甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月8日

(平成27年9月8日(火) 10:15~10:35  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 ありません。

2.質疑応答

(問)今日、自民党の総裁選告示がありまして、安倍晋三首相が再選を確実にされました。野田聖子元総務会長は、最後まで投票に意欲を示していましたが、最終的に推薦人を確保できず、無投票という運びになりました。
 2001年の小泉純一郎首相以来の無投票ということになりましたが、これに関しまして、大臣の受け止めをお願いします。
(答)「もう3年がたったのですね。次の3年もあっという間ですよ」と、総理に申し上げました。かねてから日本のトップリーダーは短期的に変わり過ぎる。それが、腰を据えて解決しなければならない課題が先送りされてしまってきている原因ではないかということが、国内外から指摘されていました。3年間で、20年近いデフレの脱却が見えてきました。しっかり腰を据えて長期的課題に取り組んでいくべきであるという内外の識者の指摘を、党内でも共有できたのだと思います。その結果、引き続き、次の3年も安倍総裁にやってもらいたいという結論になったのだと思います。
(問)安倍首相が再選されまして、秋から経済に、ということの意欲を示されています。一方、今日、内閣府の発表のGDPの改定値ですが、年率換算で、1次QEのマイナス1.6%からマイナス1.2%と上方修正はされたのですが、設備投資の方が、0.1%減から0.9%減へと下方修正されたという結果になりましたが、かねてから官民対話などに意欲を示されていますが、今後の政権運営の経済の課題に関して、御所見をお願いします。
(答)安倍内閣がやる第一は、経済の好循環を回していく。最初は、政府が関与しなければならない。これはやがては、民間主導で自動的に好循環が回っていくようにしたときに、政府は手を放せるわけであります。これをまずはやっていく。
 その次にアベノミクスのステージ2、フェーズ2におきましては、企業の、産業の国際競争力を強化していくという手順になっていくわけであります。
 好循環の第1弾として賃金改善を掲げました。これは何回やればいいということではなくて、未来永劫やっていくものである。それが企業業績を更に拡大していく。そういう共通認識を持ってもらわなければならないということです。
 そして、企業が収益を確保し続けるという体質強化をするために設備投資、設備のビンテージが大分日本の産業界では、古くなっていますから、最新の強力なものに変えていくということと、そして、人材もスキルアップしていく。人材の競争力も上げていく。そして未来に向けた研究開発投資をしていくということであります。
 アベノミクス秋の陣では、引き続き賃金が景気に与える好循環を共通認識としていきますけれども、御指摘のまだ弱い部分、投資について、官民対話で共通認識を持っていきたいと思います。ここが一番大事な点であります。
 4-6月期でGDPが落ちている中で、4-6月期の企業収益というのは、前年同期比で24%も伸びているわけです。4-6月期の数字としては、過去最大値をつけているわけであります。企業の収益が膨らんでいく、内部留保が膨らむ一方で、設備投資が期待値ほど伸びていない。これはやはり経営者が決意、決断して踏み出すというところにまで行っていないと思うのです。そこで、秋の陣では、しっかり背中を押していきたいと思います。もちろん政府がやるべきことについて、必要であることは直ちに取り組んでいくという姿勢で臨んでいきたいと思います。
(問)今日、財務省から公明党の幹部会に、軽減税率の財務省案の説明がありました。内容としては、10%の消費増税があったときに、店頭でマイナンバーカードをかざすことによって、後から還付ができるというような仕組みで、当初目指していたものとは若干様相が違うということで、少し懸念するような声も公明党内から出たようですが、今、政権として、前の衆院選で掲げたものと少し異なっているというような指摘もあるのですけれども、大臣から見てそこら辺の御感想はありますでしょうか。
(答)結論から言いますと、与党の税制協議の中で方向性が出てきます。それを具現化する作業を、財務省内あるいは政府内でしていかなければならないのだと思います。現状では、まだいろいろシミュレーションしている段階だと思いますから、与党税制協議の結論を待ちたいと思います。
