甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年11月21日

(平成26年11月21日(金) 9:49~10:12  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からはありません。

2.質疑応答

(問)消費増税後の消費支出を、過去の消費税率引上げ時と比べますと、総務省のデータによれば、今回は割とマイナスが深いと思います。大体前年比5%程度で4月以降推移しています。過去の消費税率引上げ時に比べて消費支出の落込みが激しいのは、やはり増税だけではなくて、リフレ政策による円安がかなり実質所得に効いているという見方もあると思いますが、御所見をお願いいたします。
(答)一言で言えば、デフレマインドが払拭されていない中で、消費に下振れ圧力をかけるということの影響が、そうでない平時よりも大きいということだと思います。前回の引上げ時はレベニューニュートラルだったはずです。そういう環境もあろうかと思います。導入時には実減税額の方が相当あって導入したという経緯があります。そういう環境もあろうかと思います。ですから、今回、総理が再引上げについて、余りにもインターバルが短過ぎるという中で、法律に規定してあるからといって、オートマティカルに導入するのは危険であり、しっかりそれを乗り越えるだけの体力をつける時間的な余裕が欲しいということで延期を決められたわけです。更に言えば、延期ばかりが目につきますけども、1年半延ばしたその先に必ずやるということを宣言しているということを忘れてはならないと思います。そこまでに賃金上昇が物価上昇を超えていくような環境をつくって、いわゆるデフレマインドが払拭した中で再引上げを行っていくという、このスケジュールと決意を総理が示したということであります。かなり綿密に精査してタイムラインを決められたと受け止めています。
(問)先程、閣議で解散が正式に決定されました。この選挙戦を通じて、国民に何を一番訴えていきたいですか。
(答)アベノミクスが頓挫したとかしないとか、いろいろなことを言われています。しかし、経済の再生はもうこの道しかないということで、内閣としては退路を断ってこの道を選んでいるわけであります。そのことを国民の皆さんに理解していただきたい。安倍内閣の責任というのは、安倍内閣がデフレ脱却に失敗したら、これから先のデフレ脱却の可能性まで奪ってしまうという決意を持って取り組んでいるわけです。ですから、デフレの脱却に失敗したら退陣すればいいという、そんな簡単なものではない。我々がデフレ脱却に失敗したら、次の内閣もそれは難しくなってしまう。ですから、デフレ脱却の最後のチャンスを与えられている。それはやはり15年以上続いてきただけに、いかに難しいかということは身をもって感じていますけれども、しかし、できないかといえば、できつつあるわけです。1年や1年半で20年近いデフレからさっさと脱却できました、消費税も2倍に上げることができました、そんな芸当ができれば、こんな簡単なことはないわけですけれども、それができないから20年続いてきたわけです。しかし、デフレ脱却の芽は出てきたわけでありますし、光明は見えてきたし、いろいろな指標、経済指標、雇用指標が、過去に例がないくらい好転しているわけです。ただし、これを更なる下振れ圧力によって頓挫させてしまっては元も子もないということです。そのことをしっかりと国民の皆さんに、有権者の皆さんに理解していただきたいと思います。景気回復はもうこの道しかない、経済の再生は、この道しかないのだということをしっかり訴えたいと思います。
(問)2020年の問題についてお伺いします。総理が、2020年のプライマリーバランスの黒字化の道筋について、来年の夏までに示すと。昨日、菅官房長官は、プライマリーバランスがゼロになる姿を夏に示すというお考えを示していますが、消費増税が先送りになり、それから、昨日、軽減税率を与党の税制調査会で決めました。法人減税も進めるという中で、11兆円以上の要対応額が生じる可能性があると思うのですが、これを描くには、相当大変な作業が待っているのではないかと思うのですけれども、どうお考えになっていらっしゃるのか、更なる増税を含めて可能性を検討せざるを得ないのではないかと思うのですが、どうお考えになりますか。
