有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月2日

(平成27年10月2日(金) 10:45~11:06  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。
 今日は特段、私の方から御報告することはございませんので、御質問があればお受けいたします。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の伊藤です。よろしくお願いいたします。
 先日、待機児童数が公表となりまして、5年ぶりの増加という結果となりました。今年から「子ども・子育て支援新制度」が始まって、初めての結果の公表ということでしたけれども、新制度の成果と課題について、大臣が考えていらっしゃるところを、まずお願いします。
(答)今、待機児童が5年ぶりに増加したことについて御質問をいただきました。
 ファクトとして、今年の4月現在、待機児童が前年より1796人増の2万3167人になりました。その要因としては、入所申込者数が例年約5万人前後で増加していたのですが、今年の4月は前年より約13万1000人増と大幅に増加したことがございます。
 この増加には、毎年の増加を大幅に上回ったということ、正に今年の4月から実施いたしました「子ども・子育て支援新制度」によって小規模保育事業などサービスメニューが多様化するなどの理由から、保育サービスを受けやすくなったことが理由に挙げられます。
 また、同時に、アベノミクスによる企業業績の改善などにより、子育て世代の女性の就業率が上昇した、また、就業数も実際に増えたということ。これによって、入所申込者数が大幅に増加したことなどが要因に挙げられます。
 同時に、政府としては25年、26年の2年間で保育の受け入れ枠を約20万人分新たに増加するという目標を立てておりましたけれども、それを約1.9万人分上回る、約21万9000人の受け入れ枠拡大を実現しております。また、現時点における平成29年度までの5年間の受け入れ枠の拡大見込み量は、現在のところで約45.7万人を見込んでおりまして、そもそもの計算をしていた40万人を上回っている状況でございます。そういう意味では、各自治体も今回の新システムに向けて、かなり努力をしていただいているし、結果的にそれが需要の掘り起こしにもなっているというところでございます。
 同時に、この待機児童が5年ぶりに増加したということの皆様の報道ぶり、また、その報道を御覧になっての関心ぶりも非常に高いものがありますので、やはり引き続き厚生労働省と連携をして、保育の受け入れ枠を更に拡大していくこと、着実にこの支援制度を施行していくこと、また、その予算を質・量の拡充を図っていくためにも確保することが、担当として極めて大事なことだと思っております。
 方向としては正しい方向に進んでいると思っておりますが、思った以上に、それならば私もと思ってくださっているお父さん、お母さんが多いのだなと思っております。
(問)(朝日新聞・伊藤記者)関連なのですけれども、「待機児童解消加速化プラン」では、2017年度末までの待機児童解消をうたっておりますけれども、今その定員を増やしても、申込者数が増えていて、さらにはその保育士不足というのが深刻な中で、本当にこの目標が達成できるのかどうかというところについてはいかがでしょうか。
(答)大事な、本質的な御質問をいただいていると思います。今年1月には、御指摘のように、その保育の受け入れ枠を拡大するだけではなくて、その受け入れ体制としての保育士の先生方の確保というのは極めて大事です。1月に、「保育士確保プラン」に基づいて、29年度末までに追加で必要となる6.9万人の保育士を確保するというプランを立てております。
 これには御承知のとおり、保育士試験を年2回行っていただく都道府県を平成28年度に大幅に拡大すること、また、地域限定保育士の試験を実施すること、また、潜在保育士の皆さんの再就職支援をしていくこと、また、マッチング強化を保育士の採用時期に合わせて強めていきたいと思っております。
 当然、楽観視はしておりませんので、保育士の方々、潜在保育士の方々、また保育士になろうと思っていただいて、その資格を持っていらっしゃる、あるいは目指していらっしゃる方々に希望どおり、予定どおり保育園に就職をしていただけるような、そういう状況を更に加速していかなければならないと思っております。
 引き続き、需要がどんどん増えていくので、保育士の先生方を確保するということに対しては、緊張感を持ってそれが具現化できるように努めてまいりたいと思っております。
(問)おはようございます。共同通信、瀬野です。
 今の保育士確保について、関連で質問なのですけれども、保育士不足というのはやはり離職率が高い、待遇が非常に低いことが根本原因と言われているのですけれども、今、ほかの産業と比べるとやはり10万以上、月給で低いということで、政府も加算を付与されていますけれども、その差を埋めるのはなかなか容易ではないと思うのですが、やはり今まで以上の何かプラスの取組が必要と思うのですけれども、お考えがあればお願いします。
