森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月25日

(平成25年6月25日(火) 9:47~10:12  於:消費者庁61会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 記者会見をこちらの消費者庁の庁舎と4号館交互に行っておりますが、消費者庁で記者会見するときは、大臣室から執務スペースを横切って来ますので、職員の顔が見えて、とてもうれしいところでございます。「おはようございます」という元気な声が今日も出ておりました。

 

<少子化社会対策白書について>
 私から、たくさんあるのですが、まず一つは、今朝の閣議で少子化社会対策白書が閣議決定をされました。もう一つ白書が2本ありまして、障害者白書、こちらも決定をされました。
 まず少子化社会対策白書では、特集として、子ども・子育て支援新制度の概要及び6月7日の少子化社会対策会議で決定された少子化危機突破のための緊急対策について紹介をしているところでございます。
 少子化社会対策は、内閣の最重要課題の一つであり、子育て支援と働き方改革に加えて対策を強化するとともに、結婚、妊娠、出産支援を対策の柱に加え、「三本の矢」として少子化対策を強力に推進してまいります。
 それから、いつも白書の発表のときに付言しておりますが、私のもとで東日本大震災の被災地における取組を、各白書に必ず盛り込むようにしておりますが、少子化の白書のほうは第5章において、本体の第5章、107ページでございますけれども、東日本大震災の被災地等における子ども・子育てに関する対応ということで、様々な心のケア、学校教育、妊婦、乳幼児、それぞれについて現状を紹介するとともに、安倍政権になって予算をつけました原子力災害による被災者支援パッケージの中の子どもの元気復活交付金についても紹介をしております。また、コラムにおいて、仮設住宅における子育て支援でありますとか、屋内遊戯場の施設などを紹介しているところでございます。
 白書は後年に残るものでございますので、この震災の記録をしっかりと残していこうというふうに思っているところです。

 

<障害者白書について>
 次に、障害者白書でございますけれども、今回の白書では、各種統計資料などにより、障害者の状況等を紹介するとともに、障害者施策推進の経緯と現況について概観をしています。
 特に、直近の障害者施策については、先週成立しました障害者差別解消法に係る経緯など、様々な動きも紹介をしています。震災対応部分については、例えば本体の198ページ以降に、東日本大震災における障害のある人たちへの主な緊急支援として介護職員等の派遣等について、記述をしております。
 大規模災害時において、社会的弱者への支援が非常に大切です。つまり弱者ほど災害によるダメージを受けやすいということで、子ども、障害者、高齢者それぞれの白書について取り上げているところでございます。

 

<食育推進全国大会について>
 食育推進全国大会、これを先週末、6月22日、23日の2日間にわたり広島県において開催をいたしました。私も出席してまいりましたけれども、開会式において、10の個人、団体に対して食育推進ボランティア表彰を行ったところです。
 今大会には、2日間で約2万7,400人の来場をいただきまして、盛会のうちに終了いたしました。関係者の皆様に、この場を借りて御礼を申し上げます。

 

<女性国家公務員の活躍推進に向けた取組について>
 女性国家公務員の活躍推進に向けた取組について申し上げます。
 6月14日に閣議決定された日本再興戦略には、「隗より始めよ」の観点から、女性の採用・登用の促進や男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組むことが盛り込まれました。
 そこで、本日の閣僚懇で、明日6月26日から始まる国家公務員採用総合職試験の官庁訪問において、より積極的に女性を採用するようにお願いをいたしました。また、女性の登用についても、引き続き積極的に進めるようにお願いをいたしました。
 男女の仕事と子育て等の両立支援については、先日、私から人事院に配偶者の転勤に伴う離職への対応を要請したことをお伝えするとともに、各府省においても業務効率化によりワーク・ライフ・バランスの実践を推進し、人事評価において適切に評価するなど積極的に取り組むように、各閣僚に対してお願いをしてまいりました。

 

<エスカレーター事故の評価書について>
 次に、消費者庁のほうでございますけれども、エスカレーター事故の評価書についてです。
 消費者安全調査委員会、いわゆる事故調では、平成21年に発生したエスカレーター事故について、国土交通省の社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会が行った調査結果を評価してまいりましたが、6月21日にその結果が公表されました。
 調査委員会では、消費者安全の視点から、すなわち今回扱ったこの事故に限らず様々なケースへの応用、また消費者事故の防止ということを考えながら、本件事故の発生に関連したと思われる要因について、幅広く議論していただきました。
 その結果、このエスカレーターが吹き抜けに設置されていたという周辺環境などにも注目して、なぜこの事故や被害が発生したのかを深く調査すべきであるとして、今後自ら調査をしていくということを決めました。
 消費者安全調査委員会においては、今後こうした調査を通じて事故の原因を究明し、消費者安全の確保に寄与していただけるものと期待をしております。

 

