石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月30日

(平成26年9月30日(火) 11:04~11:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 お待たせいたしました。閣議、閣僚懇談会で特に御報告をすることはございませんが、御質問があればお答えをいたします。
 幾つか私宛てにお問い合わせがございました基本政策検討チームについてでありますが、第1回創生会議のときに申し上げましたように、私の下に創生本部事務局メンバーから構成される基本政策検討チームというものを設置いたしたところでございます。実際の会合は明後日10月2日から10月10日まで、集中的に政策テーマごとに計7回開催する予定にいたしております。伊藤補佐官及び民間有識者同席のもとで地方公共団体、関係府省庁からヒアリングを行うということにいたしておりますが、国会の関係で私はなかなか出席することは難しかろうかと思いますが、都合がつく限り平副大臣にも同席をしていただいて、集中的にやってまいりたいと思います。
 詳細は、もし必要であれば事務方から答えさせます。
 この検討チームにおきまして検討した結果につきましては、創生会議及び本部に報告をするということでありまして、年末に策定する総合戦略に反映をさせてまいります。この基本政策チームはかなり濃密、詳細な議論を行うということにいたしておりますので、また適宜皆様方にも状況を御説明いたしたいと考えておる次第であります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まち・ひと・しごと創生法案について2点お聞きしたいんですけれども、日本の社会のあり方を示すという点で、これからおつくりになる総合戦略、それから一方で、国土交通省が国土形成計画、旧全総を2008年におつくりになっている。その中には問題意識として、やはり人口減少や高齢化を背景にしてつくられています。この2つのものについて共通点、違い、それから今後どういうふうに棲み分けて考えていくのかということをお聞きしたい。
 それから2点目ですが、また同様の質問なんですけれども、まち・ひと・しごと創生法案では、地方自治体に対して努力義務という形で、自治体も総合戦略をつくりましょうよと呼びかけています。自治体は自治体で地方自治法に基づく形で、3年前に義務づけは廃止になっていますけれども、長期的な総合計画というのをお持ちになっています。そうすると、自治体は今後、長計というような性格を持つものを2つ持つ、あるいはつくるということになると思うのですけれども、あるいはまち・ひと・しごとのほうに一本化するのか、ここもどう整理して対応すればいいのか、お願いします。
(答)前段のほうは、国土交通省がそういうものを取りまとめたということはよく承知をいたしております。また、そこにおきまして指摘された事項という中には、極めて正しい指摘が多く含まれているわけでございます。ですから、そういうものも参考にしながら、あるいは国土交通省が直近にもそういうようなものを出しておりますので、それはインフラ整備のみならず総合的な効果の発現という意味で極めて参考にすべきものだと思っております。
 先般、太田大臣がお見えになりまして、直近の国土交通省のまとめました施策につきましての御説明をいただきました。私からも何点か意見を申し上げました。そこにおいて、地方創生という観点から、こういうことも御検討いただきたいということを幾つかお願いした次第でございます。ですから、各省がそういうものを出しておりますので、そういうものを統合しながら戦略を組み上げていくということになります。その戦略と各省の、例えば総務省と国土交通省で哲学という言い方がいいかどうかわかりませんが、そこに齟齬(そご)がありますと、総合戦略に足り得ません。そこの調整は、これから総合戦略をまとめるに当たってやっていかねばならないことであって、それが私の持つ調整権限というものは何に由来するものであるかということを明確にした上で、ホチキス留めみたいなことにならないようにしてまいりたいと考えております。
 地方自治体の総合戦略の策定について、今回努力義務といたしましたのは、これもかねてから申し上げているところですが、やはり地方創生に当たって最も主体的に役割を果たしていただきたいのは市町村なんです。これは平成の大合併というものもございましたが、目に見えるというか、どこで何が起こっているかということを把握し得る単位としてはぎりぎりのものだと思っております。
