山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月5日

(平成26年6月5日(木) 11:10~11:28  於:中央合同庁舎8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 皆さん熱心に来ていただいてありがとうございます。
 本日、27年度予算編成に向けた最初の予算戦略会議の5回目をやりました。
 5月23日の総合科学技術・イノベーション会議で、安倍総理から経済のフロンティア開拓につながるような大胆でインパクトのある政策パッケージをまとめて、日本再興戦略及び骨太方針の改訂に反映すべく総合戦略2014の策定を進めるように御指示をいただきました。
 これを十分に踏まえて、これからの27年度予算編成に向けて、この予算戦略会議のプロセスを活用し、科学技術予算の概算要求に向けた議論を進めるべく、本日はそのキックオフという形になりました。
 冒頭、私から2点を強調して申し上げました。
 一つ目は、民主党政権下で減少傾向だった科学技術振興費を26年度予算で相当規模の増額ができたのは画期的なことだと。しかし、その規模はまだ不十分で、各省と協力してさらなる拡充を目指していきたいということ。
 それから二つ目は、この予算戦略会議でSIP、ImPACTの創設、通年のアクションプランプロセスで各省が積極的に関与していただいていることに感謝を申し上げました。
 その後、総合戦略2014の原案を事務局から説明した後で、27年度概算要求に向けた進め方等について議論を行いました。
 今日は、数名を除いて全て各省の正規メンバーに出席していただきました。出席率はいつもいいのですけれども、今日は特によかったと思います。各省の総括審議官とか局長クラスが皆さん参加していただいた。ある意味で言うと、5回目になったのですけれども、この1年半の流れを象徴するような会議だったと思っています。
 いろいろ意見が出たのですが、細かいことは言いませんが、一つは、複数の局長・総括審議官から、科振費の増額を是非力を合わせて進めていきたいという話がありまして、これは民主党政権に比べると科振費、科学技術予算の増額というものはできたんですけれども、25兆円の目標にはまだ遠いので、これに向けて総合科学技術・イノベーション会議としても、科学技術政策担当大臣としてもこれは全力でやっていきたいという話を申し上げました。
 記者会見でも何度も申し上げているとおり、この1年間でアクションプランも相当進化したと思っていますし、この予算戦略会議も初めての試みですけれども定着してきたんですが、これからいかにアクションプランの中身を予算により反映させていくかというそのメカニズム、例えば財務当局とのいろいろな協議も含めたメカニズムを、是非もう一歩踏み込んだものを作るように努力していきたいと思っています。
 それから予想どおり各省から出てきたのは、2020年のオリ・パラに向けてそれぞれの分野で日本をアピールする最大限のチャンスであると。それは環境分野でもそうだし、例えば建設の技術でもそうですし、こういうことも非常に大事だというお話がありました。
 それからもう一つ私の方から更に強調させていただいたのは、ImPACTとSIPについては、安倍総理から数回にわたって、これは国家的に非常に重要なプロジェクトだという言及をいただいた。特にSIPについては、継続的に力強く推進してほしいと、はっきり関係閣僚に御指示をいただきました。もう一回言いますが、継続的に力強く推進してほしいということなので、これはこの総理の言葉も踏まえて、きちんと続けていけるように、もちろんそれを、その流れをきちんと確かなものにしていきたいと思っております。
 本日の議論、それから今後の総合戦略2014の策定を踏まえて、27年度予算重点化の進め方を検討し、これはまた次の予算戦略会議でも議論したいと考えております。
 それからもう一つだけ申し上げますと、今日、文科省の川上局長が、CSTIのことをシスティと言っていました。これは思いつきで言ったのかと聞いたら、思いつきで言いましたと言っていたんですが、なかなかいい言葉だなと思って、システィ。前はCSTPだったので、システィップとかと言えなかったのですけれども、システィっていいんじゃないかと思っていまして、総合科学技術・イノベーション会議を何というのか。今までは総科と言っていたんですけれども、私は総ベーがいいと思うのですけれども、何か会議でみんなが総ベー、総ベーと言うのも変かなと思って、システィを軸に考えてみたいなと。システィっていいなというふうに思います。

 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今日、大臣も科振費をより増額していこうとおっしゃっていたんですけれども、具体的な目標値というか、そういうのは、大臣の方では。
(答)それはなかなか大変かもしれませんけれども、25兆円の目標というのがあるので、科学技術予算全体としては、そこに近づけるように努力していくと。現実的にはそんなに簡単ではないと思います。ただ、それが一つの目標ではないでしょうか。
