山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年8月5日

(平成26年8月5日(火) 11:39~12:08  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 まず、科学技術政策担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 今朝、理化学研究所の笹井芳樹副センター長が亡くなられたと伺いました。笹井副センター長は、再生医療の世界では日本を代表する研究者であり、この分野で大変活躍されていた方ですので、このようなことになったということについては科学技術政策担当大臣としても大変ショックですし、極めて本当に残念だと思います。御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 いずれにせよ、STAP細胞をめぐる問題については、これはきちんと解明がなされなければならないと考えております。
 続いて、今日の会見、プレゼンを行いたいと思います。今日も二つテーマがあります。
 一つ目は、「司令塔連携・調整会議」の提言。これがまとまりましたので、この場で発表させていただきたいと思います。
 私の下に六つの司令塔があります。内閣府特命担当大臣として六つの司令塔を担当したということは、おそらく初めてだと思うんですが、その経験等々も踏まえて、この会合、六つの司令塔の長といろいろと議論を重ねてまいりました。この度、司令塔はいかに機能していくべきか、司令塔間の連携はどのような姿であるべきか、ということについて提言がまとまりましたので、御報告をしたいと思います。
 まず、司令塔連携・調整会議については、この記者会見でも何度も申し上げましたが、構成メンバーは、内閣府特命担当大臣である私の下に、内閣府の参与として東大の城山先生(城山英明東京大学政策大学院院長)に御協力をいただき、六つの司令塔を所管する部局の統括官、事務局長等に出席をしていただき、これまで10回開催をさせていただきました。
 会議の開催の目的ですが、一つ目は、司令塔間の連携・調整を推進するということですが、今の司令塔が遂行した各種の政策、これまで1年7か月、内閣府特命担当大臣を務めてきましたが、成功例、ベストプラクティスですね。それと反省すべき点、課題改善点を示すということによって、今後の司令塔の在り方、内閣府の在り方について方向性を示すということです。それが業務の一層の活性化にもつながるだろうということです。
 特に最近、国内外の環境が厳しさを増している。非常に著しい変化がある中で、各府省を超える重要課題を担う各司令塔の役割を再認識するということは、安倍内閣の「成長戦略」実現に直結すると考えています。これが二つ目の目的。
 三つ目ですが、今、与党の方で「内閣官房・内閣府の業務の見直し」の議論が行われておりまして、司令塔が今果たしている役割について自ら整理することによって、当該見直しの議論にも資すると、このことにも期待をしてこの提言をまとめたということです。
 提言の構成ですが、第1章から第4章まであって、第2章は司令塔の役割、機能及び手法について、第3章、最近の主な実績、先進的な事例を紹介しています。第4章で更なる活性化に向けた検討・提言という形でまとめています。
 第3章について簡単に御紹介しますと、六つの司令塔における最近の主な実績、ベストプラクティスのうち、主なものを26事項ピックアップいたしました。これについてそれぞれ説明しています。
 例えば科学技術イノベーション分野について、科技部局について言うと、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)、これは正に科技部局の主導で作ったということだと思っています。それから、予算編成プロセスも、予算戦略会議を作る、あるいは、今まで各省庁とのいろいろな擦り合わせというものを、時期を決めて行っていたのですが、これを年中集まるという通年国会のような制度にしたということもあります。科技としてはいろいろなベストプラクティスを残せたのではないかと思います。
 それから宇宙。宇宙については、私の下で2回目となる戦略的予算配分方針を決めて、各省庁に一応通知をさせていただいたということです。先般の会見で少し触れたと思うのですが、宇宙政策委員会は更に積極的な役割を果たしてもらわなければいけないということで、基本政策部会も作りました。これから、やはり宇宙と安全保障の問題等々、特に日米協力という枠組みの中でこれを強力に推進していくと、そのような道筋をつけたという意味で言うと、一つの方向性を示せたのではないかと考えています。
 IT。世界最先端IT国家創造宣言、これは私が命名いたしました。横文字ではなくて、やはり漢字がいいということでこの名前にしたのですが、このIT国家創造宣言のひとつの目に見える実績として、いろいろな理由はありますが、例えば電子政府、世界ランキングで18位から6位に躍進したということもあると思います。それから、遠藤CIO(遠藤紘一内閣情報通信政策監)の活躍で政府情報システム改革も行っていますが、オープンデータ、パーソナルデータということについて言うと、パーソナルデータの利活用に関する制度改正を、このIT総合戦略本部が中心になって行ったと、これはひとつの総合調整の大きな私は成果だと思っています。
