石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月26日

(平成26年9月26日(金) 10:45~11:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 お待たせをいたしました。閣議、その後閣僚懇談会でございます。
 閣僚懇談会におきまして、私から次のような発言をいたしました。地方からの改革提案を受けた各省に対する再検討の要請について、ということでございます。すなわち地方分権改革に関する提案募集方式に関しまして、本日、各省からの第1次回答を踏まえ、地方からいただきました意見の公表と併せ、内閣府から各省に対し、提案についての再検討を要請いたします、ということであります。
 本日の閣僚懇談会におきましては、各大臣に対しまして、政府として地方分権を推進する立場から縦割りを廃止、地方からの提案をいかにして実現するかという姿勢を基本に、強力なリーダーシップを発揮していただきたいと申し上げました。
 併せまして、提案に実現困難な部分がある、それはそういうものはあります。ある場合にもその理由を制度を所管する各省が具体的な根拠を示した上で、明確かつ迅速に説明するようにというふうにお願いをいたしました。
 なんで駄目なのですかということをきちんと示せと。そして、何か月もお待たせするようなことをするなということであります。
 この再検討要請に対します各省からの第2次回答を踏まえまして、10月中旬からは地方分権改革有識者会議の提案募集検討専門部会におきまして、関係府省からの2度目のヒアリングを予定しているところでございます。ここにおきまして、地方からの提案に対する具体的な実現策、分権を進めた際に予想される課題と、それに対する地方側の具体的な対応方策といった論点を明確にするということでありまして、年末の閣議決定に向けて調整をいたしたいということでございます。そのように発言をいたしました。それに対して何か発言が他の大臣からあったというわけではございません。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、昨日の会見で積極的に地方活性化策を講じた自治体に地方税も含めて税優遇措置などを検討されるような考えを示されましたけれども、具体的にどういった方向性で議論を進めていくお考えでしょうか。
(答)税のことは、よく党税調とも御相談をしながらやっていかなければなりません。思いつきみたいなことをポンポン言って混乱させるということがあって然るべきだとは当然思っておりません。
 交付税が持っている機能というのは、結局、財源保障機能と、もう1つは不公平というか不均衡というか、これを是正する機能というものがあるわけです。その機能というものが今まで大きな役割を果たしてきたことは間違いない事実でございますが、これから先、地方の活性化ということを考える場合に、この交付税の機能というものが更なる役割を果たすということがあり得るのかあり得ないのか。今まで連綿と続いてきた制度ですから、それなりの正当性あるいは効果の発現の担保というものがなされてきたわけでございます。ただ、時代が変わってまいりましたので、その機能を地方の活性化のために更に発揮させるということは、何か検討の余地がないのかということは私自身も考えなければいけません。当然、党税調ともいろいろな議論をしていかなければなりません。
 要は、地方の活性化というものについて交付税、交付金、補助金、いろいろなやり方があるわけですが、何が時代に合った効果の発現方法なのかという議論は当然地方創生ということを考える場合に必要不可欠なものだと存じます。
(問)石破大臣は先週末に地方移住に関するフェアに御出席されて御挨拶をされておりましたけれども、地方創生の中で今後地方移住をどう位置づけるかということをお伺いしたい。
 来年度予算に関しては、既に概算要求は締め切られていまして、各省庁から移住に関する政策が出てくると思いますので、これをいかに調整していくかというのが当面の課題だと思うのですけれども、来年、再来年度、予算では地方創生本部がイニシアチブをとって一本化して、地方移住に関する政策を押し進めていくというお考えはあるのでしょうか。
(答)それは各省がいろいろな施策、予算、制度を持っているわけですが、それが本当に有機的に結合した形でそれぞれの地域において実現をしているだろうかということは検証しなければなりません。
