甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年8月26日

(平成27年8月26日(水) 18:33~18:43  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について報告を申し上げます。
 景気の基調判断につきましては、先月から「このところ改善テンポにばらつきもみられるが」との表現をつけ加えましたが、「緩やかな回復基調が続いている」との判断は据え置いております。
 これは、景気の現状について、企業収益や雇用・所得環境は改善傾向にありまして、緩やかな回復基調が続いておりますが、他方で、個別の分野をみますと、住宅建設は持ち直しております。一方で、個人消費には改善に遅れが見られる等々、天候等の一時的な要因も含めまして、プラス・マイナス両方の動きが見られているということを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続いているなかで、各種政策の効果もありまして、緩やかに回復をしていくことが期待されます。ただし、中国をはじめとするアジア新興国等の経済の先行きなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。
 また、中国発の世界的な株価下落の動きなど、このところ金融資本市場では大きな変動がみられております。
 しかしながら、日本経済やアメリカ経済のファンダメンタルズはしっかりとしておりまして、全体として景気回復基調が続いております。また、中国におきましては、追加の金融緩和措置といった政策対応が講じられております。
 現状におきまして、世界経済の基盤は揺らいでおらず、経済のインフラである金融システムに影響を与えた、かつてのリーマンショックとは異なる状況でありまして、市場に不安が拡大することのないよう冷静な対処をしていくことが必要であります。
 政策の基本的態度につきましては、先月から特段の変更はありませんが、政府といたしましては、引き続き海外を含めた市場の動向について注意深く見守りつつ、我が国経済の足腰の実力を市場からしっかりと評価をしていただけるよう、今まで取り組んできた経済の好循環に向けての動きを加速してまいります。
 私からは、以上であります。

2.質疑応答

(問)今回の月例経済報告で、中国株の下落によって、実体経済への波及というのは現在確認されているのかということと、月例経済報告の先行きでも指摘してある下押しリスク、若しくは金融市場の変調、変動などを留意とありますが、もう少し具体的にどういうリスクがあるのかという点について、ご見解をお願いいたします。
(答)中国経済、それから株価の動きを見ますと、株価の乱高下と中国経済自身の動きは連動していない、直近の乱高下と経済実体はリンクしていないと思います。もちろん中国経済が堅調ということではありませんが、若干の低調のまま推移しているということであって、その間に株価が乱高下しているということだと思います。でありますから、この短期間の乱高下が日本経済、実体経済に直接大きな影響を与えているという現象は現状ではありません。
 それから、下押しリスク、つまり中国政府当局が何らかの措置もとらずにこの状況がずっと続いていくというようなことがあれば、世界第二の経済でありますから、いろいろな影響は出てくると思います。しかしながら、直ちに金融緩和策を行いました。金利を下げて、預金準備率を下げて、つまり市中に大量の資金を供給しているわけであります。等々ありますので、次第にこの影響は収れんしてくると思っております。何にいたしましても、冷静に注視していくことが必要だと思います。
 かつてのアジアの通貨危機、金融危機、あるいはリーマンショックのときには、いわゆるシステミック・リスクという懸念がありました。しかし今回はそういうシステミック・リスクについては、懸念はないと思います。実体経済もアメリカを中心にしっかりとしておりますし、必要以上にこの動きを、不安をあおるというようなことはすべきではないと思っております。
(問)世界経済に対する景気判断のところですが、今回久しぶりに下方修正されました。その内容は、アジア新興国等において弱さがみられると理由が書かれていますけれども、やはり中国経済の減速が中国国内にとどまらず、アジア全体で広がっているのではないかという懸念があるのではないかと思うのですけれども、この辺の大臣の御認識伺えますでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、中国経済は世界第二位の規模であります。そこに貿易で依存をしている東アジア・ASEANの国々にとっては、輸出が落ちていくということは、当然そこの国の経済に対する影響は一定程度あると思います。ただし、これは中国経済が落ちついてくるにつれて、その影響も小さくなってくると期待いたしております。
 一方で、アメリカ経済、そして日本経済も回復基調の今さなかにあるわけであります。そうしますれば、例えば日本の輸出、対米輸出が落ちているのは、アメリカの資本財ニーズが減っているということに起因をしていますし、中国輸出が落ちているのは、言ってみれば、スマホの販売が一巡したということでありますから、関連の部品の輸出が一巡しているという影響もあります。
 新たなニーズが生じてくれば、中国経済の安定化と相まって落ちついてくると期待しております。
(問)今日の株価ですけれども、かなり上げて終わりましたが、先日の閣議後会見で「中国の株のバブルの調整局面が急激にあらわれている」という表現をなさっていたのですけれども、この激しい上がり下がりである調整局面というのは、しばらくまだ続くとのお考えでしょうか。
(答)いわゆるボラティリティはアメリカの見方も、それ以外の見方も、少し、しばらくは、それがどのぐらいかというのは評価が分かれると思いますけれども、ある程度は乱高下しながら収れんしていくと見られていますし、今日、明日でおさまるということではないのかもしれませんけれども、中期的には収れんしていくものと思っております。

(以上)