甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月19日

(平成26年12月19日(金) 17:46~17:55  於:合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

  「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告申し上げます。
  景気は、「個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いている。」といたしまして、先月から判断を据え置いております。
  これは、消費者マインドの低下を背景に引き続き個人消費に弱さが見られておりますけれども、一方で、雇用情勢の改善傾向が続いていることなどから、景気の緩やかな回復基調は続いていることを踏まえたものであります。
  先行きにつきましては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復をしていくことが期待されます。ただし、消費者マインドの低下や海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。
  政府といたしましては、経済再生と財政再建の双方を同時に実現していくことといたしておりまして、このために、いわゆる「骨太方針2014」及び「『日本再興戦略』改訂2014」を着実に実行してまいります。また、12月16日に政労使会議におきまして「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」を取りまとめたところでありまして、こうした取組を通じて、好調な企業収益を、設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等につなげることによりまして、地域経済も含めた経済の好循環の更なる拡大を実現してまいります。また、経済の好循環を確かなものとし、地方にアベノミクスの成果が広く行き渡るようにするために、経済対策の取りまとめに向けた準備を進めてまいります。日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたしております。
  以上です。

2.質疑応答

(問)個別の項目で見ると、個人消費や設備投資、住宅建設、生産などが下向きから横ばいに転じるような流れになっており、いわゆる消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減に、かなり一服感が出てきたのではないかという感じがするのですけれども、どのようにお受けとめでしょうか。
(答)反動減から脱出しつつあると思います。設備投資については、日銀短観の設備投資計画に関して前回調査よりも上方修正ということになっておりますから、計画自体は旺盛になってきております。それが具体的な設備投資の数字に跳ね返ってくるのではないかと思います。
 消費者マインドが弱めであります。これは好循環がしっかり回っていくのかどうかに対して、まだ消費者が確信を持っていないということですし、この点に関しましては政労使の会議で、来春も賃上げを行うという方向になっておりますし、経団連の春闘方針においても、昨年よりも更に踏み込んだ書き方になっております。そうしたものが具現化してきますと、消費者マインドの改善も見られてくるのではないかと期待いたしております。
(問)先ほどの消費マインドの問題ですが、テレビなどでもよく新橋のサラリーマンなどにいろいろ話を聞いて、いわゆる中小企業や低所得者はかなり実感が薄くて、大企業に勤めている人だけが感じていると。いわゆる野党からも言われた格差の話があるのですが、そういうところに目配りする政策というのをこれから考えていく必要があるとお考えになっているのか、その辺の具体的なお考えがあれば教えてもらえますか。
(答)まず、収益を上げている輸出企業を中心とした大手に関しては、賃金の改善に向けた努力プラス下請代金についても改善する方向で、さきの政労使の会議で要請させていただきました。あわせて、ただいま策定中の経済対策では、地方、そして消費については、地方経済を支える中小企業や一次産業についてピンポイントで振興策を打っていくということを考えております。それらを通じて、好循環が巡っていくタイムラグを埋めていくという対応をしていきたいと思っております。2巡目が回り出すと状況もかなり変わってくるのではないかと期待しております。
(問)春闘がいよいよ年明けに始まりますけれども、賃金の上げ方ですけれども、連合はベースアップみたいな形でまた設けていますけれども、ベースアップなのか賃上げなのか、政府としてはどういうような形で実現していくことが大事だと思われますか。
(答)経団連の春闘方針の中にも、いろいろな手だてを使って対応していくという方向性でありますけれども、榊原会長は会見の中で「ベースアップも選択肢の一つ」と明確におっしゃったわけです。ベアは将来を拘束するやり方ですから、どうしても景気の回復に確信が持てない企業については、一時的なやり方で賃金改善をしていくという方法になりがちですけれども、「ベースアップも選択肢」ということを明確におっしゃいました。
 今年の春闘でベースアップにふれた企業がかなり出てきたわけであります。この流れを来春にもつなげていければというふうに思っております。
 一時金による対処、ベースアップによる対処、もちろん、その企業の体力に従ってやっていただくわけでありますが、ベースアップができる企業が増えていくことが好ましいことだというふうに思っております。

(以上)