甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月16日

(平成27年1月16日(金) 10:38~10:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今朝方からまた株が下げておりまして、背景には、世界的な原油安等々の動きがあるかと思います。原油安についてお伺いしたいのですけれども、大臣は、かねてより日本経済にはメリットであると強調されていますが、世界経済が混乱してくると、必ずしもメリットだけではない、日本だけがただでおいしいところ取りをできるわけではないという印象もあると思いますけれども、原油安が日本経済にもたらすデメリットについて、大臣はどうお考えなのか、またそれに対する対処方針があれば教えてください。
(答)原油安のデメリットは、日本に特定したものということではありません。世界経済にとってのマイナスを、日本経済もその分だけ受けるということであります。
 産油国を中心とした経済が減退していくということ、特にロシア経済は制裁と相まって、二重苦になっているのだと思います。あわせてシェールオイルを開発している国に関しては、コストが従来との勘定で合わなくなってきている部分の経済マイナス効果があると思います。日本は、その世界経済が産油国の景気の減退によって受ける分の影響を受けるというマイナスはあると思います。
 ただ、その中で日本は、円安によって消費者物価総合が高くなってきて、コストを払わなければならない分が、エネルギー部分は原油安によって相殺されているということ。そして、GDPでいいますとGDPデフレーター上は、交易条件の改善が資することですから、デフレーターはプラスに働いてくるのだと思います。
 ですから、名目成長が実質成長を適度に上回り、実質成長自身もプラスを続けていくという目指すべき経済にとっては、交易条件の改善ということはやらなければならないことでありますから、自助努力とは別に、交易条件が改善されているということは言えると思います。
(問)TPPですけれども、今回の日米の事務レベル協議は、今日で一旦終わるのかという確認と、今回の成果や今後の見通しについてお聞かせください。
(答)カトラー次席通商代表は、今週ぎりぎりまで滞在され、精力的な協議を続けるということでありますから、今日の何時まで、あるいは明日のぎりぎりまでなのかは、先方次第だと思います。
 中間報告を受けておりますけれども、その様子からすると、アメリカ側は時間的なタイムリミットが迫りつつあるということを、緊張感を持って認識して交渉に臨んでいるような印象を受けます。
 改善、妥結に向かって日米の間合いが狭まっていることは感じますけれども、まだこの滞在期間で全てが決着するという見通しは立ちません。いずれCN(首席交渉官)会合が行われます。そこできちんと話が調わないと、閣僚会合という段取りにはいかないと思いますから、そのCN会合中に、日米間のあらあらの問題は、二国間の閣僚会合を通じて決着ができるというところまで間合いが狭まってこないと、その次の12カ国閣僚会合というスケジュールにはなかなか行きづらいと思っております。
 いずれにいたしましても、タイムリミットが迫りつつありますので、アメリカもかつてなく妥結に向けた真剣な交渉を始めたと感じておりますし、我々も日米間が決着しないと、12カ国は決着しないという認識のもとに、ぎりぎりの折衝を続けていきたいと思います。
(問)昨今の原油安のみならず、非鉄その他一次産品が軒並み暴落しておりまして、供給要因というよりも需要要因、もしくは新興国・中国バブルの崩壊みたいな懸念も、米国などでは広がり始めておりますが、昨今の円高株安は、今のところ日本では一時的と見てよろしいものでしょうか。仮にこれが長引く場合、春の賃上げその他、これから先の2%目標、デフレ脱却に影響はあるのかないのか、克服できるものなのか、御所見をお願いいたします。
(答)今、世界経済は米国一国で引っ張っているという状況であります。EUはこの物価の下落、デフレ懸念に配慮してECBが思い切った措置をとる。それ自体は、現状認識のもとに中央銀行が適切な対応をとられるのだと思います。
 これに関連して、スイスの中央銀行が、スイスは対ユーロに関して、スイスフランの為替水準を維持するために、無制限の介入というのを宣言しておりまして、事実それを行っていました。
 しかしながら、ここでECBが大胆な金融策に転じると、恐らく支え切れなくなるという事態も起きるのではないかと先行きを見通して、もはやその必要がないという対応をしたわけであります。
 それらのことが回り回って円高を後押しし、そしてそれが株安につながっているわけであります。一時的な衝撃として大きく下げているのだと思います。このスイスの中央銀行、あるいはECBの対応等が落ち着いてくれば、それは適切なところに着地をしていくと思っております。
 中国のバブルの崩壊、あるいは新興国の停滞等々は、以前からいろいろと指摘されているところであります。これは当局が適切にその懸念を払拭するような対応をとっていただきたいと期待しているところであります。
 日本経済は国内要因だけではない、海外要因が影響することがリスクとしてあるということは前々から申し上げていたところでありますが、アベノミクスは底流としては堅調に進んでいると理解をいたしております。
 補正予算をできるだけ早く執行し、ピンポイントで日本経済の脆弱な部分に対処していく。そして速やかに新年度予算を、与野党の御理解をいただいて、できるだけ速やかに成立していただく。そしてメリハリのついた予算を国民のもとにお届けするということが大切だと思っています。
(問)財政についてお尋ねしたいのですが、今年の夏に向けて財政再建の新たな目標をつくるということですけれども、どんな目標が望ましいのか。議論はこれからいろいろあると思うのですけれども、どこに重点を置くべきなのか、この辺について大臣のお考えを聞かせてください。
(答)2020年目標に関しては、プライマリーバランスの改善、黒字化をはかるということと、それから債務残高ベースでも議論せよという話が党内外にあります。基本的にはPBを黒字化していく。つまり債務を発散させないということに向けて、工程表をきちっとつくっていくことが大事だと思います。
 今年の10月から消費税を10%引上げることを前提に、PB赤字半減目標を設定しておりました関係で、1年半その引上げが延びた時点で達成は不可能という計算になったわけでありますが、しかし、アベノミクス効果の税収の伸びとか、あるいは社会保障まで含めて聖域なき合理化・効率化ということに着手して、消費税引上げなしで、引上げがないにもかかわらず、PB赤字半減は国費ベースでは達成できる、地方のこともありますから、今、断ずるわけにはいきませんけれども、その見通しがついたということであります。
 そして、それをベースにして、2020年のPB黒字化に向けた施工図、工程表をつくっていくわけであります。ここは、従来型で、歳出項目を聖域なく全て見直す。社会保障や地方財政まで含めて、無駄がないか、効率的になされているかという聖域なき見直しは必要でありますし、そしてもう一点、構造的な改革に取り組んでいく。物理的削減だけではなく、構造的に、より効果的な行政体制ということも含めて見直していくということで、取り組んでいくことになろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、それらを含めて、この夏までにお示しできればと考えておりますし、その方向性については、骨太にも組み込んでいきたいと思っております。

(以上)