石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年10月28日

(平成26年10月28日(火) 8:36~9:00  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 閣議は、特に御報告すべきことはございません。
 一つ私のほうからお話をいたしたいと存じますが、「地域経済分析システム」、世に言うビッグデータなるものであります。ビッグデータといってもいろいろありますが、その中で「地域経済分析システム」について、当面の状況をお話しいたしたいと思います。
 地方自治体におきまして、自らの地域の現状と課題を踏まえて、いかにそれぞれの地域の将来像を描くか。そのためにはどのような対策を講ずべきかということで、地方において、「地方版総合戦略」を考えていただきたいということございますが、それを実現するために資するべきデータ分析面、あるいは人的な面からのサポートというものを国として行いたいということは、従来から申し上げておるとおりでございます。
 このため今般まち・ひと・しごと創生本部は、これまで経産省が開発を行ってまいりました「地域経済分析システム」、いわゆるビッグデータを活用した地域経済の見える化システムなるものを、今後、地方自治体が「地方版総合戦略」を立案する際にお役立ていただきたいということで、その企画立案、総合調整を行うこととしたものであります。
 詳細は、後ほど事務方から説明をさせますが、このシステムを活用して、地方自治体は次のような情報を入手できるようになると考えております。
 即ち、それぞれの自治体の域外からどのような企業が稼いでくるかを把握する。あるいは行政区域を超えた企業間取引関係は、どのようなものになっているか。地域経済を支える企業に、どのような企業が成り得るか。あるいはその地域にいろいろな観光客が来るわけですが、その人は一体どこから来たのでしょうと、あるいはその当該地域を経て、どこへ行こうとしているのでしょうと、そういうようなルートを把握するでありますとか、現在及び将来の人口構成、人口流入、流出先の把握等々、さまざまなことが可能になると思っております。
 今まで経験と勘に基づきまして、ああでもない、こうでもないというふうにやっていた、それが悪いとは言いませんが、それに客観的な、正確なデータを役立てるということが、総合戦略をつくる上では非常に有効なのではないかと考えておりまして、11月、来月にもまち・ひと・しごと創生本部内に、これに関しますチームを立ち上げまして、地方創生の観点から企画立案、各省庁との調整、自治体への普及指導等々を行うことにいたします。
 スケジュールとしては、平成26年度中にこの開発を終了いたします。平成27年4月以降、というのは4月に各自治体、人事異動を行いますので、「4月1日からやってちょうだい」と言ってもなかなか難しいところもございまして、本年度中に開発は終わりますが、自治体職員も、それを見て何が何だかわからないということではいけないので、自治体職員への研修などあわせて行いたいと思っております。
 詳細は事務方から後ほど御説明をいたさせます。
 ここまで何か御質問があれば承ります。

2.質疑応答

(問)このシステムなのですけれども、提供先は、その自治体職員の異動なんかもあるということなのですけれども、27年度に市町村単位で、そういったものを普及させていくお考えなのでしょうか。
(答)それは、総合戦略を立ててくださいというのは都道府県、市町村にお願いしておりますので、ここには来るが、ここには来ないということがないようにしたいと思っております。
(問)今のお話の中で、客観的なデータを役立ててほしいということでしたけれども、国がこういったデータを全国一律に提供することの意義というのはどこにあるのでしょうか。
(答)先ほどちょっと申しましたが、今までどういうまちをつくるかというときに、活力とにぎわいのある明るいまちをつくりますとか、日本一の福祉先進都市を目指しますとか、そういう、これは「誰も反対しないね、すばらしいことだね」というのはぽんぽんと出るわけですけれども、それが数字に基づいたものでなければならないわけです。
 そこのまちのいろいろな数字というものを把握した上で、総合戦略というのは5年を目途といたしておりますので、今までどういう傾向にあったでしょうかと。それをどのように変えていくのでしょうかと。だから活力とにぎわいのあるまちづくりというのは、どういうことなのかと。自治体の外から稼いでくる会社というものをさらにエンカレッジします、あるいは外へ出ていくばかりということであれば、いかにしてそれを域内において循環させるか。その地域において経済の好循環というのを実現させるというのは一体どういうことなのかと。
