森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月25日

(平成25年10月25日(金) 10:23~10:49  於:合同庁舎4号館6階605会見室)

1.発言要旨

<特定秘密の保護に関する法律案について>
 おはようございます。私から3点ございます。
 本日の閣議におきまして、特定秘密の保護に関する法律案について閣議決定を行いました。情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、外国との情報共有は情報が各国において保全されていることを前提に行われていることを鑑みますと、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります。また、新たに設置される予定の国家安全保障会議の審議をより効果的に行うためにも、秘密保全に関する法制が整備されていることが重要であると認識しています。政府においては、国民の知る権利や取材の自由等を十分に尊重しつつ、さまざまな論点についての検討を進めた結果、本日、閣議決定を経て、国会に提出する予定です。早期に法案が成立できるよう、努力してまいりたいと存じます。

 

<配偶者帯同休業に関する法律案について>
 今朝の閣議決定なんですが、私から人事院のほうに要望をしておりました配偶者の帯同休業に関する法律が、国家公務員、地方公務員ともに今朝、閣議決定をされましたので、御報告をいたします。

 

<ジェンダーギャップ指数の公表について>
 三つ目でございますけれども、ジェンダーギャップ指数の公表についてでありますが、本日、世界経済フォーラムが2013年のジェンダーギャップ指数を公表しました。日本の順位は、136か国中105位でありました。安倍内閣においては、女性の活躍推進に向けて、総理が経済団体に役員、管理職登用を要請し、政党にも、私が女性候補者の割合が高まるように、各党の幹事長級の皆さんに働きかけてまいりました。積極的に取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)特定秘密保護法案に関連してですけれども、情報公開法の改正を含めて、情報公開を更に充実させるべきだという声も出ています。これについて大臣はどのように考えて、今後、対応をどのようにしていくのでしょうか。
(答)国民の知る権利を保障する観点から、情報公開というのは大変重要なものでございますので、情報公開法の適切な運用を通じて、しっかりと情報公開をしてまいりたいと思います。
(問)あともう一点関連なんですが、民主党が国が非公開とした公文書を裁判所が妥当かどうか判断する仕組みを盛り込む情報公開法改正案を提出される予定でありますけれども、この改正案について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)まだ提出されておられませんので、その内容を確認をして、検討してまいりたいと思います。いずれにせよ、国民に対して情報をしっかりと公開してまいりたいと思います。
(問)先日のこの記者会見の場で、「何が著しく不当な取材と考えられますか」という質問に対して、大臣は「西山事件に匹敵するような行為だ」とおっしゃっておられましたが、それ以前に、公明党との協議の中で、内閣情報調査室が「単に飲酒や性的関係を利用するなどして秘密を入手した場合は正当」という見解を示されていたんですが、飲酒や性的関係を利用するという部分が正当で、西山事件は不当とする、その線引きがちょっと分かりづらいんですけれども、どのようにお考えになるかお聞かせください。
(答)北海道新聞さん、先日の私の記者会見の議事録と動画は御覧になりましたか。
(問)一応、拝見はしました。
(答)そうですか。そうしますと、今の御質問がちょっと不正確であると思いますので、訂正させていただきたいんですが。もう一度御確認いただきたいんですけれども、私のほうは、「何が不当な取材行為になりますか」という趣旨の御質問に対して、「西山事件の判例に匹敵する行為」というふうに答弁しております。私、そこは注意して答弁したんです。なぜなら、西山事件のその内容に踏み込んでしまうと、個々の事件、そして個々の裁判官の事実認定、これを今回、私どもが提出をする法案に当てはめるということになりますので、そこは各裁判官が独立して事実認定することですから、西山事件の判例の部分、正確に申し上げておきますね。この誤解があって、その後の東京新聞さんの記事にも、「西山事件に匹敵する行為というふうに明言した」と書いてあるんですけれども、ここはここではっきりと否定しておきますので。「西山事件に匹敵」というのと「西山事件の判例に匹敵」では意味が違いますので、誤解があるといけませんので、そこはしっかりここではっきりさせておきたいと思いますが。
 この判例の判決文のところを正確に読んだほうがいいと思うんですが、判決文、ここが抜き書きしかないんですが、これ正確なんでしょうかね。一応、ここ、事務方が作ったもので、私は判決文そのものを見て正確にお話ししたいと思いますが、これを読みますと、「その手段、方法において、法秩序全体の精神に照らし、社会観念上、到底是認することのできない不相当なものであるから、正当な取材活動の範囲を逸脱しているものと言うべきである」というふうに判決文の中で述べています。判決文の中でここの部分が先例としての判例になっているというふうに私は解釈をしておりますので、この部分が「不当な取材行為なんですか」というと、「この判決文に該当するもの」というふうにお答えをします。個々の事件、特に過去の事件について私が述べる立場にございませんので、西山事件の事例について述べたものではございません。