 これはいつも申し上げることですが、移住のニーズというものは非常に高い。我々としてインターネット調査をやっているわけですが、更に標本を大きくした調査がございますので、それもよく見たいと思っています。
 どの年代のどの性別の方がいかなる理由に基づいて、どこへ行きたいかということをきちんと正確に把握をしなければなりません。それを踏まえた上で、例えば若い方々は結婚とか出産とか、あるいは学校を出て地方で働きたいなとか、そういうような動機に基づいて移住をしたい。
 50代の方は自分が現役でいる間にもう一つ仕事ができないだろうか。あるいは、それよりももう少しシニアの方になりますと、どのようにして幸せな老後を送るか。そのときに継続した、きちんとしたケアがなされる、退職した方々のコミュニティというもの。そういう方々には学習意欲というものもあるわけです。もう1回勉強したいなという。私もときどき講演で社会人対象の講座などに行くことがあります。結構シニアの方々もおられるのですが、学びたいし、同時にきちんとしたケアもほしい。これをCCRCというのだそうです。こういうシステムが例えばあって、それぞれの世代の方、性別の方がいかなる動機に基づいているかということをきちんと把握する仕掛けをまずつくらなければいけないでしょう。そういうものが地域になければ駄目だし、それが仮にあったとしてもニーズと供給というものがうまくマッチングする仕組みをつくらなければいけないだろうということです。
 ニーズはあります。地方に資源もあります。ない場合はどうやってその資源を供給するのかということでしょう。そして、それをマッチングするためにどうすればいいのかということでしょう。
 私はそれはずいぶんと仕掛け次第によっては実現するものだと思っております。そのときに各省の施策というものが今統一なされているとはとても思えませんので、ではこういうニーズを満たすためにどういう仕組をつくりますかということは我々において提示をし、各省からの反応というものを見極めてシステムをつくるべきだと思っております。
(問)関連で、地方移住の際に、今、大臣がおっしゃられたような幾つか重要な要件があると思います。雇用の場が一番必要になると思いますが、ここに関しては大臣はどのように進めていかれるのか、お考えを。
(答)これを話すと大演説になって皆さんに御迷惑をかけるので、また国会審議等で申し上げたいと思いますが、1つは仕事がないので地方には住めないということについて。この間、政務官が見てまいりました神山町などもそうですが、仕事をつくるために地方に行くのだという若い方々が出てきたということ。だから、仕事がないから駄目ではなくて、これはまだ点でしかないのかもしれないけれど、いろいろな基盤を整えてきました。例えば光ファイバーなどそうですね。そうすると仕事をつくるために地方に行くんだ。隠岐島などもそうではないですか。そういうものが1つございましょう。
 もう1つは、製造業なんかもう駄目だというお話があるかもしれないが、マザー工場なるものはメイドインジャパンのブランドが強い価値を持っている。トヨタの岩手なんかはそうですね。それは教育といかにマッチングをするかということなのでございましょう。これはドイツの教育制度などを、ここは補佐官がよく知っているところでございますが、そういうこととのマッチングをどう図るかということでしょう。だから製造業はもう駄目だという発想をとるものではございません。
 第一次産業は昨日縷々(るる)お話ししたとおりであって、いかにしてコストを下げるかということであり、そしてまたいかにして多様なニーズに、もちろんJAが果たしてきた役割はありますが、顧客との直接の結びつきによって、より高い利潤を得ることができるという考え方は6次化とともに考えていかねばならないことです。CLTも含めて第1次産業には相当の可能性があると思っております。
 第3次産業について申し上げれば、いかにして生産性を上げるかということであって、地方において職はあるけれども雇用が生まれないのは、そこに生産性がなお向上されていないために安定した雇用あるいは安定した所得が実現しないということでございます。ですから、第1次産業は農業であり、林業であり、水産業である。第2次産業であれば、それをどのように教育とマッチングさせるかである。そして第3次産業のキーワードは生産性を上げることにあるわけであって、今までそれが点で論ぜられることはあっても、地方の雇用というときに、それを突き詰めて我が町においてはどうなんだという自己診断はややなされていないところがある。
