甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月10日

(平成27年4月10日(金) 9:40~9:54  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今朝の日経平均が2万円を突破しました。大体15年ぶりぐらいということですけれども、まず、この株価への見方を1つお尋ねしたいのと、おととい公表された景気ウォッチャー調査などを見ると、先行きに懸念材料を指摘する企業関係者の声も出ていますが、大臣が捉えられている足元の景気の見方についてもあわせて教えてください。
(答)株価は経済の先行指標とも言われています。市場が景気回復を次第に実感し始め、それから、先行きの数値、つまり企業収益が引き続き拡大しておりますから、それが好循環に影響を与えていくという期待値もあって、15年ぶりと言われている株価をつけたのではないかと思っております。期待値がそのまま実績値につながっていくように、好循環をしっかり回していきたいと思っております。当面は、大企業の賃上げが中小企業の賃上げにつながっていくような下請代金の改善について、政府としては全力でフォローアップしていきたいと思っております。
 それから、景気ウォッチャー調査でありますけれども、足元、それから先行きについてDIはかなり改善してきており、いい数値が先行きでも見てとれます。これは、やはり政労使3者の話合いによって、好循環を回していくということの共通認識が政労使で共有されているということが大きく影響しているのではないかと思っております。
(問)株価ですが、2万円台ということについてミニバブルではないかという指摘も一部から出ております。大臣はその点についてどのようにお考えでしょうか。
(答)2万円をつけるスピードは、国内識者の予測よりもスピード感があるのだと思います。しかし、これは別に否定的に捉える必要はないと思います。
 大きなバブルというのは、バブルが大きくなるほど制御が難しくなりますけれども、小さなバブルは制御可能だと思います。先般もある企業の関係者と懇談しておりましたけれども、そこに陪席している課長たちは、社長から「君たちはバブルを全然知らないだろう。それどころか、経済成長を日本がしていたという姿も体感がないでしょう。ベアという言葉も余り聞いたことがないのではないか」と言われて、課長たちはそれぞれ深くうなずいていました。今の若い現役世代に、ベースアップが経済成長の通常の姿であるということを認識してもらうことは大事なことだと思っております。ミニバブル程度であれば歓迎するぐらいの気持ちで対応を打っていきたいと思っています。
(問)株価ですけれども、2万円をつけたことについて、これは政策への期待のあらわれか、若しくは政策への信任が得られたということなのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)先ほども申し上げましたけれども、株価は経済の先行指標、先行指標は期待値でも上がりますし、期待を実感していくにつれても上がっていきます。現段階は、期待が実感に、肌感覚にあらわれつつあるフェーズ2に入っているのだと思っています。
(問)TPPですけれども、先ほど、アメリカの商務長官がTPA(貿易促進権限)法案について、来週提出されるという見通しを示したのですけれども、これでTPPの交渉というのは日米も含めて一気に加速するのか、お考え、受けとめをお願いします。
(答)かねてから、TPPの妥結にとってTPA法案の成立は必須要件であるということを申し上げてきました。交渉が終盤になるにつれて参加各国は、アメリカのTPA法案の行方を見ながら、最終カードをいつ切るかということを腹の探り合いをしていたわけであります。TPA法案、オバマ大統領が相当精力的に取り組んでいただいているし、説得工作もしているということは大いに歓迎したいと思っております。この具体的な日程が固まってくるに従って、TPPの妥結に向けた交渉は加速していくのだと思っております。具体的に議会日程が固まってくるにつれて、12か国、そしてその前提たる日米の協議も加速されていくのではないかと思います。
(問)TPPに関連して、ホワイトハウスのアーネスト報道官が昨日の会見で、今月の日米首脳会談で、TPPも、その一つの主要な議題になるという見通しを示しているのですけれども、首脳会談でのTPPの扱いについて、大臣の感覚では、現段階の見通しはいかがでしょうか。
