甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年11月18日

(平成26年11月18日(火) 9:11~9:24  於:官邸エントランスホール)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今日、総理が増税の先送りを判断して、解散を表明するという報道が大勢を占めていますけれども、それについて改めて大臣からございますでしょうか。
(答)総理がどういうお話をされるかは、その時にならないと分かりませんけれども、とにかく消費税に対して法律が決まっていることを変えていく際には、内閣の方針を示されて、国民の理解を得るという行為、それは適切な行為だと思います。ただ、総理がどういう対応をされるかは、まだ総理と話をしているわけではありませんから、見守りたいと思っています。
(問)消費税の引上げを延期するという見方が強まる中で、今日、点検会合が最終日を迎えますけれども、この会合の意義について疑問を呈している声も聞こえてきますけれども、改めて意義についてお願いします。
(答)総理が消費税についてコメントをされているわけではありません。ただ、いろいろ報道がそういう環境を作っているというところがあろうかと思います。もともと内閣としては前回引上げを判断した時のように、有識者・専門家から、それぞれの専門的知見に従ってお話を伺う。併せて前回と今回の肌感覚の違いというものがあると思いますので、直近の変化も含めてコメントをいただく。それを参考材料の一つとして、総理が総合的判断をするということになっているスケジュールの中で行われていることであります。
 ただ、引き延ばしがあたかも既成事実のように報道されたということ、そういう環境の変化があったということは、別に意図的にそうしたわけではありませんので、スケジュールに従って、この点検会合が終わる前に、総理はそういう判断を下されることはないということでありますから、今日の話を私と財務大臣とでしっかり承って、総理にこれまでの5回にわたる集中点検会合の識者からのコメントを総体的にお伝えするということであります。
(問)昨日の点検会合の中で、仮に先送りした場合に景気弾力条項をどうするべきか、二つに意見は分かれましたが、今後1年半とも言われている先送りの中で、次は確実に増税すべきということを政府として言っていくべきなのか。それとも景気によって柔軟に判断ができるようにすべきなのか。総理の判断だと思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。
(答)まず、時期を明示することは必要だと思いますし、総理のご判断も、仮に延期する場合にも、いつやるか分からないという延期の仕方はされないだろうと推測いたします。
 景気条項を入れるか入れないかという話は、一つは財政再建に対する信頼度の問題と、もう一つは景気環境が悪くてもかまわずに引き上げるとしたら、より失速してしまうのではないかという懸念、この二つをどう折り合わせるか。折り合わせた結果について、政府はどういう姿勢で臨むのかということだと思います。それは総理、それから副総理・財務大臣が景気の見地、それから財政再建の見地から、最終的に話し合われるのがいいと思いますし、おそらくそうされるのではないかと思います。
(問)経済再生の担当大臣としてのご意見もあるかと思いますが。
(答)お二人の議論を制約するような発言は、ここではしないでおきます。
(問)仮に増税を予定どおりやらない場合は2015年度予算と2016年度予算の増税の充実分ができなくなるというか、一部できなくなる可能性がありますが、それは、仮に増収がなくてもやるべきなのか、それともそうではなくて、基本的にはやらないという方向で考えるべきなのか、大臣のお考えは。
(答)総理ご自身は、社会保障の充実に関して非常に注意を払っておられます。財政でできること、財政再建との絡みがありますから、その範囲内で適切に対処されるのではないかと思います。
(問)そうすると、プライマリーバランスの半減というのは、来年度は基本的にやるべきだとお考えですか。
(答)消費税を予定どおり引き上げない場合には、歳入として見込まれた分が見込まれなくなるわけであります。その中で社会保障の充実をどこまでやるのかやらないのか。その際には、2020年はともかく2015年のプライマリーバランスの赤字の半減については、もう目前に迫っている目標であります。それについて、総理は財政の健全化についての強い意欲をお持ちですから、どこまで整合性がとれるのか。それは税収の上振れがどこまで見込めるのかや、税外収入のカウントの話など、いろいろ財政技術上の問題になると思われます。そこは総理の思いと財務大臣の財政の技術的な問題、このすり合わせが必要だと思っています。
(問)今年度の補正の規模は一部2、3兆円という報道があります。これについてはどうお考えですか。
(答)規模については、まだ総理から具体的なご指示がありませんから、総理の大枠の考え方の中で設計をしていく。総理からそういうご指示があったら、その枠内で財務大臣と設計をしっかりしていくということだと思います。
(問)政労使会議ですが、一部報道等で明日行われるそうですが。
(答)よく消費税率引上げ判断を延期するのであれば、それはアベノミクスが失敗したからだということをおっしゃる方があります。一方で、アベノミクスはうまくいっているけれども、しかし、消費税のインパクトがデフレを脱却していない中では大きいということがはっきりしたのだという報道があります。私は後者だと思います。
 大事なことは、好循環が回っていなければ、アベノミクスは失敗で、好循環が回り始めたら、アベノミクスはうまくいっているということです。好循環は回り始めているわけです。各種データからいって、雇用が非常に堅調である。それから企業収益が史上最大規模になっている。それから企業収益が賃金に跳ね返るという動きも始まっている。まだ完全に行き渡っていないところが問題で、完全に行き渡っていない時に消費税を上げるとかなりインパクトがあるということがはっきりしたわけであります。
 でありますから、政労使の会議というのは、総理もおっしゃっていますけれども、本来は政府がこの種のことに介入すべきではない。しかし、経営側にとっても、働く側にとっても、あるいはステークホルダー、中小企業関係者にとっても、好循環を回していくことが全てに対してWin-Winの関係になる。そのために好循環をしっかり回していって、それが消費者全体に実感された時に、デフレは脱却されるということでありますから、政労使の会議の中でも、総理は極めて意欲的に、本来は政府がやるべきことではないにしても、好循環を回していくことに政府が強くコミットしていくという意味で、いい意味での働きかけをしていくという意思をお持ちです。
 それを関係者が理解するならば、経営側はそれなりの行動をとってくださるでしょうし、労働側は労働生産性を国民運動として上げていく。この間、一部労組からも表明がありましたけれども、そういう日本の産業の生産性を労使一体で上げていく、国民運動として上げていくことに労働側も関わるということで、政労使一体とした認識の下に、日本の経済力、国力を取り戻すということに前進を始めていくのだと思います。これは一部動きが始まっていますから、これをしっかり完結させることが大事で、そういう思いを総理や政府側、経済財政諮問会議側のメンバーは述べられるのではないかと思います。それに対して関係者が前向きに捉えてくださることを期待するということです。
(問)具体的には賃上げを要請なさるということで宜しいですか。
(答)それは我々も期待しているところです。

(以上)