甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月24日

(平成27年7月24日(金) 10:07~10:23  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日行われました閣議について、御報告申し上げます。
 「経済・財政再生計画」の取組促進についてであります。
 本日の閣議におきまして、お手元の資料のとおり、「経済・財政再生計画」の取組促進について発言いたしました。
 本日、概算要求基準が閣議了解され、平成28年度の予算編成に向けた作業がスタートしたところであります。
 また、平成28年度予算編成は、6月30日に閣議決定されました「骨太方針2015」に盛り込まれた「経済・財政再生計画」の初年度でもあります。
 この計画の達成に向けまして、今後、経済財政諮問会議の下に設置しました経済・財政一体改革推進委員会におきまして、早急に関係府省における取組状況のヒアリングを行うなどの取組をスタートしまして、主要歳出分野ごとのKPIの設定、改革工程表の作成等について、年末に向けて検討を進めていくことといたしております。
 これらの取組につきまして、各府省に一層の周知・徹底を図るために、本日、「経済・財政再生計画」の取組促進のための関係府省庁次官等会議を、内閣府及び財務省の副大臣が主催し、全省庁の事務次官が出席するという会議を開催するということであります。
 なお、22日の経済財政諮問会議に提出しました「内閣府年央試算」及び「中長期の経済財政に関する試算」を配付いたしました。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今、閣議の中でされた発言について、御紹介があったのですが、歳出抑制に向けた狙いといいますか、各省庁にどういった協力を求めていきたいか、この次官会議も含めて、どういう役割を果たしてほしいかみたいな、狙いの部分を改めてお聞かせいただけますか。
(答)「骨太方針」に、過去にないくらい、分野別の細かい記述、どういうことを目指して取り組んでいくかということを書きました。これが党議決定され、閣議決定されたわけであります。
 そのかつてないくらいに詳細にわたって取り組むべき方針を、具体的に各省庁が織り込んでいく作業工程をしっかりしていかなければなりません。
 内閣の決意を各省庁に徹底させるために、異例ではありますが、官房長ではなく事務次官という事務の最高責任者を全省庁集めて、こういう方針で行く、最大限、協力するようにということを指示するわけであります。
 そして経済財政諮問会議の下に、専門調査会たる推進委員会を設けます。併せて私の下に二つのプラットフォームをつくっていきます。この関係はどういう関係かといいますと、経済財政諮問会議の下に設定する推進委員会、専門調査会として設定する推進委員会は、経済財政諮問会議の民間議員4名プラス有識者10名、計14名で構成されています。
 ここでは、「骨太方針」に数多く多々記載をされております予算に関する構造改革のまず中身を詰めて、そして具体化して、それからKPIを作って、工程管理をしていく。これをしていくわけであります。
 一方で二つのプラットフォームは、具体的優良事例を発掘して、官民で横展開をしていく。地方自治体を含めて、いい取組を横展開していくということであります。そういう関係にございます。
 今まで日本政府として取り組んでこられなかった初めての取組であります。これは集中改革期間、この3年間で制度が定着するように、徹底的に取り組んでいきたいと思っております。
 そうしますと、以降はオートマティカリーに効率的な財政運営ができるので、そこから自動的に毎年、毎年、予算の無駄が省けるという構造になることを期待いたしております。
(問)今朝方、各紙朝刊で報じられているのですけれども、日本経済新聞が、ファイナンシャル・タイムズ(FT)を買収するという報道があり、日経が発表しているのですけれども、経済報道の分野ではウォール・ストリート・ジャーナル、ダウ・ジョーンズとFTと日経というのは、これは、ガリバーみたいな存在で、世界的にも影響力が大きいメディアを手に入れるということですけれども、この動きについて、日本のメディアがそういうFTみたいなメディアを買収したということは、どういう意味を持っているのかということを、大臣の御見解があれば教えていただきたいと思います。
(答)民間事業者のやることでありますから、それについて介入的な発言は避けたいと思いますが、しかし、日本の経済メディアが世界的な経済メディアたるFTを傘下に収めて、より国際社会に日本の経済事情が正確に発信できるということは、喜ばしいことであるというふうに思っております。