 観光客がいっぱい来るまちを目指しますといっても、それはどこから来てどこへ行こうとしているのかということがなければわからないし、他地域との連携を行うことによって、より有効な観光施策が打てるということもありましょう。
 あるいは「あれ、何でここから来ていないのだろう」というところがあるとすれば、そこへ向けて有効なセールスを行うということもあるでしょう。ですからそれぞれの自治体のデータを把握すると同時に、ほかの地域との連関というものも考えながら、総合戦略はきちんとした客観的な数字に基づいたものにしてもらいたいということで申し上げたものでございます。
(問)平成26年度中に開発が終了されて、27年度から研修ですとかデータの保守管理等々をされていくと思うのですけれども、こういった27年度以降は地方創生本部で来年度から予算として計上して事業をされていくのかということが一点と、あとこれ、研修というのは、これ、1,800の自治体全てから希望があれば、これに対応されるということなのでしょうか。
(答)研修は、研修を受けた自治体もあれば受けない自治体もあります、というような状況は決していいことだと思っていませんが、1,800ぐらい自治体はあるわけで、そこへ全部誰かが行って説明できるかといえば、そこは物理的に結構難しいところもあって、やはりそういうスキルが非常に高い人を養成して、その人のもとにまた幾つかの自治体が、研修を受けることとしたいと思います。これはブロック別になるのか都道府県別になるのか、そこはこれから詰めますが、ここは研修を受けました、ここは研修を受けませんということにしてはいけないと思っております。
 マニフェスト選挙なるものが、自治体においても行われるようになりました。 だんだんとそういうような選挙公約なるものが、実現可能性を担保したような、実現可能性を担保するというのは数字に裏打ちされたという意味ですが、そういうことが行われるようになってきたのだけれども、それが自治体の職員の皆さん方もそういうような数字をきちんと把握した上で、まち全体として、あるいはそこの住民も、「ああ、そうなんだ、我がまちってこういうまちなんだ」ということを知ることによって、今、進化の過程にあるわけですけれども、それを実際の数字に基づいたものにしたいと、していただきたいと。我々がしたいなと思っても、してもらわなければしようがないわけであります。
 予算については、現在、経済産業省の予算をもちまして、この開発を進めているわけでございまして、それをこれから先、さらに研修等々、恐らく研修等々は、内閣官房でやることになりますが、今後どういうような予算をもってして臨むかというのは、今後よく詰めたいと思っております。
(問)これ、4月に間に合うように研修をされるということではなくて、4月以降ということですね。
(答)だからそこは、4月1日から供用は可能になるわけですけれども、4月1日に人事異動が多く行われるので、ある人を想定してやっていたら、その人が違うことになってしまいましたということになると、またやり直しになるので。供用は4月1日から可能なようにしたいと思っておりますが、研修というものも恐らく試験的に26年度中に行うところはあります。ただ、その研修をやってみたけれども、そうするとここを直さなければいかん、ここの話し方を直さなければいかん、ここはどうもわかりにくいね、ということが出てきて、27年度4月1日から供用は開始できるようにしたいと思っていますが、実際に総合戦略をつくるのは27年度中、28年3月までということになっておりますので、供用開始してそれを使いこなせるというまでにはもう少し時間があってもいいのかなと思っています。
(問)提供されるデータは公にされるものなのか、その自治体向けに詳細に説明されるのかお伺いしたいんですが、というのも選挙公約等々に使う場合、統一地方選もありますけれども、現職が有利に数字を使えるようになると、なかなか新人候補等が公約にうたいづらいこともあるのかなと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
(答)これは特定の者に限定して、情報を伝えるということはございません。広くあまねく誰でも見られるという形にしたいと思っております。そこまで考えは思いもしなかったが、現職に対して、特に有利となるようなそういうことは防いでいかなければいけないと思っております。地域住民皆様でお考えいただくものでもございます。
