甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月30日

(平成27年6月30日(火) 9:09~9:23  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。

2.質疑応答

(問)ギリシャ問題に関してなのですけれども、IMFの債務の返済期限が迫りまして、デフォルトの懸念が高まっておりますけれども、これについて受け止めをお願いいたします。
(答)ギリシャの経済規模が大きくないということで、影響を過大評価しない方がいいと思いますが、EU側もギリシャもお互い、どうソフトランディングさせるかということで知恵を出してもらいたいと思います。両方が突っ張っていると、両方にとっていい結果にはならないと思います。世界は、余り右往左往せず、冷静に注視していくということが必要だと思います。
(問)TPPの関係ですけれども、今日の未明、TPA(貿易促進権限)法案にオバマ大統領が署名いたしまして、法案が可決、成立することになりましたけれども、今後の交渉、日米の事務レベル協議ですとか、あるいは最後、大筋合意に向けた閣僚会合に向けて、どういうスケジュール感を描いていらっしゃるかというのをお聞かせください。
(答)懸案のTPA法案が成立し、大統領署名が行われました。TPP合意・妥結にとって極めていいニュースだと思います。
 後の段取り、スケジュールは、まず、二国間で残されている課題をできるだけ最小化していくということです。そして、その作業が済んだ後にCN(首席交渉官)会合が行われ、その後に閣僚会合が行われる。二国間事務レベル、そしてあるいは、場合によっては二国間の閣僚レベル、そしてCNを通じて、閣僚会議に上がるテーマをできるだけ小さくしていく、問題を少なくしていくということが一番大事であります。
 日米間におきましては、大統領署名を待っておりましたので、できるだけ早い機会に日米事務レベルを再開したいと思っております。具体的な時期は、今週中か、あるいは来週になるかは、まだ決まっておりません。
(問)先ほど、ギリシャの影響について、過大評価しない方がよいとおっしゃっていましたけれども、ギリシャの日本への影響は、市場を通じた影響、これも昨日から出ていますけれども、プラスその実体経済、貿易面から来る影響、両方あると思うのですけれども、特に欧米、中国経済が若干減速している中で、生産、輸出ももたついている中で、日本への影響をもう少し具体的に教えていただきたい。
(答)貿易額等々、日・ギリシャにおいてはコンマ以下の数字だと思います。でありますから、実体経済上は大きな影響はありません。
 また、ギリシャ経済規模対世界経済規模からしても、実体経済で大きな影響はありませんが、要は、心理的なバイアスがかかって、連鎖を呼ぶということが一番いけないことであります。ですから、冷静に対応するということです。
 それから、ギリシャ対EUの関係でいえば、どちらもこれが飲めるか飲めないかということで、それを、あるいは国民投票に託すというようなやり方ではなく、改革について、歳出改革について前向きに取り組んでいくと。しかし、こういう条件でやってくれないかというような改革を実施していくと。それの実効性が担保できるような、工程表について、協議してもらえたらいいかなと思っております。
 お互い、ギリシャ・EUとも冷静に、よりよい問題の処理に向けての工程表をつくってもらいたいなと思っております。そして、世界は常に冷静に対応する。疑念が疑念を呼ぶような連鎖にしてしまってはいけないということであります。冷静に対処すれば、そんなに世界経済にとって大きな影響を与えることではないと思います。
(問)その関連でいくと、昨日から日本の株価も大きく下がっていますけれども、そういう意味では、少し過敏になり過ぎだというお考えなのでしょうか。
(答)いいえ、今日はまたプラスに戻しているようですから。今後どのように推移するのか分かりませんが、昨日大きく下げて、今日プラスになっています。それぞれ、事態を市場が吸収するという作業だと思いますし、今日は冷静に対応がなされているということは、この事態の吸収を、ある程度しているのかと思いますが。
