有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月30日

(平成26年9月30日(火) 11:11~11:36  於:中央合同庁舎第8号館S101記者会見室)

1.発言要旨

 まず、規制改革担当の大臣として御報告をいたします。
 去る9月16日に、第3期の規制改革会議がスタートいたしました。その中で、地域の活性化についてのワーキンググループを設置し、積極的に検討していただくことになります。現在、規制改革要望につきましては、規制改革ホットラインとして内閣府ホームページまたは、郵送によって随時受け付けているところでございますが、明日10月1日~31日までの1カ月間は、特に地域活性化に関する御提案を集中的に受け付けたいと考えております。地域活性化を推進する上で改革が必要だと考えられる規制の見直しについて、皆様の積極的な御提案を幅広くお寄せいただきたいと考えております。なお、地域活性化以外の通常の御提案も同時に受け付けておりますので、あわせて御案内をいたします。
 規制改革ホットラインについての詳細は、規制改革推進室のホットライン窓口担当、直通電話を申し上げます。「03-6257-1485」までお問い合わせをいただきたいと思います。
 スタッフがこのようなチラシも作って広報に努めておりますので、賛同いただけましたら、告知の方よろしくお願いいたします。
 これが1件です。
 次に、女性活躍担当大臣として発言をさせていただきます。
 女性の活躍というと、キャリアの女性が主な対象になるのではないかという印象をお持ちの方も、ともすればいらっしゃるかもしれませんが、私としては、声なき声、必要な手立ての助けを求めたいけれども、なかなか声が上がらない声をしっかりと聞き届けて、寄り添って、女性全体の暮らしの質、これは介護や医療の分野ではよく使われている言葉ですが、いわゆるQOL、クオリティオブライフ、日々の暮らしの安全や充足感を高めていくということも、この女性の活躍担当のエリアとしては極めて大事なことだと思っております。
 そのような思いから、就任して2週目には、越智大臣政務官に、女性の貧困や子供の貧困、世代を超えた貧困の連鎖ということについて、研究あるいは政策を打っていくだけの勉強をしていく担当に、一緒になってやってほしい、という指示を、二人でお話ししたときに出させていただきました。
 そして、越智大臣政務官の最初のミッションとしてお願いをしたことが、性犯罪・性暴力被害者の支援の在り方について現場の視察に行く、ということでございました。スタッフの協力もいただいて、実は先週の金曜日、9月26日、性犯罪・性暴力の被害者支援を行っている関東圏の民間団体を越智大臣政務官及びスタッフの皆さんとともに静かに視察をさせていただいて意見交換を行ってまいりました。最も助けを必要としている女性の支援を行っている現場でございます。
 いわゆる実績づくりという20分、30分というふうにはならないように、1時間以上本当にひざを突き合わせて率直なお話をさせていただきました。その場所が特定されないということが当事者の方々の安全を守るために必要であり、関東圏内というふうに申し上げさせていただきます。
 視察では、支援に当たっている方々の率直なお話を伺いました。性犯罪の被害は、想像を絶するものでありました。心身に大きな傷を負った中で、警察に行く力もないという言葉を聞いて、警察に行くというのは勇気がいることだ、どこに警察があるかの知識がいることだ、そして警察に行ってしっかりと聞き届けられるという信用力があることだ、あるいはそれだけの体力、精神力が残っているということで、実は警察に行く力がないと言われたその言葉を聞いて、私たち行政や政治家の多くは、棒グラフで被害者件数や告訴件数というようなことを見ますけれども、その数値にすら出てこない被害者の数がどれだけ多いことかということを認識、痛感いたしました。
 警察に被害を訴えることにも大変な勇気がいる。そして、そのような被害者に24時間体制で寄り添い、ボランティアで、4交代制で、24時間毎日支援をされている方々の大変な御労苦をお聞かせくださいました。
 いわゆるレイプや強姦やわいせつの明確な違いや、あるいは実のお父さんや義理のお父さんが娘を強姦したり、あるいはわいせつをしたり、ということを見ているその被害者のお兄さんがそれを見ていて、お兄さんも妹に対して危害を加えるという状況。そしてそれに対して母親は立ち上がらないのかと聞きましたら、母親はその御主人を、夫を失いたくないがゆえにそれを見て見ぬふりをする、あるいは夫からの暴力を恐れて口出しをすることができない、あるいは私の夫に言い寄ったのは娘の方じゃないかということで、逆に被害者である娘の方を責めるという話を聞いて、そのシェルターに行かれた方、皆さん安心して涙を出されるのではないですかと聞きましたら、涙が出るほどの安心は感じなくて、昨夜襲われた、あるいは今ほど襲われたという中でやって来られる方は、ショック状況で、涙が出るような状況でもない。何が起こっているか全てわかっているけれども、ただ茫然と立ち尽くしていらっしゃるという現状を詳細にお伺いして、これが現在起こっている日本の、もっともっと社会の温かい光を向けていかなければならない現実に、越智大臣政務官も私も、人間としての言葉を失うお話が多々続きました。
