山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年4月18日

(平成26年4月18日(金) 9:06~9:32  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 まず最初に、韓国の旅客船の沈没事故について、20人を超える方々が亡くなられたと、200人近い方がまだ行方不明ということで、心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、本当に全員の方が救出されることを心から願っております。
 まず、原子力委員会担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 本日の閣議において、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。本法案は、昨今の福島第一原子力発電所事故等の原子力をめぐる環境変化、一昨年の原子力委員会の不適切な運営により国民の皆様の信頼を損ねる状況となったこと等を踏まえ、原子力委員会の抜本的な見直しを行うものです。法案の早期成立に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、科学技術政策担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 理研の笹井副センター長(理化学研究所笹井芳樹副センター長)が16日に記者会見をされました。笹井副センター長は、理研による調査結果では、「不正はなかったが責任は重大」とされており、これを受けて会見をしたものと承知をしております。
 会見の中で、「論文不備に責任を感じる」と謝罪するとともに、「STAP細胞、STAP現象は最有力な仮説」と述べておられました。
 このSTAP現象の科学的検証については、これは理化学研究所において、その厳密な検証を試みるとともに、外部機関の研究者による再現実験に積極的に協力をし、必要な情報を提供していくこととし、このことをまとめた検証計画が公表されると承知をしております。今後、専門家による客観的な検証を通じて事実関係が積み重ねられることによって科学的事実が明らかになることを期待をしております。
 更に、科学技術政策担当大臣として発言をさせていただきたいと思います。
 トムソン・ロイターの論文ランキングの結果が公表されました。この世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター社、ダボス会議に参加した時に、トムソン・ロイターの社長、会長とバイの会談をさせていただいたんですが、本年から高被引用論文、これ被引用数が上位1%の論文ということですが、これによる日本の研究機関ランキングを発表したということです。
 今回の結果は、我が国の大学、研究機関の研究力を示す一つの指標として有益なデータだと認識をしています。特に化学、免疫学、材料科学、生物学・生化学、この4分野は日本が世界で高い影響力を持つ分野とされておりまして、我が国研究力の高さが明らかにされたと認識をしています。
 他方、今回の国内ランキングとは別に我が国の論文指標について、世界的に見ると低下傾向が見られるということも承知をしております。この研究の国際化競争、国際化とか競争が激化する中で、関係省庁とも連携をして研究時間の確保とか研究環境整備等の対応を引き続き進めていくことが科学技術政策担当大臣として大変重要だと考えております。
 次に、宇宙政策担当大臣として簡潔に申し上げたいと思いますが、NASA(アメリカ航空宇宙局)と米国スペースX社がロケットの再使用化に向けた実験を行うということが報道されております。日本時間の明日4月19日に予定されているスペースX社のファルコン9ロケットの打ち上げは、NASAからの委託によってドラゴン宇宙船で国際宇宙ステーションに貨物補給を行うと、これが目的だと聞いております。スペースX社は、この打ち上げ機会を利用して、独自にファルコン9ロケットの再使用に向けた実験を行うと承知をしています。
 我が国においては、御存じのとおり4月3日の宇宙政策委員会で取りまとめられた宇宙輸送システム長期ビジョンにおいて、再使用型宇宙輸送システムによる低軌道領域の宇宙輸送コストの抜本的な低減を目指すべきという方向性が示されておりまして、宇宙輸送システムの再使用化に向けた取組を進めることが重要であると認識をしています。