<食品表示法の成立について>
 最後になりましたが、食品表示法の成立でございます。
 本日の閣議において、6月21日金曜日に成立した食品表示法の公布について閣議決定をいたしましたので、お知らせをいたします。
 食品表示の一元化は長い課題でありましたが、ようやく同法が成立して一歩を進めることができたと思っております。同法の制定により、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設することになります。消費者、事業者双方によって分かりやすい表示を実現するものと考えております。
 今後は、同法の施行に向けて、具体的な食品表示基準を策定することとなります。課題が多く残っておりますが、消費者にとって分かりやすい表示を進めてまいりたいと思っております。
 また、本日、食品表示に係る執行事務を一つの課に集約をして、法律の適用を迅速かつ効率的に行うための消費者庁組織令の一部を改正する政令、これも閣議決定をされました。施行日は7月1日でございます。これにより、食品表示事案を一元的に担う体制が整備されることになります。食品に係る不当表示の事案に関しては、この一元的な体制下におきまして、より一層厳正な執行に努めてまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)少子化社会対策白書について、出生率は一昨年の確定値で横ばいになっていたのですが、こういうイメージ大勢になっていて、あと第1子の出産年齢が初めて30歳代になるなど、晩婚化とか晩産化、あと未婚化の流れというのが顕著になっているかと思うのですが、こうした流れに対して大臣としてはどう食い止めていこうとお考えですか。
(答)合計特殊出生率が横ばいで1.39から1.41でございますが、楽観視ができない状況だと思っております。
 なぜならば、第二次ベビーブームのときに生まれた方が現在出産をしている年齢になりますが、その第二次ベビーブームの最後の方が、今年39歳ということでございます。35歳を過ぎますと、妊娠率、妊孕力というのですが、妊娠をする自然的な力が低下をするということが指摘をされておりますので、今後、第二次ベビーブームが出産適齢期を過ぎた後、合計特殊出生率そのものも、動きは非常に厳しいものになってくるというふうに想定をしております。そのような中で、今御指摘の未婚化、晩産化、晩婚化の特徴が更に顕著にあらわれているわけでございます。
 先ほど御紹介いたしました官邸の総理を会長とする会議でございます少子化社会対策会議において決定をされました少子化危機突破緊急対策、これを強力に推し進めることによって、「三本の矢」の3本目の結婚、妊娠、出産支援の部分をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 皆様のお手元にはもちろんあると思いますが、いま一度御紹介をいたしますと、一つは、結婚、妊娠、出産、結婚しにくい、結婚できない、結婚したいと思っているのに結婚できないということによって、未婚化、晩婚化が生じないように、それを支援することを全国展開してまいります。
 例えば若者の住宅を支援する地方自治体の取組を、国においても財政面などで支えていくということが一つ考えられます。福島県会津の磐梯町の取組、それから東京都中央区の取組等で、区立住宅又は町営住宅で若者優先に入っていただくことによって、結婚するときのマイホームに使っていいただくというような取組が功を奏して、出生率が上がっているという実証例がございますので、こういった先進的な取組を全国的に横展開していきたいと思います。
 また、妊娠、出産に対する情報提供や啓発も行ってまいりたいと思います。特に、若い20代、30代の女性の子宮、卵巣等の疾患が増えている、又は深刻化しているという状況を踏まえて、そういったことを防止するためには、産婦人科に早く相談をすることが重要、そうなると予防ができるわけでございますが、産婦人科に妊娠をする前に産婦人科に行くという、今なかなか慣習がございませんので、そういったことをどうやって啓蒙していくかということが一つ課題でございます。これについては、少子化危機突破タスクフォースのほうで、また、この政府の結果を報告して、またお知恵をいただきたいというふうに思っております。
 また、地域の相談支援でございますが、一部の地域でそういった悩みとか、それから子育ての悩みを、いつでも、どこでも、何でも相談できる、そういう拠点づくりをしている例がございますので、そういったことを全国に広めていく取組が進められると思います。
 例えばフィンランドでは、今言ったような産婦人科などの病院に行けば、病院にかかるだけではなくて、妊娠、出産に対する相談や子育てに関する相談、それから産後の体の回復に関する相談なども受けられるという仕組みを全国的につくっておりまして、出生率も一時非常に落ち込んだものが、現在は1.8ぐらいまでフィンランドにおいて回復をしているということで、そういったフィンランドにおける妊娠、出産知識の啓蒙、それから相談拠点づくりも参考にしてまいりたいと思います。また、産後ケアでありますとか、不妊治療についての支援も盛り込まれているところでございます。
(問)明日で政権発足半年を迎えられると思うのですが、少子化対策とか消費者問題に取り組んでこられて、印象に残ったエピソード、あるいは総理といろいろ相談したりと、そういうことがあると思うのですけれども、総理と問題に取り組んでいくという点で、印象に残っているエピソードみたいなものがございましたら御紹介ください。
(答)少子化対策に関しましては、少子化問題というのが、国の根幹に関わる重要課題だということを、総理から御指示をいただいたところでございまして、全閣僚で、その危機意識を共有できたことが、私、担当大臣としては大変取り組みやすかった部分でございます。
