山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年3月18日

(平成26年3月18日(火) 9:10~9:31  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 特に今日、閣議について御報告することはありません。
 まず最初に、内閣府特命担当大臣、司令塔担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 明日、お手元にお配りしている資料のとおり司令塔連携・調整会議の第5回会合を開催したいと思います。新たな装いにすると申し上げてから2回目になりますが、司令塔連携・調整会議は、この内閣府・内閣官房の見直しの動きも踏まえて一段とギアアップして実施したいと思っています。一部報道によると、官房長官の発言は、整理・見直しをする体制を整える必要があるということのようですが、内閣府の業務見直し検討チーム設置へというような報道もありますので、ある意味でいうと、この議論が非常にタイムリーではないかと考えております。今回から各司令塔のヒアリングを実施したいと思います。明日はそのヒアリングの第1回目ということで、科学技術政策・イノベーション担当及び宇宙戦略室から説明を聞いて意見交換等を行うこととしております。
 なお、内閣府参与としてお願いをした城山先生(城山英明東京大学政策ビジョンセンター長)にも出ていただいて、あと何回ぐらい議論ができるかわかりませんが、しっかりと夏ぐらいまでには司令塔連携に関する提言を取りまとめて発信をさせていただこうと考えております。
 更に、科学技術政策イノベーション担当大臣として、申し上げたいと思います。
 STAP論文に関する理化学研究所の中間報告がありました。STAP細胞に関する研究は、これまでの生物学の常識を覆すと期待されたものでありますが、研究成果の信憑性(しんぴょうせい)に疑いが持たれているということは、科学技術政策担当大臣として大変残念に思っております。早急に調査結果を公表されることを期待しているということをこれまでも申し上げてきました。
 先般14日、理研において調査委員会による調査結果の中間報告が野依理事長出席の下で実施されました。野依理事長をはじめ関係者の方々から、このような事態を引き起こしたことに対する謝罪があったと承知をしております。調査対象とされた6項目のうち4項目については継続調査が必要としており、組織的な対応を更に進める必要があると考えています。
 理研におきましては、これまでの優れた実績及び国内外から寄せられている期待に応えるべく、今回の事例を踏まえガバナンス体制の構築に努めるとともに、引き続き事実関係の解明をしっかりと行い、できるだけ早く各方面から提起されている疑問に応えていただきたいと思います。
 御存じのとおり、この特定国立研究開発法人の創設、これについては私も下村大臣と協力をして中心になって進めてまいりました。理研自体は文部科学省の所管ですが、これまでの経緯から考えても、科学技術政策担当大臣としてこの問題はしっかりと関心を持ってフォローしていかなければいけないと思いますし、法案が出た場合は、答弁するのは私と稲田行革担当大臣ですから、そのようなところも踏まえてしっかり対応を検討させていただこうと考えております。
 度々申し上げていますが、理研自体は研究開発法人としては世界最高水準の機関だと思っておりますし、野依理事長は、「レーバーからリーダーへ」と、いわゆる若い人や女性にチャンスを与えるんだと、このようなこともずっとおっしゃっていて、大変個人的にも尊敬しておりますが、理研がそのような実績を積み重ねてきたからこそ、余計にアカウンタビリティをきちんと果たしていただかなければいけないと考えておりますので、何度も申し上げますが、特定国立研究開発法人の候補として理研と産総研(産業技術総合研究所)を決定したわけですが、最終的にその対象法人を決定するのは閣議決定ですから、そこを睨んできちんと理研の対応を見極めてまいりたいと考えております。
 今日もプレゼンを行いたいと思います。プレゼンを行っている大臣は私だけだということが今日判明をいたしましたが、頑張って続けたいと思います。
 今日は、「アクションプランの進化と更なる高みに向けて」と書いたんですが、1年3カ月前に安倍総理から科学技術政策担当大臣に任命されました。その時に総理から、科学技術分野について最初に言われたのは、「総合科学技術会議の機能強化を行ってほしい。もう一回総科を輝かせてほしい」ということでした。すなわちそれは、「総合科学技術会議の司令塔機能を強化してほしい」と、このような指示だったわけです。
