森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月24日

(平成25年5月24日(金) 9:05~9:23  於:合同庁舎第4号館6階605号室)

1.発言要旨

<エレベーター事故のご遺族との面会について>
 おはようございます。
 まず、1点申し上げます。5月21日、火曜日に、東京都港区で発生したエレベーター事故の御遺族である市川さんと、金沢市で発生したエレベーター事故の御遺族である前多さんと面会し、要請書をお受けいたしました。
 お二人からは、二度と同じような事故が起きてはならないとの率直な思いや、被害者に向き合う事故調査の重要性など、大変貴重な御意見をいただくことができました。例えば、事故の原因究明に時間がかかると、御遺族はますます苦しい思いをするとの御指摘がありました。特に、港区の事故について7年間も事故の原因が究明されなかったために金沢市の事故が起きてしまったこと、このことに強い憤りを感じておられました。また、御遺族に調査の進捗状況をお伝えすることの重要性についても御指摘がございました。私のほうから事務方に指示をいたしまして。当日、事故の調査状況、進展状況について、可能な限りの情報を公開したところです。
 消費者庁としては、今回お聞きした御遺族のお気持ちを真摯に受け止め、調査委員会に正確にお伝えし、できるだけ早く調査等を行うためのサポートや、被害者や御遺族に対する適宜適切な調査状況の報告に努めてまいります。私としては、調査が、私が大臣をお引き受けしてからの進捗状況の中で、問題があると考えるところの改善のために、あらゆる手だてを講じたいということで指示をしたところです。

 

<「若者・女性活躍推進フォーラム」提言の取りまとめについて>
 次に、女性の点でございますが、若者・女性活躍推進フォーラムの提言が取りまとめられましたので、御報告を申し上げます。
 第8回若者・女性活躍推進フォーラムが5月19日に福岡県にて安倍総理出席の下で開催され、提言が取りまとめられました。お手元にポンチ絵のほうが配られておりますが、文章になった詳しいものもございます。提言内容については総理より、今後策定される「成長戦略」及び「骨太の方針」にしっかりと取り込むと。そして、日本経済再生に向けた原動力の一つとして、政府を挙げて実行に移してまいりたいとの発言がありました。担当大臣として、女性の活躍推進について、提言内容を着実に実施してまいりたいと思います。
 なお、女性はもちろん男性も含め、多くの当事者の方々に御理解いただき、一体となって推進してまいりたいとの思いから、この度お配りした資料のとおり、これはポンチ絵のほうでございますけれども、一般の方にも分かりやすくということで、このような図表にもしたところでございます。
 様々な取組がここに書いてありますけれども、具体的には文章のほうに細かく書いてありまして、例えば、このポンチ絵の4ページ目の右下に、再就職に向けた支援というのが書いてありますけれども、子育て等でブランクのある女性のスキルアップ支援というふうに書いてありますけれども、育児休業を取った場合のスキルアップもそうですが、一旦育児休業期限が切れてしまったり、様々な理由で辞められてしまった方の再就職、この場合もキャリアアップのための支援をするということで、中小企業、小規模事業による職場実習というものをするときに財政支援をしたり、それから、再就職をしようとする本人にも1日6,000円ずつの財政支援をして、それでまたキャリアアップのための英会話教室に通うなどの、スキルアップをできるようにという政策を入れました。
 その他、それぞれ細かいことはまた、いろんな支援がありますけれども、事務方のほうにお問い合わせをいただければと思います。

 