 仮に、税制改革大綱に掲げてあるとおりの目標に向けて作業を開始せよということであるならば、インボイスがなければできないではないかなど、いろいろな課題があります。けれども、そんな負担は中小企業にはとてもできないであるとか、あるいは、片方で対象幅は広ければ広いほどがいいという議論の一方で、税収が落ち込んでしまったら何のための消費税率引上げかというような、いろいろな議論がありますから、それらを精査して、最も効果的な、それぞれの課題の最大公約数的な手法が出来上がってくるのではないかと思いますが、いずれにしても、与党税制調査会の協議、結論待ちということになろうかと思います。
(問)GDPについて1点、認識をお伺いしたいのですが、今回、上方修正ということですけれども、在庫の積み上がりというのがその要因となっていると思います。非常になかなか一般的に難しいのですけれども、これは2種類考えられて、なかなか売れないので、在庫がはけず、在庫が積み上がって、結果的にある意味、実力以上に経済を押し上げてしまったという側面があるという見方と、いやいや、これから売れるので、どんどん原材料を買っていこうと言って、みんな買ったので在庫が積み上がったという、両方の見方があると思うのですけれども、この在庫の積み上がりについて、大臣はどのような御見解でいらっしゃいますでしょうか。
(答)私も前から在庫の統計とは、そんなにGDPを構成する重要な要素なのだろうか、重要な要素だとしても、今、おっしゃったように、前向きな積み上がりと、あるいは残ってしまった積み上がりと、いろいろ評価が分かれるわけです。
 今回をどう評価するかというのは、なかなか企業者、個々の態度を把握しないと決め付けはできないかもしれませんけれども、いずれにしても在庫が積み上がったときには、GDPプラスで評価して、減ったときにはマイナスで評価、過去にしていますから、ですから、今回が実力以上の評価だとしたら、減ったときには実力を過小評価する評価が、過去の数字で出ているわけですから、相殺されてしまうのだろうと思いますし、今回、その部分を除いても、大体変わらないです。速報値と2次の数字、これは法人企業統計を織り込んでいるわけですし、それ以前は大体予想数値でやっているということでありますから、うんと差が出た場合には、いろいろ考え方もあるかと思いますが、そこを除くと変わらないということでありますから、そこは静観していいのかなと思います。
 ただ、在庫の評価をどうするかというのは、私もこれからいろいろもう少し精査、検討した方が、よりGDPの数字は正確になってくるのかとも思います。
(問)そうすると、もちろんどちらかと決め付けはできないけれども、いわゆるみんなが買おう、買おうというマインドになって原材料が、そういうマインドになっているわけではないのではないかと、客観的に見て、そんな感じもするのですけれども、そこはどうなのでしょうか。
(答)そうですね。全部がそうだとも言えませんけれども、少なくとも、どんどん今のうちにすぐはけるように準備しておこうという積極的な姿勢が大宗というわけでもないのかもしれません。
(問)G20で、中国の財政相が今後5年間厳しい調整というような御発言をされていますが、御所見を伺いたいのと、日本経済に影響があるのかないのか、あるとすればどのような覚悟が必要なのか、お願いいたします。
(答)まず、いろいろな変化に対して、どうやって着地をさせるかということは、政策当局の責務であり、出すべき知恵です。
 その際に、何事もやっぱり急激な変化ではなくて、いい変化は急激であってもいいかもしれませんけれども、悪い変化はどうやってソフトランディングさせるかということに注力すべきだと思いますし、ソフトランディング手法は、過去の各国の経験を踏まえて、対応が可能だと思います。日本のバブル崩壊後のハードランディングは参考になってくるのではないかと思います。
 世界第2の経済でありますから、全く影響がないということはありません。影響を軽微にするために、中国当局は努力をされるでしょうし、日本としては、内需主導型経済、つまり外的な不確定要素に振り回されない経済をつくっていくことが大事だと思っています。
