山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年3月12日

(平成26年3月12日(水) 18:23~18:45  於:中央合同庁舎4号館605会見室)

1.発言要旨

 それでは、総合科学技術会議本会議第118回についての会見を始めたいと思います。
 本日17時25分から総合科学技術会議本会議を開催いたしました。
 まず、3月6日付で新たに就任された小谷元子議員が初めて会議に御出席をされました。
 本日は、成長戦略のための研究開発法人制度について私から説明をし、特定国立研究開発法人(仮称)の考え方及び対象法人候補について決定をいただきました。
 また、会議では、独立行政法人科学技術振興機構の業務方法書、中期目標、中期計画の変更、それから、独立行政法人日本学術振興会の業務方法書の変更について、それぞれ了承されました。
 議論の場における出席議員からの主な発言だけ御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、有識者議員の方ですが、久間議員からは、今回の特定国立研究開発法人候補の対象にならなかった法人の研究者の士気が下がることのないように、行革事務局、総務省におかれては、これまでの議論を十分に踏まえた、よりよい制度設計をお願いしたいという話がありました。原山議員の方からは、よりよい制度を目指して総合科学技術会議もフォローアップしていくという話があり、平野議員の方からは人材交流が大事だという話がありました。また、中西議員からは、とにかくイノベーションを次に進めるためには魂を入れる作業が残っていて、今回は第一ステップだという話がありました。
 その後、出席の大臣の方から御意見をいただきましたけれども、下村文科大臣の方から、昨年末の閣議決定、関係大臣間の合意事項が着実に法定化される必要があるという発言がありました。さらに、世界最高水準の運営が可能になるように、制度的見直し、財政支援の充実が重要であって、文科省としても全力で対応したいと。そして、現時点で基準を満たさなくても、対象となるポテンシャルのある法人があると、こういった法人が選定される道筋を、見直し規定に基づき早急に明らかにしていくことが大事だという話がありました。さらに、下村大臣はSTAP細胞の話にも触れて、このSTAP細胞の論文は引き続き理研が調査中だと、対象法人の選定要素には法人のマネジメントやリスク管理が挙げられているが、そうした観点から、文科省としても理研の今後の対応を注視し、必要に応じて指導する等々、真摯に対応するという、こういうお話がありました。
 新藤総務大臣からは、今回、対象法人候補とされた2法人については、今後の研究成果と活動状況を十分に検証していくことが必要だと、こういう話がありました。久間議員と同じように、2法人以外にも特定分野で優れた研究成果を出している法人があるので、研究者のやる気をそがないような配慮が必要だと、制度について適切に説明するべきだという話がありました。これもこれから恐らくいろいろと議論になってくると思いますが、独立行政法人制度の3類型の一つだという国立研究開発法人自体が特別なものであって、研究成果の最大化を図っているんだと、だから、これは総務省としても、全体、この第3類型の運用改善をちゃんと詰めていきたいという話がありました。
 稲田行革担当大臣の方からは、とにかく独法の通則法の改正とあわせて、この特定研究開発法人制度に係る法案、今国会での成立がもう必要不可欠だと、とにかく早期成立に向けて、関係大臣が協力したいという話がありました。
 甘利経済再生担当大臣の方からは、研究開発法人は大学・大学院における研究成果からシーズを見いだし、実用化につなげる役割を果たしていくことが大事であるという話がありました。特に成果の実用化という点では、取組が特に優れている研究開発法人、ここでも物質・材料研究機構の話が出まして、物材のようなところについては、成長戦略加速化の観点から、新たな制度を運用することを検討してほしいと、こんな話がありました。
