森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月10日

(平成25年9月10日(火) 15:18~15:38  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

(フランス共和国及びインドネシア共和国への出張について)
 私からは、まず、フランス訪問及びAPEC女性と経済フォーラムへの出席について御報告をいたします。
 9月1日から昨日まで、フランス共和国及びインドネシア共和国に出張いたしました。
 フランスでは、家族政策担当大臣、つまり少子化問題をやる大臣ですけれども、それから女性の権利担当大臣などの4閣僚、それからOECDの各担当官を始めとする要人と会談してまいりました。合計9名だったと思います。
 同国は、出生率の回復や管理的職業従事者に占める女性の割合が高いなど、少子化対策や男女共同参画施策に効果を上げておりますので、関係大臣と率直な意見交換を行うことができ、大変有意義な機会でありました。また、保育園や母子保護センターなどの視察も行いました。
 消費者行政の関係でも担当大臣にお会いをしまして、前国会に提出をいたしまして継続になっております我が国の集団的消費者被害回復制度でございますけれども、フランスでもほとんど類似の法案が提出されておりまして、国会にかかっているということで、フランスと日本両方で、今国会で審議をされているわけでございますけれども、これについて、フランスの消費者大臣と意見交換を行うことができました。フランスでは、年末までに通る見込みであるというふうに大臣がおっしゃいましたので、私も頑張って、大体同時期に通ればよいですねというふうなお話をいたしました。
 併せて、東京電力福島第一原子力発電所の事故、特に最近の汚染水の漏えいに関するヨーロッパにおける報道の動向を踏まえまして、風評被害対応のため、フランスの消費者担当大臣、現地メディア等に対し基準、検査体制等の資料をフランス語で配りまして、日本の食品の放射性物質等との基準値、その安全性について説明をしてまいりました。
 次に、インドネシア共和国・バリ島で開催されましたAPEC女性と経済フォーラムでは、女性と経済の担当大臣、それから中小企業の担当大臣という閣僚等が一堂に会しまして、経済の推進役としての女性をテーマとし、APEC域内に共通して取り組むべき課題や取組について議論を行いました。
 APECにおいて、女性は女性、経済問題は経済問題というふうに話されていたものが、今年初めて、女性と中小企業の双方の閣僚が一堂に会して議論すると、これは初めての試みでございます。
 安倍内閣では成長戦略、アベノミクスの3本目の矢の成長戦略の柱に、女性の活躍を据えておりますので、この点が各国大変関心が高く、「アベノミクス」という言葉を使って、私のほうに話しかけてきた閣僚が数多くいらっしゃいました。
 また、私からは、東日本大震災の経験を踏まえた女性の視点を生かした防災復興の取組指針をつくりましたけれども、そういった取組を紹介いたしました。
 その結果、各エコノミーが、女性の経済参加の促進に向け、我が国が進めております女性の活躍を推進する企業の活動の見える化でございますね、例えば、なでしこ銘柄でありますとか、それから東証における様々な公開制度でございますけれども、こういったことに対して大変高い評価をいただきまして、最後の取りまとめに、わざわざ当初の案を変更してその部分を盛り込みまして、そして声明として発表、合意されました。
 また、この会議8日に行われましたけれども、その開始直前に東京オリンピック・パラリンピックの決定の吉報が入りましたので、私から演説の冒頭に、各エコノミーに対し、御礼と成功に向けての政府の決意を申し上げました。また、個別にお会いした閣僚に対しては、日本の食品の安全性について、風評被害の払拭に向けてしっかり説明をしてまいったところでございます。
 今回の出張の成果を踏まえ、引き続き少子化対策、女性の活躍による経済成長への取組、及び食品の風評被害払拭を始めとした消費者行政等を積極的に推進してまいります。

 

(自殺予防週間の実施について)
 2点目が、自殺予防週間の実施でございますけれども、本日の閣議において私から、今日から1週間、自殺予防週間を実施するということについて発言をいたしました。期間中、関係省庁、地方公共団体、関係団体及び民間団体等と連携して、心の健康相談、多重債務の相談、法律相談などの全国一斉相談を行うなど、各種の支援策を重点的に実施してまいります。
 近年、我が国の自殺者数は減少傾向にあるとは申しますものの、依然として多数の方が亡くなっている事実には変わりはありません。また、特に若年層におきまして自殺死亡率が上昇傾向にありまして、いじめや体罰等による自殺が学校等で発生するなど深刻な状況にございます。一人でも多くの命を救うため、皆様におかれましても、自殺予防週間の実施に格別の御協力をいただきますようにお願いをいたします。

