稲田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月25日

(平成26年7月25日(金) 11:08~11:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨

 本日、「国家公務員の総人件費に関する基本方針」と「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を閣議決定しました。いずれも人事行政と行政組織に関連する機能を集約した内閣人事局において、政府として初めて決定するものです。
 「国家公務員の総人件費に関する基本方針」は、府省の枠を超えた戦略的・機動的な人材配置の実現等の観点から、国家公務員の総人件費に関する基本的な考え方と、給与、退職手当、機構・定員、級別定数という人件費に関連する各制度の中長期的な運用方針を定めるものです。
 また、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」は、国の行政機関の機構・定員管理を戦略的かつ的確に実施するための基本的な枠組み、指針となるものであり、年度途中に顕在化した課題に機動的、弾力的に対応することや、業務改革を推進しつつ、毎年2%、5年で10%以上の定員合理化を実施し、府省の枠を超えた再配置を推進すること等を定めております。
 また、本年から機構・定員及び級別定数等の要求に先立って、毎年度の重点要求をあらかじめ明示することとし、本日、「平成27年度内閣の重要課題を推進するための体制整備及び人件費予算の配分の方針」を総理決定いたしました。
 閣議では、私から各大臣に対し、機構・定員及び級別定数等に関する要求について、これらの方針に沿って適切に対応いただくようお願いをいたしました。
 以上により、縦割り行政の弊害を打破し、政府が一丸となって政策課題を解決していくため、府省の枠を超えた戦略的、機動的な人材配置を実現してまいりたいと考えております。
 本日の閣議において、「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」について、閣議了解がなされました。これを踏まえ閣議では、私から各大臣に対し、6月の公開プロセスにおける外部有識者からの指摘も踏まえ、自らの事業の厳格な点検・見直しを実施するとともに、その結果を来年度予算概算要求へ反映するようお願いをいたしました。また、概算要求後、行政改革推進会議において各府省の点検の結果が的確に概算要求に反映されているか等について点検を行い、必要に応じ、その結果が予算編成過程で活用されるよう取りまとめを行うこととしており、こうした取りまとめへの御協力を各大臣にお願いいたしました。
 海外出張について申し上げます。
 7月17日から24日までの日程で、イタリア、ポルトガル、イギリスの3か国を訪問いたしました。今回の訪問では、イタリア、ポルトガル、イギリス、それぞれの国において合計4か所の公文書館を視察し、公文書の保管・利活用状況を視察いたしました。展示や教育に工夫を凝らして、我が国においても青少年を含めた国民による公文書館の利用促進に取り組む上で参考となりました。
 また、クールジャパン戦略については、ポルトガルとイギリスにおいて講演を行いました。また、イギリスでは文化発信担当局長との意見交換等を行いました。講演はいずれも盛況で、欧州におけるクールジャパン戦略についての関心の高さを肌で感じ、効果的な情報発信を行うことができました。イギリスの意見交換では、ロンドンオリンピック・パラリンピックの好機を活用した「GREATキャンペーン」について伺い、クールジャパンの発信にとって大いに参考となりました。
 さらに、ポルトガルでは、公文書管理及びクールジャパン戦略について、シャビエル文化担当副大臣と会談を行ったほか、イギリスでは行政改革について、内閣府社会的投資担当部門長と会談をいたしました。公文書管理や文化の海外展開の取組、今後の行政の在り方等について有意義な意見交換を行うことができました。
 今回の出張の成果を踏まえ、引き続き公文書管理政策、クールジャパン戦略及び行政改革等を積極的に推進してまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問) 朝日新聞の藤原です。
 総人件費の関係でお伺いしたいのですが、今回の基本方針で、「増加の抑制」という文言とは別に、具体的な数値の目標は盛り込まれていないかと思うのですが、この辺の受け止めと今後更に改定の中で盛り込んでいく御予定があるのかどうかというところをお聞かせください。
(答) まず、今回、総人件費の基本方針というのは初めて策定したというところに、内閣人事局を設置した大きな意義があるというように思っています。具体的には、基本的な考え方として、人的資源及び人件費予算を効果的に配分すること。また、構造的な人件費予算の増加の抑制を図ること。人件費の生み出す価値を高めること。総人件費に関連する各制度及びその運用状況について国民の理解を得るよう努めることの4点を明記した上で、給与、退職手当、機構、定員、級別定数という人件費に関連する制度の運用方針を中長期的な方針として定めることといたしております。これも内閣人事局に、機構、定員、級別定数という機能が集約されたからこそ、こういった大きな方針を定めることができた。当たり前のことが、今までできていなかったとも言えるのですけれども、そういうようなところに意義があるというように思いまして、内閣の重要政策に対応した戦略的な人材配置を行うためにも、大きな意義があるというように思っています。
 そこで、お尋ねの削減についての数値の目標がないではないかということでありますけれども、給与の水準については、(保障された)労働基本権が制約された代償措置という意味から、憲法上の要請として人事院勧告制度というのがあって、それを尊重するというのが基本的な姿勢であろうかというように思います。また、定員については、その時々の行政需要に的確に対応する観点から決定されるべきものであって、あらかじめ具体的な数値目標を設けることにはなじまないのではないかというようには思っておりますが、総人件費を抑制するという基本方針については、きちんと書かせていただいているところでございます。
(問) 毎日新聞の小田中です。
 関連してなのですけれども、1点、今日、総理大臣決定されている総人件費予算の配分の関係なのですけれども、その主なトピックというか、特色となるものがあればお教えいただければと思いますが。
(答) 今お尋ねの総人件費予算の配分方針でありますけれども、内閣の重要政策課題に対応した体制を整備するために、重点分野をあらかじめ明示いたしております。具体的には平成27年度においては、東日本大震災からの復興の加速化、総合的な外交力の強化、治安や海上保安の基盤強化、税関・出入国管理・検疫の体制整備を重点的に整備すべきであるというように記載がされているところでございます。各府省でこの方針に従って、機構、定員、級別定数の要求を行っていただきたいというように考えております。

(以上)