甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月12日

(平成27年6月12日(金) 8:56~9:13  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 ありません。

2.質疑応答

(問)TPPについてお伺いいたします。TPA(貿易促進権限)法案が、これまで下院で、なかなか採決まで至らなかったわけですけれども、ようやく採決が行われる見通しとなりました。これが可決された場合は、TPPの妥結に向けて大きく前進するということになると思うのですけれども、可決された場合、どういったスケジュールになっていくのかということを含めて、今後の見通しをお願いします。
(答)いよいよアメリカ下院でTPA法案の可決のスケジュールが立ってきました。採決するということは、可決の可能性が高くなった、見通しが立ちつつあるのだと思っております。
 TPPの妥結に関して、TPA法案は必須要件と各国は捉えておりますから、TPA法案が可決となれば、これはTPPの妥結にとって朗報になろうかと思います。
 スケジュールにつきましては、いまだ二国間、あるいは複数国間で未処理部分、未解決部分が残っておりますから、それを事務レベルあるいは二国間の閣僚レベルで処理していくだけの時間は必要かと思います。その後に、12か国の閣僚会議が開かれると思います。
 ですから、TPA法案が可決すれば、そうした未解決部分で処理しておかなければならない課題の解決の時間だけとれば、12か国の閣僚会議へと運んでいけるのではないかと思います。スケジュール的にはかなりタイトになってきておりますけれども、各国の政治事情と照らして、何とかぎりぎり間に合うスケジュールになっていくのではないかと思っております。
(問)自民党の財政再建の特命委員会が今日にも案をまとめる予定ですが、その中で、大くくりで歳出の上限を求めるという記述が入りそうだということになっております。これについては経済財政諮問会議で取りまとめている考えと違うようですけれども、どう受け止めていらっしゃるかについてお考えをお願いします。
(答)前々回の経済財政諮問会議で、それまでの議論を踏まえて、総理指示として、中間点で、2018年度で目標値を設定して、それ以降の2年間をどう対応するかを決める。その際に、総理指示はPB赤字幅を、1%程度を目安とするということが合意されたわけであります。1%程度を目安とするということは、そこに持っていく手法というのは、歳入を増やすかあるいは歳出を減らすか、それのいわば連立方程式ということになります。
 経済再生なくして財政再建なしというのは、与党でも政府でも、もう既に共有されているわけであります。経済再生なくして財政再建なしというのは、できるだけ経済成長を再生シナリオに更に乗せて、つまり税収弾性値ができるだけ高くなるような公的部門の産業化等々、新しい手法を投じて歳入を増やしていく。増やした分だけ歳出カットは余裕を持てるということになるわけであります。
 歳出額を決めるということは、連立方程式でありながら、連立ではない。歳出額を確定してしまうということになるわけでありますから、歳入がどう増えようと、これが、ということになりますと、いわゆる経済再生なくして、ということ自身を縛ってしまうことになるわけであります。
 1%程度を目安とするということと、経済再生が前提であるという条件を、与党も政府も共有しているわけでありますから、そうしますと歳出を固定するという答案は出てこないということになります。
(問)先ほどのTPAの関連ですけれども、報道では現地時間12日もしくは遅くとも来週には採決が行われると報じられているのですが、その採決の日程感については、政府が把握している情報でも同様の状況にあると認識されているのでしょうか。
(答)日本時間でいうと金曜日の夜中、未明、翌日朝方にかけてだと理解いたしております。
(問)先ほど今後、もしもTPA法案が通った、可決ということになれば、その後、二国間で、閣僚や事務レベルなどでいろいろ未解決の問題を解決していくという御説明をいただいたのですけれども、日米では大臣がフロマン代表と閣僚会合前に会ったりすることは御検討されていますでしょうか。
(答)日米間で大きな山は越えていると思いますが、しかしまだ重要な案件が大小合わせて幾つかあります。それを事務レベルで、CN(首席交渉官)以下で、これから懸命に取り組んでいくわけでありますが、必要に応じて、二国間の閣僚協議をやるか、あるいはやらないですむのか、それは今後の推移次第だと思っております。
