山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年3月20日

(平成26年3月20日(木) 10:01~10:22  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議について特に今日は申し上げることはありません。
 最初に、科学技術イノベーション担当大臣として一言申し上げます。STAP細胞の問題についての私の考え方は何度もこの記者会見で申し上げておりますが、一つだけ加えたいことは、今このような形でいろいろと疑義が出ているということについては大変残念に思っていますが、これによって、例えば理研(理化学研究所)の野依理事長がずっとおっしゃっていた「レーバーからリーダーへ」、すなわち若い研究者あるいは女性、このような方々をどんどんやはり能力のある人は登用していくと、このような流れが逆行してしまうようなことがないようにしてほしいなと、それだけは一言付け加えておきたいと思います。
 それでは、プレゼンを行いたいと思います。
 今日は、海洋再生可能エネルギーの「実証フィールド」の話なんですが、総合海洋政策本部が行っているとてもいいことについて簡単にPRしたいと思います。
 我が国の海洋エネルギー、これは東日本大震災の後で特に海洋エネルギーの重要性というものが見直されて、今、政府全体としてこの取組を加速しているということで、我が国の周辺に豊富な海洋再生可能エネルギーがあるということが次々に判明をしているということで、代表的なものは洋上風力なんですが、それに加えて波力発電とか潮流発電とか海流発電とか海洋温度差発電等々がありまして、これについて今研究開発が進んでいます。波力、潮力、海流、海洋温度差、代表的な場所についてこのように今並べてみました。
 「実証フィールド」というのはどのようなものかというと、今後実用化が期待される潮流、波力、このような海洋エネルギーについて一定のエリアを確保して、発電の実証実験を自由に行うことができる場所のこと、メーカーとか大学等の利用者が、自ら開発した発電デバイスを持ち込んで実証実験を行うということ、これを「実証フィールド」と呼んでいます。
 日本ではこのような実証フィールドというものは今のところありませんが、実は世界各国は次々にこの実証フィールドを整備しています。
 代表的なのは、イギリスの、確かスコットランドにあるEMEC、European Marine Energy Centreだと思います。欧州海洋エネルギーセンターかな、ここが非常に活発に行っていまして、このEMECに世界各国のベンチャー企業とかメーカーが、自ら開発した発電デバイスを持ち込んで実証実験を行って、開発競争を行っているわけですね。日本のメーカーも、聞くところによると、日本に実証フィールドがないものですから、自らのデバイスをこのEMECに持ち込んでいるという状況だということも聞いています。
 今、このEMECで実証中の発電デバイス、ここは波力と潮力を出しましたが、いろいろな形、いろいろな方式を考案して、ここで効率を競っていると、これが今の世界の現状だということを申し上げておきたいと思います。
 総合海洋政策本部、予算と権限が限られている中でも、苦しみながら、今、司令塔機能を一生懸命発揮してもらっているんですが、いろいろいいことも行っていまして、この総合海洋政策本部で一昨年5月に、「海洋再生可能エネルギー利用促進に関する今後の取組方針」というものを決めました。その中で、この海洋再生可能エネルギー利用の重要性を訴えると同時に、実証フィールドの整備ということをうたっています。
 海洋再生可能エネルギーをきちんと行っていくためには、やはり実証しなければいけない。厳しい自然環境の中で、きちんと安全に効率よく発電ができるのかと、このようなことをきちんと研究するということが非常に大事だということなんですが、実は、もちろんニーズはあったんですが、民間の業者では難しい。なぜ難しいのか。これは皆さん御存じのとおり、関係者との調整が極めて難しいということで、産業界からの要望も受けて政府がしっかりとこの実証フィールドを整備をすると、このような流れになってきたわけです。
 これも去年3月、総合海洋政策本部、何度も言いますが、総合海洋政策本部がまとめた実証フィールドの要件、これを今、各自治体に提示をして、いかがでしょうかと、手を挙げませんかということで候補地域を募集しました。エネルギーの種類は、洋上風力、波力、潮流、海洋温度差、海流ということで、五つなんですね。