 松島経産副大臣の方から、産総研(産業技術総合研究所)の橋渡し機能を最大限発揮できるように今、議論をやっていますと、対象候補に産総研を入れていただいて感謝するというような話がありました。
 それで、全体を踏まえて、幾つか申し上げたいと思います。
 まず、特定国立研究開発法人、これ仮称ですが、これについては、本日の総合科学技術会議において、専門的観点からの議論を踏まえて、客観的な基準を決めていただきました。それを踏まえて、理化学研究所と産業技術総合研究所を対象法人候補としたということです。特定国立研究開発法人の対象法人については、最終的には政府全体で決定をしたいと思います。
 それから、今日、下村大臣の方からも言及がありましたが、STAP細胞の件で、理研のガバナンスは大丈夫なのかというような指摘もあるかもしれませんので、申し上げておきますが、理化学研究所は優秀な研究者がすばらしい活動を行っている組織だと私自身は認識をしておりますし、特定国立研究開発法人候補にふさわしい、優れた法人だと考えています。先般来のSTAP細胞に係る論文の問題については、引き続き、これは理化学研究所において調査が進んでいると承知をしておりまして、本日の総合科学技術会議でも、下村文科大臣の方から、理化学研究所の今後の対応について所管大臣として、しっかり注視するとともに適切に指導すると、これは真摯に対応していきたいという御発言がありました。今回、総合科学技術会議で決定した特定国立研究開発法人の選定要素には、確かに法人のマネジメント、リスク管理というものが挙げられております。この理化学研究所のガバナンス面も含めて、下村文科大臣を中心にやっていただくしかないのですけれども、しっかりとここら辺を見極めた上で、政府として法案の閣議決定において最終的に対象法人を決定したいと考えております。
 それから、今後のことですけれども、特定国立研究開発法人として考慮すべき要素及びそれに基づき選定される対象法人については、社会経済情勢、科学技術イノベーション政策の動向、研究成果及び活動状況その他の法の施行状況等を踏まえ、今後、必要に応じて見直しを行うこととしたいということで、これは今後、対象法人の増減も、これは場合によってはあり得るということだと考えております。
 それから、特定国立研究開発法人について、どんな措置が想定されているかということですけれども、これはこれから法案を準備する段階で、関係各省といろいろと議論をして考えていかなければいけないということになると思います。いろいろな、例えば予算措置みたいなものも、主務大臣中心にいろいろ議論されるということになると思いますが、要は、独法改革によって第3類型によって2階の部分ができたわけですけれども、そこに世界最高水準を目指す研究開発法人を創設すると、別法で。ということで、3階の部分ができるので、2階はきちんとやらないといけないのですけれども、当然2階と3階は差がなければいけないということで、ここをどういう特徴をつけていくかということは、これから恐らく法案を練り上げる中でしっかりと議論していきたいと考えております。
 大体流れとしてはこんな感じだと思います。
 最後に、プレスが入った中で、総理から御発言をいただきました。2点、総理の方からお話がありましたけれども、中核を担う特定国立研究開発法人について考え方を決定したと、今後は関係閣僚一体で研究開発法人改革の法案の国会提出に向けてしっかりやってほしいという、こういう言葉がありました。それからもう一つは、革新的研究開発推進プログラム、ImPACT(インパクト)の公募が始まったということも総理から発言をしていただきました。ImPACTは、安倍政権のイノベーション政策の看板施策と位置づけていると。もう一回言いますね。看板施策と位置づけていると。これは非常に心強い言葉だったと思います。とにかく総合科学技術会議においてImPACTを強力に推進してもらいたいと、こういう御指示があったということも、これはもうプレスの前でしたけれども、改めて御報告を申し上げたいと思います。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。どうぞ。