(答)2020年までにPB赤字をゼロにして黒字にしていく分岐点とするということについて、総理は明確にコミットされたわけです。そして、その道筋について、来年の夏までに明示するということを約束いたしました。現状でも、2015年以降、これは自然体でいくと、国と地方、オールジャパンの規模で言うと11兆円のまだマイナスがあるわけです。これは2015年までは財政再建に向けてのいろいろな努力をして、半減に導いていきますということです。それ以降は、そのままの自然体で物価の上昇にあわせて自然体で計算をしているわけです。ですから、それから先の努力ということを具体的に設計していかなければならないと思います。歳出の削減については、社会保障も聖域とせず、しかし、質は落とさない、重複、無駄を省いていく、効率的にしていくということで、医療・介護情報等の見える化を図っていくことに今挑戦しているわけです。かつて我々が行革に頓挫したときには、強制的に有無を言わさず、毎年2,200億ずつ力ずくで削っていくと、そういうことから、いろいろな支障が出てきたわけです。今度は、例えば、頻回受診や重複受診など、むしろあってはならないことを見える化によって省いていく。それから、健診情報を活用して、先回りして病気に備えるという、かつてトライできなかったことにトライしていく。それは医療や介護の質を落とすことには全くつながらない。質を確保したまま重複を排除していく、あるいは効果的な治療法を先回りしていくということに挑戦していくわけです。そういう努力を織り込んでいくと、自然体とどう変わるのかという道筋を示さなければならない。
 軽減税率の話は、与党内の専門家チームが具体的な設計をしていきます。もちろん何を10%になった先に軽減対象にしていくかによって、金額は大きく変わります。現状でも消費税の影響を考慮して対応しているものもあります。1,500億プラスアルファぐらいで対応しています。そういうもろもろのものが、新しい制度ができたときには置き換わっていくわけでありますから、単なる歳入が減るということではなくて、いろいろ出っ張り引っ込みの調整もあるわけです。経済の規模を大きくして、歳入をどこまで増やしていけるのか、連立方程式になるわけでありますけれども、効率を一番いいところに持っていくという作業が、道筋を描く来年の夏までにでき上がるということだと思います。単に現状の延長線上で、軽減税率で幾ら減るであるとか、あるいは行革で幾らカットしなければならないので、これは行政サービスの質を落とすことだと一概に言う話ではなくて、今までにない、あらゆるICTを使ったやり方であるとか、あらゆるやり方を導入して、予算効率を上げていくという中で、絵図を書いていきたいと思っております。
(問)前回の第1次安倍政権のときは、「骨太2006」の大臣おっしゃった2,200億円がかなり、ある意味、足かせとなって、政権の失速につながった部分もあると思うのですけれども、今回はそういうやり方はしない、しかし、ある程度数字を出して行革をしたという形をとった上で、それでも足りない部分については、増税をお願いするなり、負担増をお願いする、そういうイメージを私はしていたのですけれども、そういうイメージではないということでしょうか。
(答)まず、10%に上げるということは、内閣としての決意であり、具体的にコミットしているわけです。その中でできることを最大限やっていくということだと思います。10%から更に引き上げていくという議論をされる方はありますけども、内閣としては、2020年までに今の10%体制で、PBの黒字化に向けて目標を設定できるように、最大の努力をするということだと思います。
(問)足元の経済対策で、景気対策として地域商品券の発行支援であるとか、消費の直接手当というところを検討されているかと思います。改めて選挙も近いというところもあるのですが、これまで政権はデマンドサイドからの経済政策というのを訴えてきたわけだと思うのですけれども、これは余り長期化すると、今までばらまきと批判してきた民主党の方法と変わらなくなってしまうようにも見えるのですが、そこら辺のお考えを教えてください。
