山谷内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月7日

(平成27年4月7日(火) 8:18~8:33  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 領土・主権に関する内外発信についての御報告でございます。
 内外発信、歴史的事実に基づいて、冷静、論理的な発信を行うことが重要だと考えておりまして、これまでも我が国の主張を裏付ける資料については、外務省のホームページなどで一部公開されておりますが、より多くの資料について、領土・主権関連の事業としまして収集、整理し、積極的に発信していくことが、我が国の立場についての正確な理解を国内外に浸透させていく上で必要と判断いたしまして、今回、沖縄、島根の地元において、併せて1,500に上る資料、文献を調査、収集しました。これらの結果について、より多く皆様に御覧いただくとともに、今後の研究発表などにも御活用いただきたいと考えております。
 そうした資料に関しまして目録化して、デジタル化した画像データとして保存する委託調査事業が9か月かけて行われたわけですけれども、今回、この委託先から報告書の提出がなされました。お手元にあるこの資料でございます。この報告書は本日、(内閣官房)領土・主権対策企画調整室のウェブサイトにも、英語版を付して掲載いたします。本調査により地元で収集、確認された資料・文献には、当時の地元の行政文書、関係者の記録、地元の新聞記事等が含まれていますが、尖閣諸島については合計で約500点、竹島については約1,000点にのぼります。こうした資料、文献は、従来から我が国の主張を裏付けるものであります。土地登記簿の謄本とか行政資料、本当に几帳面(きちょうめん)に日本人がずっと作り続けてきたという、そのころの暮らしぶりも含めて、手に取るように分かるものになっていると思います。今後、収集された資料、文献の中から重要な資料、文献をデジタル化して、アクセスが容易な形で掲載して、事実に基づいた啓発・発信を行っていくこととしております。
 この委託調査事業でございますけれども、26年度に続いて今年度、27年度も引き続き行う予定であります。今現在のこの資料は、例えば尖閣ですと、1885年から1972年の沖縄返還の頃まで、そして、竹島は1905年から1954年ということで、主に沖縄や島根、地元の関係資料を収集・調査したわけですけれども、これからは長崎とか熊本とか鳥取とか、その周辺地域にも範囲を広げ、また、年代区分も広げて、平成27年度は行っていきたいと考えております。
 この詳細につきましては、後刻、事務方より、ブリーフィングをさせていただきたいと思います。
 もう一つですが、領土主権に関する論文の英訳事業でございます。
 対外広報・啓発を進めるために、昨年度の委託事業として進めてきた、我が国の領土・主権に関する我が国の学識者の日本語の論文を英訳する事業について、御報告させていただきます。本日、尖閣諸島及び竹島に関する論文の英訳が、日本国際問題研究所のウェブサイトに、第一弾として4本掲載されます。今後、英訳の論文は随時、追加していきたいと考えております。
 そしてまた、ウェブサイトのリニューアルについてでありますが、本日から内閣官房領土・主権対策企画調整室のウェブサイト全体をリニューアルいたしました。画像を多く取り入れまして、より分かりやすい画面構成にいたしました。本日の10時頃より、アクセス可能となりますので、これまで以上に内外の多くの皆様にアクセスいただくとともに、領土・主権を巡る情勢への関心を高めていただきたいと考えております。
 最後に、こちらに掲載しております日本の領土、領海、排他的経済水域及び延長大陸棚を含む日本全域を表すポスター、新たに作成いたしました。今後、このポスターを様々な場で活用して、啓発活動に努めていただけたらと思います。排他的経済水域、EEZが(海岸線から)200海里までというこの面積を合わせますと、世界第6位の海洋大国でありまして、海洋資源採掘の技術等々も進みつつある中で、海洋大国あるいは資源大国の可能性も秘めた日本の姿というものを、多くの皆様に感じていただけたらと思っています。
 以上です。

