森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年12月27日

(平成24年12月27日(木) 10:02~10:25  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました、森まさこでございます。
 私の担当は、消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画、併せて内閣の担当大臣として女性活力・子育て支援担当を担当いたします。
 私は消費者弁護士として、10年以上弁護士をしておりました。その後、金融庁のほうで政策立案をさせていただいた後に、自民党で国会議員として消費者問題調査会の事務局次長として、当時の野田聖子会長、その後、消費者及び少子化対策等の大臣になられました野田聖子さんを支えて、当時の消費者庁設立にかかわってまいりました。
 そういった経験を生かして、この消費者担当大臣の職を全力で全うしたいと思っております。
 また、少子化対策、男女共同参画に関しましては、私自身も弁護士、それから、省庁、そして国会議員として働きながら子どもを出産し育ててまいりました経験も踏まえながら、子育てしやすい社会の実現、女性が働きやすい社会の実現に努めてまいりたいと思っております。
 また、私は福島県の出身でございますので、震災及び原発事故の被害地域でございまして、現在母子で、父親と別れて避難している辛い避難生活を送っている子育て家庭または親子で避難している家庭、更には、福島県にとどまって放射線等のことを心配しながら子育てをしている家庭、これに対しては全面的な支援をしてまいりたいというふうに考えております。安倍内閣の一員として精一杯努めさせていただきたいというふうに思っております。
 各論を詳しく申し上げますと、まず、消費者行政についてでありますけれども、消費者が安心して暮らせる社会の実現は大変重要な課題でありますので、総合調整の任にある私が各閣僚に協力していただいて、これを邁進してまいりたいと思います。
 具体的には、消費者庁創設時の理念に立ち返って、一番大事なことは、当時の福田総理の一番最初の所信表明演説ですけれども、こちらのほうに書かれておりますけれども、真の消費者目線に立って消費者の安全・安心を確保してまいりたいと。
 これに関しては、消費者委員会の機能を最大限に活用するとともに、消費者団体や事業者団体等とも適切に連携をとりつつ、施策を決定・推進してまいりたいと思っております。
 また、特に私が消費者担当大臣になりました折に、安倍総理から指示書というものをいただきまして、こちらのほうに書いてあるのは、先ほどの福島県に関連いたしますけれども、食品と放射能に関するコミュニケーションの強化を進め、風評被害の防止を図るということでございます。これに関して情報開示が非常に不足していたという指摘がされております。これによって、消費者、それから、生産者、双方とも非常に不安な中でおりまして、風評被害が生じているわけでございますが、こちらのほうの解消に努めてまいりたい。
 これは安倍政権になって初めて消費者担当大臣の職務に明確に入ったということでございます。今までの政権では風評被害、一体どの大臣が担当するかということが明確ではございませんでした。このことの意義が大きいと思っております。
 次に、食品安全についてでありますけれども、食の安全は国民の命を守っていく上で重要な政策課題です。国民の健康保護を最優先に科学的知見に基づいて食品の安全性を確保することに全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 次に、少子化対策でございますけれども、さきの常会において子ども・子育て関連三法が三党合意により成立いたしました。今後、国の基本方針や必要となる基準等について検討を進めて準備を進めてまいります。
 また、少子化対策を進めていく上では、安心して子どもを産み育て、更に仕事と家庭を両立させる環境を整備していくことなど、バランスのとれた総合的な施策を推進することが重要だと考えております。
 特に、昨日の会見でも申し上げましたけれども、福島県を初めとした原子力事故による被害地域の子どもたち及び避難者を支援する子ども・被災者支援法、これが前国会で、今年の6月に全会一致で成立しております。私がもともとの原案の筆頭発議者であったわけでございますが、これにしっかりと予算をつけて、子供たちまたは避難者を守る施策を進めてまいりたいと考えております。
 障害者施策についてでありますけれども、障害者基本法が昨年改正されました。障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を目指していくということで、まず新たな障害者基本計画、これを策定してまいります。