 知財。知財について言うと、これもいろいろなことを行いましたが、職務発明制度見直し、営業秘密保護の総合的強化。これは各省庁の背中を押すことができているのではないかと思っています。それから、知財関係で作ったいろいろなタスクフォースについて、これは最初の試みだったのですが、大臣の名前できちんと意見をまとめて、各省の関係大臣に申し入れるという手法も試しております。
 海洋。これについては実証フィールドの整備、それから海洋管理のための離島の保全・管理ということで、例の島名の問題等々もありましたが、これも海洋政策本部の主導で進んできたと思っています。まだまだここから道は長いと思うのですが、EEZ(排他的経済水域)等の包括的な法整備、これも着実に進めているということだと思います。これも総合調整のひとつの成果だと思います。
 領土について言うと、後で発表したいと思いますが、ウェブサイトが新しくできまして、新たな領土担当大臣としてのメッセージというのも収録をいたしまして、今日の午後、ホームページで公開をさせていただきたいと思います。これも後で2番目のプレゼンで行いたいと思っています。
 主な提言として第4章。一番最初が一番大事なのですが、六つの司令塔を担ってみて思うのですが、この分野は内閣府の総合調整が必要だと思います。この司令塔を例えば解体して元の省庁に戻すというようなことは、これは国益に反すると思っていまして、政府の成長戦略の実現にとって不可欠な分野であるからこそ、内閣官房、内閣府に引き続き存置すべきだと思っていまして、安倍総理の目指す成長戦略を実現する上でも、この司令塔機能の強化、この六つの司令塔の強化は極めて大事だと思っています。
 二つ目の提言として、「政策イノベーションの重要課題の解決」、「縦割りを排除する強い実現力」、これが今後司令塔を更に強化していくためのキーワードだということが書いてあります。
 三つ目として、機能強化のために多様な知恵の結集・総合、整理・分析推進、主体的発案とか、実現に向けた積極的関与とか積極的発信・オープン化、調整推進のための実施業務等に留意することが必要だと。この中身は、皆さん、今日お渡しした資料の中で見ていただければと思います。
 提言のその2で申し上げますが、やはり予算。司令塔が専門性を持っていると。各府省予算について全政府的な観点から重点方針を示すということは、これは効果的・効率的な予算配分に大事だという話も入っています。
 基本計画、これも国の政策の統合性・一体性の確保のためには大事だということ。
 それから、各省の縦割りを打破して全体最適の施策実現には、政治の強力なリーダーシップ、総理のリーダーシップが必要だということも書いてあります。
 企画立案・調整業務、これも見ていただければと思うのですが、「横串型・ヒアリング調整型」と「後押し型・早期調整型」に分類ができると。いろいろ司令塔によって、その機能の発揮の仕方が違うということは認識すべきだと思っています。
 これもあまり詳しく申し上げませんが、1年7か月、内閣府特命担当大臣を行っていて、いろいろなことを感じているのですが、いつかまた私の心情というか、本音をいろいろここで吐露させていただくタイミングがあると思うのですが、この人事の問題は非常に大事だと思うんですね。司令塔機能を高めていくためには、これは非常に大事だと思っているのですが、やはり内閣府で実績を上げた、例えば私の下で本当に実績を上げてくれた方々の活動が、例えば派遣先の省庁で同じように評価されるとは限らないという、この非常に難しいジレンマを抱えておりまして、人事評価の結果はやはり出向元の後の人事にしっかりと反映されるべきだと思っています。これは、将来いかなるポジションにあってもこのことを言い続けていきたいと思っています。内閣府で総合調整に頑張ってもらった人が、例えば出向元に戻って評価されないということになると、内閣府にいい人材は来ません。もう一回言いますが、そのようなことだと内閣府にいい人材は来ません。せっかく今、六つの司令塔に有能な人達に集まっていただいているので、これは強く担当大臣として発信をしていきたい。内閣府特命担当大臣として発信していきたいと思っています。
 ということで、次のプレゼン、領土・主権対策企画調整室の取組み。先程申し上げたウェブサイトに公開する新しいメッセージですね。少し長いです。日本語が10数分あって、英語が7分ぐらいあって、これは政府の領土対策室のホームページだけではなくてYouTubeにも上げますが、英語の方はYouTubeを二つに切らなければ入らなかったというものなのですが、それを今日はお見せしたいと思いますが、その前に、今年度の予算で論文英訳事業というものを行います。
