森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年8月29日

(平成26年8月29日(金) 10:50~11:14  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 <子供の貧困対策に関する大綱について>
 おはようございます。今日は沢山ありまして、私から5点ございます。
 まず、子供の貧困対策に関する大綱についてでございます。
 子供の貧困対策に関する大綱は、昨年6月に成立した「子供の貧困対策の推進に関する法律」に基づき策定されるものであり、本日の閣議前に、総理を会長とする「子どもの貧困対策会議」を開催し、その案を取りまとめ、続いて開催された閣議において決定されました。大綱案の作成に当たっては、私の下に、広く関係者等から意見を聞くための検討会を設け、大綱案に盛り込むべき事項について御検討をいただきました。大綱の内容は、検討会の提言を真摯に受け止め、総合的な見地から検討・調整を図ったものとなっています。また、昨日、総理と検討会のメンバーとの懇談会が開かれました。私も同席し、今後、大綱に基づく施策の推進の参考とするため、関係者の御意見を伺いました。今後は、具体的施策を担当する文部科学省、厚生労働省と連携して、①教育の支援、②生活の支援、③保護者に対する就労の支援など、本大綱に基づく政策を総合的に推進するとともに、国民の幅広い理解と協力を得て、子供の貧困対策を国民運動として展開してまいります。
 また、東日本大震災の教訓も踏まえ、大規模災害における遺児・孤児など、被災した子供への配慮も重要であり、大綱にも関連の記述を盛り込みました。今後用意される検討の場においても、個別テーマとして被災地の遺児・孤児等の支援を採り上げ、関係者からヒアリング等を行うことや、年次報告においても被災地の実情や関連施策を取りまとめることを検討することといたしました。

 

<少子化対策の概算要求及び税制改正要望について>
 次に、少子化の予算・税について申し上げます。
 8月26日(水)に、少子化危機突破タスクフォース(第2期)予算・税制検討チームの渥美チームリーダーより、平成27年度予算要求・税制改正要望に向けた緊急提言をいただきました。この緊急提言には、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」のための地域少子化対策強化交付金の延長・拡充。子ども・子育て支援新制度において質・量の充実を図るために必要な財源の確保。結婚、子育て支え合いを促進するための税制などが盛り込まれており、これらについて平成27年度予算概算要求及び税制改正要望を行うことといたしました。具体的には、今まで教育費について高齢者からの信託をいただいて、贈与税の免税をする措置がございましたが、それを教育費だけではなく、結婚・妊娠・出産・育児の費用にまで広げることでありますとか、三世代同居・近居に係る税制上の優遇措置等について入っております。


<三重県及び仙台市への訪問について>
 次に、3点目になりますが、三重県の訪問と仙台市への訪問について御報告申し上げます。
 まず、三重県の訪問についてです。8月19日(火)に三重県を訪問し、名張市のつつじが丘公民館、鴻之台・希央台の「まちの保健室」を視察するとともに、「輝く女性応援会議in三重」に出席しました。名張市においては、日本版「ネウボラ」に取り組んでいる施設である、つつじが丘公民館の子育てサロン「おじゃまるひろば」や、鴻之台・希央台の「まちの保健室」を視察するとともに、子育てに関する相談や情報交換を行う保護者や施設の職員との意見交換を行いました。また、亀井利克市長や鈴木英敬知事とも懇談させていただきました。
 実際に現場を見まして、フィンランドのネウボラというものを日本に導入したいと思って、これまでフィンランドも視察してまいりましたが、それを日本版で展開をしている、内閣府の予算も活用していただいてやっておられる三重県名張市の実例を見まして、子供が生まれてからずっと切れ目なく子どもと親を支援していくという取組、これは子育ての安心感、子育ての安全を確保していく観点から、大変意義深いということを改めて認識をいたしました。このような優れた取組を全国的に展開してまいりたいと思います。
 また、「輝く女性応援会議in三重」では、パネルディスカッションのコーディネーターを鈴木英敬知事自らが御担当なさり、パネリストに元なでしこジャパンの方や地方銀行の出張所長、経済産業省ダイバシティ経営企業100選を受賞された中小企業の社長など、様々な分野で活躍している女性たちを迎えまして、活発な意見交換が行われました。一歩踏み出す勇気が重要であることや、女性が働きやすい企業は男性も働きやすいということなど、参考となる御意見をいただきました。
 地域版輝く女性応援会議の今後でございますけれども、9月3日(水)に石川県での開催を予定しております。そして、9月8日は佐賀県での開催を予定しております。全国的なムーブメントを作ってまいりたいと思っています。
 2点目の仙台市の訪問は、8月25日(月)に行いました。奥山恵美子仙台市長と会談をいたしました。女性と防災、女性の活躍について意見交換を行いました。復興には女性の活躍が不可欠で、災害対応における女性の果たす役割について認識を共有しました。また、仙台市のNPO、イコールネット仙台やせんだい男女共同参画財団の方々とお会いし、女性の防災リーダーの育成や災害時における男女共同参画センターのネットワークなどについて、意見を交換いたしました。このほか、仙台フィンランド健康福祉センター、こちらは高齢者の方に介護予防ということで、健康に長生きをしていただくための様々な機器がそろっている施設でございます。
 防災の関係では、来年3月に仙台市において、国連の第3回国連防災世界会議が開催されます。防災・復興には女性の参画とリーダーシップが重要であります。内閣府として、来年3月の前にプレ会議といたしまして、本年の12月に福島県において、女性と防災について議論を行う会議を開催したいと思います。そして、その成果を国連防災世界会議に繋げていきたいと考えます。

