甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年11月25日

(平成26年11月25日(火) 11:11~11:20  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告申し上げます。
 景気は、「個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いている。」としまして、先月から判断を据え置いております。
これは、消費者マインドの弱含みなどを背景に、個人消費の持ち直しの動きにこのところ足踏みが見られる一方で、雇用情勢が改善傾向にあることなどから、景気の緩やかな回復基調が続いていることを踏まえたものです。
 先行きにつきましては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし消費者マインドの低下や海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。
 政府といたしましては、経済再生と財政再建の双方を同時に実現していくこととしておりまして、このために、いわゆる「骨太方針2014」及び「『日本再興戦略』改訂2014」を着実に実行するとともに、産業競争力会議や、政労使会議での議論などを通じまして、好調な企業収益を、設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等につなげることによりまして、地域経済も含めた経済の好循環の更なる拡大を実現してまいります。
 また、経済の好循環を確かなものとし、地方にアベノミクスの成果が広く行き渡るようにするために、経済対策の取りまとめに向けた準備を進めてまいります。
 日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告について、GDPとの関係ですけれども、2四半期連続でGDPがマイナスになっています。この間も月例経済報告では、緩やかな回復が続いているという見方を示してきましたけれども、過去の月例経済報告の判断と考えてみると、少々下げ遅れた感があるのではないかと思いますが、その辺はいかがかでしょうか。また、消費者マインドについて、今、足元が下がってきていますが、これまでアベノミクスではマインドを重視されてきたと思うのですけれども、消費者マインドが、アベノミクスが始まった12年の年末ごろの水準まで下がってきていることについて、アベノミクスが転機を迎えているのではないかとも感じますが、その辺のお考えをお聞かせください。
(答)まずGDPが2四半期マイナスを示している。基調は緩やかな回復ということをどうとっているかということであります。
 アベノミクスはどういう手順をとるかといいますと、企業業績を拡大させる環境を作る。それが経済けん引役である消費とか地方経済、そこに波及していく効果を狙っているわけであります。
 企業収益は24%の改善をしている。そして、利益率で見ると60年間で最高値を示しているわけであります。それが雇用環境や賃金の改善に向かっているかどうかというところが一番大事な基調です。
 7-9月期の数字の中でも、名目の雇用者報酬につきましては、2.6%前年度同期比プラスです。これは17年ぶりの改善であります。つまり、賃金がきちっと改善をしてきている、企業業績が賃金にはね返りつつあるわけです。ただ問題は、何が問題かというと、消費者マインドが、このまま本当に賃金が連続的に上がっていくのだろうかということに対して懐疑的になっていることです。ですから、企業収益が賃金改善に向かっているにもかかわらず、1回切りで終わってしまうのではないかという不安が、消費の財布のひもを締めているということです。そこにしっかりとフォーカスを当てなければならないわけです。
 雇用者数は相変わらず伸びているわけであります。政権交代して以降、雇用者数の改善は136万人です。前政権下の3年3カ月、安倍内閣にバトンタッチをする直前まで、麻生内閣からバトンタッチをした後から比べますと1万人の増加でありますけれども、安倍政権ができて136万人の増加になっています。そういう基調を素直に見るということが大事だと思っております。
 それから、消費者マインドの下げ、デフレマインドを払拭するということを掲げているわけです。このデフレマインド、これは消費税の分を引いて、物価は1%近傍で上がっています。これ、2%近くまで上がっていくようにしていくというのが目標であります。
 要は複合的要素があります。物価が上がっていって、賃金がそれをオーバーライドしていくと、そういう完成形ができ上がりますと、経済規模は大きくなっていくわけです。民主党さんが、我々のときには実質賃金が上がっていたとおっしゃいましたけれども、それはデフレ下なわけです。実際に入ってくる給与額は減っているのに、物価がもっと減っているから、実は実質上がっているのだと。でもこれは経済規模がどんどんシュリンクしていく中での現象であります。こんなことは続かないのです。
 経済規模がシュリンクしていくと、財政の再建も社会保障の持続性も崩壊してしまいます。そこにしっかりと焦点を当てなければならない。問題は何かということをしっかり見極めた上で、対策をとっていかなければいけないです。
 今、実質総雇用者所得は消費税上げ分、ワンショット分を差し引くと6月から連続して上がってきています。名目総雇用者所得が連続して上がってきている。そして消費税分を差し引いた実質もプラスになっている。この次に何をするかというと、消費税分の影響も含めて実質をプラスにしていくということです。手順がどんどん進んでいくというこの経緯を評価することが大事です。
 この経緯が失速してしまったら、それは、アベノミクスは頓挫したという評価は正しいのかもしれませんけれども、アベノミクスは瞬時に全部どんと一遍によくなるというわけではないです。そんなことは不可能ですから、順を追って循環をしていって、それが全国津々浦々へ届いていく。そのための時間が欲しいということです。
 消費税をインターバル1年半の間に2回上げると、下振れ圧力が強くなり過ぎてしまう。だから、消費税分をオーバーライドできるような時間的余裕をくださいということです。アベノミクスは順調に進んでいるということです。

(以上)