 ドラゴン宇宙船がファルコン9ロケットにくっついていて、これが上がっていって、ドラゴン宇宙船が切り離されてISSに向かう。残った1段目が、多分このように行くのではなくて、このようにまた戻って、御存じのとおりこれを噴射しながら足を開いて海に降りるんでしょうか。スペースX社も成功率は30%ぐらいではないかと言っていたんですが、スペースX社に行った時にいろいろ説明していただいたグラスホッパーの上がったり下りたりする技術が使われているのかなと勝手に考えているんですが、これは宇宙政策担当大臣としても注目をしたいと思っております。
 大事なことをもう一つ、科学技術政策担当大臣として。
 SIP、戦略的イノベーション創造プログラムについて、10人のプログラムディレクター、内閣府設置法の施行までの間は、これは政策参与ということになっていますが、10課題の研究開発計画を昨年末以降検討してきました。昨日からパブリックコメント、我々のイニシアチブ、独自のイニシアチブといいますか我々の考えで募集をしております。募集の締切りは連休明けの5月7日となっておりますが、SIPの今後のスケジュールだけ簡単に御説明しておきたいと思います。SIPは、社会的課題の解決、産業競争力の強化、経済再生などに資するものですが、国民の関心の最も高い10課題を扱うということになっています。このため、有識者による事前評価、3月末に実施をいたしまして、結果は5月に公表させていただこうと思っていますが、これに加えて広く国民からも意見を募集するということに決めました。パブリックコメント、締切り5月7日にしていますが、この後、総合科学技術会議を開いて、各課題の政策参与をプログラムディレクターとして決定をする。同時に、予算配分予定額等を決定をし、内閣府設置法の施行後、予算を配分し、執行したいと考えております。
 それでは、簡単にプレゼンをさせていただきたいと思います。
 2、3分間なので、エリカちゃんの新しい動画、少しほのぼのとしていただきたいと思います。
 エリカちゃん、大体夢の中のシリーズで何にでもなれるということで、今までお花屋さんになったり、あるいはお寿司屋さんになったりしたんですが、今回はお天気キャスターということで、夢の中でエリカちゃんがお天気キャスターになったという最新動画ですが、3分ぐらいですので、是非最後まで見ていただきたいと思います。

 (動画上映)

 更に2本ぐらい新しいものができつつあるので、次々にここで公開させていただきたいと思います。
 それでは、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 一つは、SIPの参与の正式決定と予算配分額の決定なんですが、これ時期的には何月頃に予定されているんでしょうか。
(答)パブリックコメントの締切りは5月7日ですから、その後、総合科学技術会議を開いて、まずプログラムディレクターにするわけですよね。だから5月7日以降。まだ何日ということは決まっていませんが、まずプログラムディレクターをしっかりと決めた後、そのプログラムディレクターを決めるぐらいの時期に多分予算配分予定額等も決めるということですね。まだ何日ということはわからないです。
(問)何日ということはわからない。ただ、6月には入らないというくらいのタイミングでよろしいんでしょうか。
(答)そうですね、6月に入るかどうか、あまり遅くならないと思いますね。執行上の都合があるから、そのスケジュールに合わせて行うということです。今の時点で何日にということは、申しわけありませんが、いずれにせよ、パブリックコメントが終わった後ということですね。
(問)あともう一つ、パブコメが5月7日締切り、CSTP(総合科学技術会議)でやっている事前評価の結果は今のところ公表しないけれども、パブコメ後に公表するという。
(答)パブコメ後ですね、5月には公表したいと思っています。細かいことはまた事務局から後で説明してもらった方がいいと思います。
(問)そこら辺の意図としては何ですかね。
(答)配分額のこと。
(問)配分額のことじゃなくて、事前評価等を公表した上でパブコメをやるというやり方と、公表せずにパブコメをやるという、なぜ公表せずにパブコメなのかという。
(答)それはいろいろ両方の方法があると思いますが、いろいろ考えて公表する前にパブコメを行った方がいいだろうという判断になりました。まだ両方の方法があるので、それぞれメリット、デメリットがあるかと思うんですが、今回はむしろそれを公表しないでパブコメにかけた方が、いろいろな意見が集められるだろうという判断です。
(問)あともう一つは、トムソン・ロイターの結果なんですけれども、その中で大臣、研究時間と研究環境の整備が必要だと、日本。それについて、例えば具体的にこういうところを日本の研究環境を変えなければいけないという答えはお持ちでしょうか。