(問)財政健全化ですけれども、一部報道で、歳出上限59兆円という案が途中あったという報道があるのですけれども、この辺の真偽を教えていただきたい。
(答)それはいつの時点の歳出ですか。
(問)18年度の一般歳出の目標。
(答)中間時点の一般歳出総額を実額で固定するということはありません。ただ、PB赤字幅、そのパーセンテージで、PBのパーセンテージで示しております。それは、いろいろな歳出・歳入、柔軟性を持った対応ができるという意味で、そういう縛り方をしているわけであります。ただし、その目標に向けて、あるいは具体的な社会保障、社会保障以外の改革のメニューは示しているわけでありますから、それらを見越して、来年度予算をどう組んでいくかというのは、来年度予算は具体的な数字を決めないと、来年度予算をPBで組むわけにはいきませんから、そこは財務省がそれらを勘案しながら予算編成作業を行っていくということになります。
(問)私が聞きたかったのは、一部報道にある18年度の歳出目標を59兆円という数字で縛るという話です。
(答)2018年は決めていません。
(問)最終的に決めていないのは分かるのですけれども、途中にそういう案があったのかどうかということについては如何でしょうか。
(答)それは、もちろん財務省からは、歳出総額をしっかり確保したい、決めたいという話は、過程としては当然あります。
(問)日本経済についてなのですけれども、ギリシャの前から、輸出が少し伸び悩んできていたのかなど、昨日も鉱工業生産が出たのですが、4-6月期の数字はもしかしたらそれほど強くないのかなと思います。それは内需がしっかりしなければいけない事態、状況であるのかなと思うのですが、個人消費については、まだやや力強さを欠くところもあって、今、ギリシャのこういう状況もあるわけですけれども、政府として、どのように経済を支えていくお考えなのでしょうか。
(答)長期にわたるデフレから脱却をする過程にありますから、一進一退という部分は当然あろうかと思います。
 政府としてやっていくべきことは、まず、需給ギャップをなくすという第1ステージ。これは事業環境をよくして、リーディングインダストリーには精いっぱい利益を上げてもらうということ。これは成功しております。史上最高の利益になっています。
 次は、その利益を内部留保として置いておくだけではなくて、経済の好循環の原資として使ってもらうということです。そのために賃上げを要請いたしました。下請代金の改善を要請いたしました。そのための会議として政労使を設定いたしました。これは成功しております。二巡のサイクルに入って、賃上げ率は、この十数年間、昨年は15年ぶり、今年はそれを上回るいい改善になります。夏の賞与もかなりいい数字が見込まれます。そして賃金、名目はプラスが続くけれども、実質はまだマイナスが続くという状況が改善されつつあります。名目はもちろんプラスですが、実質もプラスに向かって、いよいよその数字が出てくるという段階になりました。下請代金も、十分ではありませんけれども、過去にないような手当てがとられています。これが第1ステージです。
 第2ステージは、設備投資をしていく、あるいは研究開発投資をしていく、あるいは人的投資をしていくという、これが次のステージであります。設備機器のビンテージは、この10数年、20年くらいの間に、日本のビンテージはかなり古くなってきております。競争する各国との比較でも、競争相手は最新の機器で生産をするのに、日本は償却済みの設備機器で生産をするという状況です。ですから、一時的には、償却済みですから、利益幅は上がりますけれども、競争力は落ちていくということになります。そこに経営者は気が付いてもらいたい。ハード、ソフトとも、あるいは人的資源ともに、バージョンアップをしていくという工程が必要です。
 そのために総理は、この秋を目途に経営者と、今度は政労使の三者ではなくて、経営側と政府側の対話の機会を持つということを宣言されました。それは秋にもやっていきたいと思っております。ここでは、政府は、設備投資、研究開発投資、人的投資を要請いたします。経営側は、そのための環境整備、あるいは規制緩和を含む環境整備として、具体的な要請も出てくるかと思います。両者がお互いにいい影響を与えることによって、次なるステージに入っていきたいと思っておりますし、それを具体的に提示しているのは改訂版の成長戦略になります。

(以上)