甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月5日

(平成26年9月5日(金) 10:50~11:03  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私の方から報告がございます。
 第2次安倍内閣の内閣改造に伴いまして、経済財政諮問会議の有識者議員をお手元の資料のとおりとすることといたしましたので、発表いたします。伊藤元重さん、榊原定征さん、高橋進さん、新浪剛史さん、経済界からは新たな有識者議員に御就任をいただき、学会からは引続きこれまでの議員にお願いすることといたしました。新たに就任をされる方々につきましては、今後所要の手続を経まして、近日中に正式に経済財政諮問会議議員として任命する予定でございます。
 これまでの有識者議員であります小林議員、そして、佐々木議員におかれましては、1年8カ月にわたり精力的にその任に当たっていただきましたが、引き続き産業競争力会議議員として御活躍いただきます。
 次に、同じく第2次安倍内閣の内閣改造に伴いまして、産業競争力会議の有識者議員をお手元の資料のとおりとすることといたしましたので、発表いたします。岡素之さん、金丸恭文さん、小林喜光さん、小室淑恵さん、佐々木則夫さん、竹中平蔵さん、橋本和仁さん、三木谷浩史さん、そして、三村明夫さん、以上の9名であります。
 榊原、新浪両議員が経済財政諮問会議の議員に就任されることなどを勘案しまして、内閣改造を機に成長戦略の着実な実行と更なる深化を図るために、一部の方々に引き続き議員をお願いするとともに、成長戦略について深い政策上の問題意識を持っている方々に新たに参加をお願いした次第であります。新たに就任をされる方々につきましては、今後所要の手続を行い、近日中に正式に議員として就任をいただく予定であります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)小林さんと佐々木さん、あと新浪さんと榊原さんは結果的に入れかえるような形になったと思うのですけれども、これは何か狙いがあったのか、そのあたり少し細かく可能な範囲で教えていただけたらと思います。
(答)榊原さんは経済界の代表に就任されました。新浪さんは企業の立直しのエキスパートとして請われて新しい新天地に乗り込まれるわけであります。いろいろ内閣改造を機に更に新たな視点から日本経済を俯瞰していただいて、成長戦略あるいは財政再建との両立について見識を発揮していただきたいと思った次第であります。
(問)今日の外国為替相場が5年11カ月ぶりの円安水準ということですけれども、それについて御所見をお願いします。
(答)これは円安というよりもドル高なのだと思います。アメリカ経済が極めて堅調に推移しているということ、それから、アメリカの金融緩和政策の出口戦略が具体的に動き出しているということであります。これらを受けてドル高が進んだ。その裏側として円安が若干進んでいるということだと思います。特に驚くような事象ではないと思います。
(問)昨日、日銀の黒田総裁が会見で、次の消費税の増税について、増税した場合の経済の落ち込みには対応できるけれども、増税しない場合のリスクについては政府、日銀としては対応しようがないという見解を示しましたけれども、大臣はこうした考えについてどのようにお考えになりますでしょうか。
(答)いかなる選択をする場合も、しっかりとしたリスク管理がなければ対応はできないわけであります。消費税引上げ判断は、あらゆる経済指標をそろえた中で最終的には総理が判断される、これは政府が判断するわけであります。その際には、ただそのまま実施する、ただ実施しないということはあり得ないわけであります。実施する場合にはどういうことをやりつつ実施する、しない場合にはどういう対処をしつつ、例えばいつまで延期するとかいうことであります。これは経済金融リスク管理をしっかりした中で行われるわけであります。政府としては、いかなる場合にも想定できないリスクが発現しないように万全の対処をしていきます。
(問)経済の回復が力強いとまだ言い切れない中で増税の判断に向けて、側面支援として日銀の追加緩和などの必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)消費税判断の際には、当然慎重な景気判断がなされるわけであります。基本はデフレにまた戻ってしまわないかということが一番重要な点になってくると思います。いかなる場合も景気の先行きに不安が見えてくるとするならば、政府と呼応して日銀はしっかりとした対処をとっていただけると思っております。何をどうするかは日銀の判断であります。
(問)円安ですけれども、日銀の金融緩和による影響で円安がまず進み、大臣がおっしゃったとおり、今はドル高という形で円安が進んでいる。しかし、その一方で日本の輸出が余り伸びていない状況の中で、円安が必ずしも日本の経済にとってプラスではないのではないかという議論があると思うのですが、その辺について大臣はどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
(答)かつての景気回復は輸出が主導いたしました。円安になればリニアに輸出増にはね返ってくるという構造でありました。昨今の日本経済は、生産拠点が海外に移っているという点もあり、輸出が従来のようにリニアにいきなり伸びていくということにはなっていない、それは事実だと思います。ただ一方で、この価格を据え置く中で、為替で稼いでいるという点があって、企業の売上高に対する利益率は過去最高になっているというのも一つあります。
 併せて金融緩和、円安、これらを通じて資産価格が上がっており、それは消費に還元されてくるという面もあります。それらもろもろをひもといて見れば、この部分ではかつてほどの効果がない、しかし、この部分ではかつてなかった効果が出てきたという点があろうかと思います。ですから、円安の効果がないとか、あるいはかつてより効果があるとか一概には言えない、プラスの面、それから、従来ほど効果が働かない面と両方あるかなというふうに思っています。
(問)産業競争力会議の有識者ですけれども、金丸さんが入ったりもしていまして、いろいろこの先の政策課題を見据えた布陣になっているような気がします。もしよろしければその辺もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
(答)大事なことは、従来の経済政策、景気対策というのはどうしても財政出動という発想になりがちですが、これからやっていくことは大胆な規制改革、つまり構造改革であります。そこはかなり摩擦も生じるわけでありますけれども、それがきちんとやり切れるかどうかということが成長戦略の肝にもなってきます。
 そこで、金丸さんは農業改革も主導されてきました。もちろん規制改革会議と競争力会議は連携をとってきましたけれども、金丸さんには規制改革会議がそのままであるとするならば、併せて競争力会議と橋渡しをやっていただくわけであります。本来、その会議の議長の岡さんは競争力会議のメンバーであります。1本の橋から2本の橋にいたしまして、規制改革と成長戦略がしっかり結びついていくように考えた次第です。

(以上)