有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年3月20日

(平成27年3月20日(金) 8:57~9:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨

 皆様、おはようございます。

 少子化対策担当の大臣として発言をさせていただきます。

 今朝の閣議におきまして、「少子化社会対策大綱」を閣議決定いたしました。この大綱は、少子化社会対策基本法に基づいて、総合的かつ長期的な少子化対策の指針として定めるものです。平成16年、22年に続き、今回は3回目の策定となります。

 今回は、初めて少子化対策の基本目標を設定するとともに、子育て支援策の一層の充実や、若い年齢での結婚・出産の希望を実現できるようにすること、また、2人目、3人目、4人目という多くのお子さんを授かる多子世帯への一層の配慮をしていくことなど、5つの重点課題を設けております。

 結婚支援や多子世帯支援など、従来にはなかった取組であっても、強い意志を持って、御協力をいただきながら書き込みました。併せて、男性の意識・行動改革を強力に促進したい旨も書き込んでおります。日本の未来のための重要な取組について何が必要かという観点で考えてまいりました。

 また、男性の配偶者の出産直後の休暇取得率を80%と目標に定め、子育て支援パスポート事業の全国的な展開ということで、その協賛店舗数の倍増、全国で44万店舗を目標に掲げるなど、少子化対策をしっかりと前に進めていきたいと考えております。

 現在の我が国の少子化の状況は、社会経済の根幹を揺るがしかねないという危機感があり、少子化のトレンドを変えるために、今後5年間を「集中取組期間」として直ちに取り組むことが重要だということを訴えたく思います。

