甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月21日

(平成27年4月21日(火) 10:07~10:28  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今朝までの交渉、お疲れさまでした。閣議の後、総理のところに報告に入られたと思いますけれども、可能な範囲で、どういった報告をされたのか。また、総理からどんな言葉あるいは指示があったのか。お願いします。
(答)日米間で2日間を通じて協議した結果について報告いたしました。簡潔に申し上げれば、閣僚協議を通じて意味ある前進があった、閣僚協議を行った意義は十分にあったということです。ただ、解決されているわけではない。まだ課題は残っております。その残された課題を詰めるべく、引き続き事務折衝を行っていく。事務折衝の結果、必要があれば再度閣僚協議を開くということです。
 TPPを12か国間で妥結するための重要な二つの要素が動き出しました。一つはTPA(貿易促進権限)法案であり、一つは日米協議であります。この日米閣僚協議を受けて、引き続きTPPの早期妥結に向けて、日米両国は協力して取り組んでいくということであります。
(問)関連ですけれども、意味のある前進があったという表現や、昨日は相当距離が狭まったという表現を使われましたけれども、実際問題、閣僚間で議論するテーマというのは、かなり絞り込まれてきていると思うのですけれども、その項目の中で、どれか一つでも解決、完全に決着したというものはあるでしょうか。
(答)申し上げているように、農産品の残されているもの、それから自動車関連については、TPP自身がパッケージで全部セットされることであります。最終的に残ってきている問題は、どれもこれも難しい課題です。ですから、これが解決して、これが残っているという形ではなくて、全体がセットで合意に向かって大きな前進をしたということと御理解いただきたいと思います。
(問)とりわけ大臣もこれまで最も政治的にも配慮すべき品目であるという話をされていた米についてですけれども、日米間で、かなり主張の差が、隔たりが大きいと伝えられていますが、昨日も大臣は、まだ課題が残っているという表現を使われましたけれども、米の問題についても日米間の主張の隔たりというのは一定程度埋まったのかという点についてはどうでしょうか。
(答)米に限らず、自動車や自動車部品についても距離は縮まっています。全体の交渉が相当程度前進をし、この間合いもかなり縮まってきたことは事実であります。ただ、解決したということではありません。しかし、全体の解決に向けて、次第に視界が明るくなってきたということは言えるのではないかと思います。
(問)協議の雰囲気を少しお伺いしたいのですが、まず今回、米と自動車など挙がっていましたけれども、米には大体全体のどのぐらいの時間を割かれたのでしょうか。
(答)それぞれ、自動車・それに関連するもの、あるいは米・農産物に関連するもの、みんな重要なものですから、それぞれ等分される時間が割かれたと思います。
 フロマン米国通商代表を交えての協議は、ほとんどが1対1です。そして、それを受けて事務方同士で行い、それがまた上がってきて1対1で行い、その結果を、また事務方同士に降すという連続でやってきました。
(問)やはり1対1の方が協議というのは進めやすいものなのですか。
(答)可能な限り事務方にマンデートを与えてということは毎回双方で言っておりまして、私はしっかりマンデートを与えているつもりでありますし、そう言うと、アメリカ側も十分なマンデートを与えているとおっしゃるのですけれども、結局やはり事務方では一定の線から先は踏み出せない。それはもう大臣同士でやるしかないということにどうしてもなるわけであります。ですから、行き詰まったときに大臣折衝に上がってきて、それで若干の幅があって、また事務方折衝を行い、そこで行き詰まって、また閣僚協議に戻るというのを繰り返しておりました。
 閣僚間は極めて厳しいやりとりです。毎回そうですけれども、フロマン氏とやる場合には、私の経験上ないような非常にタフな交渉になりますが、今回もそうでした。
(問)閣僚協議の最初の頭撮りでは非常に和やかで、私たちも映像を見ながら驚いてしまうぐらい打ち解けた雰囲気だったのですけれども、その初日と2日目とのギャップがかなり大きかったと思うのですが、フロマン米国通商代表は今回の協議で、こういうところが今までと違っていたなど、そのギャップについてはどのようにお感じでしょうか。
(答)いや、毎回始まるときにはあんな感じです。席に着いて、今回はとにかく極力冷静にやろうねという話から始まって、そうだねということで、笑いの中で彼が上着をまずいつも脱ぐのです。すわファイティングポーズかということでいつも始まるのでありますけれども、やはり核心に入るに従って険悪に、厳しくなるというのは、これは毎度のことでございまして、毎回毎回、今回は私の大臣室ですから、私が席を立つというわけにはいきませんけれども、厳しい状況は、非常に厳しい状況は何度もありました。しかし、非常に厳しい状況にならないと、なかなかそこから先に進んでいかないというのも、この種の交渉の常だと思います。
(問)5月下旬とも言われています次の12か国全体の閣僚会合でフロマン米国通商代表と会う前にもう一度、日米の閣僚協議を行う可能性が高いと考えていいのでしょうかというのが1点と、現時点で、春までの全体合意というのは可能だとお考えでしょうか。