 どのような条件か。簡単に言うと、まず一つは、海洋再生可能エネルギーがふんだんにあるかどうかですね。もう一つは、地元の利害関係者の了解が得られているかどうか。例えば、地元の漁協ときちんと話し合いがついているかどうか。もう一つは、とにかくフィールドを決めても、そこで実証したいという利用する事業者がいないとしようがないので、複数の利用が見込まれることということで、公募をかけました。
 提案が出てきた、手が挙がっている海域が7県11海域ということで、各地域から手が挙がっているんです。今後、有識者の意見も聞きながら公平・公正に検討して、できれば夏ぐらいまでには結論を得たいと。これは、数を決めているわけではないので、順次認めていくというケースもあるかもしれませんが、夏までにとにかくまずいくつか結果を出していきたいと考えております。
 アドバイザリーコミッティ、助言会議ですね。助言会議で7人か8人の有識者がいるんですよね。この方々に相談していただいて決めようと思っています。
 二つ御紹介したいと思います。佐賀県と長崎県。
 この間、佐賀県知事と長崎県知事が大臣室に説明に来られました。地元の関係者の方々と一緒に来られました。これはまだ全く決まったわけではないんですが、私が見る限り、なかなか優良案件だと、この二つともそのように考えています。
 佐賀県の提案海域は、これは玄界灘の辺ですね。この辺が非常に潮流と風力がいいということで、実はここに浮体式潮流・風力発電ということで、三井海洋開発が今、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として玄界灘で実証実験を実施予定です。それと連携して実証フィールドを整備したいという意向を表明されていて、地元のいろいろな関係者、漁協の組合長か、推進委員会かの幹部でしたよね。協議会の委員長という非常に地元の利害調整もきちんと行ってきているということで、大変好感を持ちました。私が決めるわけではないので、決まったわけではないんですが、利用者もきちんといますから、いい案件ではないかと考えています。
 もう一つ、長崎県知事も随分多くの方々、地元の経済界の方々と一緒にわざわざ大臣室まで足を運ばれたんですが、長崎県では潮流と、それから浮体式洋上風力でいいところがあるということで、こちらの潮流の方は五島列島の辺で、これは平成26年度から環境省が潮流発電の実証事業を開始予定だと、それと連携して行いたいと、非常に具体的なんです。もう一つ、浮体式洋上風力については、これも環境省が椛島沖かな。今実施中で、その跡地を実証フィールドとして活用したいという意向があるということで、この二つはなかなかいい案件ではないかと思っています。
 この実証フィールドを整備するとどのようないいことがあるのかと言われればいくつかあって、一つは、開発のコストをおそらく低減できるんではないかというのがあるし、このような実証フィールドがあると、事業者の参入意欲というものも高めるということができますし、あるいは我が国の海洋産業の競争力を強めるということにもつながりますし、2県の来訪された知事もおっしゃっていたんですが、例えば、ここで関連産業が集積すれば、地元の地域経済にも貢献するということで、非常にいい試みだということで、もう一回言いますが、総合海洋政策本部がこのようなことも行っているということで、総合海洋政策本部がこれをしっかり決定をするということを申し上げたいと思います。
 以上、今日は総合海洋政策本部の活動をアピールさせていただきました。
 何か御質問があれば、昨日の夜の司令塔連携・調整会議が、私の方で身内に不幸があったので途中で短く切り上げてしまいましたから、その辺についてももし御質問があればこの場でお受けをしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。まずは、今のプレゼンについてなんですけれども、これ、いくつか候補があって、世界ではかなりもう競争が激しい中で、なぜ夏まで決定がかかっちゃうんでしょうか。そのタイムスケジュールが随分のんびりしているように見えるんですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。
(答)のんびりしているとは思わないんですが、やはり実証フィールドを国が決めるということは、すごく効果がないといけないので、もちろんかなりのところが手を挙げてくれているんですが、本当に実証フィールドと指定して、先程私が言ったような効果が出るかどうかということは慎重に検討しなければいけない。それから、各地域としても提案をしてくるまでにいろいろ、例えば地元の関係者との調整等々もなかなか時間がかかると思いますし、それをこちらで見極める時間もかかると思っているので、のんびりはしていません。できるだけ早く夏までに、いくつ認められるかわかりませんが、結果を出して、その後順次、きちんと条件が整ったものについては、きちんと先程言った要件を満たせばゴーをかけていきたいと思います。