 

<内閣府の人事について>
 4点目でございますが、内閣府の人事について御報告をいたします。
 9月1日付で局長級ポストである官民人材交流センター副センター長として、現在、三菱ケミカルホールディングス経営戦略室快適グループマネージャーの華房実保氏に就任していただくことになりました。併せて、華房氏には大臣官房審議官男女共同参画局担当も兼務していただくことといたしました。華房氏には、女性の視点を生かして、企業の現場における経験を生かし、男女共同参画政策の立案の場でその手腕を大いに発揮していただくことを期待しています。
 
<国民生活センター相模原事務所研修施設の利用再開について>
 最後になりますが、5点目、消費者庁の案件でございますが、独立行政法人国民生活センター相模原事務所研修施設の再開について申し上げます。
 国民生活センター相模原事務所研修施設につきましては、政府部内で調整を行った結果、平成27年度から利用を再開することとし、今後、概算要求など必要な措置を図ってまいります。今後、国民生活センターでは、高齢者等の見守り体制拡充や、消費者教育推進のため消費生活相談員や消費生活サポーター向けの研修等を拡充するとともに、学習効果の高い事例検討型・参加体験型の研修を実施することとしておりまして、本研修施設を消費者教育の担い手育成の拠点として、積極的に活用することとしております。消費者庁としても、国民生活センターにおいて効果的・効率的な研修が実施されるよう、連携を図ってまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今年12月の女性と防災についての会議ですけれども、どういった方が出席されるのでしょうか。
(答)12月の会議は、3月の国連の会議につなげるために、被災3県を中心として、防災・復興に関わっている女性の皆さんに参加をしていただく予定でございます。
 東日本大震災やその他の災害において、私たちが経験から学んだことは、大規模なエリアでの多人数の方が一斉に被害を受ける災害においては、行政の機能が必ずしも十分に行き届かない部分がございます。そのときに地域の皆様の活躍が非常に期待されるわけですが、その中で女性の果たす役割というのは大きいものがございます。
 また、大規模な災害においては、被災者の中で特に社会的弱者の皆様が、なかなか目が行き届かない、また逃げ遅れるなどの被害に遭うことが分かっています。病気の方、高齢者の方、障害者の方、子供、妊婦です。そういった者をふだんの地域活動の中から見ているのは女性たちでございまして、東日本大震災でも福島県の原発事故からの避難に際しても、また避難所での生活についても、必要な物資や困っている授乳の場所などについて、女性たちの活躍がありました。その経験を取りまとめたものもございます。
 そういったことを国連の防災会議の中でしっかりと発信し、今後、世界的な災害の中で女性がしっかりと防災と復興に役割を果たしていきたいと思っています。そのためには、平常時の活動から意思決定プロセスの中に女性が参画することが必要です。例えば、防災指針を男性だけの視点で定めておりますと、いざというときに女性団体等が避難所に行っても、あなた誰ですかということで、中に入らせてもらえなかったりすることがこれまでありました。そこで、我が安倍内閣では、防災の指針を作りまして女性が参画できるように変えたわけでございます。これをまた地方自治体に広める取り組みもしておりますが、そのような経験や取り組みを世界に向けて発信してまいりたいと思いますので、そのための準備会議を福島県において開催し、被災地を中心に今取り組んでおられる女性の皆さん、例えば先ほど名前を挙げた仙台のイコールネット仙台の皆さん等は、自分たちの経験を今、英文に翻訳する作業をしている途中でいらっしゃるようでございますが、そういったことを12月に取りまとめていただいて、3月の会議に生かしていきたいと思っています。
(問)貧困大綱について2点お聞かせください。初年度としてはどのようなところからプライオリティを付けて政策を進めたいのかというのが1点。もう1点が、今回は数値目標でなくて指標という形でしたけれども、5年後の見直し期間までに、大臣としてこんなところまで行けばというようなビジョンのようなものがございましたら、お聞かせください。
(答)子供の貧困対策については、二つの視点があると思います。現在の貧困家庭を貧困から救済していくことと、もう一つは、将来の貧困の連鎖を断ち切っていくことということで、現在の取組と将来に向けての取組と大きく二つあると思います。掲げられている指標は、必ずしも現在の取組を充実させた結果、指標が伸びるという、そういう相関関係にはないと思いますが、これは指標にかかわらずしっかりと対策を立てることだと思うのです。
