稲田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月1日

(平成25年11月1日(金) 9:01~9:21  於:合同庁舎4号館6階620会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 冒頭、私からは、昨日、第19回規制改革会議が開催をされました。私も出席をいたしまして、一般用医薬品のインターネット販売について厚生労働省から検討状況をヒアリングし、議論をいたしました。厚生労働省からは、専門家会合の報告を受けて、一般用医薬品と医療用医薬品との間に一般用に移した直後の医薬品というジャンル、いわゆるスイッチ直後品目を設けて、評価期間終了後にインターネット販売を認めることとしたいなどの説明があったところです。
 これに対して各委員からたくさんの意見や質問が出されましたが、主にスイッチ直後品目等について、現在28品目ですけれども、リスク評価期間の間、インターネット販売を認めない科学的・合理的な理由が明らかにされていないこと、また、スイッチ直後品目等の販売ルールについては、これまで何ら検討がなされていないこと、ITリテラシーに欠けた見地から、一方的にインターネット販売が対面販売に劣るものと決めつけられており、IT国家として成長戦略を進める上で支障にもなることといった趣旨の意見が多数出されたところでございます。
 私からは、スイッチ直後品目等について、リスク評価の一定期間インターネット販売を認めないことは新たな規制であり、そうした規制を課すよりほかに方法がないという合理的な理由がない限り憲法に抵触するおそれがあるなど、この問題が職業選択の自由、営業活動の自由にかかわる重大な問題であるということを改めて指摘をいたしました。規制改革会議として、厚生労働省から納得できる十分な回答が得られたとは到底言いがたく、委員から、至急会議としての意見を明らかにすべきであるとの提起がなされまして、お配りをしている意見を取りまとめいただいたものでございます。
 今後、関係大臣とも調整し、規制改革会議の意見が政府方針に反映されるよう、規制改革担当大臣として引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日経の兒玉です。
 ネット販売の件なんですけれども、6月に一旦方針を出されて、この時期に改めて規制改革会議を開いて規制改革会議としての意見を出そうというふうに至った経緯と、その意味についてお願いします。
(答)今まで規制改革会議として意見を3回出しております。それは、一つは1月に最高裁の判決が出て、それに沿う形でのインターネットでの一般用医薬品の解禁を求めるというものであったわけですが、それに従ってというか、そういう規制改革会議の意見に沿った形で全ての一般用医薬品についてのインターネットの販売を認めるということになり、また、28品目と一般用医薬品の全体についての販売方法についての検討の会議が開催をされたところです。その報告自体は受けておりましたけれども、実際、報道の中で厚労省案なるものが存在をして、それが28品目についてはインターネット販売を認めないという方向であるというような報道もなされていたこともあり、昨日、厚労省の方向性について説明を受け、議論をした結果、厚労省の説明については、多くの委員からとても納得ができないという御意見もあったところでありまして、意見を出そうということで提出させていただいたということでございます。
(問)もう1問お願いします。
 先日行われた、「国・行政のあり方に関する懇談会」ですけれども、先日の議論で大臣の率直な感想と、あと、改めてこのタイミングで懇談会を立ち上げられたねらいをお願いします。
(答)先日、「国・行政のあり方に関する懇談会」を開催して、全て出席されたわけじゃないですけれども、30代・40代の若手の有識者、そして17名のうち10名が女性ということで、非常に政府の懇談会としては活気もありますし、非常に忌憚のない意見が述べられたと思います。この懇談会の中で役所が意見をまとめるのではなくて、みずから意見を集約していこうとか、意見を羅列するだけではなくて、どういう方向性を出すかということも議論していこうなど、活発で建設的な意見が出されて、私自身も非常に興味深い会議だったなというふうに思っています。
 なぜこの時期かといいますと、やっぱり本来であれば行革というのは、この国の将来の形を決める非常に重要かつ国民の生活にとっても身近な議論であるはずであるにもかかわらず、今まで、どちらかというと無駄排除、もちろん重要なことですけれども、数を切るとか予算を切るとか、そういうところに特化された形で行革が議論をされていたようにも見受けられます。今回は行革の哲学的な、どういう国を目指すのかという大きな方向性を、まさしく若い世代、また女性の視点からも議論をしてもらおうということで懇談会を立ち上げたわけです。
(問)共同通信の中久木です。
 公務員制度改革法案についてなんですけれども、先日、第一次安倍政権で公務員制度改革に携わった古賀茂明さんらが国会内で集会を開いて、今回の法案について、人事院に権限が残ったことなどについて、甘利法案より後退しているという提言をまとめたんですけれども、こういう後退したという批判に対して大臣の見解をお願いします。
(答)私は全く後退したとは思っていないし、今、21年のときからさまざまな、政権交代も含めいろいろな状況の変化があった中で、むしろ後退と言われるよりも、さらによくなった法案を提出できると思います。
 また、人事院との関係についてですけれども、労働基本権の見直しということはやらないわけですから、憲法上、人事院というのは労働基本権制約の代償措置として存在意義はこれからもあるわけであります。そういう意味において、人事行政の公正確保への配慮、また級別定数について、後退とおっしゃるのは、級別定数に関して人事院の意見を尊重するというところを指しているのかもわかりませんけれども、そこは勤務条件的に運用されてきたことも事実であり、勤務条件に関連する部分については十分に人事院の意見を尊重するという規定になっておりまして、そこは労働基本権を与えない以上、配慮することは当然だと思っておりますし、決して後退したとは思っておりません。さらに言えば、当時は人事院との調整は全くできずに国会に出されていたわけでありまして、今回は、昭和30年以来、人事院から級別定数を移すということを何回もやろうとしてできなかったことをようやく調整がついて提出する運びになったわけですので、後退と言われる筋合いは全くないと思います。