 DV、ドメスティックバイオレンスの方には法律がありまして、予算も付くのですが、実は性犯罪・性暴力被害者をどう救援するかということには法律がない。そしてなかなかここは予算がつかないということで、政府の支援は、私の理解が間違っていなければ、現在のところ5,000万円ということになっています。
 これは、どこがこれだけで、どこがこんなに少ない、などと引用するとまた問題があるかもしれませんけれども、果たして日本の女性の一番助けを必要としている方々に5,000万円という現在の予算が妥当なのかどうかということは、皆様とともにしっかりと考えていかなければいけないという問題意識を強めました。
 女性が輝く社会をつくっていくためには、政府においても、暴力の被害者など困難な事態に直面している女性の支援に、しっかりと取り組んでいくことが不可欠だというふうに思っております。全ての持ち金が30円という方が犯罪被害に遭って、そして助けを求めていらっしゃる。そこにお金を貸す、当面の融資もできないという現状をお聞かせくださいました。
 そういう意味では、9月17日に消費者・食品安全担当大臣として最初の視察をしましたが、今回、女性活躍担当大臣として、全国で初めての視察で、この分野に行きたいということを、明確に、それも政治的意思として、こういう声なき声のところに最初に行くということを就任当時から決めておりましたけれども、ここにもっともっと社会の目を、温かい目を、そして行政の目を、政治の目を、向けていかなければならないという私の思いは確信に変わりました。今後とも性犯罪被害を始めとする女性に対する暴力の根絶に向けて、一層努力をしたいと思います。
 また、メディアの皆さんの御理解・御協力は、極めて社会の正義というものをみんなでつくっていくためには重要なことだと考えております。被害者や、その被害者に寄り添ってボランティアで支援をしてくださる、そういう関係者の方々の安全やプライバシーの保全に留意しつつ、賛同していただけたら、こうした問題についても取り上げていただきたいと思います。支援団体への取材の御希望も含め、詳細については、男女共同参画局までお問い合わせをいただきたいと思います。そこにマスコミの方が一斉に駆けつけると、加害者にも明確にその場所を明らかにすることになりますので、もし皆様が関心を持っていただいたら、全国の支援の当事者の方々にこちらに来ていただいて取材をしていただく場も考えないわけではありません。皆さんの御希望次第でございますので、私たちの部局にコメントをお寄せいただければ有り難いというふうに思っております。
 以上、私の方からの報告を終わらせていただきます。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の藤原です。
 今日の地域活性化の規制改革会議の関係で2点お伺いさせてください。
 地域活性化のワーキンググループがいよいよ本格的に動き始めるわけですけれども、大臣として具体的に今回、地域活性化のワーキンググループの中で目玉になるというか、こういうところに焦点を当てて規制改革していきたいというところの御所見があれば、お伺いしたいということが1点と、あともう一点は、石破大臣が所管されている地方創生とのすみ分けあるいは業務の切り分けが、なかなか見えにくいという点があろうかと思うのですが、こちらはどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
(答)地域活性化の目玉について私自身はどう思っているかというところでございますけれども、私自身がこれを目玉にしたい、と思っていることは実際にはございます。ただ、目玉にするためにはそれなりの根回しも必要で、私が単にアドバルーンをというのではなくて、みんなの賛同をいただいて、「よしやろう」ということで、ほかの意見も合わせていかなければなりませんので、まだここは熟成段階にあるというふうに御報告させていただきます。
 石破大臣とそれから規制改革というところでございますけれども、これは規制改革会議において幅広く議論をしていただくところでございまして、石破大臣の国家戦略特区と、それから規制改革のところは、車の両輪としてお互いがしっかりと連携してやっていくということを、石破大臣と2人でしっかり両大臣同士が意思確認を、目を見てやっておりますし、その連携は強めながら、それぞれの国家戦略特区の方と、それから規制改革の方、全てを一緒にするというわけではなくて、それぞれの持ち味を生かして、そのシナジー効果を狙っていこうというふうに、現在のところの立ち位置、ポジショニングは、2人の間では合意ができております。
(問)日本消費経済新聞、相川と申します。
 本日の自民党消費者問題調査会で船田会長が、景表法の課徴金制度について国民生活センターへの寄附の仕組みを見直すことの修正を求めました。これについて、国民生活センターに寄附をした場合に課徴金を免除する仕組みを断念するお考えがあるかどうかを、お聞かせください。
 それからそれに関連して、不当表示の場合は、要するに返金をきちっと返すことができず一部にとどまるというケースが多いと想定されるのですが、この寄附の仕組みを外したことで逆に返金自体が進まなくなる懸念はないか、これによって逆に、事業者の方が課徴金納付命令がかかってしまうということで、デメリットになるというふうにはお考えにならないかをお教えください。
