甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年5月27日

(平成27年5月27日(水) 17:57~18:06  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告いたします。
 景気は、「緩やかな回復基調が続いている。」としまして、先月から表現を変更しておりますが、判断自身は据え置いております。これは、緩やかな回復基調が続くなかで、企業部門の一部で改善に一服感がみられるものの、個人消費や住宅建設といった家計部門に前向きな動きがみられるようになっていることを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、原油価格下落の影響や各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。
 政府といたしましては、経済再生と財政再建の双方を同時に実現していくこととしておりまして、このため、いわゆる「骨太方針2014」及び「『日本再興戦略』改訂2014」を着実に実行するとともに、政労使の取組を通じて、好調な企業収益を、設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等につなげ、地域や中小・小規模事業者も含めた経済の好循環の更なる拡大を実現してまいります。さらに、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」及び平成26年度補正予算を迅速かつ着実に実行するとともに、平成27年度予算を円滑かつ着実に実施してまいります。日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、個人消費が10カ月ぶりの上方修正だったわけですけれども、増税以降なかなか上向かなかった個人消費が上向いてきたという評価ができるのか、あるいは今後の個人消費の見通しをどう見ていらっしゃるのかお願いします。
(答)個人的にはもう少し先まで見ていきたいと思います。春闘の結果が次第に反映してくる、その様子がどんな形になってくるかをもう少し見極めたいと思っております。もちろん兆しとしてはいい兆しが出ているとは思います。
(問)今回、輸出、生産など企業部門が下方修正である一方、個人消費や住宅の方は上方修正。これまで企業が景気回復を牽引してきましたけれども、今後は家計部門が景気回復を牽引するという変化の動きが出てきたと考えていいでしょうか。
(答)みんな指標はいい方がいいと思いますけれども、企業部門では、輸送機器が、軽自動車の税が上がることもあって若干低迷いたしております。これが巡航速度になってくれば、企業部門も堅調になっていくと思っております。輸出等もスマホ関連部品、自動車もそうですけれども、これはサイクルがありますから、新製品が投入される時期になれば、そういう関連部品の輸出も堅調になってくると思いますし、経済の大宗を占める消費・家計部門が上向いてきているということは、もちろん明るいニュースだと思います。
(問)企業部門の「改善」という文言の削除ですけれども、輸出と生産も引き下げておりましたが、日銀は先週の決定会合では、その辺は引き下げていないのですけれども、この差はどうして出てきたのか、政府の方が企業部門を弱目と見ているという話なのでしょうか。
(答)政府のこれは月例で、月単位の報告であります。日銀はもう少し長いスパンで、四半期単位の動向を主に見ておりますから、そこの差が出ているのだと思います。
(問)先月、中国の基調判断を引き下げまして、今月はアメリカと中国の周辺国も引き下げたということですけれども、この辺の海外経済の見通しについて、もう少し認識を教えていただきたいのと、それが日本経済にどう影響していくかというあたりお考えをお聞かせください。
(答)アメリカはドル高が輸出に与える影響等々があるのだと思います。ただ、アメリカ自身の経済の足腰はよくなってきていると思います。中国がどうなっていくのかということを注視したいと思います。経済統計、特に李克強指数を見ていると、かなり弱含みになっておりますから、中国経済がしっかり持ち直してくれることを期待したいと思います。
(問)今日大分円安が一段と進みましたけれども、その辺について、大臣はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)円安が進んだというよりドル高が進んだということではないかと思います。アメリカの出口戦略によって、余り一喜一憂する必要はないですけれども、かなり市場が影響される、為替市場が影響されるのではないかと思っております。しかしながら、アメリカも、そこは慎重な判断をしながら少しずつ進めていくと思います。
(問)今の為替の関連ですけれども、ということは、アメリカが慎重な判断をということですと、今の動きは一時的なものという認識ということでよろしいですか。
(答)外国のそういう金融政策について、私がああしろこうしろと言うのも僣越でございますから、アメリカが総合判断をして、アメリカ経済と世界経済に一番いい方法で手順を進めていくと思います。
(問)やはり急激な為替変動はよろしくないというのは、いつものとおりの認識ですか。
(答)そうです。為替は高くなるにも低くなるにも、いずれにしても、急激な変動は、いわゆる値付けがしづらくなりますから、影響が大きいということでありまして、ゆっくり推移していくということが大事なことだと思います。

(以上)