 であるがゆえに、国の対応というものも必ずしもうまくベストマッチングになっていないということがございます。地方においては雇用はもう駄目だという先入観念は私どもは払拭すべきだと思っております。
(問)これまでの会見等でもう既に御説明いただいていると思うのですが、来週から臨時国会が開会しますので改めて伺わせていただきます。地方創生の重要性というものは誰もが認識している一方で、具体的に、ではどのようなことを進めていくのかという部分について国民の理解がまだ進んでいないようにも感じています。
 それで、端的にお答えいただければと思うのですけれども、改めて地方創生とは何なのかということと、その目的。今、雇用の場をつくることだというお話もありましたけれども、どのようなことを達成すれば、その目的が達成されたと言えるのかという部分を改めてお願いできますでしょうか。
(答)それは地方に仕事をつくることでしょう。私はそれに尽きるのだと思っています。地方に仕事をつくる。そして、地方に安心をつくるということなのでしょう。だから、仕事がないから若い人が来ませんね、医療が偏在しておりますので、老後を地方で過ごすことはきついですよねということがあって、こんなことが起こっているわけです。
 こういう問題は実は70年代から指摘されていることであるにもかかわらず、抜本的な物事の考え方の変換をしてこなかった。それは政府もそうです。地方においても嘆くばかりで、じゃあどうするのだということが本当に実現していれば、こうはならなかったのではないだろうかと思っています。
 それは行政のみならず地域住民の方々も、よそから来た人は駄目であるとか、若い人は黙っておったほうが良いのであるとか、奇抜な発想はそれはいかがなものかねとか、そういうことの連綿たる集積が今日を招いている。
 異次元というのは、そういう意識の改革も含むものだし、今まで打ってきた施策というものを批判的に検証するということがなくてはならないでしょう。今までのものが全部正しければこんなことになっていないのであって。それはある時代は正しかった。しかし、時代の変化に即応していないものがあったとすれば、それは駄目なんだと否定するのではなくて、どのように時代に合わせられるかという、そういう発想の転換が必要ですが、長い間動いてきた組織には意外と機能しなくなっているのではないでしょうか。そういう機能を取り戻していくことによって地域を再生し、日本を再生するということが地方再生の意義だ、創生の意義だと私は認識をしております。
(問)地方分権の冒頭の閣僚懇での発言ございましたけれども、省庁側に挙証責任を求める内容かと思いますが、そこに至った経緯について、1次回答やヒアリングでは国の責務というか、理念的な回答で具体的な理由が示されていないものが多かった、そういうこともあって挙証責任を各省に求めたのでしょうか。
 あと、もう1点は、まだ時期が早いかもしれませんが、大臣として最終的に理屈で折り合わなかったときに政治が最終的に決断することになるかなと思うのですが、その辺の意欲というか、どうやって対応されていくか教えてください。
(答)要は国民のニーズにいかにサービス産業たる政府として応えるかということなのでしょう。挙証責任を負わせると言うと「エーッ」みたいな話になるのですけれども、要は親切ではないということですよ。「ああ、そうなんだ」というふうに、駄目なものは駄目です、駄目なことはあります。ですけど、それがきちんと納得いく、そういうような回答になっているか、いわゆる木で鼻をくくったようなものになっているかと言えば、後者みたいなものが多かったのではないですか。だから、全部認めろとかそんなことを私は言っているのではありません。難しいものは難しいです。ですけど、それがなぜなのかということがきちんと伝わらなければ、それは親切の名に値しない。私は行政というものはすべからく親切なものであるべきだと思っております。
 もう1つは、それは理屈の世界ですから、理屈を闘わせることはあります。それはどちらが百パーセント正しくて、どちらが百パーセント間違っているなんていうことはこの世の中にはありません。だとすれば、そこは実際に政治力というのか、どちらが国家のためであり、どちらが国民のためであるかという判断はなされるべきものでございます。

(以上)