 例えば、子供の貧困率を解消するためには、その子供がいる家庭の所得のレベルを上げていくということが一番効果的だと思いますので、保護者の皆様、親の皆様の就労を促進したり、非正規から正規の職業に変えていくということであり、それも厚労省を中心にしっかり取り組んでいくのですが、それと同時に、指標が上がる上がらないに関係なく、現在、貧困家庭で育っている子供の生活を、その日食べるもの、それから学校に行けるか行けないかといったことをしっかり行っていくということが重要でして、私は指標とともに、その政策の内容、質ということもしっかり取り組んでまいりたいと思っています。
 優先順位についてのお尋ねがありましたが、どれが優先ということは、私は考えておりませんで、今回掲げさせていただいたことを関係省庁とともにしっかり取り組んでいくという意味で、概算要求も出させていただく予定にしています。
(問)景表法の課徴金導入についてお伺いします。7月に改正景表法が施行されて1年以内という目標の中で、2カ月ぐらいで骨子案が出てきたのですけれども、自民党の一部とか事業者からはまだ拙速じゃないかという声が上がっております。そのことについて大臣の受け止めと、それから、特に早期成立に向けて、その意義を改めて教えてください。
(答)課徴金制度のような行政が違法収益を剥奪して、行政目的を達成する、つまり偽装などが起きないようにする仕組みについては、消費者庁発足当時からずっと検討されてきた課題でございます。課徴金についても、その中で経済界出身の委員の皆様が入っている場で検討されてきたと承知をしております。それが今回、大規模な食品偽装問題を契機に、法案の形になって出てきたわけでございますので、拙速という批判は当たらないのではないかなと思っています。消費者庁としては、先般成立させていただいた食品表示に関する法律の中で、偽装表示、景品表示法の中で、1年以内に課徴金制度について検討するということで立てさせていただいておりますので、そのスケジュールにのっとってしっかりと進めてまいりたいと思っています。それが国民の皆様の食品の表示に対する信頼を確保するための道であると考えています。
 その中で、中小企業を始めとした企業の皆様の御意見はしっかり伺ってまいりたいと思っていますし、その場も今までも設けさせていただきました。まじめに仕事をしている中小企業、零細企業が制度によって思わぬ打撃を受けるということは、あってはならないことでございますので、国民の皆様の食品表示に対する信頼を確保することと同時に、しっかりとそちらにも目配りをしながら進めさせていただきたいと思っています。
(問)関連ですけれども、一つ争点になっているところで、課徴金の算定率の話があると思います。現在3%ということで出ておりますが、これに対して経済界側からは厳し過ぎるという意見がある一方で、消費者団体側からはもう少し上げてほしいという意見があります。まず、なぜ3%なのかということを大臣のほうから御説明いただきたいのと、この3%という数字について変更の余地があるのかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)消費者庁の案としては3%というふうに掲げさせていただいておりますので、今後の国会審議等の中で何か変更があるかどうかについては、私から申し上げるべきことではないというふうに思っています。
 3%の根拠につきましては、他法令の先例でありますとか、それから偽装表示についての今までの過去の処罰例についての数字を参考にして計算をしてまいりました。やはりこういった数字を出す場合には、数字が高いとか低いとか必ず御意見はいただくわけでございますが、これまで様々な御意見をいただいたことにしっかりと耳を傾けた上で、幾つかの根拠に基づいて決定した数字でございます。それを御理解いただきたいと思いますのと同時に、やはり課徴金制度をしっかり導入し、そしてそれを運用して、国民の皆様のお口に入る、国民の健康と場合によっては命に影響のある食品について、表示を偽装するなどということが今後起きないように、しっかりと法律を運用していくということが重要であろうというふうに思っています。
(問)エスティックサロンの「たかの友梨ビューティークリニック」の宮城県の店で勤務していた社員と聞いていますけれども、その方が昨日、内部通報を行ったけれども、その結果、吊るし上げのような行為に遭ったと言って、公益通報者保護法に基づいて厚生労働省に保護の申し立てをされています。このことに対する、基本的にはほかの官庁が所管することとは思うのですけれども、御所感と、あと厚生労働省、先日、千葉県がんセンターの医師の方も厚生労働省に申し立てたけれども、何の対応もしてくれなかったということを記者会見で申しておられました。何らか対応を促すようなお考えはおありでしょうか。
(答)個別案件についてはコメントすることができないのですけれども、一般的には、この問題、所管の省庁が担当することでございますので、そのような報道があったことは存じておりますけれども、コメントすることは差し控えたいと思います。いずれにせよ、公益通報者保護法の担当大臣として、しっかりと法律が運用されているかということは、常にしっかりと見てまいりたいと思っています。

(以上)