(問)軽減税率のマイナンバーカードのことで伺いたいのですけれども、カードの普及率を初め、小売店への機械の設置、また若しくは何を買ったかがわかるというプライバシーの問題もあるというような問題点も指摘されているのですけれども、担当大臣として、実現可能性という観点からどのような見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
(答)実現可能性は高いとは思います。基本的にマイナンバーカードは全員が持ってもらうということでありますから、全員が持ってもらうためには、持つための利便性が大事です。
 何か1つにしか使えないというのをずっと後生大事に持っているのかというのではなくて、あれにも使える、これにも使える、こんなに便利になるということが実感してもらえることが大事でありますから、プラスの面からアプローチをするということが大事だと思います。
 それから、マイナンバーのナンバー自身を使うわけではなくて、IDを使うわけであります。自分も知らないICチップに埋め込まれているIDを使うわけでありまして、マイナンバーそのものを使うわけではないですから、そこは、いたずらに不安が拡大する必要はないと思っております。
 かなり精緻なことができるということと、個人情報の関係は、ある種裏腹の関係にありますけれども、あの人が何を買っているという把握ではなくて、どういう金額が消費されて、その結果どのくらい還付がされるということでありますから、確定申告の還付もみんな同じようなことはやっているわけです。それを機械的に作業ができるということではないでしょうか。
 まだ、これの詳細はそういう方向になったときに、詳細設計が提示されるのだと思っておりますから、冒頭申し上げましたように、今は、与党税制調査会の協議の結論を待ちたいと思っています。
(問)総裁選に戻るのですが、全派閥が安倍総裁を支持して、非常にきれいな形で総裁選の再選ということになるのですけれども、一方で批判する人からすると、非常にモノトーンになっているとか、議論が余りないのではないかとか、いろいろな議論があります。
 自民党の総裁選というのが、野田聖子さんもずっとおっしゃっていたとおり、ある意味で自民党の多様性を象徴するような場面でもあったと言っているのですけれども、そういう面が失われているのではないかという批判に対しては、どのようにお答えになりますか。
(答)野田さんの話は、テレビの放送でかなり私も聞いていますけれども、いまひとつよくわからない理屈です。
 何をおっしゃりたいのか、何をしたいのかがよくわからないのと、その一方で、やはりデフレから完全脱却をしつつあるこの現状は平時ではありませんから、手を離してしまうと元の木阿弥という状態ですから、安心なところまでしっかりその政策目標を掲げている人が、やり切ってしまうということが大事だと思います。
 私は、経済政策が安倍総理とは違いますという人が出てきて、また違うやり方で始めたら、この3年間の努力は何だったのだということになりますし、また新たな日本全体としてのコストもかかるわけです。
 そういう今日本がとても大事な状況にあるということを、党内も共有しているので、こういう結果になったのだと思いますし、内閣支持率が若干持ち直しているのも、やはり経済に軸足を置くということについて、国民の皆さんは、確かにそうだ。しっかりこのデフレ脱却をして、健康体の経済をつくっていく、あるいはその先の強靭な経済をつくっていく、そこまでは責任を持ってやってくれということなのではないかと思います。
(問)軽減税率の話に戻って恐縮ですけれども、大臣のお話を聞いていると、いわゆるインボイスなどを使う、従来イメージされるような軽減税率というよりは、マイナンバーカードを使った還付方式の方がいいのではないかというお考えをお持ちということでしょうか。
(答)私がどうした方がいいということではなくて、課題が幾つかあるわけです。
 正確にやるためにはインボイスが必要だという指摘がある、一方で中小企業からは、そんな実務負担、経理負担には耐えられないということがある、また一方で、対象は極力幅広くという声がある、その一方で、広くすればするほど税収は減るのだから、何のために消費税を導入したかわからないと、矛盾することが全部あるわけです。
 それらを総合的に解消できるような案があれば一番いいということで、いろいろなアプローチがされているのだと思います。
 そういう中で出てきている案の一つと思って、受け止めています。

(以上)