甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月17日

(平成27年4月17日(金) 8:56~9:13  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)昨晩、アメリカの議会にTPA(貿易促進権限)法案が提出されたということですが、TPPについてお尋ねします。
 大臣は、交渉を進める上では同法案が鍵を握るとおっしゃっていましたけれども、今後の交渉の見通しと、閣僚協議が行われるかどうか、これの見通しについても併せて教えてください。
(答)TPPの妥結のいわば前提として、各国が見ているTPA法案が議会に提出されたことはいいニュースだと思います。速やかに上下両院で可決されることが期待されます。日米閣僚協議の前段として、事務折衝を行っております。その事務折衝の進展の度合いによって、早急に閣僚協議が開かれるべきであるかどうかを判断するということでありますが、昨日の段階でまだ判断ができるところに至っておりません。今日1日精力的に交渉いたします。その進展の度合いを見て、今日中に最終判断をしたいと思います。
(問)TPA法案の中身ですけれども、TPA法案に合わせて、国内の様々な支援策のようなものを盛り込んだ法案とセットになっているそうです。これを、TPAとの同時審議を求める民主党と、それからTPA単体での審議を求めているといいますか、自由貿易にポジティブな共和党の間で、審議の仕方をめぐってもめる可能性もあるという話もあるようですけれども、TPA法案が余りにも遅れた場合のケースということは考え得るのでしょうか。そういうことは想定し得るのかということと、そういう場合はどのようになるのか教えてください。
(答)各国とも、TPA法案で大統領に一括権限が付与されるということでないと、最終的な着地点について、自国の態度を鮮明にすることは難しいと思っている国が大多数のようであります。日本もそのうちの一つでありますから、日本の最終的な対応は、TPA法案が成立しないと、最終的な表明はできないということになります。
 ただ期限が迫っておりますので、少なくともTPA法案が提出されれば、一歩進んだという理解になると思います。ですから、TPA法案に関して協議を拒絶するという障害は、一つ外されていると思います。
 ただもちろん閣僚協議に持っていくまで、議論が事務折衝で詰まっていないということになりますと、それから先も事務折衝を続けた方がいいのではないかという判断になろうかと思います。いかなる場合も、二国間の閣僚協議を拒絶するという意味ではなくて、その環境を整えるまで更に事務折衝で詰める必要があるという判断をするかどうかということになると思います。
 昨日1日議論いたしました。途中段階で、これではとても難しいという思いから、若干の改善は見ているようでありますが、まだ昨日1日の段階では閣僚協議を行うという判断まではできませんので、今日1日引き続き精力的に事務折衝をしてもらいたい。その上で今日中に判断し、先方にお伝えするということになろうかと思います。
(問)今、間合いは詰まっているけれども、まだ昨日の時点では、今日、閣僚協議を開くような判断をするに至っていないとおっしゃられましたけれども、言える範囲で結構ですので、どこがまだ難しいと考えられているポイントについて御解説願えますでしょうか。
(答)具体的にどの項目がどうということを申し上げることはできませんが、全体の交渉として、交渉事というのは前回、共通認識に至ったところを、次の回からスタート地点にするというのが交渉事の決まり事であります。
 ところが前回、至ったところと両者が認識しているところから、更にまた一旦戻って交渉が始まるというような事態があるとしたら、それは前進とは言えませんので、そこは前回、そう言うと、自分としてはそういう認識はしていないとかいう議論になってしまうと、ごちゃごちゃになってしまうのでありますけれども、最後の時点で話し合われたところから、次の交渉はスタートするというのが交渉の基本であります。その基本スタンスをしっかり踏まえるよう、我々は主張したわけであります。その認識を仕切り直して、交渉をまた始めたということと思ってください。
(問)関連ですけれども、今日1日の結果を見て判断して先方に伝えたいということですけれども、今日の事務レベル協議では判断がつかないというケースはないでしょうか。それとも今日が最終リミットで、今日の夕方まで協議をした結果、その時点で判断して閣僚協議をやるかどうかということを、日本政府として決断するということでしょうか。
