甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月9日

(平成26年9月9日(火) 10:53~11:12  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)TPPの事務レベルの交渉がハノイで始まっています。今日からは大江首席交渉官代理とカトラー次席代表代行の交渉が始まります。これまでのところで報告を受けているところがありますでしょうか。また、今回の課題について、改めておっしゃってください。
(答)ハノイでの交渉官会合の機会に二国間の交渉を精力的にやってもらいました。ほぼ全ての二国間会合で大きな前進があったという報告を受けております。どこがどういう具合にと具体的なことは、交渉の性格上、控えさせていただきますが、大きな前進であったと思っております。
(問)今日からの会合に望まれることは。
(答)オバマ大統領が11月大筋合意を宣言されて以来、各交渉担当者、そして各国大臣は精力的に努力を続けているわけであります。
 その際に、前にも申し上げましたが、二つのイベントが入ります。
 一つは、首脳合意するということは、その前に12カ国の大臣間で合意ができ上がるということであります。更にその前提として、TPP12カ国経済の8割を占める日米が大筋合意に至ることが必要ですから、日米閣僚会議が当然持たれるわけであります。
 その前提として、ここが若干日米で考え方が違うところでありますが、国際交渉の常道として、最終的な大臣折衝というのは、最後に残った政治判断をするところについて、ごく絞り込んで大臣間で最後の決着をつけるというものですけれども、アメリカのフロマン代表の考え方は若干違うようでありまして、とにかく交渉責任者が集まれば交渉が進むのだから、事務折衝で間合いがそれほど縮まっていなかろうと、大臣折衝に入るべきだという考え方です。その日米の違いというか、国際標準とアメリカ標準の違いと言ったほうがいいかもしれませんが、それがあります。
 私は再三再四、大臣は各部署担当交渉官ではないので、政治決着マターはできるだけ絞り込むべきで、事務折衝の先に大臣会合があるということを再三再四、再四再五、申し上げてきているわけであります。そうでないと、大臣交渉が決裂するということになってしまっては、決裂した交渉を修復する人がいないわけでありますから、そのメッセージをしっかり伝えているわけでありますが、それに従って、今日明日の日米事務レベル交渉が実りあるものになるということを心から期待いたしております。
(問)一時106円台ということで円安が進んでいますけれども、それに対する大臣の御所見についてお伺いをさせてください。
(答)為替レートがどれぐらいが適切かというのは、市場が決めるものであって、我々が誘導するものではないと思っております。日本のファンダメンタルズに沿った為替レートが定着していくことが望ましい。そして、特にフラクチュエートする、大きく上下に変動するということが、世界経済にとってもよくないことでありますので、市場が適切と判断したところで、しっかり落ちついていく、そこに収斂するということが大事だと思っています。
(問)その意味で、今のレートというのは適切なレートというふうにお考えでしょうか。
(答)私が適切とか適切ではないということは、市場に与える影響がありますので、言及しないことにいたします。
(問)明日、川内原発の安全審査書案が正式に決定されるということで、これまで原発停止が長引いていることによる経済への影響をどう捉えていらっしゃるのかということと、第1号の合格、正式に合格が出るということで、これからの原発再稼働についての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)まち・ひと・しごと創生本部がスタートし、担当大臣がアベノミクスのローカル展開をしていく際に、やはり地方から上がる一番大きな声として、エネルギー価格の上昇が、地方経済、我が国経済に与える影響が非常に深刻になりつつあるという警鐘が鳴らされています。
 一方で、この原因は、資源価格、エネルギー価格、円安により、円ベースではかつてより価格が高くなるということと、それから、原発が停止していることによって、電力の燃料コストが従来の2倍に上がってしまっているということ等が原因であります。
 さすれば、安全第一は政府として全く譲れないところでありますけれども、その安全第一をクリアしたものを、その次の段階で動かすか動かさないか。それは動かした方が、国民生活、国民経済の上からはプラスに働くに決まっているわけであります。しっかりとした安全基準のもとにこれを審査し、合格したものはしっかり動かしていくということが、地方経済、国民経済にとって資するものだと思っております。もちろん、所管大臣は地方の理解を並行して図っていかれることと思います。
(問)昨日のことで恐縮ですけれども、GDPの2次QEの結果についてですが、いろいろと数値も変わっているので、1~3月期など当初発表していた6.7%から6.0%のプラスに、大分修正されていると思います、駆け込み需要と反動減について、当初は大臣は、駆け込み需要が想定以上で反動減は想定内という認識だったと思うのですけれども、現状のところで認識はどのようなものかお聞かせください。
