甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月13日

(平成27年1月13日(火) 11:13~11:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議後に開催されました第3回社会保障制度改革推進本部について報告申し上げます。
 改革推進本部は、総理及び関係閣僚6名がメンバーでありますが、本日は、与党関係者にも御同席いただきました。
 今日の議題は二つであります。まず一つ目は社会保障改革プログラム法で、今年の通常国会に法案を提出することとなっています「医療保険制度改革の骨子」を、改革推進本部として決定いたしました。
 二つ目といたしましては、消費税率10%への引上げの延期を踏まえた社会保障制度改革のスケジュール等につきまして、厚生労働大臣より報告いただきまして、これを改革推進本部として了承いたしました。
 最後に、総理から、「持続可能な社会保障制度の確立に向けて、本日の決定に沿って改革を着実に進めていく」旨の発言がありました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)来年度予算が間もなく決定ということになります。成長力強化、財政健全化の両面から見て、大臣として、来年度の予算のポイントはどういったところにあると考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)従来、予算につきましては、一律ばらまきではなくて、メリハリをつけていくと。それは成長を加速する分野、あるいは充実すべき社会要請のある分野については予算を充実し、歴史的使命を果たし終えたところについては、そこは薄くしていくという、そのメリハリをつけるということでありますが、今回は地方創生、これは補正予算、それから本予算とつながっていく重点化部分であります。
 それから、子ども・子育てにつきましては、消費税引上げが延期されたにもかかわらず、これは実施をきちっとしていくということであります。あるいは医療・介護の分野の充実もございます。
 そして、地方交付税につきましては、一般財源を確保するということのもとに、危機対応モードから平時モードへの移行について、つまり地方での税収増を見つつ、平時モードへ移していくということも取り組んでおります。
 何よりプライマリーバランスの赤字幅を半減していくという目標、これは本来、消費税10%の実施が前提になっていましたが、1年半延期されたにもかかわらず、国費ベースで見ますと達成できそうである。もちろんSNAベース、国・地方全体の執行ベースでありますから、地方の姿がはっきりしてこないと、確定という具合にはいきませんけれども、国費の様子から見ますと、これが達成可能であるという姿も見えてきました。経済成長、経済再生と財政の再建が両立する姿・形になってきたと思っております。
(問)物価の目標の見通し期間についてお伺いしたいのですけれども、先日発表された政府見通しでは、2015年度のCPIの見通しは1.4%となっております。日銀の見方としては、見通し期間の中盤ごろ、即ち2015年度を中心とする期間に2%程度に達成する可能性が高いという見方を維持しております。政府の見通しからすると、この2%の物価目標は、達成は難しいと考えているということでしょうか。達成の見通しについてお考えをお聞かせください。
(答)政府の見通しでは1.4%、つまり来年度中に2%を達成するというのは、なかなか難しいという見通しになっております。もちろん日銀は日銀としての見方があろうかと思います。
 ただ、原油が今日も50ドルを切っておりますから、コアコアで見るならば、また状況は変わってくるのかもしれませんけれども、日銀の物価安定目標は総合でありますから、原油の下落も織り込んだCPIということになります。
 こういう状況は日本経済にとっては悪いことではないのですけれども、輸入物価の高騰を減殺するということで、輸出にとってプラス、輸入のマイナスを減殺するということですから、日本はいいとこ取りができる状況にありますけれども、日銀の物価安定目標という点からすると、目標達成にはマイナス要因になってくるのだと思います。日銀がどのように判断されるかを見たいと思っております。
(問)予算編成ですけれども、総理が特にこだわったところというのはどこだったと認識されていますでしょうか。大きなところでいえば、財政健全化と経済成長の両立ということだと思うのですが、このほかに何かこだわったところがあれば教えてもらいたい。