 次に、自殺対策でありますけれども、3万人をずっと超える厳しい状況が続いてきておりましたが、15年ぶりに3万人を下回る見込みとなっております。
 今後とも、この自殺対策の推進に全力で取り組むのですけれども、私は被災地の自殺、この数値の動向を注視しながら被災地の自殺対策についても力を入れてまいりたいと考えております。
 その他青少年育成、高齢社会対策、交通安全対策、食育、犯罪被害者等施策等の推進等に取り組んでまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)消費者庁創設時の理念に基づいて舵取りをしたいというお話だったのですが、この3年余りの消費者庁の存在感も含めた大臣の評価を伺ってもよろしいでしょうか。
(答)消費者庁は、創立して、木の看板を立てたときに高らかにうたったその機能は司令塔機能ということでございました。消費者という目線で見ますと、今までの省庁というのは、産業界の目線から見て縦割り構造になっているわけでございますが、消費者という目線から見ますと、これに横軸が入るわけでございます。相手がどの職種であっても、消費者の立場は全部共通でございますので、ですので、そこに横軸を通して縦割り行政を解消して、消費者の目線から見ると縦割り行政を解消して、そして、今ある省庁の役割は、もちろんそれぞれ大切でございますので、各省庁の司令塔機能として、消費者の施策をするときはまとめていく。これが設立当時の基本理念でございました。これが、この3年3か月の前政権ではしっかりと浸透していなかったのではないかというふうに考えます。
 これについて、当時、消費者庁設立にかかわってきた野田聖子元消費者大臣が、今、自民党の総務会長になられた。そして、私が大臣を拝命したということで、安倍体制の下で、しっかりとその基本理念を浸透させていくという体制ができ上がったと考えております。
(問)今のに関連してなのですけれども、真の消費者目線を実現するために、消費者委員会の機能を最大限に活用するとおっしゃいましたけれども、もう少し具体的に御説明を。
(答)これは私が話し始めると長くなるのは何人かの人はよく分かっていると思いますけれども、消費者庁をつくるときに、私は自分が国会議員として選挙に出るときに、自分の小さな公約の中に消費者庁をつくりますというのを書いたぐらいで大変思い入れがあったのですが、その私が考えていた構想の中では、消費者庁と消費者委員会は合体しておりました。なぜなら、先に消費者庁ができた欧米では、最初に消費者庁と消費者委員会を分けてつくっていたわけでございますが、これがうまく機能しなくて、その後、様々な消費者事件等を経て、一体化してきている、一元化してきているという歴史がございました。
 ところが、つくるときに、やはりねじれ国会でありまして、民主党さんの御意見も尊重して消費者庁を設置しなければならないという中で、民主党政権の重鎮の方が、これは絶対に分離するのだという強い御意見をお持ちでございまして、私ども、そこは一歩譲って分離をいたしました。分離するのか、一元化するのかというのは、双方メリット、デメリットありますから、分離していれば、それは消費者委員会というのは、きちんと調査して消費者の目線で意見を具申し、勧告をしていくのですけれども、そういったことの機能が独立的に行われるというメリットがございます。
 ただ、デメリットというのは、やはり一体として行政を遂行していくときに、非常にスピードが遅いでありますとか、今、皆さんが感じているような司令塔機能がうまく活用できないとか、ここには財源の問題もございます。人員体制の問題もかかわってきますので、そういう歴史から欧米では一元化してきたわけでございますが、ここは分離するということで、当初設立した以上、私がここで答弁に入るわけなのですけれども、分離して設立した以上、そのメリットを最大限に生かし、そしてデメリットを最小化していくということです。
 つまり消費者委員会の消費者問題に関わる様々な調査を今していただいております。この1月にも幾つかの問題について答申が上がってきます。そういったものについては、より効率的に調査、意見具申していただいて、そして、それを消費者庁がしっかりと受け止めて政策に生かしていく。それが分離していることによって、スピードが遅くなったりとか、それから、分かりにくくなったりとか、政策の効果がそこで失われる。つまり消費者委員会が一生懸命具申しているのに、消費者庁が鈍くて何も反応しないということがないようにしていくということを、その意味に込められた私の思いでございます。
(問)それに関連して、消費者庁への移行が検討されている国民生活センターの問題をどうお考えになっていくか。それから、皆さんが注目しているのは喫緊の課題である地方消費者行政の活性化基金の後の予算をどのように確保していただけるかと思うのですが、その辺について教えてください。