<30代の未婚女性たちとの座談会の開催について>
 三つ目でございますが、30代の未婚女性たちとの座談会について御報告します。
 一昨日22日、水曜日、私と30代未婚女性たちとの座談会を開催いたしました。非常に幅広い様々な職業の方がいらっしゃって、社長さんであるとか、それから会社員の方、それから保育士さんとか専門職の方など、社会で活躍されている方々6名、30代も前半から後半まで様々の方においでいただき、これまでの経験に裏打ちされた、しっかりした御自身のライフプランや仕事への取組状況、それから、結婚観であるとか、結婚相手に希望することが何か、男性に期待することや社会などに期待をしていることなど、忌憚なくお話をいただきました。今後、これらの御意見を参考に取り組んでまいりたいと思います。
 これで、20代の未婚の女性、30代の未婚の女性と、生の声をお聞きしてきたのですが、次は男性の声もお聞きしたいなと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日、少子化危機突破タスクフォースでアイデアが出されました「生命と女性の手帳」なのですけれども、一部報道で、男性も含めた希望者のみに配布する方針だというふうに出ましたが、実際のところ、いかがなのでしょうか。
(答)まだ方針が決まっておりません。少子化危機突破タスクフォースは、まだ取りまとめをしておりませんので、現在、取りまとめの素案について、各委員の御意見をお伺いしているという状況でございます。
 私個人としては、当初から申し上げておりますけれども、女性、男性問わず、広く啓蒙をする必要があるというふうに考えております。
 特に、日本産婦人科学会の理事長と先般お会いをしまして、医療過疎地域への産婦人科の増員について要請をしたんですが、その際、理事長から現在の産婦人科の状況について御説明をいただきまして、特に若い女性に疾患が広がっていると。これは、子どもを産む産まないにかかわらず、子宮の中の例えば子宮筋腫ですとか子宮内膜症、それから卵巣の疾患が、昔に比べて増加していると。それはやはり、現在のライフスタイルであるとか、いろんなことが影響しているとは思いますが、そういったことを、早目に受診をしていただければ治療できると。悪化する前に治療ができるというお話がございまして、そういったことも含めて、皆さんに知識を共有していただけたらいいのではという御提案が産婦人科学会からございました。
(問)市川さんと消費者事故調の関係なのですが、何か問題がある場合に、その改善のために、あらゆる手を講じたいというふうに御発言がありましたけれども、現時点で調査のあり方だとか、調査の今後の仕方の中で、大臣として、問題だとか改善すべきだという意見を持っていらっしゃるところがあれば教えてください。
(答)法律の建て付けが、他省庁がしていない分野について調査をするというような前提になっておりますよね。つまり、主にすき間事案ということになっておりますけれども、やはりもちろん、あらゆる全ての範囲に手を伸ばすことは、人員等の関係で非常に困難ですし、そのことで、かえって一つひとつの調査がおろそかになってはいけません。しかし、エレベーター事故のように、人の命が奪われている、そしてまた、同じような事故で命を落とされた方がいるという重大な事故については、消費者庁がもっと積極的に調査をできるような方法がないかということを、担当大臣として考えております。事故調はすき間事案に限定されていませんという、もちろん限定されていないのですが、それが原則なのですよ。それで、もちろんそれは重なっている部分もできるのですよ。だけれど、やはり消費者庁が他省庁の調査をまず原則として尊重し、それを検証してからというような手続になっておりますので。私は、人の生命にかかわる事案については、もう少し考え直すことができないかと思っておりまして。それは法律を変えることをしなくても、行政レベルでできることもあるかもしれませんし、そういう意味で、あらゆる手だてと申し上げましたけれども、そういったことを考えております。
(問)先ほども少し触れられましたけれども、福島県に限らず産婦人科学会過疎地域への産婦人科医の増員という要請があったという。少子化担当大臣として具体的に取れる方策というのは。実際、これは厚労省の所管だと思うのですけれども、そこはどういうふうに、大臣としてはお考えになっているでしょうか。
(答)少子化担当大臣としては、各担当の大臣に申し入れて積極的に動いてもらうというのが、少子化担当大臣は横串を通している内閣府の大臣ですのでね、全てそういう立場なのですけれども。
 都会においては待機児童の対策が非常に問題になっていますが、地方においては、やはり産む場所がないというのが、少子化の中では一番大きな課題の一つなのですね。産婦人科に行こうと思っても近くにない、定期検診するところがないというのももちろんなのですが、周産期医療といって、ハイリスクのお産ですね。難しい手術を要するような、そういうハイリスクの出産がある場合には、産婦人科のお医者さんが1人では対応できない訳でございます。ところが、今どんどん減っているために、産婦人科のお医者さんが病院にいても、1人しかいないというふうな状況なのですね。そこに、2人ずつになるように、特に基幹病院については2人ずつになるようにすることによって、そういうハイリスク出産に対応できる訳です。
 福島県においては大野病院事件というのがございましてね。震災の前ですけれども、発覚しまして、このことで産婦人科のお医者さんが全国的に減少するきっかけになった事件で、ハイリスクの出産が起きて母体が死亡した訳でございますが。前置胎盤という非常に難しい出産です。そのときに、やはりお医者さんが2人いれば、そこで対応できるのですが、そういう問題がございまして。
 産婦人科学会の理事長に聞きましたら、周産期医療、つまりハイリスクのお産というのが今、増えているのですね。それはやはり、高齢妊娠、高齢出産が増えているからなのですね。ですから、地方においても、大きな病院に医者が複数いないとハイリスク出産に対応できない。母体が危険にさらされる、また胎児も危険にさらされるということでございますので、安心して産み育てる環境ということで、そこをしっかりとやってほしいと思います。こういう私の今述べたような意見を担当の田村厚労大臣にしっかりと申し上げて、厚労大臣と少子化大臣が一緒になって、全国の産婦人科医の増員というものに努めてまいりたいと思います。
 今回は産婦人科学会の協力によって、モデル地域として増員をしていただける方向になりましたけれども、根本的な問題を解決するには、先ほどの大野病院事件のときのような訴訟リスクを回避する手だてを講じないといけませんし、産婦人科医の過酷な勤務状況、これを改善しなければ。お産が24時間あるのですけれども、もう今や海外では、お産が24時間あるといっても、産科医は昼間に働く方と夜に働く方をきちっと分けて、ワーク・ライフ・バランスが取れるような形になっている。そうしないと、特に女性の医師が産婦人科においては、最初1年目に産婦人科医になったときには女性の数が多いのですけれども、10年ぐらい経つと、ほとんど誰もいなくなってしまう。つまり、婦人科のほうはやるけれども、お産のほうをやらないというふうになってしまうのですね。ですから、女性も自分の子どもを産んでもちゃんと産科として働けるような、そういう環境をつくっていくということも今後の課題の一つだと思います。
(問)閣議が終わった後、総理と面会されていたようですけれども、具体的にはどういったことを話されたんでしょうか。
(答)今のようなお話をいたしました。少子化対策としての、今の取組状況とか今後の課題について。
(問)タスクフォースの話などもされたと。
(答)いや、そこまで具体的な話はしておりませんが、総理からは頑張るようにというふうに言っていただきました。

(以上)