森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年3月11日

(平成26年3月11日(火) 10:02~10:22  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 <風評被害に関する消費者調査(第3回)の結果について>
 おはようございます。
 東日本大震災と原発事故から3年が経過をいたしました。お亡くなりになった方、犠牲になった方の御冥福をお祈りするとともに、被災された方、そして避難中の方にお見舞いを申し上げ、そして復興に御尽力なさっている方々に改めて敬意と感謝の気持ちを表したいと思います。
 風評被害払拭担当大臣といたしまして発表をいたします。
 消費者庁が本年2月に実施をいたしました放射性物質による風評被害に関する消費者意識調査の第3回目でございますけれども、調査結果を本日公表いたします。
 調査結果からわかることでございますけれども、少しずつではありますが、風評被害が改善をしているということが数字に出ております。
 例えば、昨年2月の第1回調査時は、「福島県産品の購入をためらう」と回答した人は全体の19%でしたが、今回調査では約15%となりました。
 一方、放射線検査でほとんど基準値を超過する物が出ていないにもかかわらず、米や野菜の産地に特に注意をする消費者が一定割合いるなど、まだ風評被害はおさまったとは言えないと考えております。
 消費者庁では、今回の調査結果を踏まえつつ、今後とも消費者に対して、食と放射能に関する正確な情報提供を行い、消費者理解の増進に努めてまいります。
 なお、農水大臣から発表あると思いますけれども、政府で食堂を持っている場所で今、被災地の水産品などを出しておりますので、皆様どうぞお食べになっていただきたいというふうに思います。
 消費者庁では、その場所等に消費者庁で作っておりますリスクコミュニケーションのための冊子等を置かせていただくというふうに思っております。
 
 <不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案の閣議決定について>
 次でございますけれども、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案の閣議決定について申し上げます。
 本日、同法案について閣議決定をいたしました。
 本法律案は、消費者の安全・安心の確保を図るため、不当景品類及び不当表示防止法、消費者安全法等を一括して改正するものです。
 まず、不当景品類及び不当表示防止法の改正では、国及び都道府県の不当表示等に対する監視指導体制を強化するとともに、事業者は、表示等を適正に管理するための必要な措置を講じなければならないものとしました。
 更に、本法律案において、政府は、この法律の施行後1年以内に、課徴金に係る制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする規定を置きました。
 また、消費者安全法の改正では、地方公共団体の機関等が消費者安全確保地域協議会を組織できることとし、消費生活相談員を職として法律で位置づけるとともに、その任用のための資格試験制度を整備する等の措置を講じるものであります。この法律案が今国会において速やかに審議され、成立することを期待しております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)被災地関連で、被災地を回ると、今、人手不足や資材高騰で入札不調が相次いでいますが、それで東京五輪で更に悪化するんではないかという声が出ているんですが、これに関して安倍総理は、必要な資材、人材を確保するというふうに述べられているんですが、地元を回ると、今一番必要なのは、必要な公共事業の絶対量を、余りに集中しているので、絶対量を抑制することではないかという声を聞くんですが、具体的に言えば、防潮堤とか高速道路とか住宅再建に本当に必要な、被災者が望んでいる以外の工事は先送りするとか縮小する。東京五輪に関して言えば、できるだけコンパクトにしてインフラ整備を必要最小限にするという声を聞くのですが、これに対する大臣のお考えをお伺いしたいのですが。
(答)資材不足、人手不足に関することについては、総理のおっしゃったとおり、総理がしっかりとリーダーシップを発揮して進められるものと思っております。関連大臣等が施策をしっかりと展開をしていただいていると思っております。
 私は担当ではございませんけれども、被災地出身の国会議員として、復興がより早く迅速に進むことをいつも要望して発言しているところでございます。
