稲田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月24日

(平成25年5月24日(金) 9:09~9:25  於:合同庁舎4号館6階620会議室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 冒頭、公務員制度改革についてですが、本年2月から私の下で、「今後の公務員制度改革のあり方に関する意見交換会―若者にも魅力的な新しい公務員制度を目指して―」を開催し、公務員制度に精通した専門家等の知見を聴取したところでございます。この意見交換会は2月22日に第1回を開催してから、約3か月が経過したことからこれまでの議論についての中間的な整理を行ったものです。なお、意見交換会については、今後も継続し、この中間整理も踏まえ、更に議論を深めていきたいと考えております。
 また、国家公務員制度改革の検討に当たっては、現在の公務員の実態や課題をしっかりと把握することが重要であると考え、各府省等の若手職員のヒアリングを行い、その結果を取りまとめました。ヒアリングでは、各府省等の係長級、課長補佐級の若手職員等から平素抱いている職場での問題意識や要望事項等について、率直な御意見を数多くいただいたところであり、今後の検討に当たって大いに参考にしたいと思っております。
 あわせて今回意見交換会の中間的な整理を公表するに当たって、私の所感も公表させていただきました。詳細はお手元の資料を御参照いただきたいと思いますが、今後は平成21年に当時の甘利担当大臣のもとで提出された法案について、その後の状況や環境の変化も踏まえながら精査することとし、おおむね1か月後に改革の全体像(仮称)を決定することを目指したいと考えております。
 なお、一昨日、総理のところに党の行革本部の皆さん方が提言に来られて、私も同席をいたしておりましたが、総理から(内閣)人事局の設置を来年の春とするようにスピード感をもって検討するようにという指示がありました。私も来春の設置に向けて検討を進めてまいりたいと思います。
 また、本日、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。今般の改正は独占禁止法違反に対する排除措置命令等にかかる審判制度を廃止するとともに、公正取引委員会が排除措置命令等をしようとするときの意見聴取のための手続の整理等の措置を講ずるものでございます。本法案は、公正な競争環境の整備を着実に進めるに当たり、大変重要な法案であると考えております。今通常国会での成立を目指してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の宮島です。
 公務員制度改革の意見交換会の件で、実際に大臣は若手の職員さんたちと意見を重ねてみて、率直にどういう部分、全体の総括としての大臣のお考えは分かりましたと、一方で、若手の職員さんたちと接してみて、ここをもうちょっと自分たちが背中を押してあげなきゃいけないなとか、こんなふうな意識を持っているんだとか、そういう部分の率直な感想をお伺いできませんでしょうか。
(答)やはり近時よく言われておりますように、若く優秀な方がなかなか「霞が関」を目指さなくなってきているし、また若い官僚の方々が優秀な方々が途中で辞めたりもされている。そして、非常に将来に対して明るい夢が持てなくなっているのはなぜかという疑問について、実際の声を聞いてみたいと思いました。それで、私がやはり思ったのは、自分がやっていることが、一体どういう意味があるのかとか、非常に過重な勤務になっている中で自分の役割とか自分のやっていることの意義というのが疑問を持っている人もいらっしゃるし、そして正当に自分が評価されているのかどうなのか。何となくやはり年功序列の中で閉塞感がある、このままずっとここにいて、どうなのかというような疑問を持っておられる若手も多いなというふうに感じました。
(問)一方で、自分自身が「霞が関」を取材していて、ここ数年に比べて、最近の「霞が関」は底が止まってきたかなと思うんですよね。前向きに動き始めているのかなと思っていて、その一つがやはりこれだけ支持率が高い政権ができているので、覚悟を決めて前に、「省益」とかではなくてもっと前に行かなきゃと何となく全体そういう動きがあるかなと、個人的には見ているんですね。
 一方で、大臣は国家公務員制度改革、行政改革をされていらっしゃる。行政改革は世間の要請ではありますと。ただ、一方で公務員の方々に更なる痛みを求める話でもあるのかなと思うんですよね。ややもすれば前向きに動きつつある「霞が関」をちょっと逆に、どうせ僕たちはいじめられるだけだと、そういうふうな思いにさせかねない話なのかなと思うんですけれども、その辺りのところのバランスを今後どういうふうに差配されていくおつもりでしょうか。
(答)私は、今までややもするとこの公務員の問題が給料を下げるとか、何となく政治主導だから黙っているべきだとか、そういう文脈の中でとらえられたと思うんですけれども、「霞が関」に痛みをということで言えばですね。私は、この公務員改革というのは、そういう意味ではなくて、今言ったみたいな閉塞感とか、年功序列で正当に評価されていないとか、そういう仕組みだとか、また今までのⅠ種、Ⅱ種という試験の区分によって将来が見えてしまうということではなくて、何度でもチャレンジして幹部になっていくことが、登用される可能性があるという仕組みをつくっていくことは、私は決して痛みを与える改革ではなくて、むしろ閉塞感を打破する前向きな改革として私はとらえております。
