有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月29日

(平成27年9月29日(火) 10:48~11:07  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。共生社会政策担当の大臣として御報告をいたします。
 明後日10月1日から「子供の未来応援国民運動」が本格的にスタートいたします。
 子供の貧困に関する課題、問題の一つは、必要な情報が、必要なタイミングで、必要な方に行き届いていない現状があることです。このため、国や自治体の支援情報を検索できる「ポータルサイト」を開設いたします。これによって、貧困状況にあるお子たち及びその御家庭の方、また、そうした御家族を支援しようとされる方々が、それぞれ、地域別、属性別、例えば属性というのは生活保護世帯やひとり親家庭、児童養護施設等への入所者等ですが、そういう属性別の支援、あるいは支援の種類別、どんな支援を受けたいのか、応援できるのか、学習支援、生活支援、就業支援などそれぞれの項目別に、必要な情報を見つけることができるようになります。
 また、CSR、企業の社会的な責任を果たそうと諸活動をされている企業などがどのような応援をしてくださるか、支援リソースを明確にし、NPOなどが抱えているニーズ、こういう支援をして欲しいという需要、それぞれを共に掲載して、双方が連絡を取り合って、子供の貧困の解決に向けてマッチングをできるようにいたします。
 同時に、「子供の未来応援基金」の募金も受け付けます。この基金は、草の根で子供たちを支援するNPOなどへの助成や、子供たちの「居場所」となる拠点を整備して学習指導などの地域の実状に応じたプログラムを提供する際にかかる経費に使っていきます。当然のことながら、基金運営の透明性・公平性は大切であり、民間有識者等からなる「基金事業審査委員会」を設けることとしております。
 明後日のスタートに向けて、最終的な確認作業を進めている段階でございますが、詳細に関しては、明日、30日13時から、内閣府共生社会政策の担当者が記者ブリーフィングを行いますので、その場で御確認をいただきたいと思います。
 2点目の御報告をいたします。規制改革担当大臣としてです。
 去る9月2日に、第4期の規制改革会議がスタートいたしました。今期においても、「規制改革ホットライン」に寄せられた提案を積極的に取り上げて、日本経済の活性化に資する規制改革の検討につなげていきます。
 規制改革の要望については、現在も随時受け付けているところでありますが、来月10月1日から31日までの1か月間を「集中受付期間」と位置付け、日常生活や仕事、事業活動において不便さ、あるいは改善を図るべきと考える規制や制度について、広く皆さんから受け付けることといたします。
 この機会に、積極的な御提案をお寄せいただきたいと考えております。
 詳細については、規制改革推進室までお問い合わせをいただきたいと思います。
 以上、私からの冒頭の発言を終わります。御質問があればお受けいたします。