(問)それで、昨日の司令塔連携・調整会議のことについてお聞きしたいんですけれども、宇宙の司令塔についてヒアリングして、いろいろな現在の取組だとか課題だとかが出てきた。大臣は発信力についての課題をおっしゃったんですけれども、例えば、昨年の概算要求で、司令塔なのに調整していないとか詰めが甘いとか、そういうものがあったんですけれども、そういうことが起きてしまった原因と、それに対して今後どういうふうに変えていくかというような、実際にあった事象に対して反省し、今後どう変えていくかみたいな、そういうことについては言及はなかったんでしょうか。
(答)それは私の方から一応問題点として指摘をさせていただきました。あの例の衛星の話、リモートセンシング、少し厳しく指摘をされて、確かに行政レビューでも厳しかったので、ここはしっかり受け止めなければいけないんですが、出来て1年ですが、私の目から見ると相当宇宙開発戦略本部頑張っているなと思っていますし、宇宙政策委員会も戦略的予算配分方針を私の名前で各省に投げたんですが、それなりの成果は上がっていると思います。ただ、もちろん司令塔機能強化についていろいろ過去の点、いろいろ検証したり反省しなければいけないところもあると思うんですが、例えば、今言った関係各省との調整というのは一つ反省点だと思うので、それも踏まえて、例えばリモートセンシング衛星については調査費が付きましたが、これは各省からお金を付けてもらって行いましたから、やはり連携は一つのポイントだと思うんですね。ですから、いろいろな、例えば予算を付けていく中でも、きちんと宇宙戦略本部で各省と連携していくということは、今までの経験も踏まえて行っていきたいと思っています。
 それから、発信についての話ですが、宇宙政策委員会は実は各省に対して勧告もできるという強い権限があって、例えば、基幹ロケットの開発を含めていろいろ政府の方針について影響力を与えてきたと思うんですが、各部会があって、それぞれいろいろ各部会で発表しているときに、何度も言うように悪いことではないと思いますが、私が知らないうちに、いつも日経で申しわけないですが、日経新聞の1面に出るというようなことがあったので、それは宇宙政策委員会の発信力を高めて司令塔機能に結びつけていくためには、きちんと担当大臣としてもコーディネートして、きちんとワンボイスで行った方がいいということで、それもある意味でいうと司令塔連携強化につなげられるのではないかという話で出てきました。
 それから、どのようにして横串を刺すかということについては、とにかく宇宙開発戦略本部の最大のアパレイタスは、これはどう考えても宇宙政策委員会ですから、その戦略的予算配分機能を、予算のプロセスに影響を与えるアクションプランではないですが、それをいかに高めていくかということをやはり考えていくべきだと。それについて言うと、中村さんから今御指摘のあったような、各省との連携を初期の段階からしっかり図っていくということは極めて大事なのではないかという気がします。
(問)日刊工業の小川と申します。
 まず最初にこの実証フィールドの件なんですが、確か応募が都道府県単位だったと思うんですけれども、大臣としては何県ぐらいが適切というか、そういうのはありますか。
(答)数を決めているわけではないので、先程言ったように条件が整っていないのに指定するということはよくないと思いますが、本当に要件が整って、なおかつ、私が先程申し上げたような効果があると期待されるところはどんどん認めていけばいいと思います。きちんと実証フィールドとして助言会議で決めて、その効果があるということがきちんと判断されれば、別に数は関係ないと思いますね。
(問)例えば、ここに挙がっているところって前からもう計画があって、おそらく相当進んでいる段階で実証フィールドに手を挙げたというところが多いと思うんですけれども、例えば、海に面してポテンシャルがあるところでも、なかなかやはり状況というか利害関係者の調整に相当手間取るので手を挙げないというところも聞いた覚えがあるんですけれども、なかなかこうやって実績があるというか、有望なところというのは手を挙げるというのはわかるんですけれども、ポテンシャルはあるけど、なかなか難しそうなところというのはなかなか後押しというのは難しいですか。