 この記者会見でも何度か言及をさせていただきましたが、私の下で作った領土の発信機能に関する懇談会でかなり多くの研究者の方が言ったのは、とにかく領土・主権についての主要な論文がちっとも英訳されていない。インターネット上で見つからない。これは何とかしなければいけないということが何度も指摘をされていまして、それを受けて論文英訳事業を始めたいということです。
 目的は、重要な論文が英訳されて、世界各国における研究・言論・報道のベースにしてもらう。それによって関連の事実関係や我が国の立場の正確な理解の浸透を図る。国の名前は申し上げませんが、他の国の論文とか資料はインターネット上に英語で溢れていますから、これに対する対応をしっかりしなければいけないということです。
 仕組みとしては、国内シンクタンクを中心とした事業体制を組むということで、有識者による論文選定委員会を設けて、どの論文を英訳すればいいのか、さらに英訳の監修も行ってもらうということで、いろいろ指導・助言をしていただいて、英訳作業、原著者との調整等を実施して、成果物を例えばシンクタンク等を通じて発信をしていく。これが世界の有識者の手元に届くようにすると、このような計画で、確か2,000万円ぐらい予算をつけました。
 これから少し皆さんにお見せをする領土対策室のウェブサイトの私の新しいメッセージですが、最初のホームページ、英語と日本語で作りましたが、予算は60数万円しかありませんでした。やっと予算がついて、平成26年度で、ウェブサイトの予算は、ウェブサイト等にかける予算は60数万円から4,000万円にアップするということですので、これからウェブサイトはしっかりと充実をさせていきたいと思います。
 それでは、山本領土担当大臣のメッセージ動画をお見せしたいと思います。私の部屋に大きなスクリーンも備えつけてありますので、それも使いながら行わせていただきました。10何分ありますが、1分にしようと思ったのですが、1分にすると結構誤解が生じる感じもするので、日本語2分、英語2分。これを見ていただきたいと思います。今日の午後、ホームページに掲載される山本一太領土担当大臣のメッセージです。

(動画上映)

 大体地元の講演会でも、このような感じでいつも演説をしていまして、国政報告もいつもこのような感じなので。

(動画上映)

 こうやって熱を込めて話しているので、YouTubeに入れるときは、ノンネイティブの人たちも見ていただけるかもしれないので、ここに一応英語も入れたいと思います。あと20秒ぐらいで終わるのですが、このぐらいでもういいと思います。この気持ちだけ皆さんに伝えられればいいと思いますので。
 ということで、是非ウェブページは見ていただきたいと思いますし、もう一回言いますが、60万円から何しろ4,000万円の予算になりましたので、特にウェブサイト等を通じた、ネットを通じた発信は強化をしていきたいと考えております。
 このウェブサイトのページも、当然のことなのですが、領土室のスタッフの人達が本当に一生懸命頑張ってくれて、何とか、相当これでも無理して早目に完成をさせていただいたということです。
 何か御質問があれば、これまでのことについてお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。笹井さんの自殺について、改めて受けとめと、あと、今後の科学技術政策への影響についてどのようにお考えでしょうか。
(答)先程申し上げたとおり、笹井副センター長がこのような形で亡くなられたということについては大変ショックですし、日本を代表する研究者の一人ですから大変残念に思っておりますし、御家族の方々にも心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 どうして亡くなられたのかということについては、現時点ではっきりしていないところもあるので、あまり軽々とコメントすることは避けたいと思いますが、仮にSTAP細胞をめぐる問題が原因だとすれば、仮にですね。なぜ世界的な研究者がこのような形に追い込まれていったのかということも含めて、STAP細胞をめぐるいろいろな問題は検証しなければいけないと、きちんと検証しなければいけないと、なぜこのようなことになってしまったのかということについては、きちんと検証していく必要があると感じています。
 いずれにせよ、STAP細胞の問題については、理研がどのような形で対応していくのか、再発防止策等々も含めてきちんと理研の今後の対応を見て、特定研究開発法人の件について改めて考えていくということに尽きると思います。
(問)別件なんですけれども、来週の金曜日8月15日なんですけれども、靖国神社の参拝の件なんですが、大臣が参拝される御予定があるのかどうかということと、あと、総理の御参拝の是非について御所見があればお伺いしたい。
(答)まず私が参拝する予定はありません。総理のことについては、これは総理の御判断だと思います。
(問)NHKの高野です。関連ですが、閣僚の皆さんは何人か今回も参拝するかと思うので、そのことについてはどういうふうに。