(問)被災地の事業、防潮堤とか高速道路をできるだけ縮小するとか抑えるということはおっしゃっていないのでしょうか。それと五輪関係で、五輪が被災地復興の足を引っ張らないように、できるだけインフラ整備を抑えてほしいというようなことはおっしゃっていないんでしょうか。
(答)これは担当大臣のほうにお聞きをいただければと思います。
(問)御自身としては発言していないと、被災地出身の大臣というふうに今おっしゃいましたが、被災者代表としてそういう声を担当大臣あるいは安倍総理に伝えていらっしゃらないのでしょうか。
(答)担当大臣の担当分野にかかわることでございますので、ここで私の発言の詳しい内容について申し上げることは控えますけれども、適切な政策判断をしていってほしいというふうなことで要望をしております。
(問)消費者担当大臣としても、人手不足のまま作業員を集めると欠陥工事、欠陥住宅が増えるおそれがあると思うので、消費者行政にもかかわることだと思うのですが、そういう意味から調査なりをするお考え、御予定はないのでしょうか。
(答)消費者担当大臣としてでございますか。
(問)人手不足で、要は、欠陥住宅とか欠陥工事、余りに素人の作業員が増えて、そういう工事がまかり通って、被災地で住宅を建てたはいいけど、もうすぐ欠陥住宅だったというのが後で判明したり、それは都心でも同じだと思うのですが、そういう事態を招くのを避けるために、公共事業の絶対量を抑えて、そういう素人の余り熟練度が高くない作業員の人では工事をしないように、事態を避ける方策を消費者庁としても考えるべきじゃないかと思うのですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
(答)復興を迅速に進めるということとは、今別の観点からの御質問であると思いますけれども、消費者被害が生じないような施策を消費者大臣としてはしっかりと進めてまいりたいと思います。
(問)法案の関係です。景品表示法及び消費者安全法の改正が閣議決定され、先ほど、消費者の安全・安心の確保を図るためと狙いを御説明いただきましたけれども、もっと具体的にその法案改正の狙いを御説明いただければなと。
(答)わかりました。まず、景表法のほうでございますけれども、こちらは食品の偽装表示問題がございましたけれども、食品にかかわらず全ての表示が正当になされるために、昨年12月初めに、政府において対策パッケージを発表いたしましたけれども、現行法の適切な執行に加えまして、今回の法改正でそのような不当表示が抑止されるということを狙いとしたわけです。
 その中の一つの内容としては、先ほど言ったように、事業者のほうのまず適切な措置ということで、例えば、表示の担当責任者を会社ごとに置いていただきまして、不当表示が起きないような措置を会社の中でしっかり講じていっていただく。そのための行政的なアドバイスは消費者庁のほうでしっかりと行っていきたいと思いますし、もし万が一、不当表示等が行われた場合も、その責任者がしっかり責任をとるという体制をとっていただきたいと思います。
 また、地方公共団体の知事、首長に措置命令まで打てるような権限を与えるようにいたしました。今までは調査権限と指示権限だけでございまして、調査の結果、不当な表示があったら、消費者庁のほうに報告をしていただいて、消費者庁が措置命令を打つというような手続だったのですけれども、迅速に措置命令を打てるように、地方自治体のほうにその権限まで付与したということです。
 また更には、消費者のほうが監視をしていただくということで、消費者モニターの制度を入れまして、不当表示等の違反行為があるというふうに消費者のほうが思った場合には、消費者庁のほうに知らせていただく、そういう制度も組み込みました。
 今まで御説明したのが景品表示法の改正でございますけれども、更に、1年以内にそういった不当表示があった場合に課徴金を課すということの制度を整備することについて検討を加えるという規定を置きました。
 次に、消費者安全法でございますけれども、大きく言って2点ございますけれども、一つは、見守りネットワークというふうに呼んでいるところでございますが、地域の皆様が力を合わせて高齢者の詐欺等の地域における消費者被害を防止していくような取組ができるようにいたしました。
 もう一つは、地域でリーダー的な役割を担っている消費生活相談員の皆様ですけれども、これが法律で資格としてしっかり位置づけが今ありません。それをしっかり法的資格とすることによって、事業者等と交渉したときに、あなた、どんな資格持っているのと言われて、説明に困るといったところがあったんですけれども、これはしっかり法律で位置づけられていますということで、事業者にしっかり交渉したり指導したりすることができるようにしたということでございます。