(答)これもまた直球の大事な問題提起を頂いていると思います。保育士の先生方の金銭的な処遇が、全産業の平均に比べて物理的に厳しいという状況であることは、私自身も議会人の頃から代表質問で問題提起をしてまいったところでございます。
 当然この支援新制度の下で、質と量の拡大と、あるいは拡充ということを申し上げていますが、そのときに保育士の先生方の質をしっかり確保するということは、親御さんを始めとする保護者の安心、地域の安定にも直結することでございまして、毎年毎年処遇改善ということを2.8%、3%、願わくば5%ということで、毎年少しずつは上がっていっておりますけれども、何とかそのトレンドを確保して、もう少し金銭的な処遇改善ということが具現化できるようにということは、毎年毎年の課題として自らに言い聞かせます。
 ただ、財源が厳しいという状況の中で、これだけ保育園に入りたいと思われる方が予想以上に上回っている、そのトレンドが急遽また増えたという状況でございますから、その新たなコストということも考えますと、持続可能な仕組みを立てていくためには、相当な計算と戦略が必要だということを自らに言い聞かせます。
 大事な問題意識だと思っています。そのトレンドは崩さないように全力を尽くします。
(問)NHKの福田です。おはようございます。
 10月1日から新たなホームページを設立して、子供の貧困対策に取り組まれていますけれども、改めて開設に当たっての受け止めというか、お聞かせください。
(答)御質問いただきましたように、10月1日から、子供の未来応援国民運動のホームページを開設いたしました。やはり、明日の日本を支えていく子供たちが自らの可能性を信じて未来を切り開いていける。また、それを応援していただく国民の皆さんの思いを受け皿とできればありがたいと思っています。
 先日、9月の末に安倍総理は自民党総裁として行われた会見において、1億総活躍社会を目指すと発言されています。そのために放つ新しい「三本の矢」のうちの第二には「夢をつむぐ子育て支援」が挙げられました。それに付随して、子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されることはあってはならないとして、子供の貧困対策に取り組む旨、明確にその場で述べられています。
 そういう意味では、私自身も政治家として痛感することですが、人間誰にでも不意のつまずきは起こり得る、その中でしっかりと、その不意のつまずきがどん底に、奈落の底に行くというのではなくて、自助努力に加えて当然その地域なり、そのコミュニティーでの共助の仕組み、助け合いの仕組みというのが発揮される、また、その大前提として全国でしっかりとした公助の温かい仕組みが、必要としているときに必要としている人に的確なタイミングで行くという、そのバランスを保った上で、それぞれの機能が発揮されるような体制を国全体で挙げて作っていく、官民を挙げてのその取組をしっかりと定着させたいと思っています。
 当然、費用も必要になってきます。来年度の概算要求を始め、内閣府、文部科学省、厚生労働省ともしっかり連携をして、施策の実効性を上げていきたいと思っております。
 総理の中でも強いこだわりがおありになる分野でございますので、そういう意味では、予算と、それから政策の具現化と、そして官民挙げてという意味での民間の善意と、そして政府の意思を、できるだけ同じベクトルに向けていって、その実効性を高めたいと思っております。
(問)毎日新聞の山田です。おはようございます。
 先日来質問させていただいている副教材の、妊娠しやすさのグラフの件なのですけれども、先日15日の会見で、グラフを提出した有識者の方とチェックしていた有識者の方について、氏名等を公表されるかどうか、次回コメントさせていただくのもやぶさかでないという話をいただいていたところなのですが、どうなりましたでしょうか。
(答)はい、分かりました。御本人にチェックした上で公表というのは、一部に出ていますけれども、やぶさかではないと発言したことを覚えております。3回前でしたかね、覚えております。
 アップデートされていない方がいらっしゃるかもしれません。高校生の副教材ということでございますけれども、そのときの妊娠に関するグラフに誤りがございました。これは縦軸と横軸のプロットの場所が誤っていたということで、その資料を提供した方、既に報道でお名前が出ていますが、誤解を招かぬようにという観点から申し上げれば、その有識者は吉村泰典氏、元日本産科婦人科学会理事長でございます。
 御本人からは、これを申し上げる前からですね、私が大臣室にお呼びをいたしまして、なぜこうなってしまったのかの経過を、私自身がやはり責任を痛感しておりますので、しっかりと御本人から聞いて、そして陳謝を御本人もされていました。大変申し訳ないということで、文部科学省に対しても申し訳ない思いを持っておられましたので、私から厳重注意ということを、かなり早い段階で厳しくさせていただいております。