(答)はい、そうです。
(問)TPA法案が成立しないと最終的な表明ができないということですが、実際委員会などでの投票は、来週という報道がされているのですけれども、そうすると閣僚協議を開けるような場合、そこではどこまで、基本的には一番大事な、最大の懸案事項については解決のめどを総理訪米までに立てておくという、これまでの御説明ですが、もし閣僚協議を開くとすれば、どこまで詰めることを目指されているというお考えでしょうか。
(答)日米間の閣僚協議で、日米間の問題が全てセットされるということはありません。要するに、事務折衝の結果、閣僚協議をした方がいいという判断に至るか、あるいは引き続き事務折衝で更に間合いを詰めた方がいいという判断になるかは、今日中に決める。閣僚協議が行われた場合、TPA法案が成立して、そして12か国会合が開かれる。その場合には12か国の閣僚会合の時点で、残りの部分はセットできるというところ辺りを目指して、取り組んでいくということになろうかと思います。
 TPA法案が成立していない。そして、12か国会合の設定がまだされていないというこの時点で、閣僚間で、日米間の問題を一つ残らず決着するということはありません。
(問)今日中に最終判断ということですが、今日というのは24時まであるのですが、何時頃までに、というめどはありますか。
(答)それは事務折衝がどの辺りまで続けていくかということで、事務折衝が終わり次第、判断するということです。
(問)時間のめどというのは特段ないということですか。
(答)何時何分というめどはつけておりません。
(問)昨晩のテレビ出演で、解雇の金銭解決について、前向きに受け止めている部分も、大臣の発言であったかと記憶しているのですけれども、導入が検討されつつあるところですが、大臣の所見を教えてください。
(答)今までの委員会でも答弁しておりますが、少なくともその委員会の時点までのお話をしますと、個別労働紛争が起きたと。そして解雇されて、解雇が不当という判決が下されたと。そうすると労働者は職場に戻る権利を得るわけであります。ただし職場環境が極めて勤務しづらいという状況になってしまっていた場合、本人自身が職場に戻ることの精神的な苦痛の方が多かった場合、それ以外はありませんから、あなたはそれであきらめてくださいと言うのか、その本人が新しく自分で仕切り直す。それについては金銭でその職場を去る対価を支払ってもらいたいという権利を得るのか、どちらがいいですかといった場合には、労働者側に金銭で解決してもらいたいという権利も付与した方がいいのではないかということを申し上げてきたわけであります。
 そういった延長線上に金銭解決手段というのがあると思います。併せて昨日申し上げたのは、この金銭支払い事例を見てみますと、労働者側に対して余り有利に働いていません。特に中小企業はほとんど妥当な金額が払われずに雇用関係が終わっている。だとすると、中小企業で働く労働者に対しても、きちんとした枠組みを作ってあげた方が、より公正な雇用関係に資するという判断になるのではないか。
 併せて投資している企業にとってみると、雇用関係を終わる終わり方について、全く不透明であるということは、採用に対する不安にもなってくるわけであります。予見可能性が見えてくる方がより投資しやすい、より採用しやすいということになるのではないかという、もろもろのことを勘案すれば、雇用の終了の仕方の中に、金銭で対価を払うという方法も選択肢としてあった方が、労働者の権利保護につながっていくのではないですか、併せて投資の予見可能性についても広がっていくのではないですかという種のことを申し上げたわけです。
(問)今日、事務折衝が終わって判断したタイミングで、大臣の方からその判断に至った経緯などを説明していただける場というのは、いかがでしょうか。
(答)関係閣僚会議で、最終的にその事務判断に対して了とするかどうかということが行われると思います。それについて、どういう発出の仕方をするかは検討します。
(問)確認ですが、もし閣僚協議をするという最終判断をなさった場合は、今日、関係閣僚会議は開かれるということになるのでしょうか。
(答)どういう形で開くか、持ち回りにするかどうするかはあろうかと思いますが、関係閣僚の了解の下にその意思を米側に伝えます。

(以上)