 それから、ありとあらゆる機会を捉えて関係各省とも協力しながら、科振費の重要性を訴えていきたいと思いますし、働きかけていきたいと思います。
(問)あともう一つは予算の量も大事なんですけれども、質を向上させていかないといけない。例えば民主党政権下でも、その前の自民党政権下でもそうだったんですけれども、物件費はどんどん増えるんだけれども、基盤的な人件費は減っていって、結果的に物件費で雇える人しか雇えないみたいになっていて、だんだん全体の環境が落ちているというのをずっと言われ続けているんですけれども、それについてはどのように。
(答)それは中村さんのポイントは鋭い御指摘だと思います。細かいことをいちいち言いませんけれども、中身はちゃんとやっていかなければいけないと。ですからそれは意見が出ていました、有識者議員の中から。
 もちろん科振費を増やしていくというのは努力しなければいけないけれども、一つ一つのプロジェクトとか予算について効率化を図っていく。この視点は当然だと思うのです。効率化を図りつつ、しかし、今の科振費よりも増やしていきたいと思います。効率化はもちろんやらなければいけないのですけれども、常に。常に効率化というものを考えなければいけないのですけれども、それを踏まえた上でも今の科振費よりも多いほうが望ましいと思います。
(問)読売の梁田です。
 予算に関して総合戦略2014に基づいてということなんですけれども、暗に来年、特定研究開発法人のお話というのがかなりベースとしてあったと思うんですが、やはり、ちょうど今日も各種報道であるとおり、理研のSTAP細胞の問題の方でまだかなり時間がかかる見通しの中で、それが予算要求に与える影響というのはどのように今のところ想定していらっしゃるのでしょうか。
(答)予算要求に与える影響についてはともかくとして、今日も発言させていただきましたけれども、経産省の方から科学技術イノベーションサイクルについて資料で説明がありましたけれども、それを受けて私が言ったのは、特定研究開発法人制度は極めて重要だと。日本でのイノベーションサイクルを作る、つまり橋渡し役としても甘利プランの中でも非常に重要なものと位置付けられているので、これは是非進めていきたいと思っています。
 ここは何度も言っていますが、今、いろいろな動きがありますので、これを踏まえた理研の対応を見極めていかなければいかんと。理研は優れた研究開発法人だと思いますけれども、これも何度も言いますけれども、きちんと全体の問題点を明らかにする責任があるし、そういうアカウンタビリティー、マネジメント、ガバナンス、こういうものを示していただかなければいけないので、それは科学技術政策担当大臣として、これは、理研自体は下村文科大臣の担当ですけれども、これは法案の提出にも直結してきますから、そこはしっかりと見極めていきたいと思います。
(問)すみません、フジテレビの栗林です。
 今、関連で御発言がありましたが、そのSTAP論文の主要なところに関して、小保方さんが撤回することに同意したことで、論文そのものが一旦白紙に戻ることが確定的となりましたけれども、このことについて大臣はまずどのような受けとめを持たれるでしょうか。
(答)まずこの問題は、今、改革委員会で議論が続いていて、まだ報告書が出ていませんので、全体像を、それをきちんと、まずどういうものが出てくるか。どういう中身になるかということを見ないと、全体像がよくわからないと思います。
 しかし、小保方さんが撤回されたということについては、なかなかコメントは難しいのですけれども、これも全体の中で判断していくのかなと。これがどういう意味を持つかというのは、これから改革委員会の全体の結論を見ないとなかなかコメントしづらいかなと思います。
(問)関連でもう一問だけ。
 大臣の先程の御発言を聞いていますと、この理研のSTAP論文そのものの問題と理研のガバナンスという問題を切り離して考えることはないという趣旨のことだと思うんですけれども、少なからずこの論文が白紙に一旦戻ることが、研究開発法人の指定に関して影響を与えるのか与えないのかという観点に関しては。
(答)それはこの論文の白紙撤回、報道されているので、直接確認していないですけれども、事実だとすればその論文の撤回も含めた全体の理研の対応、これを踏まえて、法案の提出時期等々は決められることになると思います。ですから、いろいろな過程、全体を含めて全体の流れを見て、決まっていくことだと思います。
(問)東京新聞の榊原といいます。その関連でお伺いします。
 理研の再発防止策などがある程度の時期に上がってくれば、概算要求の時点で特定国立研究開発法人の秋の臨時国会の法案提出を見込んで、予算を要求するということはあるのでしょうか。
(答)予算を要求するというのとはちょっと違って、まず法案を出すかどうかですから。
(問)予算要求の時点で、来年4月からの特定法人の発足を見込んで、ある程度予算を要求するということも十分考えられると思うんですけれども。
(答)それは法案を出すかどうかの判断ですよね。まず法案を出せなければできないですから。法案のメドにかかってきますよね、いろいろ。まず法案を出すかどうかという判断をするかどうかということが最初だと思います。
