甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月30日

(平成26年9月30日(火) 10:58~11:14  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から2点の報告がございます。
 まず、麻生大臣、小渕大臣と合意いたしました成長資金の供給促進に関する検討会につきまして、第1回を来週の10月8日に開催することといたしました。この検討会は、中長期的な生産性向上に資する分野の強化のために、中長期の融資などの成長資金の供給促進について検討するという場であります。
 検討対象となる成長資金の調達手法は、融資と株式発行が対象となるのはもちろんですが、海外でよく用いられる融資と株式の中間形態、メザニンと呼ばれるものでありますが、これも対象となります。
 この融資と株式の中間形態の具体的な例といたしましては、グーグルなどの発行している優先配当権付きの議決権のない株式などの種類株の上場などがあります。
 企業再生のために、例外的に、地方銀行が一時的に5%を超えて、会社の株式を所有する規定の運用緩和についても議論したいと思っています。いわゆる5%ルールの運用改善です。
 それから、地方銀行が融資をするときに例えば政投銀や商工中金などの政策金融機関が協調融資をすることで地方銀行が融資をしやすくなるということであれば、そういう点についても議論したいと思っております。もちろん民業圧迫にならないように考えるということであります。
 検討対象とする金融機関も、メガバンクや地銀、信用金庫、ファンド、政策金融機関など金融機関全般について検討いたします。
 もう一点でありますが、明日から10月でありますけれども、国民一人ひとりへのマイナンバーの通知まで、あと約1年になります。マイナンバーの利用実施は2016年1月からですけれども、その前に通知いたします。
 マイナンバー制度は全ての国民に関係するものでありまして、一般の方からの問い合わせにお答えするコールセンターを明日開設いたします。番号は、ポスターにありますとおり、0570-20-0178、0178でマイナンバーと読みます。また、マイナンバー制度を広く理解していただけるように、マイナンバーキャラクターのマイナちゃんのポスターなども活用して積極的に広報展開してまいります。報道機関の皆様におかれましても、マイナンバー制度の周知・広報に御協力をお願いいたします。
 詳細は内閣府番号制度担当室にお尋ねいただければと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)明日で消費税率が8%に引き上げられて半年が経ちます。足元の景気は、当初見込んだとおり想定内というものであるのでしょうか。
(答)経済というのはなかなかこちらの都合のいいとおりには動いてくれないということであります。若干反動減の収束に手間取っているということもあります。天候要因の要素はどうなのでしょうか、粗々にはじいてみてGDPを1.6ポイントぐらい下げるという試算もあるようですけれども、いろいろなことが重なっているということは事実だと思います。
 まだら模様でいいデータも幾つか上がってきています。家計消費でいえば、変動が大きい住宅等を外しますと、前月比プラスになりましたので、まだら模様でありながら回復基調に入っていく、これを期待したいと思います。
(問)女性の活躍についてお尋ねしたいのですけれども、今回、女性の活躍を促す新法というものを今国会に提出されるということで、その中に盛り込みたかった女性管理職の登用の数字の義務づけというのが見送られることになりました。その原因として、企業の反発があったということですけれども、経済再生担当大臣として、企業に対して、女性を登用することのメリットをどのように説明されますか。
(答)まず、法律で規定して強制的にやっていくという種類のものではないということは一部御批判のとおりだと思います。そのバックボーンとなる絶対数がうんと少ないと、その中から強引にパーセンテージを割り当てるというのは、確かに無理がありますけれども、しかし、完全に母数対登用数という関係ではなくて、それを少し踏み越えてでも率先してやっていくのだという姿勢が大事だと思います。そういう点では、内閣が自ら5人という女性の閣内登用をいたしました。これは国会議員の数からするとかなり踏み込んでいる数字であります。そこはこういう方向に行くのだという姿勢を示すことで、企業においても会社の運営を担当していくところを目指す女性が増えていけば、母数も大きくなっていくわけです。