 そして、西山事件の事実認定も、真実というものがあるとすると、それを裁判官がさまざまな証拠や総合的な判断で、こういうものであったというふうに事実認定をします。そして、その事実認定を、またそれを法律に当てはめていくんですけれども、その部分について私が述べたものではございませんので、飲酒ですとか性的関係ですとか、その事件についてはそれ以外のさまざまな総合的な証拠調べの上で裁判官が認定しているんでしょうから、その二つの事象だけを捉えて当てはめることもできないと思います。
 そして、そこのところの誤解を解いた上で申しますと、単なる通常の取材活動というふうに考えられる、つまり、飲酒をしながら聞き出すようなことは当たらないというふうに内閣情報調査室がお答えしたとおりでございます。それ以外も、さまざまな記者さんから御質問がありますけれども、よく壁に耳を付けて聞いているような行動が自民党本部でもありますけれども、そういったことも当たりませんし、正当な取材行為の中に含まれると思いますから、今回提出する法案の「不当な」というふうには当たらないというふうに思います。
(問)大阪のホテルの偽装表示の件で、今後の対応と、それと、大阪の社長さんが偽装表示じゃないという、誤表示と言っているんですけれども、それについていかが思われますか。
(答)景品表示法では、偽装表示と誤表示ですか、それを区別しているものではございません。つまり、故意、過失を問うているものではございません。消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示し、また、事実に相違して、当該事業所と同種又は類似の商品若しくは役務を提供している他の事業所に係るものよりも、著しく優良であると示す表示、こういうものを不当表示というふうに示して、禁止をしているところでございますので、個々の事件についてはまだ全て全容が明らかになっていない時点で言及するのは避けたいと思いますが、一般的に言って、このような不適切な表示があったとすれば、表示に対する消費者の信頼を損なうものでございますので、消費者庁としては厳正に対処してまいりたいというふうに思います。
(問)ジェンダーギャップ指数のことなんですけれども、まず、2006年から始まった時から、今回は最下位ということだったんですけれども、105位の大臣の受け止めと、あと、今朝、安倍さんも女性活躍推進を御関心でいらっしゃるので、この件に関して何かお言葉があったり交わされたりされたかということと、あと、諸外国はクオータを入れて女性議員の数だとか経営者の役員だとか管理職の数を伸ばしてきているわけなんですけれども、日本ではクオータの議論というのは本格的にはまだまだされていないんですが、今後、今のこの日本の現状を改善していくために、「見える化」などをされているのは存じ上げているんですが、いま一歩踏み込んだクオータの議論など、呼びかけを政党にされていかれるとか、そういったお考えがあるのかどうかお聞かせください。
(答)ジェンダーギャップ指数というのは、スイスの非営利財団である世界経済フォーラム、ダボス会議が独自に算定しておるものではございますけれども、やはり順位が下がると悔しいなと思います。昨年、101位でして、100より下に下がって悔しいなと思っていたんですが、また105位で4位、順位を下げました。私の少子化危機突破タスクフォースというのがあるんですけれども、今第2期をやっていますが、第1期の委員に20歳代独身女性代表ということで入っていただいたミス・インターナショナル2012の吉松育美さんによれば、ミス・インターナショナルの審査にはこのダボス会議の順位も点数に入るそうなんですよ。ですから、彼女は101位から出発して世界で1位に輝いたんですけれども、そういうことで彼女も大変もう悔しい思いをしたというふうに私に言ってきたこともありました。このダボス会議の基準がさまざまな分野でございますが、特に日本の場合は、保健分野なんかは大変優秀な順位を持っているんですが、政治分野が大変低いというところが下に引っ張っている要因でございますので、そういう意味で私が各政党、幹事長を訪ねて女性国会議員を増やしてくださいということをお願いしたわけでございます。
 その中には、今お尋ねのクオータ制というふうにおっしゃいましたけれども、クオータ制にもさまざまあるんですけれども、世界でいろいろと使われている制度を紹介をいたしまして、私どもは政府の立場でございますので、党のほうに御検討をお願いしたということで、例えば比例の中の候補者の数の定め方でありますとか、そういうものも一部クオータ制というものに分類されるのかなというようなものもございましたけれども、そういったものを幾つかメニューでお示しをしながら、御検討をお願いしたというところでございます。
(問)秘密保護法でございますが、念のために確認なんですが、法案提出も今日ということでよろしいんでしょうか。
(答)法案提出は今日の予定でございます。
(問)あと今日の閣議の中で秘密保護法について、安倍総理から何か御発言はあったんでしょうか。
(答)いえ、特にございません。
(問)先ほどお答えされた統一基準に照らして社会通念上正当な取材行為を逸脱すると、その関連についてなんですけれども、例えば具体的にはどういった行為が正当な取材を逸脱するのかという点について、大臣はいかがお考えでしょうか。