(問)朝日新聞の鈴木と申します。
 今日の閣議決定なんですけれども、独禁法の審判制度、経済界から要望の強かった法改正だと思うんですけれども、今回閣議決定されたことへの大臣の所感をお願いできますでしょうか。
(答)経済界からもすごく要望があって、そして民主党政権下でも法案が出されましたが、その元になる検討はずっと自民党の中でも議論をされていた、延長線上にあります。その中でこの審判制度を変えるというか、地裁のほうに持っていくというような非常に大きな重要な問題だと思いますので、やはり閣議決定をして、政府の提出提案とするということは非常に意味があるのではないかと思います。
(問)時事通信の大沼です。
 所掌外で申し訳ないんですけれども、株が昨日急落したんですが、今日になって一転してかなり反発して上がっていますけれども、そういった動きに対して、大臣の受け止めを一言お願いします。
(答)アベノミクス、三本の矢の一本目、二本目、自分は成長戦略に関わっておりますけれども、それがすごくいい形で経済に与えている効果というのは大きいと思います。そして、株もずっと上がってきたわけですから、昨日、大幅に下げたということではありますけれども、悲観的には考えていません。
(問)インターネットメディアIWJの平山と申します。初めて会見に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 これまで再三話に出ているようで恐縮なんですけれども、橋下市長の慰安婦に関する一連の発言について大臣の御見解を改めて確認させていただきたいんですけれども、以前の定例会見で、慰安婦制度は女性の人権に対する大変な侵害だと思っておりますという発言をされていらっしゃるかと思うんですが、他方で昨年8月の産経新聞紙上で慰安婦を強制連行した事実はなく、当時は慰安婦は合法だったという旨の論説を寄稿していらっしゃるかと思うんですけれども、現在の大臣の御見解としまして、戦時中に慰安婦の強制連行はやはりなかったという御認識に現在も立っていらっしゃるのかということをまず確認させてください。
 それから、先日の会見での慰安婦制度は女性の人権に対する大変な侵害だという御発言は、強制連行がなかったという認識に基づいた上での御発言だったのか。あわせて御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(答)「河野談話」に関する慰安婦の問題については現在官房長官の下で検討されておりますので、私の所管外のことについて発言するのは差し控えたいと思います。前回、私が申しました慰安婦制度が女性の人権に対する重大な人権侵害であるということは、現在であれ、たとえ戦時中であれ、私は同じだと思います。ただ、戦時中は慰安婦制度ということ自体が悲しいことであるけれども、合法であったということもまた事実であるということだと思います。
(問)つまり合法ではあったけれども、合法であったということは今の御見解、御認識としてはやはりあるということですか。
(答)いや、合法であったという言い方をすると、人権侵害ではないというふうに誤解されると私は思うので、今であろうとも戦時中であろうとも、女性の人権に対する重大な侵害であることには変わりがないと思います。
(問)フジテレビの和田でございます。
 公務員制度改革に戻るんですが、無精な質問で恐縮なんですが、勉強してないものですから、おおむね1か月後に全体像をまとめるとあるんですが、先程もちょっと触れておられたとは思うんですが、改革の全体像を策定するに当たってのポイントなるものを幾つか挙げていただくと、大臣の頭の中に今どんなものがあるのかということが一つと、もう一つ全然関係ない問題で、農業の問題なんですが、いわゆる第2期に議論をするということになると思うんですが、産業競争力会議ですとか、新しくできた本部(農林水産業・地域の活力創造本部)の議論を恐らく横目でにらみながら、どんなものが規制改革として必要なのかという手順できっと議論していくのかなと思って見ているんですが、今、その前に大臣の頭の中にこんなものが規制改革の検討対象となろうというようなものがもしあればお伺いしたいと思います。その2点です。
(答)まず、(公務員制度)改革の全体像ということについてなんですけれども、まず7月に(国家公務員制度改革)基本法の(国家公務員制度改革)推進本部の設置期限が来ます。やはり私は今の段階でこれからどういう改革を進めていくかという行程表というものは必要になるのではないかなというふうに思っております。その中でやはり総理から、(内閣)人事局の設置については来春というような指示がありましたので、それに合わせた形の行程表というものを検討したい。そして、基本法の中はすごく盛りだくさんですから、その時間的なスケジュール感というものもその中で示していくことができるのではないかなと思っています。
 それから、後半の質問の農業ですけれども、私は農業はすごく大きな課題だと思っていて、規制改革会議だけとか、産業競争力会議だけというよりも官邸で大きな議論をしつつ、その中で規制に関するものがあれば取り組んでいかなければいけないと思います。今、産業競争力会議の中では、農地の株式会社の取得の問題、あと転用の問題、そういうことも話題になっておりますので、そういった点などは規制改革でも問題になっていくのではないかと思います。

(以上)