(答)御質問ありがとうございます。2点いただきました。
 まず、一つは国民生活センターの国の移行に関することでございますけれども、国民生活センターは40年以上にわたり消費者行政の推進に当たって極めて重要な役割を果たしてきたと認識しております。私も消費者弁護士として、国民生活センターの今までの仕事ぶりを間近で見てきました。
 そのセンターについては、私はその機能を更に維持し充実していくべきだというふうに思っております。さきの民主党政権におきましては、行政仕分けにおいて、この国民生活センターというものが対象になりまして、最終的に平成25年度予算においてどうするかと判断するというところまできておりますが、25年度の予算についてどうするかということの判断は、私は先ほど言いました、国民生活センターの機能の重要性に鑑みまして、私なりの結論を出してまいりたいと、予算についてどうするかというのは、早急に出してまいりたいと思います。
 それから、もう一ついただきました地方消費者行政ですね。
 これは、当時、平成20年か21年でしたけれども、野田聖子大臣のときに基金をつくりました。消費者行政の中で最も大事なのが地方での消費者行政でございますが、各地方の財源が非常に脆弱なのでございます。それで地方は、まず緊急的に、目の前の必要なものに一般予算を使ってしまうものでございますから、消費者予算が一番最後になって、予算を削ろうというときにいつも削られる対象にされてしまうということで基金をつくって活用してもらうということを野田大臣が当時の福田総理、そしてそれを引き継いだ麻生総理にお願いにお願いを重ねてこれをつくり上げました。
 これも延長、延長でつくってきましたが、もうすぐ枯渇する。無くなる。基金として無くなるという状態になっておりますので、これについては、消費者庁のほうで交付金、地方消費者行政活性化交付金という形で、民主党政権下の25年度概算要求に出していたようでございますが、私、そこをしっかりと事務方から説明を受けて、交付金にするか、基金にするか、その対応は、いずれにせよ消費者行政の財源が枯渇することがないようにしっかりと対処してまいりたいと思っております。
(問)1点だけお願いなのですが、どうも補正のほうにシフトしがちな予算になっているので、継続性がないと、今、市町村の相談員を切ろうかどうか検討しているときに、非常に地方は不安があるので、その辺是非御配慮いただければと。
(答)御意見ありがとうございます。検討してまいりたいと思います。
(問)ちょっと消費者問題とは話が変わるのですが、先ほども触れられていましたけれども、子ども・被災者支援法に関連して、予算をしっかりとつけていきたいという話を昨日もされておりましたけれども、どれぐらいの規模とか、今現段階で考えていらっしゃる規模のイメージがあれば教えていただきたいのと、もう一点が障害者施策の関連で、先ほど基本計画については触れられておりましたが、民主党政権がずっとつくろうとされていた障害者差別禁止法について、大臣はどのように取り組まれるおつもりかという御所見があればお教えください。
(答)子ども・被災者支援法の補正予算の中における予算の獲得でございますけれども、これは多ければ多いほうがよいと思っておりますが、昨日、私、総理の会見を見ておりましたけれども、総額を述べられていなかったと思います。報道では10兆円規模と出ていたと思いますけれども、総理のほうから金額の提示がございませんでしたので、私、その辺を確認しながら必要なもので緊急性のあるものを積み上げまして、できるだけ多く獲得していきたいと思います。
 私、ちょっと事務方と相談しないと具体的内容に踏み込めませんが、私が一国会議員として福島県を歩いておりましていただいたお母さん方からの御意見というのは、まず甲状腺の検査です。これが非常にスピードが遅いということで、福島県内でもまだしていただいていない子供がおります。事故から1年9か月たったのに、まだ甲状腺検査さえも見てもらっていないという健康調査のスピードアップなどの緊急性のある事柄に特化して予算を獲得してまいりたいと考えております。
 障害者については、差別禁止法案が出てまいりましたけれども、自民党の党内における検討が十分ではないというように私は認識しておりますけれども、いずれにせよ幅広い国民各層の意見を踏まえる必要がございますので、今後の対応をしっかりと検討してまいりたいと思います。
(問)自民党の公約の中に幼児教育の無償化について明記があるのですけれども、大臣の御見解などありましたら教えてください。
(答)幼児教育の無償化、厚労省などと連携して私もしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っています。少子化対策、また子育て支援の対策に不可欠だと考えております。

(以上)