2.質疑応答

(問)おはようございます。NHKの福田です。
 冒頭にありました国民運動の件についてなのですけれども、内容につきましては非常に理解できたのですけれども、大臣の意気込みというか思いというのを一言いただけますでしょうか。
(答)今まで、貧困問題というのは、世帯ごとという認識がありました。子供を主体にした貧困、子供の視点での貧困問題を必ずしも十分に研究なり政策を打ってくることができなかったという反省、現状認識があります。しっかりその現実を直視した上で、でき得る限り、子供の成育が健やかであるようにという国の意思、また国民的応援を一つにまとめ上げていく第一歩を歩み出したいと思っています。
 特に、残念ながら餓死をしたお子さんのニュース、あるいは無理心中をしたひとり親家庭のニュースが国民を震撼させました。的確な時に的確な情報、特に公的扶助の情報がその方々に届いていれば、かようなことは起こらなかったのではなかったかと、母親としても心を痛めます。そういう意味では、そもそも不意のつまずきというのが誰にでも起こり得る中で、その不意のつまずきが絶望の淵に転げ落ちないように、自助努力、そして地域、地域でいろいろな人が助け合う共助の仕組み、そしてしっかりと的確な公助の支援を行うことがそれぞれできるような体制を国全体で、官民挙げて作り上げていけたらと考えます。
(問)おはようございます。共同通信、瀬野です。
 国民運動の関連でお聞きしたいのですけれども、基金の拠出元、経済界とか民間の拠出が核となると思うのですけれども、ちょっと今のところ、経済界からは目立った動きはないのですけれども、今後、運動を盛り上げていくために、どのような経済界を巻き込んでいくための課題があるとお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。
(答)私も先立って経団連や商工会議所にもお願いに上がりましたが、まずは国がどのような仕組みを打ち立てるかということにそれぞれ御関心があるというのは当然のことだと思います。
 基金については、公益財団法人日本財団に置く基金として管理をいたします。その使途については、内閣府、文部科学省、厚生労働省及び日本財団を中心にした「子供の未来応援国民運動推進事務局」で行うこととしております。
 この基金は、草の根で支援活動を行うNPO等の支援等に使うことにしています。すなわち国が直接交付金などでなかなか支援しにくいところ、行政だけではカバーできないところをこの基金を使ってカバーしていきたいと思っています。
 ただ、公平性を担保するため、支援対象となるNPOなどの公募方法や選考基準などについては、同事務局で決定する予定です。
 当然ながら、国として民間の善意に委ねるというだけでは進まないと思っておりますので、今後の予算獲得も含めて、厚生労働省、文部科学省、内閣府連携を強めながら、行政で何ができるかの発信もこれから充実させていきたいと思っております。
 その1つが、この10月1日からで公開いたしますホームページの開設であり、どのような支援が我が町で、どのような状況の方にできるのかというのを一元管理するというのも初めてでございますし、その支援情報ポータルサイトに加えて、企業などによる支援とNPOの支援ニーズをつなぐサイトも設けます。そして、基金に対して寄附を募るページも開設いたしますので、今後の状況も見ながら、その意気込みとそれから政府の資金、政策の具現化とをあいまって進めていきたいと思っております。
 そもそもこの事業を立ち上げるのが初めてでございますので、なかなかに将来予測が難しいこともございますけれども、多くの方が関心を寄せ、また心配もしていただいている分野でございますので、その善意が具現化するような受け皿をしっかり作っていきたいと考えております。
(問)(共同通信・瀬野記者)今の続きなのですけれども、経団連や商工会議所にも大臣自ら行かれたということなのですけども、そこで先方の御反応というか、今、経済界は東京五輪等もございまして、いろいろお金が入り用で、寄附の環境というか厳しいやにもお聞きしているのですけれども、そのあたりどのようなやり取りを。
(答)当然皆様、善意を発揮しようというお気持ちではいらっしゃいます。ただ、御指摘のとおり、かなり寄附ということをあっちこっちから言われているので、そこはこれからまた粘り強い折衝をしていかなければならないと思っていますが、そもそも子供の貧困、あるいは世代をつないだ貧困の連鎖を断ち切っていくことは未来に対する投資であると、そして、優秀な方を育んでいって、働き手になっていただく、そしてしっかりとした中間層を作っていくというのは、皆様が勝負をされている日本社会に対しても極めて大事なことだというところに異を挟む方はどなたもいらっしゃいませんでしたので、その共感をどれだけ具体的数字に変換していただくかは、これからも真摯な攻防が続くかと思います。
 ただ本当に、趣旨には皆さん賛同していただいて、私が実際にお話をさせていただいて思いますことは、経営者の方々にもひとり親家庭で育った、戦争で遺児になられた、あるいは学生時代に稼ぎをしていた父親を亡くして、その中でアルバイトをして苦学生で相成ったという方々も少なくありませんので、そういう身をもっての御経験を持つ方が、その苦労を乗り越えてこられた、そのエネルギーも次の世代にロールモデルとしてお話しいただきたいなと思っています。
 また、企業の方には、お金の支援だけではなくて、例えば賞味期限があるけれども、フードロスになっているものを取り扱う、いわゆるフードバンクという取組もこれから考えていかなければいけない中で、その参加企業でこういうものを供出できるという、そういう支援の仕方もあります。
 実は、全国の地銀のほうにも、児童養護施設を出たお子たちが銀行に口座を開設すると、そして、やはり信用を築くということの大切さを行員、社員の方を派遣していただいて、地域のお子さんたちに支援して欲しいと、そういう具体的なお願いに上がっていますので、物心両面の人生の先輩として、若い世代への支援をごく自然にできるような社会を構築できる一歩になれば有り難いと思っております。
(問)今の関連なのですが、私が忘れてしまったのか不勉強なのか、基金の目標の規模というのはどんな額でしたでしょうか。それとスタートはどのぐらいでいけるでしょうか。
(答)先ほども申し上げましたが、今回の基金事業については、基金の管理運営に当たって、日本財団に担当していただくことにいたしております。基金の規模は、具体的には現在のところ定めておりません。新しい国民運動でございますので、そして最初から、では何々団体は幾ら、というような、そういうおこがましい話ではなくて、本当に志に賛同していただいて、本当に皆さんが大切な物資なり金銭的な支援をしていただきたいということなので、ここは謙虚に志の共感者を増やしていくという地道な展開をしたいと考えております。
(問)スタート時点ではどのぐらいでいけそうなものなのですか。
(答)すみません。10月1日からの様子を見ていくということで、今、お願いに上がっている状況でございますが、我が方として、我が社、我が団体として幾ら出そうというところの、そういう段階にはまだ至っておりません。
 ただ、そこはやはり政府としてしかるべきコミットメントをしていくということを民間の方々も見ておいでです。そうしたことは、当然、官邸とも共有をいたしております。
(問)時事通信の上田でございます。
 その基金のお金の使い道なのですけども、もう少し具体的に、こういうものが想定されているとかあれば教えていただけると有り難いのですけども。
(答)「子供の未来応援基金」は主に2つの事業に分かれると思っています。1つは、「未来応援ネットワーク事業」で、これは草の根で子供たちに支援を行っているNPO等に対して、支援を実施していきます。具体的には家庭的養護支援、学校外の教育支援、それからなかなかに貧困の中で居場所が確保しにくいというところでの居場所支援、生活支援、また児童養護施設を退所した方々の支援などを考えています。
 もう一つの柱としては、「子供の生きる力を育むモデル拠点事業」を考えております。これは全国でばらつきのないように、まずはパイロットテストという形で拠点を作っていくことになろうかと思いますが、例えば食事の提供や職業体験、あるいはスポーツ、芸能指導というような社会性を学ぶ機会などを、その子供の生きる力を育む拠点を打ち立てて、地域の実状に合わせて組み合わせていただく、そういうハウスを全国で何か所かパイロット的に立ち上げられればと考えております。
 主に、今、御質問があったように、地方の自治体などあるいは学校、行政団体を通じてというのは、当然政府がいわゆる富の再分配としてやっていかなければいけないことです。その拡充もいたしますけれども、直接的には行政がお金を出しにくいというところだけれども、草の根で本当に子供の貧困に直接的に向き合っているところ、やはり経済的な基盤がなかなか脆弱なところが、善意でやってくださっているところが多いので、そこにしっかりとした支援が向けられるような、ということで基金という概念を打ち出しております。

(以上)