 安倍内閣が何をやろうとしているのか。アベノミクスは何か。安倍内閣が掲げる経済改革とは何かということを、正確に報道するところから正確な評価と、正確な批判が出てくるのであろうと思います。
 世界経済規模3位の国の経済運営ということが、正確に世界に発信されるということは、日本にとっても世界にとっても貢献になることであると思っております。
(問)今日の専門調査会のことで二つです。一つは、具体的にいつからこの会議を始めるのかということと、もう一つ、これまでも、これは難しいと言われましたけれども、いわゆる数値的な目標を、難しいと思いますけれども、この間、中長期試算も出ましたので、来年度予算でとか、あるいは2020年度、この間6.2兆円という試算もありましたけれども、専門調査会でどのぐらいの歳出改革ができるのかとか、やっていきたいとか、もしそういうのが分かれば教えてください。
(答)具体的な動き、スタートは8月上旬にも始めたいと思っております。できれば来年度予算から、できるだけ反映させていく。しかし、壮大な構造改革ですから、全てがセットできて、予算編成に反映されていくということは、複数年の時間がかかると思っております。
 集中改革期間の3か年の間に、構造改革は全て完了していたいと思っております。それ以降、オートマティカリーに、そこから予算合理化効果が自動的に発出されるということを期待いたしております。
 初回開催以降は、適時適切に、状況を見ながら開催していくことになろうかと思います。
(問)次官会議についてお伺いしたいのですが、「主要歳出分野ごとのKPIの設定」と書いてあるのですけれども、歳出カット自体はしないという方針だったと思うのですが、具体的にはどういった目標の設定を想定されているのでしょうか。
(答)私が全部決めるわけではありません。専門調査会たる推進委員会は、経済財政諮問会議の民間議員4人が中心になり、それに有識者10人が加わるわけであります。
 それぞれ予算構造改革を担っていただく専門分野から選定させていただいたつもりであります。全体の議長役は経済財政諮問会議民間議員の新浪議員に担っていただきます。「骨太方針」にたくさん書いてあります。何はこういうのを目指すとか、何はこういうのを目安にするとかいうようなことがたくさん書いてあります。
 それを具体的に、構造改革の見える化を図るための指標を作っていくということであります。初めにキャップありきということではないということは申し上げました。最終的な結果というのは、構造改革の結果、最終結果というのがはじき出されるものであって、結果が手段になるということは、本末転倒だと思いますし、構造改革が進まない原因にもなる。
 しかし、一定の効果を出すために、よりよい指標を作っていくということと、最も大事なことは、工程管理であります。その構造改革がお題目だけに終わらない。具体的に初年度、どこまで行った。次年度どこまで進んだ。集中期間の3年目にどこまで進んできたか。進んでいないとしたら、その理由は何かということをチェックしていくというのは、安倍内閣のお得意作業でありますから、それを予算の生産効率を上げていくということにも登用していきたいと思っております。
(問)今日、24日から、ハワイで首席交渉官会合、TPPの会合が行われますが、この会合についての期待感と、また知的財産など難しい分野が残っているわけですが、続く閣僚会合での大筋合意の見通しについて教えてください。
(答)日本がTPPに参加表明してから、2年以上たちます。この間に閣僚会合が幾度となく行われてきました。これが最終的になるという決意がないと、いつまでもこの種の交渉は取りまとめができません。
 ですから、一部の国で、自分の国の事情から、ずるずると引っ張っていくということがあってはならないと思います。ですから、これが最後という気持ちで12か国が臨まないと、何回やっても交渉の会議がまとまらないと思っております。
 ただし最終になればなるほど、その国にとって、譲歩しづらい案件が残ってくるわけであります。そこは、最終的にそれぞれの国がセンシティビティーをどう認め合うかという作業になっていきます。
 日本としても、今日まで、かつてないくらいのタフな交渉を続けてきました。今回の交渉は、そのタフの集大成になろうかと思っております。
 国益をしっかり踏まえて、どの国にとってもいい、ぎりぎりのまとめになったという評価がなされるように取り組んでいきたいと思っています。
 知財は、全体の話としてまだ残っている大きな課題であります。それぞれ譲れない事情、国内事情がありますが、それをどうつないでいくか。各国の事情に配慮しながら、合意点を見出していくか。非常に難しい交渉ですが、日本も関係国の一つとして貢献していきたいと思っています。

(以上)