(答)日米の閣僚協議が必要かというのは、事務折衝次第だと思います。事務折衝が行き詰まれば、当然、閣僚折衝をせざるを得ないと思いますので、今の段階では何とも言えません。
 それから、全体の会合をいつ持てるかということは、先ほど申し上げましたように、二つのエレメント。一つはTPA法案が成立すること。もう一つは、日米協議が、ほぼ大筋合意が見えてくることだと思います。
 この二つのエレメントは、共に明確に動き出しております。ですから、今年中に妥結する可能性は、従来よりは高くなってきているのではないかと思います。
 当初は、TPA法案の行方も見えない、それを理由に各国が腰を上げないで座り込んでいるという状況はかなり悲観的でしたけれども、そういう状況からは大分景色が変わってきているのではないかと思います。
 いつごろ12か国の国際会議が開けるかというのは、まず、TPA法案が成立をするということが必須要件だと思います。成立をしましたら、残されている国の案件が、交渉が腰を上げて加速を始めると思いますから。
(問)今回のフロマン米国通商代表との閣僚協議が始まる前は、12か国の場で、日米の閣僚協議をもう一回やって決着するということをおっしゃっていたと思うのですけれども、今この場でおっしゃっている閣僚協議というのは、12か国のときの日米の場と離れて、また東京でやるなりワシントンでやるなり、単独の協議のことをおっしゃっているのでしょうか。
(答)そうです。12か国では、積み上げてきたものを12か国で確認する必要がありますし、残されている問題があればその場で処理をしなければ、もちろん大筋合意にはならないわけであります。
 ただ、現状のまま、今日の時点のまま、12か国でという具合には、まだいきません。今日から事務方がまた交渉を始めておりますし、ワシントンに引き続き行って交渉するということも、残されている時間でできなければ、事務方がワシントンに行くということにもなろうかと思います。その行方を見て、閣僚協議の必要性がはっきりしてくると思います。
(問)確認ですけれども、28日の日米首脳会談の前に、再び日米閣僚協議を行う可能性というのが、まだあるのでしょうか。
(答)もうしばらくは間を置きたいです。
(問)去年の4月に、やはりフロマン米国通商代表とのマラソン交渉があって、そのときは40時間だったと思うのですが、今回トータル何時間で、そのうち何時間さしで交渉されたのか、もし集計しておられれば教えて下さい。
(答)初日は2時間弱ぐらいです。初日は割と和気あいあいと、全体のスケジュールや、それからTPAの行方など、向こうが説明いろいろしてきて、それから、これからどういう段取りで個別協議に入ろうかなど、そのようなタイムスケジュール的なものが多かったですから、初日は険悪な雰囲気になるということはありません。
 2日目からは、正にがちんこの交渉が始まったわけでありますし、個別案件を具体的に議論していくということでしたから、厳しい交渉にならざるを得ない。閣僚と事務方が同席するという交渉は、ほとんどなかったです。スタートはその形で始めましたけれども、始めてたちまち、1対1でやりたいと言われましたので、それを受けて、1対1で、しばらくやって、事務方、1対1でまたやって、事務方というのを交互に繰り返して、ずっと来ました。
 かなりの前進があったと申し上げましたが、そのかなりの前進が本格的に、動き始めたのは、それこそ最後の方です。昨日の11時過ぎぐらいからです。
(問)総理への報告の中で、総理から具体的な指示のようなものは何かあったのでしょうか。
(答)いえ、よくやってもらいました。今日はゆっくり休んでくださいという話です。
(問)このように交渉して下さいという、交渉の中身については。
(答)いえ、慰労の言葉だけです。
(問)大臣は、これまで日米首脳会談では、完全決着できないにしても、前進を確認できるような発言ができればいいという話をされていましたけれども、そういった目的は今回の閣僚級協議で十分に達することができたとお考えなのか。また、首脳会談を控えていますけれど、総理から、それについての発言は何かありましたでしょうか。
(答)閣僚協議をやらなければ、今回の前進は間違いなくなかったです。
 総理は、いろいろ交渉の中身についての御質問はありましたけれども、これを今後こうしなければならないというような指示はありません。もちろん中身についての質問はいろいろありましたけれども、ご苦労さまでしたということでした。
(問)直球質問で質問しますけれども、米について、一部報道で、アメリカ以外の交渉相手11か国に対して、10万トン弱の特別輸入枠を設けるという案が浮上していて、かつ、それがアメリカ側にも投げられているといった報道が幾つかあるわけですけれども、実際にそのような10万トンの枠といったものが検討されていて、更にアメリカにその提案がされているといった事実はあるのでしょうか。
(答)あの種の報道が出るたびに、交渉がやりにくくなります。極めて迷惑いたしました。事実ではない。こちら側がどういう案で投げかけているということは、一切ないわけです。ないわけにもかかわらず、あのような報道がありますと、向こう側が、では、ここまではとれるのか、これに上乗せしようなど、すぐにそのような行動になりますので、そんな案を検討していないにもかかわらず、あのような報道がなされるというのは、私としては極めて迷惑です。非常にやりにくかったです。
 それについて、与党中に火がついて、それは大変でした。

(以上)