甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年11月4日

(平成26年11月4日(火) 8:57~9:18  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からはありません。

2.質疑応答

(問)今日から消費税率引上げに関する有識者からのヒアリングが始まりますが、改めて、どういう位置づけで、どういう議論を期待されているでしょうか、お聞かせください。
(答)まず、現状の経済状況をそれぞれの専門分野から見られた状況を伺いたいと思います。あわせて、消費税率の引上げについてのお考えも当然伺うことになると思います。ただ、これが判断の全てではありませんので、経済指標、あわせてそれぞれの分野における肌感覚を伺うということで、判断材料の一つと捉えております。できるだけ多くの指標を揃えまして総理の最終的な判断に資するようにしたいと思っています。
(問)TPPに関して、5日から東京で市場アクセスの協議が始まりますけれども、一部で10日とも報じられている首脳会合の開催というのは調整が進んでいる、開催が決まっているのでしょうか。
 また、フロマン米国通商代表はAPECの場が最終的な交渉を行う場にならないという認識を示しているのですけれども、年内の大筋合意に向けて、現状認識と見通しというのはいかがでしょうか。
(答)まず、北京でAPECに関する首脳会議があるわけですけれども、その際に、TPPに関する首脳会議があるかどうかはまだ正式決定には至っていないのではないかと思います。いろいろ非公式に聞こえてくることはありますけれども、正式にあるのであれば公式な発表があると思いますが、現時点では承知いたしておりません。
 それから、北京において大筋合意が可能かどうかについては、大筋合意ということの正式な定義が定かではありませんけれども、市場アクセス、ルール、双方に関して政治的な部分は決着がついて、後は事務的なすり合わせを残すのみということであるならば、北京において大筋合意ということはなかなか難しいと私も思います。
(問)今日、ワシントンのホワイトハウスの報道官が、「TPPに関しては、オバマ大統領がアジアを訪れている間に通商交渉で大きな進展があると予想していない」とはっきりと述べているということですけども、大筋合意がなかなか難しいということであれば、大臣は今回、何を目標に、日米、また各国との交渉に臨むのでしょうか。
(答)日米にまだ政治案件が残っているわけでありますけれども、日米の政治案件のメドがつけばいいと思っております。そうしますと一挙にそれ以外の二国間の案件は連鎖的に収れんしていくという可能性がありますし、並行してルールについて各国の背中を押すことができるのではないかと思います。ルールについて日本は優等生であります。ルール全般を見越して日本以上に改革、開放が進んでいるという国はトータルとしてはないと思います。その日本が先導的な役割を果たさないと、なかなかオバマ政権が想定しているような、政権が力を発揮し得るうちに取りまとめたいという方向には、日本の貢献がないといかないと思っております。そういう意味で、日本が早くルールについて指導的役割を果たせるようにしていかなければならないと思っています。
(問)今日、アメリカの中間選挙がありますけども、何度か大臣はおっしゃっていますが、中間選挙が終われば、日米の交渉が進む、後押しをする要因になるとお考えでしょうか。
(答)やはり選挙前というのは、いわゆる投票箱が閉まるまでは、ステークホルダーと候補者との関係がなかなか難しい。候補者が自身のTPPに対する理想をそのまま体現して、行動に移していくという環境、それは選挙後の方が行動はとりやすいのだと思います。
(問)そうすると、北京で日米合意を目指すということなのでしょうか。それから、もしそういうステップを踏むのだとすれば、年内にもう一度、年内合意のために首脳会合等を開ける、そのようなタイミングがあるという理解でよろしいのか、この2点を教えてください。
(答)年内に日米合意を着地させるというのはなかなか難しいと思います。ただ、私とフロマン米国通商代表がどうしても決着しなければならない案件は山を越すことが必要だと思っています。事務的にすり合わせるところ、そこでぶつかっているところは、その後もあるのでしょうけれども、大臣同士が乗り出していって処理しなければならないところは、年内に全部処理しておかないと、なかなか残されている案件が多いですから、ルールは残りますから、日米の市場アクセスにかかわる部分について、閣僚同士でどうしても詰めなければならないところについては、残されている問題を処理したいと思います。それがイコール日米完全合意ということではありませんが、あとはCN(首席交渉官)以下が汗をかけば何とか着地点にたどり着くというような道筋はつけないと、この交渉はなかなか難しいと思っています。
(問)消費税ですが、昨日、浜田内閣官房参与が記者団に対して、1年半延期論を言われて、今まで慎重だった人がかなり延期論に傾いたということで、これをどう見ていらっしゃるかということと、もう一つ、仮に延期するとなると、自民党のかつての公約や3党合意との関係で、約束したことと違うのではないかという声も出るかもしれないと思うのですが、その辺についてどうお考えになっていらっしゃるかということを教えてください。
