甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月23日

(平成27年1月23日(金) 10:39~10:53  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)日本時間で昨日の夜にECBが量的緩和に踏み切りました。欧州全体がデフレに陥りつつある中で、日本と同じような大胆な金融緩和に賭けたということではありますが、海外経済及び内国経済に対してどのようなインパクトがあると見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)デフレ懸念に対して、欧州中央銀行が毅然とデフレに陥らない政策を採ったということです。このことは、欧州経済がしっかり足元を固めていくという評価を、市場にされております。これを好感して、アメリカの株価も日本の株価も上がっております。世界経済を支える柱の一つが問題点をしっかり見据えて対処したということは、いいことではないかと思っております。
(問)翻って、日銀が先日の決定会合で展望リポートを修正しまして、物価の見通しについて大幅に下げました。その後の会見でも、総裁は物価目標の達成時期については多少前後すると述べておりますが、我が国のデフレ脱却に向けた動向についてはどのように見ていますでしょうか。
(答)もともと、日銀は2015年にインフレ目標、物価安定目標2%を達成すると言い切っているわけではないわけです。そこを視野に入れて、そこを中心点として、目標設定をしているわけです。
 そして、その間に、CPIを構成する大きな要素である原油価格が半分に下落いたしております。それを織り込んで、来年度の物価は1.0という発表を、修正をされたわけであります。これは、環境の変化を見渡せば妥当な判断だと理解いたしております。
(問)TPPですけれども、ニューヨークでCN(首席交渉官)会合が始まるようですが、見通しや目指すべき目標など聞かせてください。
(答)アメリカの関係紙に、今後の見通し等が報道されています。関係国の見方も、春の早いうちには大筋の合意をしないと、そこがタイムリミットになるであろうという報道がなされております。
 そうしますと、今次CN会合というのは、いよいよ大臣ベースで処理する案件はこれである、という特定をしていくための、非常に重要な会議になろうかと思います。
 その中でも、日米の二国間は、CN会合でも日米間の協議が行われるでありましょうし、大江首席交渉官代理も残された問題については、アメリカ側交渉方と最終的な詰めを行ってくるものと思います。
 その行方によって、12か国大臣会合がコンクリートされていくと思いますし、そこに向けては、日米間の大臣折衝ということもスケジュールとして入ってくることになろうかと思います。
 CN会合の行方を注視していきたいと思っています。
(問)フランス人の経済学者のトマ・ピケティさんが来週来日します。ピケティさんの著作がアメリカで非常に話題になっているのですけれども、資本の収益率が経済成長率を上回るという考えをきっかけに、経済成長よりも富の分配を優先させるべきではないかという意見も出始めています。改めて大臣の考えを教えてください。
(答)決定的に大事なことは、富は創造しなければ分配はできないということです。分配論が先に行きますと、みな平等に貧乏になるということになります。
 まず、パイを大きくするという経済成長は必須、マストであります。そして、それを分配する政策は、社会保障、あるいは税制を通じて分配する。その分配の度合いが、成長を支えるエネルギーをそいでしまわないような案分が大事だと思っております。
 日本は、そこのところはかなり諸外国に比べてうまくやってきているのではないかと思っております。
(問)関連して、富裕層を対象としたグローバルの資本課税についての考えも、ピケティさんが述べられていますけれども、日本の税制というのは、相続税も海外に比べて比較的高い課税水準にあるという話もありますが、このグローバル累進資本課税の考え方についてはどのように思われていますでしょうか。
(答)私はピケティさんの著書を読んでおりませんし、読んだ方の話を伺うと、日本語訳が必ずしも微妙なニュアンスを表現していないのではないかというお話もあります。
 新聞報道によると、税金を支払った後の資産に関しての課税をおっしゃっているようであります。これは税金の二重取りになるわけであります。それを得るために、税をしっかり納めて自身のネットの所得にしているわけであります。それに対して課税するということについては、これは大議論が起きようかと思います。
 基本的に、収益を得るためにはそれなりの、それに対する対価たる税を払っているわけであります。ただ、その個人に属する資産が次の世代に移転するときには、その分配を図る平等論から、相続税があるわけであります。
 相続税の水準をどうするか。つまり、親が一所懸命働くというのは、子の世代に何がしかを残したいというのが労働のエネルギーになっているという議論もあります。それを全くそいでしまっては、経済の活力が生まれてきません。
 要は、活力をどう担保していくのかということです。低所得者が、子々孫々その連鎖が起きるということではいけないわけでありまして、高所得者になれるチャンスを人生の各段階でちりばめておくということが大事だと思います。
 それと同時に、絶望的になるような税制は、高いレベルも低すぎるレベルもどうかと思います。要はバランスです。
(問)昨日、自民党でも行革推進本部などで財政健全化の提言などを河野太郎さんが出されているようですけれども、夏に政府でも財政健全化の目標策定をするわけですが、党の議論と経済財政諮問会議などが主になっていくと思うのですが、どのような形で、随時キャッチボールしていくのか、あるいは一定の時期までは並行で議論して、最後に取りまとめていくのかなど、その辺の議論の見通しなどについて、大臣にお話しできる範囲でお伺いしたいのですが。
(答)財政再建、聖域なき歳出の見直しというのは、誰も反対する人はいないですし、社会保障といえども、自然増をなすがままにしていいということではありませんし、今回の予算に関しても、見通しとしての自然増をしっかり見直して抑えていく。メリハリをつけている社会保障予算になっていると思います。
 党に期待いたしますのは、できるだけ具体的に、どこをどのように削るのか、手法も含めて具体的に示していただきたい。総論や哲学論でお示しいただくのは、もう共通認識でございますから、各論で具体的に方法論を示していただければと思います。
(問)今、日本人の人質がイスラム国に囚われておりますが、向こうが設定した72時間の期限ですけども、これが今日リミットだということで、この辺どのように、要は安倍総理が中東を訪問している間にやられたことであり、かつ、一つの議論として安倍総理に対するかなりの挑戦だと受け取られると思うのですけれども、どういう対処が望ましいとお考えですか。
(答)総理もかねてから表明されているように、政府として全力を挙げて人質の救出に関係各国の協力を要請し、取り組んでおります。各国が懸念をしている身代金等においても、既に政府として基本的な考え方、つまり、新たなるテロを誘発するような懸念は払拭しつつ、最大限政府として人質の救出に取り組んでいくということです。各国にも協力を要請しているところだと承知いたしております。

(以上)