 これに関しては、その後専門家のセカンドオピニオンも入れましたけれども、それが見抜けなかったということで、このグラフの勾配に関しては、内閣府に、我が方に完全に非があり、その立場、立場ごとに、私が担当大臣として明確におわびをしております。
 文部科学大臣に対しても、このような新たな手間を作らせてしまって申し訳なかったと、その縦線、横線のプロットが間違っていたということを見抜けなかったということを申し上げている次第でございます。
 ただ、明確に申し上げられることは、このグラフに関しては、文部科学省のスタッフにも、また我が内閣府のスタッフにも、その内容に手を加えたということは一切ございませんで、提供を受けた資料をそのまま掲載したということでございまして、何らそこに改ざんなどの意図ということは全くない、また、その実績もないということを御報告させていただきます。
(問)(毎日新聞・山田記者)もう一人。
(答)もう一人というのは。
(問)(毎日新聞・山田記者)チェックされた。
(答)分かりました。それに関してはですね、私は、責任の所在という意味では、担当大臣としての私が明確におわびをしておりまして、文部科学省にも申し訳ないということで謝罪を表明しております。また、皆様にも御心配をおかけしたことを申し訳なく思っておりますので、それによって新たな資料、訂正資料を配布していただくことになりましたし、責任という意味では私が取らせて、内閣府の皆さんと共に取らせていただきたいというふうに思っておりますので、チェックをした方というのは特段、公表は考えておりません。
 なぜかというと、十分にその責任は果たしていきたいと我が方も明確に申し上げておりますし、その方々を明確にすることによって、セカンドオピニオンとか、あるいは政府に協力、協力というのは専門的な提供をしていただくということが委縮してしまってはいけないということで、そもそもの資料のデータが正確ではなかった、資料提供された方の名前を明確にさせていただくということで、その制裁はなされているものと理解いたしております。
(問)(毎日新聞・山田記者)分かりました。ありがとうございます。
 あともう一点、当初の報道対応をめぐって、ちょっと事実と異なる説明を一部報道にされたという件もあったかと思うのですけれども、その点についても以前の8日の会見で、大臣の方が適宜見てみたいというふうにおっしゃられているのですが、確認された結果、どうしてそのような報道対応になったのかというのを、経緯を教えていただきたいと思います。
(答)一部報道で、データを、資料を提供したときに内閣府が手を加えたかのような報道がなされました。それを見た途端に、それは事実ではないだろうと思って、担当部局を呼び出して、事実はどうかということを聞きましたら、それは事実にあらずということでございましたので、私からは明確に、とにかく全て時系列で、ファクト、事実関係を正確にして、そしてそれを公表すべしということを明確にいたしました。
 そのときに、言った、言わない、どちらが誤解をしたのか、どちらがどういう状況だったのかということは、私はその場におりませんので分かりません。けれども、後にその新聞社さんも正しい情報をすぐに上げていただいたので、そのどちらが良かった、悪かったという評価は避けさせていただきます。お互いの意思が通じた報道がなされたと認識をしております。
(問)(毎日新聞・山田記者)一部報道で、正しい情報に訂正されたところと、そうでないところとあると思うのですけれども。
(答)御意図がよく分かりません。
(問)(毎日新聞・山田記者)初めの報道で、内閣府の方が間違ったかのような内容の記事が出て、有村大臣も驚かれたところなのですが、何社かの報道がありまして、そのうち一部の会社については説明を訂正するような報道がなされていますけれど、一部についてはそういう報道はないので、まだ間違ったままの状態だと思うのですが。
(答)今、御質問をいただきましたが、その内閣府をスタッフが手を加えたかのような報道がなされて、正確じゃないと、これは事実ではないと私どもが認識したのは、1社でございます。
 その1社は、その記者さんとしっかりと、その記者さんも関心を持っていただいて、事実をお伝えして、それを内閣府は手を加えていないと、そもそも資料そのものが縦線、横線のプロットが間違っていたということで報道していただいたので、それ以外に事実ではない報道をされたところがあると、そもそも認識をしておりません。
 あれば御指摘いただければと思いますが、我が方は1社ということで、そもそもその1社を問題視もしておりませんし、恐らくはその社の善意で事実に即した記事を追加で出そうという御判断をされているわけですから、そこにその1社と、内閣府の中で何ら齟齬が生じているとは全く思っておりません。事実に即して良好な関係を保っていると思っております。

(以上)