 そこでいろいろな計画をつくっていただくわけですが、それが今までつくっていただいたものが、そのままこれから先も通用するとは非常に考えにくいところがございます。特に今回は消滅自治体ということが大きな話題になりましたが、このままいけば20代、30代の女性の人口がどうなっていくか。20代、30代の女性の人口というのは一つのシンボリックな数字として上がっているわけで、どうして若い人が減ってきたのか、そして地方といってもどういう産業があり、一次産業があり、二次産業があり、三次産業があり、六次化という話があって、そういう今の我々の問題意識というものに適合した形、押しつけるつもりは全くありませんが、やはり地方消滅の論文というのは、私が聞く限りにおいても、あちらこちらの議会で大議論になっているわけですね。単にいろいろなことを羅列しただけの計画ではなくて、どのようにして若い人たちに仕事をつくるか、その仕事も安定したものであり、そしてまた収入がきちん見込めるものでなければならない。単に仕事さえあればいいというものではない。それを第一次産業、第二次産業、第三次産業で分析したところ、どういうことになるのかという現下の問題意識を地方においても中央においても共有をしたいと思っております。ですので、あえて努力義務という形で書かせていただいたものでありまして、そういう計画を策定することが最も地域を創生させるための重要なファクターになると考えております。今の問題意識にあって新しいものをつくっていただきたい。いただかなければ、この運動は成功しないという認識でございます。
(問)基本政策検討チームについて、大体どのくらいまでの政策を検証されるのかをお願いします。
(答)詳細はまた事務方から御説明させますが、検討項目につきましては、今のところ7つの項目を考えておるところでございます。すなわち移住が一つ、次が企業等の地方移転、地方採用、大学の活性化、その次が地域産業基盤強化についての施策、それは人材雇用、事業主体というジャンルと、農業、観光、医療、製造業等分野別のものが一つ、これを2つ立てます。5番目が地域の少子化対策、6番目が地域生活基盤施策ということでございまして、そこにおいては中山間地域でありますとか大都市圏等でありますとか定住自立圏でありますとか、いろいろな地域によりまして生活基盤の施策は異なりますので、これについての議論を行いたい。7番目に地域の連携施策ということであって、それが地域が連携することによって大きな効果が期待できるということがございます。それぞれの市町村が、それぞれやるのはいいことなんですけれども、それを連携したほうがより大きな効果が期待されるものもございますので、今のところこの7つぐらいの項目に分けまして、この検討作業を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
(問)すみません、確認ですけれども、その検証する政策というのは、今やっている政策についてということでしょうか、それとも過去もうやめてしまった政策についても遡って検証するという意味でしょうか。
(答)今やっているものだけではない。そこに別に、これだけしかやらないという限定をするつもりはございません。
(問)その範囲については、例えばいつの時代、何年から先の。
(答)別に昭和40年代まで遡ろうとは思っておりませんが、必要な検証は行います。
(問)まち・ひと・しごと創生本部の事務局の体制なんですけども、100人規模に拡充を検討しているというような報道があったんですけども、大臣、体制について強化するお考えがありますでしょうか、現時点の状況を教えてください。
(答)だから、それは何人規模ということに、100人にいったからよかったとか、100人にいかないからだめだとか、そんなことを言っているわけではありません。できれば、それぞれの政策テーマというものに非常に通暁(つうぎょう)した人、なおかつ改革的な思考を持った人という人を選んで出していただきたいということで、相当に体制の強化はなされつつあるという実感を持っております。
 それは御批判は多々あろうかと思いますが、何しろスタートして3週間でよくここまで来たねというのが私の実感でありまして、各省とも非常に意欲的に人を出していただいているというふうに考えております。なお必要な強化はいたしてまいりますが、大体大方の流れは概成しつつあるのではないかと思っております。