 それから、もう一点の御質問ですが、女性の登用は我が国最大の潜在力と言っております。これは、女性の就業率が低い。ですから、ポテンシャルがあるということも一つありますけれども、それ以上に、ここはしっかり理解をしていただきたいのですが、ダイバーシティというか違った見方、違った感覚からクリエイティビティが生まれるという点を総理は強調されております。今までは、男性が全部同じ見方とは言いませんけども、ある角度で見ていて、そこに女性の見方が入ってきて、目からうろこみたいな現象が起きるわけです。そういうところからイノベーションが始まるという点で、新たな切り口で物を見る、違った角度から発想するという、そういう点を企業の、日本経済の潜在成長力として評価しているということです。量の面と、それから質の面と両方あるということです。
 これは言っていいか悪いかわかりませんけれども、私の娘はバリバリのキャリアウーマンですけれども、キャリアウーマンがみんな集まった席で、ことさら女性を登用してやるという姿勢自体がけしからんということを怒られまして、能力のある人は当然にチャンスが与えられるという自然体になったときに、初めて日本は女性に開かれた本当の国になるという指摘を受けまして、そのとおりでございますと頭を下げました。
(問)TPPですけれども、自民党TPP対策委員長が比較的慎重派と言われる森山さんに交代しましたけれども、今後の交渉への影響や、その受け止めをお聞かせください。
(答)こういう中で私が頑張っているということは、ぜひアメリカに放映をしてもらいたいと思います。
(問)引き続きTPP関連ですが、日米交渉が難航する中、今後どのような部分から打開策を見出していくおつもりなのか、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)交渉事というのは、通商交渉、外交交渉かかわらずお互い立場を思いやるというところからスタートするわけです。前回の12カ国の閣僚会合で、私は、ぎりぎり例外項目を狭める作業をずっとみんなしてきた。しかし、ゼロにはできない。もうここらでどうしても譲ることができないセンシティビティは、物品に限らずルールの分野でも各国持っているのだと。これは東南アジア、中南米諸国あるいはアメリカでも物品以外のルールまで含めれば譲れない、どうしても踏み込むことができない部分というのは確かにあるわけです。そろそろそれを認めつつ、野心を上げていくという方向にした方がいいということで、発言しましたけれども、それに賛同者が四、五カ国相次ぎました。ですから、そういう視点で相手の譲れない立場を認識しつつ野心を上げるということをお互いとっていかなければ交渉事はうまくいかないと思います。それに尽きると思います。
(問)今回デッドロックの打開には至らなかったということですけども、年内妥結の見通しというのはどうなのかということと、あとこれまでの発言の中で、日本側が柔軟性を示したということがありましたが、その柔軟性という言葉の内容について、具体的には難しいと思うのですけれども、国会や自民党の決議との整合性というのはどうなのでしょうか。
(答)国会決議との整合性をぎりぎり図りながら打開点を探すというのが、日本が探求する柔軟性です。おのずとそれには限界があるわけです。これ以上踏み込んだら国会答弁で決議を守ったとはいえないという限界点は当然出てくるわけでありますから、それをぎりぎり探りつつ協議するということであります。それぞれが相手の国だけがぎりぎりの限界点を探るのではなくて、交渉当事国、もう一方の当時国もぎりぎり限界点を探るという作業がないと、一方は要求するだけ、一方は譲るだけという交渉は成り立たないというのは交渉のイロハのイだと思います。
(問)年内妥結の可能性というのはまだあるのですか。
(答)それは各国の意思と努力によるものだと思います。
(問)配偶者控除の見直しについて、総理が経済財政諮問会議で指示していますけれども、一部報道で、これが年内の年末の税制改正には盛り込まないというのを政府・与党で決めたという報道がありますけれども、現状どのように検討しているのでしょうか。
(答)政府・与党で決めたという報告は受けておりません。物理的に作業が間に合うかどうかという議論はありますけれども、結論がそのように出たということはまだ聞いておりません。

(以上)