 実は、この1年3カ月で総合科学技術会議の存在感はかなり高まったと思いますし、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とか、あるいはImPACT(革新的研究開発推進プログラム)とか、このような仕組みを立ち上げられたということは非常に画期的だったと思いますし、総合科学技術会議の目利き、総合科学技術会議が中心になって目利きができる、いわゆる予算が1,000億円近く確保できたと、加えて、今回の特定国立研究開発法人においても総合科学技術会議が、これから細かい制度設計を法案の準備とともに行っていくわけですが、大きな役割を果たすということで、存在感は高まっておりますが、科学技術政策全体にどのようにして影響を与えるのかということを考えれば、それはやはり政策決定プロセスにいかに影響を与えていくかというところなんだと思います。そのためには、科学技術予算全体を俯瞰(ふかん)してプライオリティを示してきたアクションプラン、これを質、量とともに充実させて進化していくということが非常に大事だと思っていまして、SIPとかImPACTに比べると地味なんですが、内閣府のスタッフは本当に一生懸命このアクションプランの進化を行っていると、このことを今日はPRさせていただきたいと思います。
 アクションプランの進化、二つあります。
 一つは、通常国会から通年国会になりました。すなわちアクションプランというと、これまでは夏の概算要求に向けて内閣府が、特に個々の省庁といろいろと連絡調整をしながら、夏にまとまったら、それで一旦関係が切れて、また来年、のような話だったんですね。だから、これを通年国会にしようということで、9月以降もずっと関係各省と実は話し合ってフォローアップをしているということで、これは通年国会になったということが大きいと思うんです。
 それから個人プレーからチームプレーになった。個人プレーというのはどういうことかというと、今までは総合科学技術会議と各省が個別にいろいろな議論をしていたんですが、これからチームプレーにしようということで、有識者、関係各省、全部一堂に集まっていただいて、そしていろいろな議論をする。どのようなメリットがあるかというと、全員に集まってもらっていろいろな議論をしていく中で、例えば、省庁のいろいろなプロジェクトの重複、これを排除して、これとこれは連携できるのではないかと、連携強化の話し合いもきちんとできるし、あるいは研究開発の成果をできるだけ早く産業化に結びつけるために、各省がどのような役割分担をしたらいいのかということも明確化できるということで、各省の課長とか室長を一堂に集めてずっと行ってきました。これは非常に私は大きな進化だと思っています。ただ、まだアクションプランについては課題もあって、最大の課題は予算実現力、つまり各省にこれだけ協力してもらってアクションプランを練り上げていく中で、アクションプランにのったものが予算として実現するのか、財政当局に対しても、総合科学技術会議やアクションプランの影響力を高める手法をもっと考えなければいけないのではないかということです。
 ということで、アニメーションにしてみました。少しでも皆さんに伝えるために努力をしてもらって簡単なアニメーションにしてみました。つまり、今まではどうだったかというと、一応このようにみんなで一生懸命来て、ここで9月でゴールということで終わりだったわけですね。ところが、9月が終わってもゴールをもう少し先にして、ここからもずっとみんなで一緒に走っていくという形に変えたということなんです。更には、経済界との対話、リエゾンパーソンも決めて、経済界とか有識者ともこの間ずっと議論をすると、こういう形になったということは、実は非常に大きい。関係各省との連携がかなり強まったのではないかと思います。
 これはおさらいですが、アクションプランの対象施策の政策誘導・重点化ということで、これだけ大勢の人たちが集まっている。関係各省から課長あるいは室長クラスがこのように頻繁に集まっていろいろと議論をさせていただきました。とにかくみんなで議論するから、施策の重複を排除しましょうとか、この事業実施の中身は少し適正化した方がいいのではないかとか、このようなオープンなディスカッションになっているんですね。更にもう一回言いますが、一番大事なところ、研究開発の成果を産業化に結びつけるために関係府省の役割分担を明確化すると、これはみんなでいろいろ議論するからできるということだと思います。
