山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月30日

(平成26年5月30日(金) 8:21~8:39  於:合同庁舎8号館1階S106会見室))

1.発言要旨

 閣議については特に御報告することはありません。
 ストックホルムで行われた日朝協議の結果、昨日、安倍総理が会見でおっしゃいましたが、北朝鮮側が、拉致被害者及び拉致の疑いが排除されない行方不明者の方々を含め全ての日本人の包括的全面調査を行うことを日本側に約束をしたという発表がされました。これは大変大きな進展だと思いますが、ここからが非常に重要だと思いますので、是非安倍総理のリーダーシップで拉致された方々全員を救い出していただきたいと思います。
 私は拉致担当大臣ではありませんが、もし今回、日本の経済制裁が一つのてことして使われたとすると、実はこの日本の議員立法の対北朝鮮経済制裁には中核的な役割を果たしたと自負をしておりまして、当時いろいろな壁がありましたが、安倍官房長官(当時)の後押しでこの法案が成立をしたということで、いろいろと思いもありますが、あの時総理が対話と圧力が必要だということで後押しをしていただいてあの法案を成立させたと、このことがこのようなことにつながっているんだという感じがいたしましたので、一言コメントをさせていただきたいと思います。ここから是非総理のリーダーシップで全面解決に向けて前に進めていただきたいと考えております。
 更に、沖縄担当大臣として申し上げたいと思います。
 来週の6月3日、跡地法に基づく第3回目の駐留軍用地跡地利用協議会を開催する予定です。私のほか岸田外務大臣、小野寺防衛大臣、仲井眞沖縄県知事、関係6市町村長が出席をすることになっています。
 今回の協議会においては、各市町村における返還予定地の跡地利用の取組状況について意見交換をするとともに、本年1月に拠点返還地に指定したキャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区に関して国の取組方針を策定することについて御協議をいただくことになっております。
 今日はこれから委員会があるんですが、プレゼンは行おうと思っておりまして、さっと行いたいと思います。
 いよいよ先般からSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)が始まりました。
 10課題あるんですが、今日は第1回目なんですが、状況を見ながら一つ一つ御紹介をさせていただきたいと思います。
 最初は、革新的燃焼技術について簡単にプレゼンを行います。
 燃焼技術、依然として自動車、発電等の分野のコア技術で、日本の産業にとっても重要だと書いてありますが、太陽光とか、あるいは電気自動車のような燃焼技術に頼らない新技術、これについても大きな期待が寄せられているんですが、実際にはこの燃焼技術というのは依然としてコア技術ですし、特に日本の基幹産業である自動車産業を考えると、極めて今後とも日本の産業にとっては大きな位置を占めると考えています。
 燃焼技術というと、もう相当技術的に成熟、飽和したイメージがあるんですが、実はそうではなくて、今でも国際競争が激しく続いておりまして、技術進歩もどんどん先にいっているんですね。
 例えば自動車というのは、大体4年から6年でモデルチェンジするんですが、1回のモデルチェンジで10%以上の燃焼改善ということが起こっているんですね。
 ところが、装置とかシステムが非常に複雑化していまして、今、企業での開発リソースが不足しています。なぜか大学の学生からもこれは結構不人気で、大学での研究継続は難しい、化石燃料という、この印象もあるのかもしれませんが、もう少しいろいろな学生にこの辺のところを行ってもらいたいなと思っているんですが、今のところあまり人気がないというところがあります。
 そこで、人材育成の仕組み、基礎研究、実用化に向けた研究開発、産学官一体となって抜本的に強化したいということで、内閣府が中心になって、文科省、経産省、それから大学、産業界、これを連携させてしっかり抜本的に強化をすると、正にSIPにふさわしいプログラムだと思いますが、このような取組を行っていきたいと思っています。
 目指すレベルですが、現在40%程度のエンジン熱効率を、5年で50%にしようということです。
 もう少しわかりやすく言うと、例えば、エンジンの熱効率向上分だけ燃費が改善したと、このような想定をした場合には、リッター20キロの燃費の車が25キロになるということですね。そうすると、年間5,000キロメートル走行するユーザーがいるとすると、年4回の給油で済むということで、仮に燃料価格が1.2倍になったと、このようなことはあまり想像したくないシナリオですが、例え燃料価格が上がっても、年間の燃料代は変わらないと、このようなことになります。
 このような目的を達成するために必要な体制ということで、企業、公的研究機関と協力をして、大学が最先端の基礎研究、人材育成を行う拠点を作るということで、大学と公的研究機関等の兼職をするとか、このようなことをしっかり活性化をしていきたいと思っています。
 それから、この拠点の整備ですが、これは複数の大学が共用するという形にする。競争前段階の理論とか技術は、これも共用化をしていくということで、企業はこのようなことを活用して製品化を目指していく、加速していくということです。