(問)研修のところで関連なんですけれども、そうは言うものの、やはり小さい自治体などはデータを渡されたところでなかなかそれを活かすのは難しいと思いますが、その研修以外に小さい地方自治体などがこのデータを活かす仕組みとして国から何か支援とか考えていることはございますか。
(答)出来るだけどんなに小さな自治体でも使えるようにしてもらいたいと思っております。これはシティマネージャーなるものにも関連することかもしれませんが、小さな自治体でこれからいろいろなことを考えていかなければならないにもかかわらず、人がいないというところも当然想定されるわけでありまして、そういうところに対して支援を行うというやり方を細かく考えていきたいと思っております。
 先ほどのデータについてでございますが、一般公開を予定しておりますのは、政府統計に基づくようなもの、というものは一般公開に供したいと思っております。ただ、これを言い忘れましたけれども、いろいろな機微な情報もございます。そこは情報管理の面から一般の方々の目に触れるとよくないというものもございますので、そこはきちんと選別をしたいと思っているところでございます。
 ですから、一般公開に適するか適さないかということもありますが、まさしく御指摘のようにそれを知ることによって、特定の者が選挙に有利になるというようなことはよろしくないと思っておりますので、そこもよく勘案しながら取り組んでまいりたいと思っております。
(問)ちょっとシステムの話とは変わってしまうんですけれども、2点をお伺いします。先週全国市長会が、子どもの医療費無償化を全国一律ナショナルミニマムでやってほしいというような要望、提言をまとめたんですけれども、これについて大臣はどうお考えになるのか。
 もう1点、最近学校の統廃合の話が浮上していますけれども、これは学校を統廃合して効率化しようという話と一方でコミュニティの拠点である学校がなくなってしまうと、もうその集落なり自治体は先がなくなってしまうというような話があります。大臣は学校をどういう方向に持っていったらいいのかと思われますか。
(答)医療費についてはちょっとコメントする立場にはございませんが、ナショナルミニマムをどこに設定するかだと思っております。ですから、中学校までの子どもの医療費を全部無料にすることをナショナルミニマムと言うか、それとも小学生までなのか、何をもってしてナショナルミニマムと言うのか。そして無償化した場合の財源というものをどこに求めるかということであって、それはもう中学生までみんな無償になればいいねということはございます。ですから、それはナショナルミニマムをどこに求めるかということ、財源をどのようにするかということをきちんとこれから関係部署において詰められることだというふうに承知いたしております。
 学校の統廃合はおっしゃるように両説あって、特に小学校、中学校の統廃合が問題になるのですが、統合した結果として、よりそこの地域が衰退に向かうという例が多いということはよく承知いたしております。それでは多くのお金を使って、そこを維持するということでやるのか。それとも隠岐島の話ではありませんが、どうやったら子どもが増えるんだろうねということも考えながら維持するということでなければいかんと思っております。
 子どもがどんどん減っていくというにもかかわらず、教員は子どもが減っても配置をしなければなりませんので、そこの維持自体に多額の税金を必要として、かえってその町村の発展が阻害されることがないように、どうやったら子どもを増やしていくことができるか、それほど簡単なことではないけれども、学校を残す場合に、どうやって子どもを残していくか、増やしていくかということと共に、その学校を使って地域をどうやって活かしていくか、ということもお考えをいただかねばならんことではないかと。
 PTAが一つの物事を決めていくときに一つのアクターになるわけですけれども、それが今いるお子さんたちの父兄の方々に限られることなく、もっと大勢の人たちが学校の経営、運営、あり方に携わるべきだというお話をどこかで読んだことがございますけれども、学校を残すか残さないかということについて、やはり地域住民の方々の多くの意見が反映される仕組みをつくるべきだというような論説をどこかで読んだことがあります。
 この学校の統廃合は行わないほうがいいということは総論的にはそうなのでしょうけれども、その自治体の経営というものについてどういうことなのかということもあわせて住民の皆様方で御議論をいただき、よりよい結論を目指すべきだと思っております。