(答)それはこれまでも申し上げているとおり、個々の閣僚の方々の政治家としての御判断だと思います。私が参拝する予定はありません。
(問)テレビ朝日の原です。理研の問題に戻ってしまいますが、理化学研究所というのは、成長戦略の中でも日本版NIHの中核と据えられていたかと思います。今回の件で、そういった成長戦略が後退するという懸念の声も上がるかと思いますが、それについて大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)今回の件ですが、先程申し上げたとおり、笹井副センター長が亡くなられた経緯、それから理由については、現時点では明らかになっていないので、この点については、コメントを差し控えたいと思いますし、今の時点で理研に対する影響力どうのこうのという段階ではないと思います。
 いずれにせよ、特定国立研究開発法人、これは総合科学技術会議で理研と産総研(産業技術総合研究所)を候補とするということを正式に決めたわけであって、これについては、しっかりと理研の対応も見極めながら、検討を続けるということだと思います。
 私としては、何度も申し上げているとおり、日本に科学技術イノベーションのサイクルを作る、大学とそれから産業を結びつける、高い研究開発のシーズというものを産業化に結びつけていくためには、橋渡し機能を持つ特定国立研究開発法人のような組織がやはり必要だと思っています。
(問)科学新聞の中村です。司令塔連携会議についてお聞きしたいんですけれども、今のところ医療は菅官房長官の下で別になっていますけれども、将来的に医療も含めて全体として科学技術イノベーションを進めていくというような話は出なかったのでしょうか。
(答)医療の方は、健康医療戦略室の次長、ナンバー2の方にオブザーバーとしていつも来ていただいていたのですが、基本的に私が担当する司令塔ではないので、そこについての医療を含む、含めないの議論は行っていません。
 ただこの会合は、私の下に作った会合で、例えば内閣で決議して立ち上げたものではありませんが、しかしながら担当大臣の下にそれぞれの部局を統括する司令塔のヘッドを集めたということなので、これは政府の中の組織だと思っているんです。
 ですから、この提言は、私の方からきちんと総理にも御説明したいと思いますし、もちろん官房長官の所にも持っていきたいと思います。
 今、党の方でいろいろな議論をしていまして、党の方で今、議論している内閣府、内閣官房の在り方、これについては傾聴に値する意見もいろいろとあるので、これについてはよくお聞きして勉強させていただこうと思っていますが、党の責任者、行革本部長も含めて、そのような方々にも担当大臣として直接この提言をお届けして、説明をさせていただこうと思っています。
(問)先程冒頭で御説明のあった論文の英訳の件なんですけれども、有識者の論文選定委員会の立ち上げの時期など、スケジュール感が決まっていたら教えていただきたいんです。
(答)もう立ち上がっています。1回開催しました。事業の予算規模からもう一回言いますが、これは平成26年度の内閣府政府広報室の国際広報予算で、対日理解の促進を図る書籍の整備として1億円が計上されているのですが、そのうち2,000万円、これを領土関連の論文の英訳として執行させていただくということになっています。
 それで、選定委員のメンバーですが、領土担当大臣の下の有識者懇談会の委員でもある海洋政策財団の高井晉島嶼(とうしょ)資料センター長、それから東大の中谷和弘教授等に御担当いただくことになっています。もう開催したんですね、1回会議を。英訳する論文の本数とかは、これからシンクタンクと、それから選定委員会等で具体的に検討していきたいと思っています。
 既に先程申し上げましたが、7月30日に選定委員会の会合が行われました。政府の方からは相川室長に参加していただきましたが、次回の会合は9月の上旬ぐらいを予定していますが、そこに向けて英訳すべき尖閣諸島、竹島問題に関する良質な学術論文の候補リストを確定したい。その上で速やかに英訳・校正、版権処理等の作業を進めることになっております。
(問)先程の領土のメッセージですが、より発進力を増すために総理の同様のメッセージというのは、検討はないでしょうか。
(答)そのような予定はありません。ただ、ウェブページの中に総理の領土主権をめぐる演説は掲載されていると思います。
 前回のメッセージ、60数万円で、これも本当に手作業で何とか間に合わせたのですが、前回は別に書かれた原稿を読んだというつもりはないのですけれども、前回と違って、今回は特にほとんど私自身の言葉で構成をされていますので、以前よりも熱がこもっているのではないかと。しかし、領土担当大臣として十二分に気をつけながら、その中身をまとめたということなので、是非見ていただきたいと、日本語の方は是非、英語の方も一応見ていただければうれしいです。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:210KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)