(答)前回と御同様な御質問だと思いますけれども、個別の事象を挙げることは大変困難だと思います。先ほど申し上げたとおり、個別の事象において総合的な判断をしながら裁判官が認定をしていくものだと思いますので、ここの判例に書いてありますとおり、「取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない。」というふうに、これは今届きました正確な判例の文言でございますが、そういったものであると思います。
 現在、皆さんがさまざま私のところにお問合わせをしていただいております取材行為については、全て一般の通常の取材活動であり、ここで禁止されるものであるとは思っておりません。
(問)特定秘密保護法について、政府が恣意的に不都合な情報を特定秘密に指定して非公開とする懸念が消えていません。そのことについて大臣のお考えを伺いたいのと、あとこの特定秘密保護法案、国民にとっての利益、一体何なのか、お聞かせください。
(答)前段の御質問ですけれども、そのような御懸念を払拭するように、さまざまな御提案を聞いて、しっかりと行政の恣意を排除してまいりたいと思います。
 まず有識者の意見を聞きまして、特定秘密の指定等に係る基準を決めていきます。この基準については国民に明らかにしてまいりますし、また定期的に特定秘密、どのぐらいの件数あるかとか、特定秘密の内容を全て公開してしまうと、それは特定秘密にならないわけでございますので、安全保障に係るものはなかなかそれは公開できませんが、件数でありますとか、公開をできるものはできる限り国民の皆様に明らかにしてまいりたいと思っております。
 そして、その基準を逸脱したものが特定秘密に指定をされて、例えば違法なものであったとすれば、その指定は当然有効なものではございませんので、そういった意味で行政機関の長が常にそれをチェックしていくとともに、5年ごとの延長、そして30年後の内閣の承認、つまり閣議にかけるということで、しっかりとチェックをしてまいりたいと思いますし、もちろん、情報公開法の適用もございますので、その中でしっかりとその手続にのっとって国民の皆様にチェックをしていただくということにしてまいりたいと思います。
 そして、後半の御質問が国民にとっての利益ですね。これは法の目的のところにも書いておりますけれども、情報の漏えいの危険というものがある中で、現在のグローバル社会、又はIT社会の中で一旦漏えいされた場合の損失というものが大変増大、過大になっているということが1つ。
 もう一つは、他国から我が国と国民の安全を守る上で重要な情報を、安全保障上の重要な情報を入手しようと思ったときに、その他国、つまり世界各国と同等の秘密保全の法制度が整備されていない現状においては大変入手が難しい。つまり、情報の共有をしてもらえないという現状がございます。国際的なテロ等が発生をしていく危険がある中で、各国で情報を共有しながら、それぞれの国民の安全を確保していかなければならない中において、こういった情報を共有する上で各国と同等の法制度をつくっていこうと、そういうところが目的になっております。
(問)昨日、参議院の予算委員会の質疑の中で小野委員の質問だったと思いますが、西山事件、海上保安庁のビデオの事件等を例示した中で、いわゆるこの法案は公益通報者保護というのはこの分野に適用されるのかという質問があったのですが、その答弁が保護されるということでしたけれども、具体的にはどういう形で保護をするようなお考えなのか、それをちょっと教えていただきたいというのと、もう一点、秘密の解除、30年後の内閣の承認のところですが、原則的には30年で公開されるけれども、例外的にそれ以降の延長もあるというような理解でよろしいのか、その2点をお願いします。
(答)公益通報者保護法ですが、今条文を出させますが、公益通報者保護法で保護される場合の対象が列挙してあるんです。1つは違法な場合です。違法行為を通報するという場合には、その通報者を国家公務員の場合には懲戒免職されないとか、民間の場合には解雇されないとかということで守られる、保護されるということなんですけれども、特定秘密に指定をする場合には、違法な行為を特定秘密に指定することができませんので、これから有識者の皆様、基準を決めますけれども、当然その中でも、もちろん秘密に指定するものは合法な行為ということは当然の前提でございますよね。違法な行為が政府内で行われていて、それを特定秘密に指定をするということは前提となっておりませんので、当然違法な行為を通報する者は保護されるというふうに私はお答えをした。
(問)では、沖縄密約みたいなものは違法だから通報しても保護されるというような理解ですか。
(答)一般論として違法なものは保護されるということです。今公益通報者保護法の条文が届きましたけれども、これ犯罪行為の事実。ちょっと長いですが、「個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるものに規定する罪の犯罪行為の事実」というのが「一」でございます。
 「二」というのは、「別表に掲げる法律に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実」です。というのが「通報対象事実」であるというふうに定義されておりますので、主に犯罪行為のことです。犯罪行為が行われていて、それを通報する者は保護されるということです。
 もう一つありました。秘密について。
(問)30年後は、というのは原則で、原則30年で公開というような理解でよろしいのでしょうか。
(答)私の理解は、原則30年で特定秘密は解除されるという理解です。

(以上)