(答)総理は、消費税の10%引上げの延期は延期として、子ども・子育て、女性の活躍を後押しするという点で、子ども・子育ては予定どおりやりたいということはかなり、実は以前から私に言われておりました。これは、社会保障は1.36兆円充実しますけれども、その中で、完全実施していくということになります。
 あわせて社会保障がおざなりになってしまうという危惧に対して、そういう心配はないということで、恐らく法律で10%引上げ時とはっきり書いてある案件以外は、少なくとも手をつけていくということになると思います。
 つまり、10%引上げ時には年金受給者、低所得者に対しての月額5,000円、年額6万円の給付金、これはかなりロットが大きいわけでありますから、これは10%引上げ時でしかやりようがないと思いますが、それと受給資格を10年にする、この二つは法律上、10%引上げ時に対応するということになっていますから、この二つは別として、それ以外は、例えば低所得者の介護の保険料について第1段階の軽減を4分の1だけ頭出しをして実施していくということにも踏み込んでおります。
 もちろん完全実施は10%引上げ時ということになりますけれども、かなり手がつけられるものは予算の税収余力を使って、前倒し実施していくということに踏み込んでおりますから、そこは、総理が社会保障を犠牲にしないという強い意思のあらわれだと思っております。
 あわせてアベノミクスを実感されている人が2割弱であるということで、少なくとも、私見を言えば、過半数の人がいち早く実感できるように、来年度中にも実感できるようにということを思っておりますが、総理御自身も地方展開をしっかりしていくということで、地方創生部分については、補正、それから本予算と引き続いて、メリハリの張り出す方の予算になっていると思っております。
(問)2015年度のPBを対国費ベースでは達成できそうだということで、かなり税収増に助けられた部分があると思うのですけれども、2020年の目標達成の議論が本格化するのですけれども、それに向けてこの予算は、その一里塚となったと言えるのかどうか、その辺の評価を教えてもらえますか。
(答)税収が4兆5,000億ぐらい伸びています。そのうちいわゆるアベノミクス効果というのは2.8兆分ぐらいあるかと思います。税収が法人税収を中心に上振れていくということは、フロック、つまり一時的なものではなく、それが定着するようにしていくのがアベノミクスであります。ですから、そういう意味では将来にわたって、確保が期待できる税収になっておりますし、そうなっていかなければいけないわけであります。そうしますと、2020年のPB均衡・黒字化について、かなり背中を押すことになっていくのではないかと思っております。
 もちろん、今年の夏までに、その工程表について、できるだけわかりやすく示せという総理からの御指示があります。その骨格については、できるだけ骨太に反映をしていきたいと思っております。
 ただ、私が気にとめておりますのは、かつてのように物理的に毎年何千億、いやも応もなくカットというやり方ではなくて、構造改革を通じて、自然とその成果が出てくるということに取り組みたいと思っております。
 つまり努力をするとそういう結果が出てくる、それがプラスに働く。よく言われることでありますけれども、生活保護から脱する場合に、努力をして支給金以外の収入を得ようとすると、その分だけ減らされる。これは努力をしてもしなくても手取りは同じということになりますから、これを改善していく。部分的に導入されていますけれども、その努力を後押しするようなあんばいで、そういうシステムをつくっていく。
 これは交付税に関してもそうだと思います。交付団体から不交付団体に脱出していく努力をした場合、努力に見合った、努力を後押ししていくような残り方をどう設計するかということだと思っております。
 あるいは、社会保障の分野でいえば、見える化を徹底的に図っていくことを通じて、重複受診や頻回受診、薬剤の重複給付というのが、見える化を通じてはっきりしてくる。それから健診データを見える化することによって、病気の事前予防ができる。力ずくで予算をカットするのではなく、構造改革を通じて必然的に予算の効率化を図れるということに精力的に取り組んでいくべきだと思っております。
(問)TPPの関係ですが、今日、カトラー次席通商代表代行が来日なさって、明日から事務レベル協議が始まりますが、激励といいますか、大臣の方からあれば。
(答)この事務折衝をしていく中で、状況の進み方に応じて相談したいと思っております。これはアメリカ、あるいはアメリカに限らず、対議会とのセットの仕方をどうしていくかというモードにだんだん入ってきます。そこを参加12カ国の実情に即して、きちっとセットできる、つまり何度もリセットはできませんから、政治スケジュールを見ながら、最大効果的に運んでいく相談をしたいと思っております。

(以上)