 

(東北未来がんばっぺ大使の委嘱について)
 最後になりますけれども、東北未来がんばっぺ大使の委嘱について発表したいと思います。
 お手元に資料を配布していると思いますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故による食品の風評被害、私が担当大臣でございます風評被害の払拭でございますが、この防止に向けて、女優の秋吉久美子さんに、東北未来がんばっぺ大使を委嘱いたします。風評被害の防止のためには、消費者に正確な情報を伝えることが重要です。消費者庁としてこれまで数多くの説明会等を開催してまいりましたが、このたび大使を任命して、さらに情報発信力を強化しようと考えております。大使に就任していただく秋吉さんは、福島県いわき市で育ちまして、日本を代表する女優であり、復興支援活動に大変御尽力なさっているということから就任を依頼いたしました。大使の委嘱式は9月12日を予定しております。詳細は、事務方から改めてお知らせをしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)東京オリンピックの関係なんですけれども、東京オリンピック開催決定についての大臣の受け止めを改めてお伺いしたいのと、汚染水の問題、福島の問題を含めて大変関心が高いと思うんですけれども、今後の大臣としての取組をお伺いしたいので、お願いします。
(答)東京オリンピック・パラリンピック開催に向けましては、安倍総理から特別に御指示がございまして、私ども全閣僚が組閣当時から、全閣僚が全力を挙げてこの招致に向けて活動を展開してまいりました。私も、機会があるごとにこのオリンピックについては様々な活動をさせていただいておりました。例えば、IOC委員が日本に来た折でございますとか、様々な機会を使ってオリンピック及びパラリンピックの招致に全力を挙げてまいりました。今回の出張のときも、デリゲーションメンバーは全て胸に東京オリンピック招致のためのバッチをつけて臨んだわけでございますが、全力で全員が努力をした結果、政府以外の全ての関係者の方が一丸となってオールジャパンで取り組んだ結果、夢がかなったということは大変喜ばしいことでございまして、総理からも、「力を合わせれば夢がかなうということが確認できたのではないか」という言葉が、今日、閣議の時にございました。
 そして、閣議の後の東京オリンピック及びパラリンピックの招致に関する閣僚会議が、これは招致に向けての会議でございますので、これは今日が最後となる会議なんですけれども、開かれました。そこで総理があいさつの中で、「2020年、7年後に復興をなし遂げた日本の姿を世界中の人に見せなければいけない」というふうにおっしゃいまして、被災地出身の私としては、オリンピック開催の年までに復興を成し遂げて、それを世界中の人に見せるんだという総理の決意を聞いて、大変うれしく思い、自分自身も全力を尽くそうというふうに思いました。
 また、汚染水についても、総理から、「オリンピックに向けての演説の中で約束したとおり、政府一丸となって、この汚染水について完全に解決していくということを果たしていかなければならない」という言葉がありました。
 この東京オリンピックの開催に向けて、今後はまたその準備に向けての活動が開始されるわけでございますけれども、全閣僚を挙げてその成功に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
(問)フランス訪問のことについてお尋ねします。フランスでは出生率が回復して、日本では回復していないわけですけれども、今回現地に行かれて、その違いについて何か気付かれたことがあれば教えていただきたいことと、日本で取り入れたらいいなと思った考え方や政策があれば、併せて教えてください。
(答)フランスに行ってびっくりしたことは、フランスは出生率がV字回復をして、女性の権利も、例えば、一つの指標を挙げますと、管理職における女性の割合が日本では1割ですけれども、フランスでは4割というふうに、非常に女性が活躍をしているのでございますが、閣僚も、私が会った閣僚は、4人のうち3人が女性、そして、そのほかに経済人と女性の社長さん方とそれぞれ個別に3人お会いしました。フランス経団連の会長を2期8年間務めたパリゾさんという前会長は女性でございます。お会いしましたが、全員が異口同音に「満足していない」というふうにおっしゃいまして、私は、日本のほうがずっと遅れているので学ぼうと思って行ったんですが、「フランスはまだまだ女性が厳しい環境に置かれている」というふうに強くおっしゃっておられました。私は、やはりこの飽くなき追求の姿勢が、彼女たちの結果を出してきたのではないかなと思って、決意を新たにしたわけでございますが、具体的な政策で申し上げますと、日本の方もとっている政策が数多くありました。つまり、法的な制度としては同様の制度があり、それを総合的に展開することで出生率が回復してきたということをおっしゃっておられましたが、結局、日本の場合には、制度があっても活用をされていないというところが問題であると思いました。