(答)総理が法律どおりに決断をするか、あるいは延期をする判断をされるかは全くニュートラルで、どちらとも言えない状況だと思います。ただ、無期延期であるとか際限なく何回も延期するということでは市場の信頼を得られないと思います。そこをどう総理が最終的に判断されるのか。そして、法律どおりに実行する場合は、7-9月期の民間予測がかなり下がってきております。安倍内閣の最大のミッションは、デフレ経済からの脱却でありますから、それが根底から覆されてしまうと、何のためのこの1年10カ月かということになるわけであります。そこは総理にとっては悩ましい判断ですが、とにかくデフレの脱却を根底から揺るがすようなことだけはしたくないということで悩まれているのだと思います。
 どちらの選択をする場合にも当然リスクがあります。予定どおり実行する場合もリスクがあるし、実行しない場合もリスクがあります。要は、どちらの選択をした場合も、リスクの顕在化を抑えるというような具体的な手だてをその判断の時に準備しておかなければならないと思います。
 今後、17日公表の7-9月期の一次QEや、それ以降の各種経済指標がある程度揃った時点で、有識者会合もありますけれども、それらが揃った時点で総理が最終的に決断されると思います。もちろん予算編成に支障を来さないように、各省はどちらの場合も対応できるような心構えはしておかなければならないと思います。
(問)先ほどの話にありました、今月17日の7-9月期の1次QEや各種経済指標ということですけれども、今後定例で毎月出ている経済指標がいろいろあると思うのですが、具体的に何か注目したい経済指標があれば、民間予測がだんだん下がっている中で、特にこの点を注目したいというのがあれば教えていただければというのが1点。あと、今日のニューヨーク市場では、一時114円台まで行きましたけれども、それについての受け止めについてお願いいたします。
(答)17日の一次QEは極めて大きな要素であります。それ以外に、月次で報告が上がってくるものもあれば、週次データも取っているところであります。恐らく参考にされるのだと思いますけれども、12月1日には法人企業統計があります。再三申し上げていますとおり、法人企業統計というのは、二次QEの大きな要素になるわけであります。法人企業統計あたりまでは、子細に経済指標を検討する必要があると思います。
 114円をつけた円についての評価であります。現象面として、アメリカが出口戦略を行う。つまり、金融緩和を手仕舞していく方向を明確にとったわけであります。一方で、日本は第二バズーカと言われているサプライズ、金融緩和の方向です。金融が片や手仕舞、いわば方向性としては引締め方向に向かっている、片や、緩和方向に向かっている。日米間の方向が真逆に向かっているということであるならば、当然、為替にはこのような現象が出ると思います。それも含んで総裁は金融政策決定をされたのだと思います。
 一番の問題は、円が安くなってくれば、輸入物価の高騰につながる。そこで一番大きな要素はエネルギー価格ですが、原油が80ドルを切っております。かつて100ドルだったものが2割以上下がっているわけであります。でありますから、この金融政策の方向性が日米で真逆の方向に進んでいるということの影響を、原油価格が2割以上下げているということは、緩和要因になっていると思います。そういうもろもろの中で、許容範囲として金融緩和第2弾をやられたのだと思っております。
 為替レートについていろいろおっしゃる声は聞こえてきます。ただ、私の方から、これが適切か適切でないかということは申し上げない方がいいかと思います。
(問)確認ですが、消費税判断で使う指標について、これまで大臣がおっしゃっていた、12月1日の法人企業統計までという、それは変わらないということでよろしいのか。17日の一次QEで決めてしまうということに変わったというわけではないということでよろしいですか。
(答)皆さんは、もう大変な緊張感で、他社に抜かれないように一生懸命、アンテナを張っていらっしゃるのだということはよく理解できますけれども、総理御自身が最終判断は法人企業統計まで考慮に入れたいと思われるのではないかと思います。具体的に総理にいつお決めになりますかというのは聞いておりませんが、総理の御発言で、完全ニュートラルと、今までいろいろニュアンスを述べられているのは、それ以外の環境が引上げありきという方向に進んでいくとするならば、それをニュートラルに戻さなければならないという思いを強く持っておられるのだと思います。とにかくどちらに判断してもいいようなスタンスでいるということだと思います。再びデフレに戻ってしまわないということは、総理の中で判断する最大要因になっておられると推測いたします。
(問)為替を受けてと思うのですけれども、日経平均株価が1万7,000円を先ほど超えまして、その辺、御評価はいかがでしょうか。
(答)株価についても極力語らない方がいいのかもしれませんが、低いよりは高い方がいいと思います。第二甘利ラインの発表はいたしません。

(以上)