 そして、総理を始めとした閣僚全員の危機意識の共有のあらわれとして、今回「骨太」の中に、少子化危機突破のための緊急対策という先ほどの取りまとめが丸ごと入りました。ということは、今後の具体的な施策の展開及び予算の確保についても、しっかりとした道筋がつけられたものというふうに理解をしております。
 さらに、安倍政権の「三本の矢」の成長戦略におきましても、日本再興戦略の中に少子化の対策というものがしっかりと書き込まれたということは、国の成長戦略の一つとして、少子化の危機を突破していくということが、安倍政権の姿勢として打ち出されたというふうに評価しております。
 ですので、今後の概算要求に向けて、少子化対策、今までは同じことがずっと言われていても、なかなか進展をしないということが指摘されてきましたけれども、やるべきことが決まっていると。あとは具体的な政策をやるかやらないか、そして、そこにしっかり予算をつけていくかいかないかということだと思いますので、そこに向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
 また、もう一つ付け加えさせていただくならば、少子化対策というものは、その主なものは女性の活躍推進、それから仕事と家庭の両立ということにかかっております。これは、特に男性の意識改革に求める点が非常に大きいわけでございますが、今回この女性の活躍推進についても、安倍総理が成長戦略の中核に位置づけていただきまして、「骨太」、それから成長戦略の中に、しっかりと中核に書き込まれております。その中に男性の意識改革という点も書き込まれておりますので、その部分も少子化対策とあわせて、しっかりと取り組んでいけるものというふうに思っています。
(問)先ほどお話しありました食品表示法の件で、制定された件なのですが、これから基準の策定。一方、規制改革会議の答申に基づいた閣議決定を踏まえて基本計画の中に機能性表示、健康食品の機能性表示が企業の責任によって載せることができるという制度を、平成26年度に整備するというスケジュールが出されていたと思います。
 となると、食品表示法の施行は制定から2年以内ということで、この健康食品の機能性についての新しい制度は、それより前になる可能性もあると思うのですが、検討体制というのはどうなるのでしょうか。
(答)おっしゃるとおりでございますけれども、この機能性表示のところと矛盾しないように、しっかりと食品表示のほうと一体となって検討してまいりたいと思っています。
 機能性表示も、消費者庁として重要な視点は、やはり消費者の安全確保、もう一つは消費者の利便性、選択をするときの情報提供ということもあると思いますので、しっかりとその基本を踏まえながら検討を進めてまいりたいと思います。
 たまたま、今朝の農業に関する会議が官邸で閣議の前にございまして、そこに農業者の方がいらしていました。正式名称は「農林水産業・地域の活力創造本部」第3回でございますが、全閣僚がメンバーになっております。そこに農業者の方が2名来て今日は御発表いただいたのですけれども、六次化ということで、自分のところで生産した農産物をドリンク剤にまでして売っているそうです。ハトムギなのですけれども、ハトムギのドリンク剤、又はハトムギ茶を製造して販売するところまでしているのですけれども、そこの商品における機能性表示をさせてほしいという御意見もございました。
 国産のものを、ハトムギが健康に与えるよい影響の部分を表示したいという、そういう農業者の思いでございましょうから、そこのところは企業努力によって表示をさせていくということを消費者の安全確保、又は消費者の情報選択という観点から、しっかり応えていくということを、私も進めてまいりたいと思いました。
(問)消費者事故調に関して伺います。
 初の評価書がまとまったということなのですけれども、これはいわば中間報告というような格好で、論点整理に8か月ぐらい要してしまった側面もあると思うのですね。そういう意味では、その内容も遺族から申し出を受理した時点で、ある程度示されていた論点だと思います。
 建て付け上やむを得ないのかもしれないのですが、スピード感も私は大事だと思っていて、仕組みの見直しとか、あるいは体制の充実、どんなことを考えていらっしゃるのかどうかをお聞かせください。
(答)おっしゃるとおりのことを、私も事務方に言ったところでございます。
 私も第1回目でございますので、ちょっと詳しく見させていただきました。そうしましたら、第1回目の初の評価書というところで、その論点の内容の検討だけでなく、また評価書の書き方、形式でありますとか、それからその言いぶりについても、非常に慎重に検討をしておりました。
 今後は、これがモデルとなって次回以降出ていくと思いますので、スピードアップを図れると思いますし、図るように指示をしたところです。
(問)たびたび白書の件で恐縮なのですが、今度は障害者白書の中で、今国会で障害者差別解消法案が成立したばかりなのですけれども、これに関連した質問項目で、差別がまだ依然として9割近くあるという回答と、あとまた5年前から差別が改善されていないという事実も前回の調査より増えています。
 差別解消法案が成立した直後なのですが、こうした差別が依然残っているというような調査結果について、どのようにお考えでしょうか。
(答)まさに、差別があるという障害者の皆様からの声をしっかり受け止めて、新法ができましたので、民間団体も、それから公の団体も、しっかりと取り組んでいかなければならないと思いますし、担当大臣として号令をかけたいと思います。
 障害者の差別については、障害者のお一人お一人の個性と能力を伸ばすために、社会的障壁を取り除けば、それぞれ全く皆さん障害のない人と同じように、個性と能力を発揮できるわけでございます。また、特にすばらしい才能を開花される方もいらっしゃいます。そういった認識も国民皆様に共有をしていただきたいと思っているところです。

(以上)