(問)TPPは成立するかもしれないという状況の中で、改めて日本として国内的に今後、成長戦略をされていくわけですが、どういう準備をする必要があるのか、何を政府として進めていきたいと思っているのか、お考えをお願いします。
(答)国内対策というのは、TPPが合意に至らないと、何をするか、結論が出ていないのに対策はできないわけであります。TPPがまとまった時点で、国内対策として何が必要なのかは、その時点から早急に詰めていきたいと思います。
 農業に関しては、成長戦略絡みで農業の産業化ということを進めているわけであります。一次産業は、守るという意識が強かったわけでありますけれども、攻めるという感覚を持ち込んで、産業化に向けて企業のノウハウを一次産業にどう投入していくか。これは、成長戦略絡みでは大変重要な鍵になってくると思います。
(問)アメリカのTPA法案にアメリカの議会の状況を踏まえて、様々な条件がいろいろ付いていたりするケースがあると思います。人身売買の問題であるとか、そういった条件が今後のTPP交渉に与える影響についてどうお考えになっていらっしゃるか。影響はないのか、あるのか、その辺のところを教えてもらえますか。
(答)上院と下院で採決の仕方が若干違うようであります。パッケージで採択に付すというのと、それからTPAとTAA(貿易調整支援)など、何本かあります。これをばらして下院は採決するようであります。
 つまりこれには賛成だけど、こっちはどうかという人がいるわけでありまして、個々の法案をばらしたほうが、それぞれの法案の可決の人数を確保しやすいということがあるのかもしれません。
 その中に、TPP参加国に国内努力を促すという項目があるわけであります。マレーシアの国内対策が不十分という点も指摘されているようでありますが、当然マレーシア政府も、指摘を受けて真摯に改善努力をしていくということになろうかと思います。そういう姿勢がしっかり出れば、それらの対象国を排除するものではないと思いますから、それぞれ、今、出ている法案がTPPの合意に立ちはだかるということにはならないと思っています。
(問)オーストラリアが情報公開のようなことをやりまして、アメリカと何か国か、そういう動きが出てきているのですけれども、この辺のところと、この間の西村副大臣の話も含めて、どうお考えになっていらっしゃるか教えてもらえますか。
(答)オーストラリアの情報開示への政府側の姿勢も、しっかり説明を受けていると、要するに向こう4年間、情報に接した人は情報を開示しないという誓約をせよということです。一方、TPA法案が通れば、合意はもう間近に迫っている。間近に迫れば情報はアクセスできるようになっていく。すぐにアクセスできるようになっているにもかかわらず、若干手前でアクセスすることによって4年間縛られるということについて、もう少しの辛抱だからという判断をする議員が圧倒的に多いようでありますから、開示に向かって具体的な行動をとった人はほとんどいないというのもうなずけると思います。
(問)自民党の財政再建の特命委員会について改めてお伺いします。大臣のお考えとしては、経済が下押しされかねないということから、18年度の歳出額の目標を定めるという自民党の案には反対というお考えでしょうか。
(答)中間点での検証目標というのは決めてあるわけです。これは総理が議長を務める、そして5閣僚が出席する会議で、赤字幅は1%程度を目安とするということが決めてあるわけです。
 1%にするためには、両方のアプローチがあると先ほど申し上げました。成長によって税収を増やす。1%に足りない分については歳出削減して1%が達成できるわけです。
 歳出額を決めるということは、経済成長と無関係にそこが決まるわけです。成長なくして再建なしというのは大前提で、これは党も共有しているわけです。党も共有しているのです。党も共有していながら、実は、経済成長と無関係に歳出を縛るというのは論理矛盾なのです。
 だからこれは、いけないとか、いけなくないとかいう議論ではなくて、その縛り方を決めて成長がまず前提であるという以上、それ以外の回答は出てこないということだけなのです。単純な話です、算数の。
(問)今、米議会でTPAに関連したいろいろな条件闘争のようなものが行われている中で、大筋合意に立ちはだかるようなことにはならないという御説明で、これはそうすると為替操作についてもいろいろ議論があるようですが、これについても交渉全体に大きな影響を与えるようなものにならない、そういう御認識を持っておられるという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。

(以上)