有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月10日

(平成27年7月10日(金) 9:02~9:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。今日は私の方から特段御報告することはございませんので、御質問があればお受けいたします。

2.質疑応答

(問)おはようございます。共同通信、瀬野と申します。
 先頃、文部科学省が、無戸籍状態のお子さんについての調査を発表しまして、3人に1人が就学援助を受けるなど厳しい環境に置かれていることが分かったのですが、これに関しまして、子供の貧困所管の大臣としての御意見をお願いします。
(答)ここ数日、昨日から今日の報道を見ていても、母親の一人としても大変心痛む事情で、政治家としても心が痛みます。
 今回の調査は、法務省が行われた無戸籍者全体の実態把握調査において判明をした、142名の戸籍のない学齢児童生徒の就学状況について、文部科学省が調査されたものです。1名を除いて全ての者が学校に就学していることが確認できた。けれども、過去に未就学の期間があった者が6名、読み書きに困難があるなど学習上の課題を抱えている者が相当数いる。それから要保護児童・生徒の割合が非常に高く、貧困を始めとする生活上の課題を抱えている者が多いことも明らかになってきました。
 文部科学省としては、教育委員会を通して、戸籍記載の有無にかかわらず学齢期の児童・生徒が確実に義務教育を受けられるようにしていかれると伺っています。同時に、今御指摘いただいたように、無戸籍の学齢児童の就学に向けた支援という意味では、直接は文部科学省がこれから行動されますが、子供の貧困という意味では、その実態を明らかにしていく、そしてそこを支援するために誰がどのような状況にあるのかということは、文部科学省、法務省、また自治体でお進めになりますけれども、そのごく自然な支援のあり方、そしてその人の生涯にわたる生きる力を支援していくためには、内閣府共生社会政策としてどういう手が打てるのかを考えていきたいと思います。
 当然、秋には基金の発表もしていくという日程でございます。報道に出た、おつりの計算の仕方が分からない20代の女性の方の報道を見ると、単に公の制度を整えるというだけではなくて、個別支援に相当なものが要るということを、政府も認識する、自治体も認識する、そういう現状ではないでしょうか。
(問)共同通信の工藤です。おはようございます。関連でお願いします。
 今の無戸籍の子供の件なのですけれども、昨年の夏に閣議決定された子供の貧困大綱にも、教育面ではかなり重きが置かれていると思います。一方、貧困層の方々は情報の貧困にも直面しているかなと、知っていればすごく役に立つ制度も、知らないからそれを利用することができず、マイナスのスパイラルに陥っているというふうにも思うのですけれども、そういったいかにボトムアップをしていくかというのを、大臣御自身としてどのようにしていくべきなのか教えてください。
(答)今、御指摘いただいたように、なかなか修羅場あるいは本当に困難な状況に置かれた方、特に経済的貧困という方々、あるいは、例えば性犯罪を受けた、あるいは、家族の中で重篤な病気やけがに急遽なったとき、そういう一時の深刻なつまずきに直面している方々は、目の前の課題に向き合うことで精一杯で、なかなか的確な情報にたどり着けないという傾向が、これはどの分野においてもあると思っています。それゆえに私自身、「暮らしの質」向上検討会では、困難な状況に直面した人が、いかに的確な政府の公的情報も含めた支援の情報を、必要なときに必要な人に届けていくということで一つの分科会を立ち上げていただいたぐらいに、情報を提供するということは大事だと思っています。
 今回も、本当にこの情報さえあれば、無戸籍であっても就学できるということが分かっていれば防げたかもしれない。そういう教育へのアクセスのチャンスは、悔やまれるところでございます。そういう意味では、その方々がどうしてそこに至ったかということに関しては、御本人たちも明らかにしたくない事情があることも分かります。けれども、一生涯でやはり生きていくための学びという意味では、それとはやはり切り離して学校に行けるのだということを、報道の皆さん、また、私たち行政に携わる者も、心して情報を伝えていきたいと思っています。
 少子化の問題でも、もっと早くに事実を知っておけばよかったという方々が、生物学的に安心して妊娠、出産できるにはおのずからリミットがあるということを、もっと早く知っておけばよかったと多くの男女から御指摘をしていただきます。そういう意味では、的確なタイミングで適切な情報を、それを必要としている方々に届けるという機能は、国全体で上げていかなければいけないところであり、共生社会政策担当、少子化対策担当、また、女性活躍という意味では、非正規から正規にというところもございます。的確な情報発信、また、情報がアベイラブルであるという状況をつくっておくということは、今日的課題で極めて大事だという認識で、そこは当然ながら加速していきたいと日々考えております。
(問)日経新聞の甲原です。おはようございます。
 全然話題が変わるのですが、夏の省庁の人事が本格化していて、財務省、金融庁がこの前出まして、今後ほかの省庁も出てくると思いますが、内閣人事局2年目の人事として、政治主導の人事とかそういった意味合いがあると思いますが、どのような御所感をお持ちか大臣の見解をお願いできますでしょうか。
(答)分かりました。内閣人事局が一生懸命、その信用、実績を作っていこうとされているところは、私も一緒に仕事をしていて日々感じるところでございます。その上でいわゆる幹部人事は、直接は所管ではないのですけれども、私が担当させていただいている分野で勤務していただいていて、財務省にお戻りになられる方の見送りをここ数日いたしておりまして、やはり優秀な方々、一緒にもっとやっていきたいなという方々が抜けていかれるというのは、ちょっと残念なのですけれども、例えば行政改革で実績を上げた人間が、あるいは内閣官房、内閣府で働いた人間が、いわゆる本籍地と言われる各省庁に戻るときに、国全体、日本全体の動きを見た、そういうことを習慣にして、そういう視点ということを持った、より広い幅を持った人間が、各省庁にエースとして戻っていかれるというそのサイクルは、これからも成功させたい、してほしいと思っています。
 昨日、一昨日見送った方々にも、内閣官房、内閣府での経験、一般的に申し上げれば省益を担っているのはエースです。各省庁のエースが、優秀ゆえに省益を担うということを期待されることでありましょう。けれども、省益と国家・国民益が余りにも違うときには、どっちの側に立つのかということを、彼らも彼女たちも日々試されているところだと思います。そういう意味では内閣官房、内閣府の仕事で私たち政治家も、また、大臣始め指定職の行政にある者も、いわゆる省益とそれから国家・国民益のベクトルをなるだけ近づけていく、そして省益を担い、その省益を一生懸命追求した先に国益がある、あるいは国益を追求するがために省益も結果的に担ったと、そういうふうになっていけるようなベクトルを合わせる努力は、人事も含めてやっていかなければならない。その一つの強力なツールは、やはり人事だと思っております。
(問)(日経新聞・甲原記者)特に女性の登用とかそういった面での今年の取組とかというのは、何かお考えがありますか。
(答)ここ数日の異動が始まったこととの関係は直接リンクさせませんけれども、当然女性の登用は、ここ数カ月の最も高い私の時間を割いた部分でございますので、国家公務員の女性の登用は、登用、採用から含めてそれから教育機会を作っていくこと、そして幹部に登用されるということも含めて、これからも加速していくことになります。
 この夏のインターン、これは直接採用には関係しないものでありますけれども、裾野を広げていく、女性国家公務員の働き方を身近に見ていただくという機会を初めて作りますけれども、そういう意味では、入りのところから育てていって、そしてリーダーシップポジションに就いていただくという一貫した流れを俯瞰して、それぞれに手を打っていかなければいけないと思っています。そのプレッシャー、責任は強く感じております。

(以上)