 いろいろありますが、持続的で強固な産学連携体制を構築する。それによって国際競争力を強化するということで、企業と大学と研究機関がこのように手を結んでいる、そこにJSTとか内閣府がどんどん応援団になって押し上げていって、世界をリードする革新的燃焼技術を確立していくと、このようなことができれば、日本の自動車産業はこれからも高い競争力を保っていけるのではないかということでございます。
 ということで、プログラムディレクター(PD)の御紹介が書かれて、一言といっても、十言ぐらいあるので、あまりここでは全て紹介しませんが、このようなことが可能になったのはSIPというプログラムができたからであって、内閣府に一括して予算を計上する。そこでPDのような仕組みを作って、省庁連携で進めていくということで、実はSIPのプログラムの中でも非常に典型的な、PDを中心に進めていくという意味でいうと、一つのモデルケースかなと思っています。10課題あるので、これから順次紹介をしていきたいと思いますが、打率10割になるようにしっかり内閣府としても後押しをしていきたいと思います。
 ここに書いてありますが、革新的な燃料技術をきっかけにして、いろいろサイクルを作っていきたいと。究極的にいうと、持続的な産業競争力の向上と市場創出のサイクルをしっかり作っていきたいということで、このプログラムディレクター、杉山雅則(トヨタ自動車エンジン技術領域)領域長に期待をしたいと思います。
 ということで、また機会があればSIPのプログラムをこのようにして紹介をしていきたいと思いますが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)沖縄タイムスの大野です。昨日、宜野湾市の西普天間地区の跡地に琉球大学の医学部が移転したいと正式に表明しました。仲井眞知事は、政府の支援が是非必要だというふうにも述べているんですけれども、来週の協議会ではこの話になると思うんですが、この計画について、OMICとか重粒子線とかも含めて医療の集積という、この計画について沖縄担当大臣としてどのように取り組んでいくかお聞かせください。
(答)少し丁寧にお答えしたいと思いますが、仲井眞知事と佐喜眞市長からは、西普天間の住宅地区に、今おっしゃった国際医療拠点を形成したいと、このようなお話は私伺いました。昨日、5月29日に知事と市長と、それから大城琉球大学学長の三者が国際交流拠点形成のために琉球大学医学部、それから同附属病院の移設に取り組むことで合意をされたと伺っております。
 何度もここで申し上げましたが、国としては、西普天間住宅地区の跡地利用は沖縄振興に非常に重要だと思っていますので、知事等から琉球大学医学部等の移設、国際医療拠点の意義についてしっかりお話を伺って、今後対応を検討してまいりたいと考えております。
 今の話に尽きると思います。OMICの話も今出ましたが、事業としての実施可能性というものについては検討される必要があると思っていますが、いずれにしても、国際医療拠点の形成については、地元の考えをしっかり踏まえて対応していきたいと考えています。
(問)読売新聞の山田といいます。今御説明ありましたSIPの件ですが、まず、燃焼技術とは各社が、企業がやってきたことだと思うんですけども、これを国が20億円出してやる。この成果というのは、国の知財として扱うことになるんでしょうか。それで、これは企業の方に、要は、イノベーションで民間に転換していく段階では、国内の企業向けに技術を提供していく、そういうことになるんでしょうか。
(答)その辺のところはしっかりまたこれからどのような形にしていくのか、知財戦略も含めて検討させていただきたいと思っています。ただ、今まで、特にこのような科学技術イノベーションについては、各省結構ばらばらで行っていたところがありますから、これをしっかりSIPプログラムで連結をさせるということがすごく大事だと思っていますので、あくまでこの後押しによって将来このような研究が、正に市場形成につながるようなサイクルをしっかり作っていきたいと思っています。これがベストプラクティスになって、このような流れが加速できるような、そのような認識ですね。
(問)プログラムディレクターですか、トヨタの方なんですけど、トヨタのみの技術になるということはないと考えてよろしいのかしら。
(答)それはトヨタだけとか個々のメーカーというよりは、産業全体を考えてプログラムを組んでいくということだと思います。この人、PDで監督のようなものですから。
(問)共同通信の須江と申します。宇宙の関係で伺いたいんですけれども、月曜日に戦略的予算配分方針が宇宙政策委員会で出まして、そこに重点化事業の一つで広域災害監視衛星ネットワークも位置付けられました。昨年、省庁ニーズについて大分指摘された事業ですけれども、特に議論になった安全保障の観点について、例えば、大臣は必要とされるスペックを再検討した上で、また安全保障の観点も事業の視野に盛り込んだ方がいい、盛り込むべきというふうにお考えでしょうか。
(答)これは、前々回かもっと前の記者会見でも申し上げたとおり、やはりいろいろと十二分に説明が通っていなかったこととか、少し省庁間の連携について根回しが不足していたところは真摯に反省したいと思うので、これはきちんと調査費をつけたので、これからどのような形で展開していくかというものは、各省を巻き込んだ調査を通じて検討していきたいと思っています。
