甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月9日

(平成26年12月9日(火) 8:55~9:07  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からはありません。

2.質疑応答

(問)昨日発表があったGDPの2次QEの件でお伺いしたいのですが、速報値よりも少し悪化しており、設備投資がかなり市場予測に反してマイナスだったということが大きかったと思うのですが、この数字について、景気の現状も併せて現在の大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)数字の上からはマイナスに受け取られますけれども、プラスに受け止める面もあります。というのは、法人企業統計自身はプラス要因です。設備投資が実際にマイナスに働いたということは、法人企業統計で把握してない部分がマイナスになったということです。設備投資は、金融、保険、それからソフトウェア等々のサービス産業部分等について、いわば1次QEで仮置きしていたものと実態が違うということです。ということは、設備投資のどこが強くて、どこに課題があるかということの分析がよりできたということになろうかと思います。
 あわせて、設備投資の先行指標であります機械受注統計は、たしか4カ月連続のプラスであります。先行指標がプラス、それから企業収益が過去最大ということでありますから、蓄積された資産をどこへ誘導していくかという道筋をしっかり付けていくということであれば、きちんと設備投資は景気を支える要素になり得ると思います。あわせて、日銀短観の設備投資計画については旺盛であるということであります。要は、流れの詰まっているところをしっかり障害物を取り除く、あるいは誘導するという措置が必要であるということだと思います。
 消費につきましては、経済対策でピンポイントにしっかり下支えするということになろうかと思います。景気の弱い部分というのは、キーワードで、都市部は強いけれども地方にはまだ行き届かない、大企業はいいけれども中小企業にはまだ届いていない、消費について盛り返すだけの力が弱い。つまり、地方と消費とを兼ね合わせる、あるいはそこに中小企業を兼ね合わせると、それぞれの問題が重なってくる部分がピンポイントで明らかになってくるわけであります。それに対する対処を補正予算でしっかりしていきたいと思います。
(問)昨日の景気ウォッチャー調査ですけれども、コメントを見ますと、物価高や円安でネガティブな受け止めをされている業者さんが、かなり増えている印象があるのですけれども、この辺について御所見をお願いいたします。
(答)通常の物価の安定目標、プラス消費税率引上げのワンショットで物価が上がるわけであります。これを賃金上昇がまだ克服できていないと。一般的な物価高は克服できている。つまり、消費税率引上げによる影響分を除けば、総雇用者所得は実質プラスになっているわけです。そして、消費税率引上げ分もカウントしたものを超えていく実質プラスにするためには、連続的に賃金上昇が起きるということが必要です。それから、連続的な消費税増税ということを回避する、この二つが要素です。
 まず、先の政労使会議で、連続的賃上げについて、総理から経団連会長に要請をしました。経団連会長は、収益が上がっている企業は賃上げに取り組んでいきますということを明確に発言されています。あるいは、最近の経団連会長の御発言によりますと、ベアも選択肢の一つという踏み込んだ発言もされているわけであります。つまり、賃金が連続的に上がっていく兆しは見えてきているわけであります。
 それから、消費税を連続的に上げていくと、やはり巡航速度の物価上昇、プラスワンショットの消費税上昇が連続して続くわけであります。これは回避しなければならない。それが今回の選択で、それを問うているわけです。つまり、巡航速度の物価高、プラス消費税率引上げによる物価高、これを克服する連続的な賃上げ、足腰の強化ができて、新たな消費税を迎え撃つことができるという体力を増強して、消費税の再増税に臨むというシナリオは、しっかりと今回敷いたわけであります。この選択は間違っていないと思っております。
 あわせて、物価につきましては、その主要を占めているエネルギー価格が下落しております。これは産油国の戦略的な対応もあるようでありますけれども、円が安くなっていることを相殺する原油の価格の下落ということでありますから、こうした状況を捉えれば、先行きについて物価高を克服できる環境が整うということを、政府がしっかり発信していくことが大事だと思っております。安心感を与えることによって、消費が力強く回復してくるということを期待いたします。
(問)TPPについてお伺いします。先日から首席交渉官会合がワシントンで始まったわけですけれども、この会合に対する期待と、次回の閣僚会合についての見通し等について、何かお考えがあればお聞かせください。
(答)今、CN(首席交渉官)を中心として事務折衝が精力的に進んでおります。そして、これは閣僚会合に至る最終段階の環境整備だという認識で、CN以下、臨んでいると思っております。後ろを切った交渉という認識を首席交渉官以下あるいは閣僚が持つことが大事だと思っております。これがしっかり整えば、年明けの早い時期に閣僚会合が行われる、その見通しも次第についてくるのではないかと思っておりますし、また、来年の早い時期に閣僚間で妥結していかないと、全体のスケジュールが不透明になるということもあろうかと思います。
 特に、日米の閣僚以下が、問題がどの辺にあるかということをしっかり認識することが大事であります。お互い、自分が譲っているのに相手が譲っていないと思っているところがあるかもしれません。妥結に向けてどういう努力ができるのかということに取り組んでいくということと、それから、もうここまで来ますと、どうしても譲れない部分というのが必ずありますから、そのどうしても譲れない部分というものをお互いに理解するということが大事であります。日本としては、できる環境整備は最大限もうやってきたと認識いたしております。
(問)2点ありまして、まず一つは、選挙の情勢調査、各社とも300議席を超える勢いであるという報道がなされていますけれども、この点についての御見解を一つお願いします。
 あと、もう一つは、麻生財務大臣が子供を産まないのが問題だということをおっしゃって、要するに、社会保障費を賄う上で少子化が問題で、その原因が女性にあるように受け取れられる発言をされていましたが、この発言についてどうお考えになっていらっしゃるかということ、2点教えてください。
(答)マスコミ調査で自民党がかなりの勢いということでありますけれども、どうしてもこういう報道が出ますと、報道による反動減というのもありまして、これが少し現れているようでございます。1次調査、2次調査を比べると、2次調査の方が悪くなっていますから、これは警戒をしなければならないと思います。
 何より大事なことは、日本がデフレから脱却する最後のチャンスで、これを失敗すると、それ以降は今まで以上に大変になるという認識を持たなければならないですし、我々が持っているその認識を国民の皆様と共有しなければならないと思っております。しっかり訴えていきたいと思います。
 それから、麻生副総理の発言ですけれども、麻生副総理は御自身でよく理解されながら、時々、てにをはの使い方が間違ってしまうということがあります。産まない方がではなくて、産めない環境が問題なのだということであります。子供が欲しいのに、こういう現状で、欲しいけれども産めない、こういう問題があって産めない。それを一つ一つ解決していくのが政治の務めだと思います。子供を欲しいというのは、私自身を振り返ってみて、やはり子供を生み育てるというのは大変なことです。大変なことですけれども、世の中で一番、やはり私は振り返って喜びを感じることです。その喜びをみんなが持てるように、問題があるならば、それを取り除いていくというのが政治の役目だと思います。麻生副総理は、てにをはの使い方を少し誤ったかもしれませんけれども、思いは我々と共通だと思っています。子供が欲しいという人に、その夢をかなえたいと思っています。

(以上)