2.質疑応答

(問)NHK、川田です。
 大臣、2問お伺いしますけれども、この領土の関係で、去年の6月ごろからこの研究を進めてきたと思うんですけれども、改めてこの狙いというか、これは今回初めて取りまとめたものだと思うんですが、狙いについて一言お伺いできたら。
(答)領土を巡る情勢が厳しさを増していく中で、日本としては、法の支配、そして海洋の秩序、そしてまた我が国の領土、領海、領空というものを守っていく主権国家として当然の姿でありまして、それぞれの国がそうした法の支配等のルールに基づいて、平和的な世界秩序を保っていくということは、大変に大事なことだと思っております。我が国の立場、歴史的事実、そうしたものを国民が冷静かつ論理的に知って、また、国内外に発信していくということが大切なことと考えまして、事業として取り組んだところでございます。
(問)もう一つ、関連なんですけれども、この報告書、2枚あって、竹島のほうに、ちょっとすみません、細かいんですけれども、「はじめに」というところで、助言を踏まえて、研究チームの見解に基づいて作成・実施されたもので、政府の見解を表すものじゃないというふうに竹島のほうは書いてあって、尖閣のほうはそれは書いてないんですけれども。これ、政府の委託事業なので、取りまとめをちゃんとやったのは、それは研究者たちだと思うんですが、それを受けて政府として、この報告書は有効なものであって、ホームページにアップすると、そういう理解でよろしかった。
(答)はいそうです。
(問)朝日新聞の久木です。
 今の尖閣及び竹島調査の関係で、何か資料なりとして新たな事実が見つかったとか、そういうことはあるんでしょうか。
(答)これまでもいろいろな研究者あるいはいろんな行政文書というものがたくさんあったんですけれども、これまでは非常にばらばらというか、全体をきちんと把握することができなかった。今回も、例えば県あるいは市、あるいは図書館にあったり大学の研究室にあったり、あるいは研究者が持っていたり、あるいは地元の漁業関係者が持っていたり、いろいろあったものを、今回きちんとまとまってウェブサイト等で見ることができるようにしたということであります。
(問)読売新聞、小川といいます。
 領土の関係なんですけれども、今年度も引き続き調査を続けていくということだったんですが、調査の範囲をどの程度広げていくとか、資料の数の目安ですとか、あるいは来年度、再来年度とどの程度まで調査を続けていくのかという御意向を聞かせてください。
(答)島根、そして沖縄等々で主に情報を調査・収集したわけでございますが、先ほども申しましたように、まだまだ熊本や長崎や島根やその他いろいろな周辺の地域にあるということを聞いておりますし、また、年代区分も先ほど言った区分よりも広げてやっていく中で、様々な収集ができると考えております。
(問)関連なんですけれども、この対象はあくまで竹島と尖閣に関してという認識でよろしいんですか。
(答)はいそうです。
(問)ちょっとこの報告書とは別なんですけれども、昨日、教科書検定で領土に関する部分というのは大幅に教科書の内容が増えたわけですけれども、領土担当を所管する大臣としては、今回の教科書検定をどのように評価されているか、一言教えていただきたいと思います。
(答)日本の子供たちが我が国の領土に対して正しい理解を持つということは大切なことだと思っておりますので、領土に関する記述が歴史的経緯も含めて充実したということは良いことだと思っております。
(問)関連で、毎年なんですけれども、昨日も韓国の大使が、韓国側から抗議を受けたんですけれども、それについて他国が教科書について何か言うということについてはどのように。
(答)韓国との間に主張の相違が見られるとかですね、以前の教科書は我が国の領土について、一体、我が国の領土なのか何なのかよくわからない記述だったわけですから、今回はきちんと我が国の固有の領土であると。歴史的にも国際法的にもなぜそうなのかということがきちんと記されたということでありまして、これからそうした新しい教科書に基づいて、領土に関する正確な理解が浸透していくことを期待しているわけでございまして、韓国等からの批判は当たらないと考えております。
(問)朝日新聞の久木です。
 話題変わりまして、先日、拉致被害者の家族会と総理は面会されまして、大臣も同席されたと思うんですが、改めて被害者の方たちの思いをどのように受け止められたかというのと、あと、今度、北朝鮮が日朝協議の中断とかという通知文を送ってきたり、また、中距離弾道ミサイルの発射を準備しているんではないかという見方もあるんですが、その辺も含めて御見解をお聞かせください。
(答)家族の皆様は本当につらい思いを訴えられました。総理は真摯に耳を傾けておられまして、そしてまた、安倍内閣でしか解決できないと私たちも信じているという家族の声もございまして、総理も一貫して被害者と御家族が抱きしめ合う日が来るまで、私の使命は終わらないというその気持ちをお伝えになられたことと、これまでの様々な経緯、取組を本当に丁寧に御説明されまして、家族のお気持ちも少しは納得といいますか、ただ、結果が出ていないものですから、結果を出さなければならないということも含め、私ども政府は本当に重く受け止めているということであります。
 日朝協議、いろいろなやりとり、これまでもございました。ただ、国際社会、国連の場でも問題意識が高まっているということでありまして、中断ということではないと考えております。

(以上)