(答)いや、それは今ここで具体的にお答えするようなことはないんですが、この中身についてはしっかり注視していきたいと思いますね、先程言ったように、日本の論文の現状、研究の現状を把握する上では、一つの大事な指標だと思います。
(問)NHKの高野です。先程のエリカちゃん動画に関連してまず質問なんですが、北方領土の天気予報は去年確か12月に自民党の特命委員会の方から、報道でやるように政府として進めるべきというか、何かそういう提言があったかと思うんですが、これについて政府として何か見解は。
(答)これは党の方の提言に含まれておりましたので、領土担当大臣として受け止めました。なかなか実際には難しいところがあると思いますが、いろいろ考えて政府の中でも検討したいと思いますが、これは御存じのとおり、なかなか難しいところがあると思います。ただ、党の提言ですから、それを受け止めてどんな対応ができるかということを行いたいと思いますし、引き続き少しこれは政府内で検討していきたいと思います。
(問)あともう一件、全然別件なんですが、副センター長の会見を受けて、研究開発法人の指定に何か判断に影響、若しくは今考えていらっしゃることはありますでしょうか。
(答)もう何度も申し上げているとおり、これから理研の対応を、全体を見極めて判断をしていくということだと思います。
(問)フジテレビの鹿嶋です。理研の関連で、すみません。従来から大臣は、理研は研究機関としては非常に優れた研究機関だということをおっしゃっていると思うんですけれども、一応理研側の発表と小保方さんの会見とも、それで副センター長の会見もあった中で、結局、総合すると、責任の所在がどこにあるのかというのがはっきりしないという疑問が多分あると思うんですけれども、理研の方の会見では、重大な責任があるとされた副センター長に関しても、論文の最後の部分で加わったというような趣旨もおっしゃっていたと思うんですね。そういったこともいろいろ考えると、優れた研究機関ではあるとしても、組織としては体をなしていないんじゃないかというふうに思うんですけど、その辺いかがでしょうか。
(答)いろいろな見方があると思うんですが、私が理研は優れた研究開発法人、組織であると、組織というか研究開発法人であると申し上げている理由は、過去の実績がある。それから、非常に国際的にも理研は有名だということなんですが、今おっしゃったように、世界最高水準の研究開発法人を作るために作った特定国立研究開発法人の制度ですから、そのガバナンスあるいは危機管理マネジメント、組織としての、この分野でも世界最高水準というか一流であるということをきちんと証明をしてもらいたいと思いますし、それがきちんとできないと、なかなか前には進めないのではないかということです。
(問)日刊工業の小川と申します。特定国立研究開発法人の法案成立なんですけれども、前回の会見で、日程的に非常に厳しいものがあるというご認識でしたけれども、やはり今も今国会での成立を目指しているけれども、なかなか厳しいという認識は変わらないでしょうか。
(答)これも前回の会見で申し上げましたが、特定国立研究開発法人の制度自体は非常に意義があると、必要だと思っています。この制度の創設の中核的役割を果たしたと自負している科学技術政策担当大臣としてそのような強い思いがあります。ですから、できるならば、今国会で法案を成立させてこの制度をきちんとスタートさせたいという気持ちがあります。今の段階でこれを断念するということは申し上げたくないと思っていますが、ただ、客観的な情勢を見ると、これはなかなか厳しいものもあるなと、党の方からいろいろ厳しい指摘が出ているのも当然だと思いますし、そこはきちんと受け止めていかなければいけないと思いますので、これも繰り返しになりますが、5月の連休後に外部有識者の調査の結果も出るわけですから、その辺全体も見極めて科学技術政策担当大臣としての考え方、姿勢を示していきたいと思います。
(問)関連してですが、産総研(産業技術総合研究所)だけ先に指定ということはあり得るんでしょうか。
(答)それはいろいろなパターンがあると思いますが、これは特定国立研究開発法人、制度ですよね、別法で作ったわけですよね。ですから、それが一つでいいのかという議論はあると思います。
(問)最後ですが、仮に今国会で成立が、もし延びてなかった場合は、秋の臨時国会で再提出ということはあり得るんでしょうか。
(答)まだそのような前提というか、そのように想定していないので、今の段階で先がどうのということは少し控えたいと思います。
(問)朝日新聞の波多野と申します。原子力委員会の設置法に関してですが、今日の閣議決定に至るまでに与党でも様々な議論をいただいたかと思うんですが、それに対して大臣としてはどのようにこの設置法の改正が必要だということを説明されてきたんでしょうか。