(問)関連なんですけども、現時点で単純に大幅というか100人であれば30人ぐらいですけども、そういうふうに数十人の規模で人をどっと増やす必要はないというふうにお考えですか。
(答)人さえ増やせばいいと私は思いません。その人の質の問題でありまして、人数さえ増えればいいというわけではありませんが、ただ、必要なマンパワーというのはございますので、この少ない人数の中でまた省庁の人事異動が終わった後でそういうことをやりますと、そんなはずではなかったみたいなことになるわけで、どうしても後追いになりますが、そういうような制約の中で各省庁とも非常によく協力をしていただいていると思っております。
(問)昨日の安倍首相の所信表明演説についてお伺いしたいんですけれども、総理の熱意は非常によく感じたんですが、やはり具体的な言及がなかったもので、少し消化不良な感じがしたんですけれども、大臣、3週間でよくここまで来たなと今おっしゃいましたが、大臣が所信表明を受けて感じられたことと、あわせて地方創生国会と位置づける以上、法案成立以外に大臣が地方創生国会足り得るものとしてやるべきこととしては何をお考えでしょうか。
(答)昨日の総理の所信は、最後に愛知県ですか、古の賢人の方の言葉を引かれましたが、これじゃだめだと、後ろ向きの思考ではなくて、前向きにやればできることがたくさんあるではないかということを具体的な例を示して演説されたものだと思っております。ですから、それが理念だけ語れば具体例に欠けると言われますし、具体例をいっぱい並べると、理念は何だという話で、それは両方限られた時間で満たすのは難しいことでございます。所信表明のみならず、これから質疑が本会議あるいは予算委員会等において行われるわけで、更に総理のその考え方が、理念とともに国民に伝わるような形での論戦が行われるということを期待いたしておるところでございます。
 あなたのやりたいことは何ですかという話ですが、もちろん法案さえ仕上がればいいというものではございません。法案は基本法的な性格を持つものですから、それ以上でもなければそれ以下でもないということであります。具体的に総合戦略というものをつくっていく、それに呼応する形で地方がつくっていく。
 それから、一元ということは何だろうねということを私もずっと考えているのですが、今までの交付金、交付税、そしてまた補助金という三本柱でやってきているわけです。それぞれ一長一短ありなのですが、それをどういう形で組み替えていくのかということ、そこにおいてはそれぞれの地方において何ゆえにこれを要望するのか、それによっていかなることを期待するのかということがきちんとなければなりません。そして、それぞれの地域において、国から上から目線で採点するとか検証するということは申しません。それぞれの地域においてきちんと検証するシステムが効き、その検証においてこれはいかがなものであったかなということになれば、そこを是正するような仕組みというものが内在されていなければいかんでしょう。新しい地方と国との関係というのは、結局、交付税、交付金、補助金というものをどのように変えていくかということなんだろうと思っております。
 かてて加えて、移住でもそうなんですけれど、この間も東京国際フォーラムでもワーッと人が来るわけですよね。だけども、例えばキクチさんという人がいて、地方に住みたいなというふうにキクチさんという人が願ったとする。じゃ一体何なんだろう。そこに求めているものは豊かな自然なのか、あるいは安定した雇用なのか、あるいは安心できる医療・介護の体制なのかということを、キクチさんならキクチさんという人はこういうことを願っているのだ。つまり一番最初に御説明したように、移住したいという人は50代男性の5割、あるいは10代、20代男女の4割といるんですけど、それが年代によって性別によって違うわけで、またそれも個人によって違うわけで、それがこういうような条件というときに、それぞれの市町村を当たらなきゃいけないというならば、ものすごい時間がかかっちゃうわけで、そういうシステムというものができませんかとか、あるいはシティマネジャー、コンシェルジュという言葉は何となく新しいんだけど、今までと違う感というものを具体的に出していくということをやっていかないと、この話は何となく期待倒れに終わる。期待倒れに終わるということは、この地方創生というものができないということになり、それは大げさなことをいえば、日本全体の衰退につながるということですから、理念とか抽象的な言葉ではなくて、具体的に何がどうなるのということをきちんきちんとお示しする。これは論戦の中で明らかにしたいと思っております。

(以上)