(答)日米首脳会談でTPPに関する細目を協議することはありません。全体を加速させようなど、日米が協力して早期妥結に向けて協力し合おうというような全体的な形の表現はあるかもしれませんけれども、個別項目について首脳間で調整するということはありません。そこは首席交渉官以下の事務官レベル、そして私とフロマン米国通商代表との大臣間レベルで決着をつけるということになります。
(問)その大臣レベルの会合ですけれども、早ければ来週、再来週にも、来週から事務レベル会合で、その流れで閣僚級協議の見通しも今伝えられていますけれども、その閣僚級協議の今月開催の今の見通しと協議の内容について、大臣は今どういった見通しを持っていらっしゃるのか、お願いします。
(答)日米の閣僚協議が設置されるには2つの要件が必要です。1つは、TPA法案がきちんと進んでいく議会日程が見えてくること。もう一点は、事務レベル協議で残されている課題が一定のレンジの中におさまってくることであります。レンジ幅が一定の範囲におさまらない中で閣僚協議というのはかなり難しいのではないかと思っています。
(問)昨日、JAの萬歳会長が辞任されまして、政府が後半国会で出す農協改革法案にめどが立ったということを理由に挙げているのですけれども、若干政府側との間で摩擦もあった人物ですし、大臣がこの辞任についてどう考えていらっしゃるのか、お聞かせ願えますでしょうか。
(答)安倍内閣は、農協改革を通じて農協の機能強化をしようと考えているわけでありまして、農協を潰そうと思っているわけではありません。その辺に認識の齟齬があるといけないということで、総理は萬歳中央会会長とお会いになって、忌憚のないお話合いをされたのだと思います。そして、両者の共通認識として、農協が果たすべき新しい役割、前向きな役割について、攻めの農業についての中枢的な役割を果たすということの共通認識が得られて、ともに改革を進めていくという認識に立つことができたのだと思います。そういう区切りがついたという萬歳会長のお気持ちの中で、新しい攻めの農政、攻めの農協について新しい人事で取り組んでいきたいという、いわば中央会側の決意のあらわれではないかと思っております。
(問)物価の基調についてですけれども、先般、日銀は、需給ギャップの改善を根拠に物価の基調は変わらない、しっかりしているという見解を示されていますけれども、同じ10-12月の需給ギャップを見た場合に、内閣府の試算では依然としてまだ大きなマイナスが残っていて、それだけから判断すればデフレ脱却はまだ遠いような、そういう物価の動向にも見えるのですけれども、日銀のロジックからすれば、今後デフレ脱却を後押しするために、まだ金融政策の余地があると言えるのかどうかについて、お伺いできますでしょうか。
(答)デフレを脱却する際に、需給ギャップというのは監視をしていくべき指標の一つであることは、そのとおりであると思っております。金融政策をどういう手法で、どういうタイミングで発出するかということは日銀に任されていることであります。必要とあらば機動的に金融政策に対応していくというのが日銀の黒田総裁のかねてからのお考えであります。そこは日銀にお任せをしたいと思っております。
 政府としては、名目3%、実質2%の経済成長に向けて、1の矢、2の矢、そして今、第3の矢を具体化しているところであります。第3の矢は、言ってみれば構造改革であります。構造改革には段取りが必要であります。その段取りの最たるものは、法律を改正して制度を変えていくということであります。法改正が数十本できました。そして、制度改革も進んでいます。先般もAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)がスタートいたしました。こうやって機構、仕組みができてきたわけであります。次なる進展は何かというと、その機構、仕組みが仕掛ける方向性に向かって投資が起きてくるということであります。投資が起きてくるということを通じて具体的な数字にはね返ってくることだと思います。
 今後、日本経済再生本部、産業競争力会議がなすべきは、設計図に従って仕組みができた、仕組みに従って政策が進み、政策に従って投資が起きるという手順をしっかり進めていくことだと思っています。

(以上)