(答)エネルギー政策全体について党の中でいろいろな議論があって、エネルギー基本法の閣議決定のプロセスでも様々な議論が出てきたということなので、特に原子力政策に関する法案ですから、党内でいろいろな議論があるのは当然だと思っていますし、むしろ何度か部会を開催していただいたことは感謝を申し上げたいと思っています。原子力政策は非常に大事ですから、このプロセスの中でいろいろな議論があったということは、むしろありがたかったと思います。3回ぐらいでしょうか、部会を。それは健全なプロセスだったと思っています。
(問)今後ですが、一定期間置いての例えば見直しですとか、今後のこの委員会の運営の仕方とかその辺をどのように考えていますか。
(答)まず見直し法案が成立すれば、それに基づいて原子力委員会の在り方の方向性が出てくるということなので、とにかくまず法案を成立させるということだと思います。
(問)共同通信の野見山です。
 先程の北方領土の天気予報の関連ですけれども、自民党の提言では、他に尖閣や竹島も含めて積極的な天気予報の発信をという内容だったと思うんですけれども、先程、なかなか難しいと言われたその理由としては、やはりそれぞれ相手国の外交関係への配慮とか具体的な難しい理由はいかがでしょうか。
(答)あまり個々の相手国との関係等々とかそのようなことは申し上げない方がいいと思うんですが、総合的に考えてなかなか簡単ではないと。難しいというのは、できないと言ったわけではありませんが、党の提言ですから、これは政府の中で引き続き検討させていただきたいと思っています。ただ、率直に申し上げて、随分前からこのような話があるので、そんなに簡単に進まない面もあるということは確かだと思います。ただ、もう一回言いますが、党の提言ですから、これはきちんと政府内で引き続き検討させていただこうと思っています。
(問)フジテレビの鹿嶋です。別件で恐縮ですけれども、国会での携帯電話の利用について質問したいんですけれども、昨日の議運の方で、政府の方から要請がありまして、緊急時に携帯やスマホの画面を見られるようにしてほしいと、要は、これまでは何か緊急事態があった時には、秘書官や副長官がメモにして渡すというようなことをやられてきたけれども、そういったことであれば時間的なラグとか重要なことに対応できないというようなことから、そういう緊急時に限って認めてもらえないかという要請をしたということで、議運の方でも検討に入るようなんですけれども、この携帯電話の利用について、一応平成8年から議運の方で使用しないということで申し合わせはできていると思うんですけれども、この携帯の利用について大臣として何か、是非について。
(答)そうですね、これは議運の方できちんと議論して決めていただければいいと思います。それを前提にして申し上げますと、IT政策担当大臣ですから、これもいろいろな理由があると思うので、これは議運の方で決めていただく。各党のいろいろなコンセンサスで決めていただければいいと思うんですが、タブレットというか、やはりIT政策担当大臣として言うと、そのようなものを少し、例えば活用する道があってもいいのではないかという気がします。いわゆるスマホだけではなくてパソコンといいますかタブレット全体の活用の仕方についてもう少しフレキシブルな考え方もあるのかなという感じがしています、IT政策担当大臣としては。ただ、それは議運の方で決めていただくことだと思います。
(問)大臣が今おっしゃったのは、その時代の流れといいますか、政府としては一応緊急時にそういう対応をするためということでも要請されているんですけれども、時代の流れに即していくべきだというお考えですか。
(答)というか、他の国では結構使っているところが多いわけですよね。だから、今回の緊急時の話というよりは、全体として国会におけるIT利活用という観点からいくと、少しフレキシブルな考え方もあるのではないかなという意味です。もう少し全体を見て、これに限らず。もう一回言いますが、どうするかは議運で話し合って決めていただければいいのではないかと思います。
(問)すみません、まだ検討はこれからということなので、お聞きするのは恐縮なんですが、全ての国会議員に仮に今後携帯の使用が原則的に認められるということになれば、緊急時などに限らず、審議と関係ないような状況でも画面を見たりとか、そういう懸念もあるようなんですけれども、その辺はある程度一定の制限をすべきだというふうに思いますか。
(答)そこはやはり議運の方で決めてもらうということに尽きると思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:472KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)