 この大綱に基づいて、関係省庁と連携し、少子化対策に全力で取り組んでまいります。

 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の中西と申します。お願いします。
 今日閣議決定されたこの大綱なのですけれども、これについて大臣の意気込みというか思いというか、改めてお聞かせいただきたいのですけれども。
(答)少子化社会対策大綱についての意気込みということですが、この大綱を書かせていただくに当たって、私自身からはいろいろな立場あるいはライフステージにいらっしゃる方々がいらっしゃるので、そういういろいろな立場の方に思いを馳せる、そして寄り添う、という優しい気持ちを持ちながらも、今までの少子化対策の延長線上ではない、やはり突っ込んだ議論をすべきという方針を、当初から明確に打ち出して指示をしてきました。その中においては、国民的議論で賛否両論が出るかもしれないということも恐れずに、それでも日本の将来の活力あるいは、それぞれの御家庭や地域の安定、幸せを実現していくために、歯を食いしばってでもお伝えしなければいけないということは、その賛否両論あるいは国民的な議論ということを恐れずに国民の皆さんにしっかりとお伝えをしていこう、その覚悟がなければ、今の時期の少子化対策としては国民の期待には応えられることにはならないということで、多少粗削りでも、背骨のある、そういう大綱にしていこうということは当初から意識をしてきました。ですから、今後御覧になって、あるいはその施策を実現していく上で、これは良い、これは悪いということはあるかもしれせん。あるいは今までの内容とは違うので、面食らうということがあるのかもしれませんけれども、その御批判、あるいは御支持も真摯に受け止めて、日本の未来に対してより責任を持てるような、そういう働きかけと、そして、それに賛同していただける国民、各界各層の支持をいただけるような布陣、動き方をしていきたいと思っております。
 特に、妊娠・出産・子育てという、今までは、その段階にある方々への支援をどうするかという話があったのですが、そもそも、なかなかに、晩婚化、あるいは結婚をそもそもしないという非婚化がこれだけ進んでいる中にあっては、結婚したい、あるいは結婚したいと思っているけれども、なかなかチャンスがなく、その結婚に至っていない、という方々を皆さんで応援していこうという、結婚という段階を明確に入れたのも今回のハイライトでございます。
 それから、子供を授かりたい、多くの方々が3人授かりたいと思っていらっしゃる中で、なかなかにその希望が実現していないとすれば、やはり国民の皆さんが持っていらっしゃる希望と現実の乖離のギャップを埋めていこうと、そういう社会の温かい基盤をみんなで作っていこうということも打ち出しております。多子世帯というのも新しい概念だと思っています。皆様の反応、支持、あるいは逆に新たな御提言ということにも謙虚に耳を傾けて、多くの方々が、言われてみればそうだなと思っていただけるような納得性、妥当性をこれからも真摯に追っていきたいと思っております。
(問)朝日新聞の畑山です。おはようございます。
 今の質問と重複するかもしれないのですが、少子化は大変危機的な状況だということで、ただその一方で、今回、結婚などの支援にも踏み込まれている。あと妊娠や出産についての知識について教育段階で伝えるということも踏み込まれている。こういうことは個人の生き方にもかかわる問題かと思うのですが、大臣は大体御認識あるかと思うのですが、どのように理解を求めていくのかというのをお願いいたします。
(答)大事な御指摘をいただいていると思っております。例えば、地方創生の方からは、希望が実現すれば合計特殊出生率1.8という将来的な願い、あるいは推計も出ているわけでございますが、私たちは数値の目標という意味では、合計特殊出生率を挙げておりません。それはまさにおっしゃったように、出生率や、あるいは出生数を目標とすることについては、個人に対するプレッシャーや特定の価値観の押し付けと、意図はなくてもそのように受け止める方もいらっしゃるだろうということもありまして、慎重に考えるべきだと認識をしています。ただ、授かるお子さんの数を増やすことが御本人の希望であれば、私たち社会にとっても大変ありがたいことなので、そういう希望、例えば結婚、子供についての数、時期の希望があるのであれば、それを一生懸命実現できる社会を作っていくということに関して目標に掲げた次第でございます。そこのバランスは常に大事だと思います。私自身も女性ですし、妻ですし、母親ですし、大変デリケートな問題です。個人のライフスタイルあるいは価値観に基づく夫婦間での価値観もあります。置かれた状況も違いますから、そういう意味では、それに対する尊重、配慮をしっかりしながら、それでも日本の未来の活力を考えれば、お伝えしなければいけないことは正々堂々とお伝えしたいと、そういう思いでございます。
 例えば、今御指摘いただきましたように、妊娠力、妊娠する力について、男性も女性も加齢、歳を重ねていくことが妊孕(にんよう)力を落とす最大の要因となるものであるということを政治が言う、行政が言うというのではなくて、この間、産科婦人科学会など医師の立場、産婦人科の立場、家族計画の立場の専門家の方々など、9つの団体から、このことをしっかりと教育段階で伝えるべしとおっしゃっていただいておりますので、そういう意味では、行政や政治がいわゆる価値観の押し付けではなくて、こんなはずじゃなかった、何でこれを早く知らなかったのだろう、教えてくれなかったのだろうという男女が余りにも多いという現実を直視した上で、では、教育段階でしっかりとファクトベースで生物学的な事実をお伝えするというのは、これは極めて大事なことではないかと、性教育に関する国際比較を見ても、日本の性教育の事実、いわゆる生殖に関することは、海外ほどしっかりと日本国民の中に必ずしも定着していないというデータが上がってきていますので、そういう意味では、自分と相手の心身に尊厳、敬意を持ちながら、自分のライフスタイルステージあるいは自分のライフデザインを考えていただく一助になればありがたいと思っております。以上です。
(問)時事通信の中平と申します。よろしくお願いします。
 今おっしゃった個人へのプレッシャーになってはいけないという部分なのですけれども、この部分をしっかりと基本的な考え方などにも明記したのは、やはり以前の女性手帳などのときに、そこに配慮が足りないということで非常に批判があった、そういうことを踏まえて今回こういうことを書き込んだのでしょうか。それとも、余りそれは関係ないお話なのでしょうか。
(答)おのずから、この事柄、この分野はデリケートなことだという慎重さは常に持っていなくてはいけないと思います。ただ、去年の9月から着任をさせていただいて、以前議論が分かれた女性手帳はこういうものでしたというようなレクチャーもいただいたこともないですし、それに萎縮してということでもないですし、いろいろな立場の方々、いろいろな状況の方々がいらっしゃるという、そこの配慮、思いをいたすというセンサーはみんなで磨こうと、より多くの方々に賛同してもらえるような妥当なライン、常識的なライン、でも、先駆的な提言にするということのラインは、そう広くないかもしれないけれども、そこのラインを狙っていこうということは、何度も皆さんと共有してきました。過去の女性手帳の反省や教訓は、政治家としてはもちろん理解しておりますけども、だからこうしてくださいというような働き掛けはスタッフの皆さんからもなかったと思っております。もちろんそれも含めて学びでしょうから、そのような御批判を得ないで、かつ私どもが真剣に考えた上での提言が、より国民の皆さんのハートに届くようにということは、細心の注意を払ったつもりでございます。
(問)おはようございます。フジテレビ、和田でございます。
 バランスが悪いといけないので男からも1問質問させていただきます。御指摘のとおり、結婚、出産というのは国民の自由なわけで間違いないわけですけども、国が環境整備を全力でやるという構図なのだと思いますが、その少子化対策と個人の自由のすき間みたいな部分で、個人の自由ではあるけれども、この機会に国民に要請、あるいは要請が強すぎればお願いをしておきたいことというのが何か大臣からございますか。
(答)大事なお問い合わせだと思います。例えば不妊一つとっても、どちらかというと、これは女性の問題と思われてきたところがあるのですが、そうではないと、女性由来だけではない、あるいは男性、女性どちらも健康な体を持っていても、タイミングなり、あるいは日々のストレスもございますから、そういう意味では、男女共の働き方も含めての問題だと、2人で、あるいは社会で考えていただきたいという思いはございます。
 それから、やはり妊孕力の問題、妊娠できる力の問題が、加齢と共にあるということを考えると、例えば、結婚届を出される方々、つまりこれから妊娠したい、授かりたいと思ってくれる可能性の高い方々に対して、生物学的なファクトということをしっかりと、彼らが届けに行ったときに、その情報へのアクセスがある、そこで例えばパンフレットを手に取れる状況を作って、本当に自分の体と相手の心と体に敬意を持って、そのことをやはりライフパートナーとして率直に話せるような関係を持っていただきたい、男女共にライフデザインに関しては、もっともっと教育段階から、キャリアデザインもそうですけれども、自分の人生設計を考えていただけるようにしたいと思っています。
 それから、やはり少子化対策で、企業も男女の働き方ということもあります。ワークライフバランスもありますので、どんどんこの分野の先駆的な事例を発掘し、紹介もしていきたいと思います。全国各地の自治体では、合計特殊出生率の目標を設けたいと言っているところもありますので、自分の我が町、我が故郷がどういう状況にあるのかということを、もっともっと考えるようにしていきたいと思っております。

(以上)