(問)ちょっと話題が変わるんですけれども、週末にかけて各社が世論調査を行いまして、内閣支持率が一部の社を除いて低下している。今週に入って引き続き、昨日深夜の望月大臣の会見であるとか、宮沢大臣の外国人が株を保有している企業からの献金等々が明らかになっていますけれども、内閣の一員として現状の分析、受止め等をお願いします。
(答)ごく一部の社において、内閣支持率が上ったという、そういうデータもあることは承知いたしておりますが、それも微増というぐらいのお話でありまして、内閣支持率がやや下がっているということは事実だと。そうすると、下がっていること自体は事実なのだから、内閣支持率というのは高いにこしたことはないのであって、この辺の下がり方でよかったとか、そういうことを言っている人も聞いたこともないし、さらに消極的な御支持、私も世論調査を全て読んでいるわけではないけれども、どちらかと言うと消極的に支持されるという方々、ほかにかわるものがないとか、そういうようなお答えも多いわけであって、それも御支持には違いない。ベターという話ですから。
 それがさらに積極的な御支持にかわっていくように努力をするのは閣内にある者全ての責任なのであって、これは内閣の支持率なるものが、数字だけではなくてその中身に至るまで、やはり国民の皆様方の積極的な御支持をたまわることができるように努力をしなければいかんと。
 いろいろな問題が紙面に出たり、映像になったりしております。それは前回申し上げたことだと思いますが、私どもとして、地方創生法案を始めとして、こちらのほうからお願いする立場にあるわけで、いろいろな疑問、問題点の指摘、そういうものに対していかに誠心誠意お答えするかということはやはり我々として常に心せねばならんことだと思っております
(問)地域経済分析システムなのですけれども、このような手法をこれまでやってこられなかった理由は何かあるのでしょうか。政府統計等々はずっととっているもので、こういった手法がこのタイミングで行われるようになった背景とか理由がありましたら教えてください。
(答)それはシステムの開発というものに時間を要していたということではないでしょうか。そういうシーズというか、いろいろなデータ自体はあるわけですね。
 例えば、民間企業でもそういうデータをお持ちのところはある。日曜日に一部の報道でありましたが、そういうような情報を取り扱っておられる会社と大学が提携して、企業の経営に役立つようにするシステムを開発するという報道を耳にいたしましたが、それぞれはあるけれども、それを自治体のこれから先の戦略を立てるに当たって、どのように資するべきかという観点で開発をしたことはなかったということだと思います。
 それは経済産業省において、地域経済の活性化という観点からそういう開発をやってこられたわけであって、今回、地方に対して、総合戦略なるものをつくるという努力義務規定を課しておるわけで、まだ国会において法案は成立していませんが、つくってくださいと言いながら、それにふさわしいデータも提供しないということになれば、地方自治体にかかる負荷が非常に高いということでございます。
 ですから、そこの地方全体が自分のまちだけではなくて、そこの域内のほかのところとの連携というものも考えながらデータをつくっていただきたいということで、今回の総合戦略をつくるということが一つのきっかけになっているということでございます。ですから、データはばらばらと提供しました、活用する自治体もあれば活用しない自治体もある、ということでは具合が悪いわけで、やはりこれを一律に提供することによって、この法律に盛り込まれた総合戦略をつくってくださいということがより実効性を持つのではないかということです。
(問)話が一つ戻ってしまうんですが、望月大臣が今日未明の会見で、誤って記載されたことは認めて御説明されていたんですけれども、この御説明、大臣は納得のいく御説明だとお考えでしょうか。
(答)これは、事実がどのようなものであるかというのは、お亡くなりになった奥様も関与しておられる話なので、これは望月大臣御本人が一番よく御存じだと思います。私としては「そうですか」ということに尽きますけれども、仮にまだ納得できないという方がありとすれば、望月さんはああいう誠実な方ですから、きちんと御説明をされるということだと思っております。私自身が納得したのしないのということはここで申し上げることではございません。

(以上)