(問)よろしくお願いいたします。
 風評被害でお伺いしたいのですけれども、福島産の物をためらう方が15.3%という数字について、これは大臣は高いとお考えか、低いとお考えか、どのように感じておられるか教えてください。
 また、2回連続で一応下がっているわけですけれども、この下がった要因についてどのように分析していらっしゃるかお聞かせください。よろしくお願いいたします。
(答)高いも低いも言えません。放射能に関する風評被害というのは初めてのことであります。ですから、ほかとの比較ができないのです。比較できるとしたら、この3回の調査の数字を比較するしかないわけでございますが、3回とも少しずつ微減しているということでございます。
 これについては、私はその要因は、理解が進んだということも一つにはあるとは思いますけれども、消費者庁のほうでリスクコミュニケーション又はリスクコミュニケーターの皆様の養成等、また地方で集会等もしてまいりました。ただ、やはり震災から3年が経って、関心自体が薄れてきたという、いわゆる風化もあると思っています。それが福島県品を始めとした被災地の食品を殊更によけて購買活動するということが減っているということは喜ばしいことなんですけど、復興全体に見ると、やはり関心がなくなっていくということは恐ろしいことです。
 私、震災直後に、神戸の国会議員に言われたのです。「今一番大変だと思っているかもしれないけど、3年後から本当の大変なときがやってくる」。それはやはり経験した地域の方のお話だというふうに受け止めています。
 ですから、3年経って、やはり皆様に震災を忘れないでいていただきたいし、この風評被害に関する消費者の購買行動についても、数値が下がっていくということが、本当に放射能と食品の安全性に関する理解が進んで数値が下がるということを望んでおりますし、それに向けて消費者庁は今後も活動を展開してまいりたいと思っています。
(問)女性の活躍についてお伺いします。先週、麻生大臣と甘利大臣が、所得税の課税方式の変更についてそれぞれお考えを述べておられるのですけれども、女性の活躍推進という観点から見て、大臣の今のお考えはいかがでしょうか。
(答)今、麻生大臣の記者会見録を見ましたけれども、様々な御意見があるというようなこと、そして、より真剣な熱心な論議をしていただきたいというようなことをおっしゃっていますね。女性の労働力確保のときに必ずやはり語られるのが、この税制等の問題でして、103万円の壁、130万円の壁というふうに言われているのですが、現行法上は、階段にしていまして、そのショックをできるだけ和らげるように工夫はされているんですけれども、私のところで勉強会で試算をいたしますと、様々な例があるんですけど、子供が何人いるかということでも変わるのですけれども、やはり、多く働いたほうが家計全体の実収入が減ってしまうというような現象が起こる場合も見られます。私は、それはなくしていきたいなというふうに思います。やはり子供を一定期間家庭でしっかり自分が育てたいというのも、それも一つの選択です。私自身も2年間専業主婦をいたしましたし。ただ、その後、働きたいというのも、それももちろん重要な選択で、日本の場合問題なのは、子育て期間が終わった後の復職ですとか、子育てしながら働き続けようという選択ができなくて、嫌々とか望まずに仕事をやめてしまうということが起きるということが問題でございますので、それを阻害している部分は何とか是正していきたいなと思います。
 そのときに、家庭での子育て、または介護、家事労働等が金銭に必ずしも換算をされていない部分がありますので、それにしっかり配慮するということは諸外国でも行われていることでございますので、そういった家庭の専業主婦や、働きながら主婦をしている皆さんの家事労働等もしっかりと評価をしながら、働き始める方が、働き方によって収入が下がってしまうということがないように、そこはしていきたいなというふうに思います。そこで何とかM字カーブを解消していきたいと思います。
 ちょうど今朝、閣僚懇で話があったのですが、国際的なシンポジウムをやろうということで、官房長官が恐らく記者会見でおっしゃると思いますけれども、世界の活躍している女性を日本に招いて国際シンポジウムをしようという企画もありますので、世界中の活躍している女性の知恵をお借りしながら、女性の輝く社会づくりに向けて邁進してまいろうと思います。

(以上)