(答)課徴金に関する御質問をいただきました。今朝開催されました自民党の消費者問題調査会において、消費者庁からパブリックコメントの状況について報告をさせていただきました。また同時に、自民党として事業者団体からのヒアリングもされたというふうに伺っております。
 先ほど御指摘いただいたように、船田会長から、特に被害者回復制度に寄附を盛り込む部分と、それから立証責任に関する部分について、見直すべきではないかとの御示唆、御発言がおありになったという最初の報告は聞きました。寄附に対する反対意見が多いということも聞いております。まず、今日、第1回のキックオフが与党自民党で行われたわけですから、与党における御議論も踏まえて、その議論の経過もしっかりと忖度(そんたく)した上で、見直すべきところは見直し、そして主張するべきところは主張し、実効性のある制度として速やかに国会に法案を提出できるように進めていきたいというふうに思っております。私自身も国民、消費者、また持続可能な健全な事業者の育成ということについて、どのラインが一番妥当で、最大のフェアネスが取れるか、ということを考えていきたいというふうに考えております。
(問)毎日新聞の江口です。
 今の点に関連して、船田会長は今国会への提出というのを明言されたんですけれども、大臣としても同じ考えかどうかというのを確認させてください。
(答)できるだけ今国会で出させていただきたいとは思っております。
(問)共同通信の工藤と申します。
 性犯罪被害者への支援についてですけれども、視察に行かれたということですが、まだその被害者への支援体制というのは、全国各地ばらつきがあるかと思われるのですけれども、今後、こういった視察に行かれたことで、全国各地の女性に対する支援策というか、新しい政策だとかを作られる御意向だとかお気持ちがあるのかを教えてください。
(答)当然ございます。今回、私も現場で教えていただいたことですが、性犯罪暴力の被害者支援について、18の拠点が全国であるようです。どこも潤沢な予算というわけではなくて、四苦八苦しながら、これはやらなきゃいけないという、その強い倫理観でやっておられる。そこにやはり、支援員の方の専門的な研修、広報、啓発など、どういうことがあるべき姿なのかということのモデル事業も始まっているようでございますし、その概算要求額が5,000万円というのは、私はまだまだだというふうに思っておりますけれども、大臣と大臣政務官がいの一番に何よりも先んじてここに来たというのは、一つのメッセージでございます。これは内外に、省庁においても一番大事に思ってきたところの分野の一つがここだというのは、一つのメッセージだと政治家としては考えておりますので、こういう部分が現在の日本にはあるんだということを、賛同してくださる皆さんと共に、まずは現実を把握して、その現実を報告する。例えば妊婦さんに対するレイプ被害というのもあるようでございます。この間、フジテレビの方から御質問を頂いたマタニティー・ハラスメントということもございますし、やはり女性が安全で信頼できる社会を作らずして、何が女性活躍だというぐらいに大事な部分だと思っておりますので、当然これは拡充をしていくということで思っております。ちょっと今は明らかにできませんけれども、他省庁との連携も当然動き始めております。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 先ほどの朝日新聞の方の関連なのですが、規制改革で同じお答えだとつまらないんですが、地域活性化につながるものではなくて、もう一つのテーマである女性活躍につながる規制改革で、大臣がこれだというようなテーマを既にお持ちかどうかお伺いをしたいと思います。
(答)この10月1日から31日までの集中で、地域活性化に関する御提案を頂くということになっておりますが、やはり地域活性化と女性の活躍というのは、今国会の大きな柱に位置付けられていますし、石破大臣とも半分冗談で、地域活性化だけではないですよねという話を冒頭しておりますので、当然、女性の活躍についての規制改革で、その女性の活躍を阻んでいるものがあれば、そのヒアリングをしていきたいということで、まずは今回、規制改革ホットラインということは、地域活性化に集中しますけれども、第二段ということを考えているところでございます。
(問)(フジテレビ・和田記者)今現在、大臣が具体的に女性の活躍に資するテーマであるというものは、まだお持ちではないと。
(答)たくさんアイデアとしては持っています。省庁の中でもそれを言っていますが、アドバルーンとして上げるのではなくて、実際に実行して何ぼというふうに思っておりますので、これはどういう規制が掛かっているのか、どういう利害関係者の発言があるのかということを洗いながら、新しく改革をしたいというところの、幾つかの具体案を温めております。
(問)(フジテレビ・和田記者)案としては。
(答)順次出していきます。今出していくと、おれ聞いてない、おれの部署に連絡なかったという話になり、不毛な論争に巻き込まれるといけませんので、きちんと当事者の方々が安心して率直に利害の両方の意見を言っていただいて、それでもこれをやっていこうという手続を経ずに、先方、相手のあることでございますので、ちょっと軽々には申し上げられない。大事にしたいからこそ、軽々に申し上げられない、ということを御理解いただければ、有り難いと思います。

(以上)