(問)でも、概算要求の締め切りも8月末か9月ですけれども、そこまでに法案を出すという判断ができれば、特定法人の発足を見込んだ要求が出てくる。
(答)それは現時点ではまだわかりません。全体の流れを見て判断すると思います。
(問)先程SIPとImPACTが重要だと。SIPは動き始めたんですけれども、ImPACTについては、いつ頃プログラムマネジャーを決められるんですか。
(答)ImPACTは、今、選考過程なので、大体、6月中ぐらい、そのくらいまでは言ってもいいのでしょうか。6月中くらいにはおそらく候補が決まって、選考するような流れに、今、なっていると思います。そのまま確実に行くかどうかというのは全体の選考プロセスを見ないとわからないのですけれども、メドとしては、たしか最初に出しているので、6月中、末ぐらいまでには決めるということになっていますから、一応その方向で、今、検討しています。
(問)日刊工業の小川です。
 科振費の件で、額についてというのはあれですけれども、一つの目標として、民主党の政権交代前の目標、数値ぐらいには近づけたいというのはあるのでしょうか。
(答)それは例の25兆円という目標がありますよね。そうそう簡単ではないんですけれども、科学技術予算全体としては、そこを目指していくのが本筋じゃないかと思います。
(問)研発法人の件で、現在のスケジュールですと来年4月の創設というのは変わらないという方針だと思うんですけれども、そのためにはデッドラインとして、やはり秋の臨時国会というのは外せないのでしょうか。それがずれ込むというのはあり得るのですか。
(答)それは方針といいますか、科学技術担当大臣としての希望としては来年4月からスタートさせたいと思っていますので、来年4月からスタートさせるためには秋の臨時国会に出さなければいけないので。もう一回言いますが、この法案を担当することになる科学技術担当大臣としては、秋の臨時国会に何とか出したいと。
 今日、いろいろSTAP細胞についても質問がありましたが、理研と産総研を総合科学技術会議で特定国立研究開発法人の候補として正式に決めたわけです。それがしかし本当に認定されるのかどうかというのは閣議決定があるわけであって、そこまでは決めていない。
 ただ、認定する要件の中に、いろいろあります。国家戦略として位置付けられているかとか、あるいは論文の数とか特許の数とかいろいろありますけれども、ガバナンスとマネジメントというのも入っていますから。ですから、私は今でも理研は優れた研究開発法人だと思っていますが、きちんとガバナンスとそれからマネジメントがあるということを特定研究開発法人として認定されるためには示していただかなければいけないということだと思います。
 その判断は、あまり個別のこと、自分の考えはありますけれども慎重にしないといけないので申しわけないんですけれども、今日、論文撤回の報道等々もありますけれども、そういうことを全て含んだ理研のこれからのこのSTAP問題に対する対応を見極めて、それによって本当に法案を出せるかどうかということが決まる。それは法案を出すということになったら、党内もきちんと、党内からも理解を得なければいけませんし、それは国民の理解もしっかり得た上で法案を出すべきだと思っていますから、そこら辺はしっかり推移を見極めていきたいと思います。
(問)関連で、推移ですけれども、今の流れだと大分まだ長引きそうな感じはありますけれども、どの時点で判断というと、やはり改革委員会の結論とか懲戒委員会の結論のあれですか。
(答)それは長引くかどうかというのはわからないので、どういう展開になるか。ただ、いずれにせよ、何度も言っていますが、改革委員会の報告、例の神戸のセンターのいろいろな調査と多分合体して出てくるような形になると思うので、この前に法案を提出する、これを見る前に法案を提出するということは、これはできないと、この間申し上げたとおりですから、その結果を見て全体をよく見ながら判断していくことになるのだと思います。
 でも、もう一回言いますが、科学技術政策担当大臣としては是非秋の臨時国会に出したいと思いますし、その旨、もう一回言いますが、理研の担当は文科大臣ですけれども、この法案については文科大臣とも協力しながら、できる限り秋の国会に出せるように努力したいと思います。
(問)朝日新聞の西川ですけれども、今のSTAPの関連で、論文の撤回勧告が出た論文とは別のレター論文について、前、改革委員会は、調査すべきと再三理研に対して言っていて、でも理研は調査しませんと。こういう状況については、大臣としてはどういうふうにごらんになりますでしょうか。
(答)これも記者会見で岸先生がおっしゃっていたと思いますけれども、まず改革委員会の報告がどうまとまるのかというのを見なければいけないと思います。今、言った報告書が一体どういう形でまとめられるのかと、それを見ないとなかなかコメントできないです。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

(以上)