 例えば、育児休業ですね。男性が取る率が非常に低いとか、そういったことです。育児休業中の給与の補償を今、田村大臣と私で、今50%でございますけれども、その割合を上げるということを努力していこうとしておるわけでございますが、それ一つで出生率が回復できるわけではなく、それ以外の様々な制度が必要であると考えました。
 また、フランスのほうから「日本がうらやましい」というふうに言われた点は、特にあれは女性の権利大臣ですね、広報官も務めておりますけれども、彼女が言っていたのは、経済成長の戦略の中に女性を位置づけたという点を高く評価されていらっしゃいまして、フランスでも、経済成長政策の中に女性を位置づけようと何回もチャレンジしたけれども、それはまだかなっていないということでございましたので、大変そのことについて関心が高いなというふうに思いました。これについては、APECでも各国の女性の権利担当大臣が集ったわけでございますが、各国から同様に、アベノミクスの成長戦略の中に女性の活躍が位置づけられているということについて大変高い評価、それから関心を寄せられたということを申し上げておきたいと思います。
 また、保育園と母子保護センターというのを訪問してまいりまして、保育園の見送り・お迎えの父親の割合がどのくらいかということで、30%程度は父親が迎えに来るということでございましたので、思ったよりは低かった。フランスは半分ぐらい男性かなと思ったんですが、30%ぐらい父親のほうが迎えに来るということでしたけれども、日本よりはずっと高い割合でございますので、まず、父親が迎えに行けるような仕事環境を整えていくということが大事かなというふうに思いました。
 また、母子保護センターのほうでは、妊娠中又は妊娠前から様々な健康面等の指導もしていて、日本の保健所と保育所と、それから様々な相談室ですね、マタニティブルー等の相談室が全部合体したような、そこに行けばワンストップのサービスが受けられる。また、小児科の医師が常駐しておりまして、子供の病気等についても、また成長の悩み等についてもお話が聞けるということで、こういった妊娠、出産についての手厚いフォローがあるから、皆さん安心して出産ができるのかなと思いました。
 また、パリ市の副市長さんにもお会いをしたんですけれども、フランスの中でも大変都市であるパリ市でございますけれども、ここはまだ待機児童がいるということで、フランスでも待機児童問題があるということを、大都会では待機児童問題があるということで、今、予算を大量に投じて保育園をつくっているということでございました。以上です。
(問)先日、韓国が、福島県を始め県の水産物の輸入禁止の措置をとりましたけれども、これに関して、水産庁は今後解除を求めていくことを検討していますが、大臣としてのお考えと、何かアクションをとられるか。
(答)私は、今後も食品では、安全なものについての風評被害払拭のために努力をしてまいりたいと思います。今回も、フランスでお会いをした全閣僚、そしてAPECで二国間対談を申入れまして、休み時間等を使って二国間対談ができた国には、フランス語又は英語で、食品の安全についてのパンフレットを配りまして丁寧に説明をしてまいりました。日本の食品の放射性物質の基準値が、例えばEUと比較しますと、10倍厳しいということであることも知らない閣僚が多かったわけでございますので、しっかりとした情報を提示していく。厳しい基準でしっかりとした検査を行っています。また、基準を超えたものは廃棄をしています。流通しているものは安全ですということを申し上げて理解をしていただく努力をしたいというふうに思います。
(問)公益通報者保護法についてお伺いしたいんですが、5年をめどに見直しについて考えるということになっていると思うんですが、大臣として法改正の必要性についてどのようにお考えかということをお伺いします。
(答)これは現在見直し中でございますので、私から結論を先取りしたようなことを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。様々な方の御意見を聞いてしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

(以上)