(答)それは地元自治体の努力が必要だと思うんですよね。これを例えば実証フィールドとして浮体式の風力を始めとして、先程EMECで見たようないろいろ潮流とか実証を行うためには、地元関係者との利害調整がなければできませんから、そこはきちんと行っていただかないといけないと思います。ただ、例えば、まだどこが指定されるか決まっていません。先程優良案件と言ったのは、あくまでも私の個人的な感覚なので、これは助言会議が決めるんですが、例えば実証フィールドを作って成功する、うまく進めば、ある意味でいうと成功のモデルが出てくると、各自治体にも、各自治体がこのような実証フィールドに応募しようというインセンティブも高まると思いますし、あるいは自治体の中で調整をしようという機運も高まってくるのではないでしょうか。
 例えば長崎とか佐賀は、先程も申し上げましたとおり、佐賀だったでしょうか、漁協の組合長が実行委員会の委員長になっているところもありますから、つまり、そこはウィン・ウィンの関係が成り立つということがわかれば、いい傾向が生まれるのではないかなと思っています。
(問)もう1点別件で、宇宙関係で、ウクライナの情勢緊迫化によってロシアとの宇宙関係の見直しなどというのは検討はあるんでしょうか。
(答)それは特に今のところ、このウクライナの話、私がコメントするという立場にはないんですが、このことによって何か今急に宇宙関係がどうのという話はまだ大臣として聞いておりません、現段階で。
(問)先程の宇宙関係の司令塔機能強化で、ワンボイスで伝えた方がいいとおっしゃったんですけれども、それは独自の発表はしないで、大臣が全部検閲するというか、大臣を通してという、どういう意味なんでしょうか。
(答)そのワンボイスという言い方は少しよくなかった。各部会で日本を代表する有識者の方々に話し合っていただくので、その議論はいろいろあってもいいと思うんですね。ただ、その議論を発信する時に、ある程度戦略的に行っていった方がいいと、そこはどのような形で、例えば宇宙政策委員会として発信するのか、宇宙政策担当大臣として発信するのかというところについては、ある程度連携、調整があった方が、その司令塔機能を発信力によって、宇宙政策委員会の発信力を活用することによって司令塔機能強化に資する上ではプラスだろうということで、別に全く検閲するつもりなんて、まず検閲する権利もないし、全く行うつもりはなくて、それはそれぞれ議論していただいてもいいです。ただ、時に部門会議で行っていること自体がそのまま方針になるかのような報道になることもあるので、そこは正確に発信した方がおそらく宇宙政策委員会全体の発信力の評価にもつながっていくし、それが宇宙戦略本部の、内閣府の、特に宇宙政策についての司令塔強化にもつながっていくのではないかと、このような意味で申し上げました。
(問)あともう一つ、昨日、大臣所管の日本学術会議の会長がSTAP細胞について談話を出したんですけど、大臣としてどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
(答)これは日本学術会議の考え方なので、それはそれで受け止めていただいて、いつも申し上げているとおり、できるだけ早くアカウンタビリティをしっかり担保するという点からいっても、理研の方には調査結果を公表していただきたいなと思います。
(問)NHKの高野です。
 ウクライナ問題についてお伺いします。大臣、海洋政策や領土担当大臣として、中国を念頭に力による現状変更の試みは認められないというふうに繰り返し言われていますが、今回のロシアによるクリミア編入をどういうふうに見ていらっしゃって、今後の日露関係はどうあるべきだとお考えですか。
(答)これは日露関係は外交の問題ですし、総理の判断ということもあると思うので、今現時点で言えることは、日本政府として今いろいろなことを発表していますが、総理の方針を支持したいということです。
 最後にもう一つ言いますが、実証フィールドは総合海洋政策本部が行いましたと、これだけ申し上げておきたいと思います。
 あとエリカちゃんの動画がどんどんできているので、一度に皆さんに見せられないんですが、また機会のある時に次の動画をお見せしたいと思いますし、どなたかにクイズを解いていただくかもしれないので、皆さん来ないと困るから抜き打ちで行いたいと思います。エリカちゃんの動画もだんだん進化していますから、そちらの方も是非注目をしていただければと思います。
 今日は総合海洋政策本部が実証フィールドを行っているということだけ申し上げたいと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:602KB)

(以上)