(答)駆け込み需要が想定以上、反動減が想定内というのは、私が申し上げているというよりも、自治体も含めて、民間、各地域から、そういう報告、声が多いですという紹介をさせていただいたわけであります。
 当然、駆け込み需要が大きければ反動減も大きいと。その反動減が修正された点は、設備投資が、法人企業統計を織り込んでみると、下方修正されたというところだと思います。
 ただし、消費の減退要因が週末ごとの天候不順ということでありましたけれども、これは特に家電製品等々、かなり直撃しているわけでありますが、この天候要因というのは一時的なものであります。ウォッチャーの見方も、反動減は収束しつつあるという報告をいただいております。
 それから、設備投資意欲はどうかといえば、企業の設備投資意欲は相変わらず旺盛にあるわけであります。
 そして、雇用も改善をしております。雇用者報酬については、賃金は17年半ぶりのいい数字が出ているわけであります。
 あわせて、企業の売上高利益率は5.2%であります。これは、統計をとって以来最高値であります。統計をとり始めたのは1954年でありますから、1954年、統計をとり出して以来の最高値を、企業収益、売上高利益率は上げているわけであります。ここがみそでありまして、需給ギャップが縮まりつつある、あるいは縮まったときこそサプライサイドの改革を行う。生産効率を上げていって、収益率を引き上げるということが大事です。
 今回の収益率が最高値を示した要因は多々ありますが、これは円安の影響で、海外収益の本社に返ってくる割合が増えたということもあるわけであります。
 さらにこれを本物にしていくために、サプライサイドの生産性を上げていく改革が必要であります。それをどう還元していくか。今までは、お金の価値が運用しないと下がっていく海外に投資をして、活用しなくてもお金の価値が上がっていく日本には投資が少なかった。これを国内投資に向けていく。あくまでも生産性を上げる、競争力を上げていくため、あるいは省エネ体質にしていくための投資を行っていくと。そして、賃金の改善に向けていく。あるいは、下請代金の改善に向けていく。これが好循環を回していくもとでありますし、企業収益が好循環を回していく原資になるわけであります。そこのフェーズ2が極めて大事だと思っております。
(問)テニスの錦織選手、残念ながら決勝で敗れてしまいましたが、その感想と、錦織選手が決勝に向かう前に、ニューヨークでも日本でも彼のユニフォームがすぐに売り切れるなど、経済的にとてもいい影響があったのですけれども、残念ながら2位ということで、経済への影響がどのぐらいあるのかは分かりませんが、その辺りの御所見があればお願いします。
(答)私は毎日、分からないながらCNNを見ています。CNNで日本の話題は意外と少ないです。しかし、錦織圭選手が勝ち進んでいくに従って、取り上げられ方は尋常じゃないです。完全に日本国のPR大使になっていただいていると思います。
 そして、彼の試合を見ていきますと、戦うたびに強くなっていくということを感じます。これは、すごいたくましさだと思います。
 今回は残念ながら決勝で敗れはしました。準優勝でありましたけれども、恐らくタイプの違う相手と対戦したから、2メートル近い身長で高速サーブですから、なかなか、粘り強く試合を対応していく中から相手のほころびを見つけていくという、ラリーに持ち込むことができなかったと。しかし、彼が高速サーブを克服する術を身につければ、必ず次は四大タイトルをとると思っています。
 日本の希望の星になっていただいたことに大変感謝します。
(問)TPPについて確認なのですけれども、先程、フロマン代表とは閣僚協議についての認識の違いがあるという話でしたけれども、フロマン代表からは、また閣僚会合を持とうという打診がもう既にあるのかどうかというのが1点。どういう回答をされているのかということと、大臣の認識では、今回の日米の事務レベル協議での進展次第では、なかなか、閣僚会合を開く環境は整わないという認識でいらっしゃるのかどうか。お願いします。
(答)二国間の閣僚同士の話し合いを持ちたいというのは、水面下で以前より私のところに来ております。そして、だからこそ、事務折衝が実りあるものになるように、とにかく現場の事務を担当する交渉官にマンデートを与えようということを言い続けているわけであります。私は相当なマンデートを交渉官に与えております。フロマン代表は「自分もそうだ、甘利と一緒だ」とおっしゃるのですけれども、私から見ると、本当に一緒かなという懸念があります。
 事務折衝の進み方について、ゼロ回答ということはないと思います。というのは、アメリカ以外の国とは、各国とも事務レベルで、終着が見えつつあるぐらい相当な前進をしているわけであります。相当な進展をしているわけでありますから、アメリカもそこの認識はあると思います。
 閣僚折衝で進むのではなくて、事実として事務レベルで進むのだということを認識してもらって、お互い、交渉官の背中を押したいと思います。そして、その先に閣僚折衝があろうかと思います。閣僚折衝が必ずできるように、後押しをしたいと思います。

(以上)