 工程表も作りました。このようにかなり具体的な工程表を作ったということで、つまりPDCAサイクルというものをきちんと回していくという試みになっています。
 ということで、アクションプラン特定後も、9月の後もずっと通年国会で行うということで、その後、重要課題専門調査会でフォローアップする。100人を超えるブレインに参加してもらって、産業化の話とか、どんな課題があるのかとか、いろいろな話、重複を、このようにして配したらいいのではないかとか、このような話をずっとしているわけなんですが、ここに三つ書きました。100を超える助言を行って各府省が施策に反映するとか、150人を超える専門家等を結集して、オリンピック・パラリンピックプロジェクト、オリンピック・パラリンピックに向けて何を行っていくかということも話し合っているし、先程言いましたリエゾンパーソン、連携する、つなぐ人ですけど、19人指名して経済界との対話をつないでいく。専門家のうち半分ぐらい多分経済界だと思いますが、とにかく産業化に結びつけようというマインドを持ったということで、いろいろ今課題について整理をしまして、総合戦略改定に向けた見直しを行っているということで、SIPとImPACT、これからImPACTも公募を行って、まだ公募は少ないので、ヒアリングももう一回いろいろな形で私自身も行わせていただこうと思いますが、PM(プログラム・マネージャー)もこれから注目されていくと思いますし、SIPはいよいよ10のプロジェクトの予算についての議論も始まっていますから注目されると思うんですが、このアクションプラン、政策決定プロセスの新しい試みが内閣府のスタッフの努力で進んでいると、これはどこかで次の大臣に引き渡すときにきちんとパッケージにして渡したいと思いますので、皆さんも関心を持っていただきたいと思います。
 ということで、実はその一環として、この間、ワークショップを行ったんですね。150人を超える専門家が集まりました。私は最初だけしか挨拶できなかったんですが、例えば、スマートシティのように、政策課題間で融合して進めていくべき取組は何か、あるいは産業競争力を高めるために分野横断技術をどのようにして適用していくかとか、あと2020年の東京オリンピック・パラリンピックの機会を活用したプロジェクトについての話合いを行いまして、たくさん手が挙がって、このような形で専門調査会のワークショップも行いました。これは以前のアクションプランとか総合科学技術会議では決してなかったプロセスということだけ少し今日はPRをさせていただきました。
 ということで、今日のプレゼンはこれぐらいにしたいと思いますが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの高野です。司令塔連携会議ですが、官房長官の会議なり何なりとはどういうふうに連携していくのか。
(答)官房長官がどのような見直し組織を作るのかということはまだよくわからないんですが、官房長官は内閣府・内閣官房の役割全体をいろいろ見直していく。特に時代の中で、形骸化しているとか役目を終えたものについては整理しようという観点で、内閣官房、内閣府全体の見直しについて、報道によれば、党の行革本部等とも連携をしながら行うということだと思います。
 我々の司令塔連携・調整会議を行うことは、その名のごとく司令塔連携・調整会議なので、司令塔の連携のあるべき姿について議論をするということです。これはタイミングはわかりませんが、できれば、きちんと提言としてまとめますので、我々が議論した結果も見直しの中に反映していただければと思っていますから、できれば官房長官にもその議論の中身は私の方からしっかりお伝えをしたいなと思っています。
 あと何回ぐらいこの司令塔連携会議ができるかわからないですが、前々回ですか、記者会見でも言ったように、各省というか各戦略本部、総合本部のベストプラクティスをしっかり見つけていきたいなと思っていますし、司令塔機能の在り方というのは、国家戦略の在り方にもつながることなので、これはしっかり検証して提言としてまとめて、特に官房長官が進めようとしている見直しの中身には是非反映していただきたいなと思います。具体的にどのような連携のメカニズムを作るかというところまではまだ相談していません。
(問)関連ですが、明日の会議で二つのところからプレゼンを受けるということですが、その場で不要か必要かというような判断をしたりされるんでしょうか。