(問)同じ公務員制度改革についてなんですけれども、法案の中に官民人事交流の拡大というくだりがあるんですけれども、この点に関して、河野太郎副幹事長らが、この官民人事交流が民主党政権で天下りあっせんの禁止にかわる措置として官民人事交流が使われてきた経緯があるという指摘もあって、この拡大が隠れ天下りだという批判も出ているんですけれども、この官民人事交流の拡大のねらいについて、改めてお願いします。
(答)今回、幹部候補育成課程をつくって、もちろんいろいろな幅広い見識だとか素養を身につけていただくために、例えば海外留学ですとか、あと民間との交流もきちんと図っていこうということも考えております。今回、官民人材交流法で国家公務員の民間派遣は、まさしくそういった趣旨も踏まえて、民間の効率的な経営手法とか民間の実情とか、あとそういった民間のノウハウを行政課題にも柔軟かつ的確に対応できる人材を育成するというために拡大をしたのであって、天下りをさせるために官民交流法を改正したということでは全くないし、現役の、例えば幹部候補育成課程の中の人を派遣しようとか、民間の人にも来ていただくことにしていますけれども、全く天下りというふうに言われることではないというふうに考えております。
(問)ライターをしています藤井と申します。
 関連で御質問したいと思うんですけれども、2010年の公務員制度改革に関する自民党案で幹部公務員法案が盛り込まれていますけれども、今回は一般職のまま、これを降任規定というふうなことで、そこのところを現状のままというふうな状況になっているのはどうお考えなのかというふうなところもいただければと思います。2010年提出の自民党案。
(答)もう1回言ってもらえますか。
(問)2010年提出の自民党案。幹部公務員法案というふうなところで、こちらもやはり屋山太郎さんや岡本義朗さんが御指摘なんですけれども。
(答)幹部公務員法についてですか。自民党が野党時代に出した幹部公務員法についての御指摘。
 もちろん、自民党が野党時代に出した幹部公務員法との違いは、例えば幹部職員を特別職としていないということなどを指しておられるのかなというふうに思いますけれども、今回は幹部職員を特別職とすることまでは書いていませんが、6月の本部決定にも盛り込みましたように、基本法に則って、その後のいろいろな民主党政権下のこととか、いろいろなことを勘案して今回の法案にまとめたということであります。
(問)(フジテレビ・和田記者)よろしくお願いします。2点ばかりなんですが、まずインターネット販売のほうですが、先ほど閣僚同士での話をするということにお触れになっていましたが、これは既にいつやられるというようなことを決めていらっしゃるんでしょうか。
(答)いや、まだ一度も開いていませんし、官房長官には閣僚同士、春の段階でも4大臣会合を開催しましたので、そういうことはやっていただきたいということは申入れをしています。
(問)それと公務員制度改革のほうなんですが、法案の中でここは、例えば譲り過ぎてしまったなとか、何か御不満の残る点というのはあったんでしょうか。それは特になくて、もう100点だという仕上がり具合なんでしょうか。どうでしょうか。
(答)自分の法案のことを何点と言うのも何なんですけれども、私は、今の時点においてというか、ずっと非常に丁寧に関係各位とも議論をして、調整もして、ベストの法案に仕上がっていると思います。
(問)産経新聞の是永と申します。
 2点お伺いしたいんですけれども、1点目、公務員制度改革についてなんですが、いろいろな意見がある中で、まだ党内でも慎重派と呼ばれる人たちの反対とか慎重な意見がいまだに根強い中で、今臨時国会での成立を目指される中で、そういった慎重派、推進派の両方の意見がまだ闘っているという状況とあわせて、別の重要法案、国家戦略特区法案であるとか、別の重要法案も閣議決定を待って審議に諮るというタイミングになっています。そのタイミングの中で、今臨時国会での成立を目指されるという、改めてその意気込みというか見通しをお聞かせください。
(答)党内の慎重意見があったことも事実ですが、ここも平場でも3回の議論もしましたし、その後、個別にも議論も非常に多くの時間をかけてやって、その懸念は払拭ができたというふうに考えて、それで党内でも了承をいただいたというふうに思います。もちろんもっとやれという意見ですとか、逆に少し慎重な意見とかもあることは事実ですけれども、結果としては党内での、部会で了承はされたと、行革本部での了承はされたというふうに認識をしております。
 今国会での成立を目指す理由は、やはり来春の内閣人事局の設置という指示を受けておりますし、来年夏の人事に間に合わすためには今国会で成立をさせる必要があるというふうに思っています。今御指摘のとおり、さまざまな重要法案もありますし、タイトな日程の中で非常に大変だとは思うんですけれども、ぜひともこの国会で成立をさせたいと思っています。
(問)すみません。もう1点、公務にちょっと直接関係ないんですが、昨日、園遊会で山本太郎参議院議員が天皇陛下に直接手紙を渡されるという事態がございました。これに対する受け止めをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)実際、私、その場面を見たわけでもないんですけれども、やはりそういう陛下に対する態度については常識的な態度で臨むべきだというふうに思います。良識のある態度で臨むべきだと思います。
(問)共同通信、中久木です。
 公益社団法人の日展が書の審査であらかじめ有力会派に受賞を割り振っていたという問題があるんですが、これに対して政府、報告要求とか、どういう対応をとったのか等、大臣の受け止めをお願いします。
(答)そうですね。今、そういう報道がなされて、きょうも報道があったことは承知をしています。また、本件については文部科学省が芸術・文化を振興する立場、また展覧会に対し後援を行っている立場から、日展の公正な運営について確認し、必要な対応を求めているというふうに聞いております。その結果も見つつ、もちろん公益法人ですので、公益認定委員会において公益認定法に基づいて必要な対応が検討されるというふうに考えています。

(以上)