(答)消費税導入後に景気の回復がずれ込んでいる。消費のGDPに占める割合は極めて高いわけですから、それの回復力が弱いというところに、かなりポイントをあわせる。それから、地方創生では、仕事づくりということが大事ですから、地域の産業をどう振興していくか、あるいは地域の産業のもとになるものをどう産業化へ活用していくか、そういうところにフォーカスを絞った経済対策にしているわけです。今の消費刺激、デマンドサイドを刺激するということについても、一律的に地域振興券のようなものをばらまく場合には、確かにばらまきと言われるかもしれませんけれども、どこの所得層が消費を抑制し、生活防衛に入っているかということにしっかりポイントを合わせた対策になっていくのではないかと思います。ですから、一律方式はとらないことになります。消費税増税による景気回復の遅れはどこにどういう原因があるかということを分析した上で、そこにピンポイントで対策が当たるようなやり方をしていきたいと思います。
 あわせて、やはりサプライサイドの生産性向上が大事です。これは政労使の会議でも、組合側からも、今や労使一体で国民運動として生産性向上に取り組んでいくときだと、戦後の一時期、日本経済の復興に向けて、労使が一体で生産性向上を、国民運動として行った。その第2弾を、今やるべきではないかというのが、組合からも提起されています。これは大変前向きな提起だと思います。それに向けて、サプライサイドを中心に、日本国経済の生産性を上げていくということに取り組んでいく。そして同じく、アベノミクスの最終章というのは、イノベーション立国でありますから、世の中を変えるようなものやサービスが、次々と日本から世界に向けてデビューしていくという国にしていくということであります。そういう構造改革についても、既にかなり完成形に近づいております。それらができ上がるときに、きちんと消費税を10%に引き上げられるという環境が整うと思っています。
(問)先程、20年度のPBの目標達成の話で、消費税率を更に10%より上に引き上げる再増税というのは、少し言い方は微妙だったのですけれども、今の10%の体制の中で、PBの黒字化に向けて目標を設定できるよう最大限努力したいとおっしゃられた意味というのは、一応10%超への更なる増税というのは前提としない上で、2020年度の目標を達成するように努力したいと、そういう意味だということですか。
(答)そうです。
(問)今日解散ですが、もし大臣がネーミングされるとすれば、何解散というのか、お考えをお聞きしたいのが1点。
 もう一つは、デフレマインドの脱却ということですが、国民としては、将来的な不安というのを取り除かないと、将来にわたってずっとよくなっていくというイメージがないと、仮に賃金が増えても消費に回らないということがあるのではないかと思うのですが、その辺どのように信頼性を持ってもらうかというのは、お考えがあれば教えていただけないでしょうか。
(答)後段からお答えします。おっしゃるとおりです。総理は、この間の政労使のときに、今年は好循環が1巡をしました、来年も再来年もずっと循環が回るようにしていくのですというように宣言されました。この最初の一押しは、雪だるまも人為的に押さないと転がっていかないということを前に申し上げたと思います。1巡の回り方はまだ自動回転するところまでいっていません。2巡目も政府がかなり関わって押していきます。そして、これがやがて人の手を離れて、自分で回り始めるというところまではしっかり環境づくりをしていくということが大事で、自動回転が始まるということを国民の皆さんが、消費者の皆さんが肌感覚で感じたときに、それはもうたくましい成長経済につながっていくと思っています。そういう環境ができるまで我々は決して手を抜かないということです。
 最初の質問の何解散と命名しますかということについては、「この道しかない解散」です。
(問)「この道しかない解散」、何か大臣の言葉にしては普通な感じですけれども。
(答)すみません、御質問が出ることがわかっていればキャッチーなコピーを考えてきたのですけれども、今思いつくのはこんな感じです。
(問)為替の方ですけれども、119円近くまで突っ込んできているのですけれども、幾らなんでも行き過ぎではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
(答)経済閣僚の私が発言すると、すぐ市場に反応が出ますから、それは控えますが、為替というのは時間をかけて実体経済のところに収れんしていくものです。実体経済を過大評価しているか過小評価しているかの為替の変動はありますけれど、最終的には、実体経済と見合った為替レベルに収れんしていくものだと思っております。
 安倍内閣がなすべきことは、実体経済を強くしていくことであります。それにふさわしい為替に最終的に収れんしていく。今が過大評価か過小評価かは申し上げません。

(以上)