(問)関連して、方針の中に当面の取組として早急に開発を開始すべき人工衛星を特定することも検討するとありましたが、例えば大臣のお考えとして、来年度中には具体的な開発に入れるようにどんどん進めていくべきだという。
(答)それはこれからの展開次第だと思いますね。大きな方向性としては、宇宙政策委員会でそのような流れになっていますが、これからの方向性を見ながら検討していくということだと思います。
(問)読売の梁田です。領土と海洋の関係で伺いたいんですけれども、今日は夜これから安倍首相がシャングリラ会議で演説なさいますけれども、やはり今いろいろ懸案が噴出しているアジア地域の代表が集まる場で、やはり従来の日本の様々な方針であるとか展望、提案をなさると思います。それに関して、やはり領土関係、海洋関係で発信を担当する大臣として、各国の代表にどのように受け止められることを期待していらっしゃるでしょうか。
(答)それは、まず総理がどのような話をされるかということは現時点で私はわからないので、一つ言えることは、安倍総理がこのタイミングでシャングリラのような場所に行かれて発信をされるということは極めて大きな意味があると思います。しかし、どのような話をするのかということは全くわからないので、そのことについてのコメントは控えさせていただきたいと思います。
(問)NHKの高野です。今の関連ですが、中国の海洋進出に関してはどのようなメッセージを日本として発するべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)それはもう総理の御判断なので、私がコメントする問題ではないと思います。ただ、シャングリラ会合で総理が何をおっしゃるかということは別としても、何度も申し上げているとおり、日本政府の立場は一方的な力による現状変更は行うべきではないと、国際法をきちんと順守して、法に基づいて解決を模索していくべきだということに尽きると思います。
(問)科学新聞の中村です。先程の広域災害衛星に関連してなんですけれども、一部報道機関が、昨年の議事録を情報公開請求で要求したら、その議事録には、衛星情報センターの方がその当時、概算要求する時点で、このスペックでは要らないというふうなことを言っていて、にもかかわらず、公開された議事録の方には、そこら辺は削除されている。以前この情報公開についていろいろ何度も何度も要望させていただいたんですけれども、結果として、安全保障の観点の問題を隠すというか、情報を、そこら辺は閉じるとか、外交の観点からそこの情報は言えないとか、それはわかるんですけれども、結果として使われているのは、自分たちの政策が不十分だということを指摘されたことが議事録から削除されている。そういうふうに結果として使われていることに対して、大臣としてはどのようにお考えですか。
(答)細かな文言のところはチェックしていないので、今それについてコメントすることはともかく、私は全体としてはきちんと議論の中身の骨子は正確に伝えていると理解をしています。今言った部分は調べてみますが、都合の悪いところだけ隠すというようなことはしていないと大臣としては考えています。
 安全保障の分野については、その辺の機微な話については、公開できない部分もあるのではないかと思っています。
(問)西普天間地区の関連ですけれども、国際医療拠点の推進に向けて、来年度予算概算要求も夏に向けて検討されるかと思うんですが、どのように盛り込むべきだとお考えでしょうか。
(答)それはこれからの検討だと思います。ただ、一つ現時点で言えることは、西普天間の問題は、沖縄振興全体にとって非常に大事だと思っていますので、これについては沖縄振興担当大臣としてしっかりと協力をさせていただきたいと思っています。その中身については、いろいろ報道されたところは伺っていますし、先程 申し上げたとおり、御要望を受けたという話もしましたが、これを受けてしっかり検討していくということです。ただ、もう一回言いますが、西普天間の跡地利用に対するサポート、これはしっかり国として行っていきたいと考えています。
(問)先程の宇宙の話に関連しまして、議論の透明性という点で、宇宙産業部会だと思いますけれども、こちらの議事録は速記録が載るようになりましたが、それを他の部会や政策委員会全体にも波及させるべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
(答)それは先程申し上げたとおり、全体の議論がどうなっていくか、公開できない時も、それを最初から公開してしまうということになると、なかなか機微な問題もあるので、それは全体を見て判断をしていきたいと思います。
(問)ただ、やはりそうしますと、先程おっしゃられたとおり、この日は他省庁の発言は載っているけど、この日は載っていないというのは、若干恣意性も感じられてしまうというふうにもとられかねないかなという気もいたしますが、いかがでしょうか。
(答)それはその細かい部分で、このやり方をここの部会に適用とする等々ではなくて、全体を見て判断するということに尽きると思います。私としては、全てそのまま一言一句公開しなくても、全体の議論について正確なきちんとした流れを報告してもらっていると考えています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:54KB)

(以上)