(答)最初の司令塔連携会議で、司令塔機能を果たさない総合本部は不要だと言いましたが、逆に言うと、今私が担当している司令塔、領土対策室が司令塔機能かどうかということはともかくとして、総合調整をするということ、これは六つとも必要だと思います。
 この会議を立ち上げた一つの理由は、前々回、前々々回ぐらいの記者会見で申し上げましたが、司令塔機能すらなくなった方がいいのではないかという議論は私は避けるべきだというか、そのような方向はまずいと思っていまして、やはり内閣府が発足した当初の理念、重要政策について省庁の枠を超えて横串を刺していくという機能は必要だということはしっかりアピールをさせていただこうと思っていますので、少しブログにいろいろ書いたら、フジテレビの鹿嶋さんから指摘がありましたが、心情的にはいろいろあるんですが、全部全ての司令塔が必要だと思います。
 海洋政策本部についていろいろ言いたいこともありましたが、よく考えたら本当に一生懸命やってもらっているし、いろいろな方向性は全部私が決めているので、別に各司令塔のせいではないということも改めて一晩寝て思いましたので、必要、不要というよりは、各司令塔がいかに努力してその横串を刺してきたかということを検証して、何が最もふさわしい手法なのかということを示すということが目的です。
 例えば、知財戦略本部については、この間少し申し上げましたが、いわゆるコーディネーション機能と各省の背中押し機能と二つのパターンがあるので、各省によってそれぞれ苦労しながら司令塔機能を作り上げてきているので、そこを少し検証したいと思います。
 ただ、各司令塔は実績をアピールできても、なかなか課題、問題点は自ら言えないかもしれないので、そこは私が厳しく問題点も洗い出しながら、どのような司令塔の在り方がいいのかということを少し議論していきたいと思います。
(問)フジテレビの鹿嶋です。特定国立研究開発法人について、先程STAP細胞の論文の中間報告の発言ありましたけれども、これは少なくとも理研の最終報告を見なければ閣議決定はしないというのが政府のスタンスという理解でよろしいのかということと、大臣がおっしゃっているように、アカウンタビリティ次第では取り下げるということも当然あり得るという理解でよろしいのかどうか。
(答)政府の決定というよりも、科学技術政策担当大臣としての意見を言えば、閣議決定までにどのような条件が必要等々ではなくて、今中間報告ですから、6項目のうち2項目についてある程度結論が出たという段階ですから、そこは閣議決定までまだ時間がありますので、正確にいつということは決まっていませんが、きちんと理研の対応を見極めていくべきだということが科学技術政策担当大臣としての意見です。
(問)別件で恐縮ですが、横田夫妻がモンゴルでめぐみさんの実の娘と見られるヘギョンさんと面会しました。このことの受け止めと、今後、拉致問題解決に向けて政府として北朝鮮に対してどのように向き合っていくべきなのか、大臣、閣僚の一人としてお考えがあれば教えてください。
(答)背景、経緯はよくわかりませんが、これは安倍総理の戦略の下で行われたということだろうと思います。横田さん御夫妻のお話を聞いて、大変心揺さぶられたところもありました。ただ、横田めぐみさんは必ず生きていると信じておられると、おっしゃっていたこともやはり、拉致対策本部は全員入っていますから、そのようなこともしっかり受けとめて、もちろん古屋大臣が担当大臣ですが、この解決に向けてしっかり内閣全体で取り組んでいくべきだと改めてそう思いました。
(問)日刊工業の小川と申します。STAP細胞の件なんですが、理研の規定では、調査開始から150日以内の結論ということなので、最終的に結論が出るまでまだ相当期間がかかると思うんですけれども、それは見極めないで閣議決定というのは進めることはあり得るんでしょうか。
(答)閣議決定は、いつまでも延ばすわけにはいかないと思うんですね、やはりどこかで閣議決定をしなければいけないと。今の理研の規定をどうのこうのよりも、この問題の推移、それから、それに対する理研のいろいろな対応、私何度も言いますが、理研は非常に優れた機関だと思います。ただ、ガバナンスとか、あるいは危機管理とか、そのようなことも全体総合的に判断をして対象法人を決めるということですから、そこをきちんと今後の推移を見極めて閣議決定で正式に最終決定するということが筋だと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:256KB)

(以上)