとおりであって、優勝しなくて残念だったねというのはありますが、よくあそこまでいったよねということで、私自身、新しい日本の人材の姿というものを見せていただいたように思っております。これから更に頂点を目指して、残念だったけれども、残念だったというのは、楽しみはまだこれからよということでもあろうかと思います。そういう思いで見ておりました。
 また、スポーツというのを考えたときに、直感的に思うのは、さあ、東京オリンピックどうしますかと。実施は東京ということに決まっているんですが、これは国体なんかでもそうなんですけど、メジャーな競技と、必ずしもそうでもないというのもありますが、それをその地域地域でやることによって、練習とかそういうものを、その地域に新しいスポーツが広まっていくということもございましょう。あるいは地方がスポーツの振興において優位性を持つというところもあるはずでございます。そういうものが活かし切れていない。そこは教育というものも関わってくるのかもしれません。私どもが小学校とか中学校とかそういうのを過ごしましたころは、夏というととにかく泳ぐか山に登っているかどっちかでありましたが、なかなか最近そういうことがない。それは現場において事故が起こらないようにとかいろいろな配慮があるんだと思いますが、やはり地方とスポーツというものの適合性というのはもっとあるんじゃないのかなというふうに考えておるところでございます。
 やはりスポーツというのは、私も高校生のころ、中距離なんてやっていましたが、それぞれ己の限界に挑戦みたいなところがありまして、そういうような新しい日本人をつくっていく上においての地方の優位性、別に東京が劣後しているということを言っているわけではありませんが、いろいろな可能性はこれから先あるんだろうなと思っております。
(問)弊社などが行った週末の世論調査があったんですけれども、その中で、閣僚のどなたに一番期待するかという質問に対して、石破大臣だと答えた人が最も多かったんです。こうした結果になった理由を、大臣御自身ではどのように分析といいますかされますかということと、こうした大きな期待にどのように応えていらっしゃるかというお気持ちをお聞かせください。
(答)期待が失望に終わらないようにしていかねばならないので、期待が大きければ大きいほどうまくいかなかったときに失望も大きいのだというのは世の常であります。やはり数字がそういう数字になるということは、それだけ地方創生ということに対する国民の方々の関心が強いんだと。それは、地域地域でやや諦めっぽい雰囲気になっているんだと思うんですね。まあ、いろいろなことがあったと。私よりも年が上の方というのは、敗戦後、非常に苦しい思いをしてきた。まちが復興し、活力を持ち、バブルの時代という不思議な時代を経て、しかし、この地域はこれでなくなっても仕方がないよねというような、やや諦めっぽい感じを持っておられた方もあると思うんです。これは東京でもそうであって、東京で誰にも看取られることなく生涯を終えられる方というのはいっぱいおられるわけで、そういういろいろな諦めとか悲しみとか述懐とかそういうものがあって、でも、そのときに国がこういうのを出してきた、もう一回頑張ってみようかと。国が何かしてくれるんじゃなくて、一緒にやろうかと、そういう思いが国民の皆様方にあるのではないか。たまたまその担当を私がやらせていただいているということだと思います。
 今まで自由民主党を幹事長としてお預かりしておって、あるいは政調会長として野党時代に、ふるさと対話集会を始めとして日本国中回らせていただきました。その数は恐らく何百という数になるんだろうと思っております。政調会長とか幹事長をしておりましたときに日本国中歩いて、しかし党ですから、実際にやるのは政府においてやるわけで、党でそれだけ見てきたんだから、おまえ、ちゃんとやってくれるんだろうねと、そういうものが背景にはあるのかなというふうに思っております。

(以上)