2.質疑応答

(問)時事通信の越後と申します。よろしくお願いします。
 まず、閣議決定をいつお考えになっているかということと、法案については今国会での成立を目指すかという、2点お伺いします。
(答)これはもう、稲田大臣の方からもありましたけれども、今国会で必ず成立をさせたいと。科学技術イノベーション担当大臣としてはそう思っていますし、これは4閣僚の会議でも、その方向性は確認されたと思っています。もちろん文科大臣も同じ気持ちだと思います。ですから、それは法案をどのくらいに出すかと、いろんな多分要素を考えないといけないので、今の時点でいつまでに閣議決定するかということはちょっと申し上げられませんけれども、とにかく今国会で、できるだけ早く成立をさせられるように、最大限の努力をしたいと思います。
(問)共同通信の須江と申します。
 先ほど触れられていた特定国立研究開発法人と、あと理研のSTAP細胞の関係で、大臣が最後のほうで、今後について、ガバナンス面も含めて、ここを見極めて法案の閣議決定において最終的に対象法人を決定したいと思っているとおっしゃいましたけれども、これはつまり、例えば理研の今回の問題の調査結果いかん、その対応によっては、最終的な閣議決定の際に理研を留保するということもあり得るという意味なんでしょうか。
(答)先ほど申し上げたとおり、理研は、今回定められたさまざまな指標を踏まえても、世界最高水準を目指す特定国立研究開発法人の候補者としては十分な資格があると、私はすばらしい組織だと思っています。
 ただ、今日、決まったのは基準であって、この基準を踏まえると理化学研究所と産総研が候補になるというところまでであって、最終的には閣議決定で決定をすると。その閣議決定にいくまでの段階においては、先ほど申し上げたとおり、もちろん今回の指標ももちろんそうですけれども、ガバナンスとか、いろいろそういう要素も含めて検討していくと。それによって閣議決定で最終結果を出すと、こういうことに尽きると思います。
(問)繰り返しで恐縮ですが、そうすると当然、理研が優秀な研究所というのは大臣もおっしゃるとおりでして、ただ、今後、今回の問題の対応も含めて、何かガバナンス面で不備があるようであれば、それは決定に影響することもあり得るという理解でよろしいでしょうか。
(答)全体を見極めながら、いろんな、例えば要素を見極めながら、閣議決定で最終的に決めると、こういうことです。
(問)科学新聞の中村です。
 特定国立研究開発法人についてなんですが、今回の基準だと、日本にある公的な研究機関では理研と産総研以外入らないような基準になっているんですけれども、先ほどおっしゃったNIMS、物材機構とか、他の法人が入るためには基準そのものを見直さないと、例えば「総合的な」とやった時点で理研と産総研以外はほとんどなくなると思うんですけれども、この基準そのものの見直しについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)それは、先ほど申し上げましたけれども、社会経済情勢の変化とか、科学技術イノベーション政策の動向とか、さまざまな要素を勘案して基準を見直すこともあり得るということですね。
 先ほど申し上げたとおり、今回はとにかくいろいろと議論した結果、こういうフラッグシップ的な、とにかく研究開発法人を候補としようということでまとまったわけですけれども。もう一回言いますが、特定国立研究開発法人になるということは、それだけの責任が伴いますから、例えばこれからの実績、それから研究開発法人の長のリーダーシップ、マネジメント能力、こういうことによっては、だから入れ替えもあり得るし、その特定国立研究開発法人の候補の見直しの基準、こういうものも変わり得るということだと思います。
(問)朝日新聞の今と申します。
 STAP細胞の関係なんですけれども、筆頭著者である小保方さんご本人の件で何か言及というのは会議の中でありましたでしょうか。博士論文に関することなどで何か。
(答)総合科学技術会議?
(問)会議の中ですね。
(答)そういう言及は一切ありませんでした。
(問)個人のこと……
(答)下村大臣の方から、STAP細胞の件についてはこういう状況になっていて、文科省としてもこういうふうに対応すると、こういう御報告があっただけです。
(問)じゃ、個人については特に言及は。
(答)ございません。
(問)はい、わかりました。
(問)NHKの高野です。今の関連ですが、STAP細胞については、下村大臣以外からは言及はなかったということでよろしいでしょうか。
(答)ありませんでした。
(問)東京新聞の榊原といいます。
 この制度で研究者の給料がどれぐらい上がるのか、もしくは上がらないのかというところを知りたいんですが、結局、この法人の予算がどれだけ増えるかというのは、文科省や経産省の予算配分の中、予算配分をどうするかにかかっているという理解でよろしいわけですか。
(答)今おっしゃった話は制度設計に係る部分なので、制度設計の大枠については大体決まっているんですね、方針が。例えば研究成果を最大化するとか、今までの評価とは違うやり方でいろいろと評価をするとかいうことで。今言った、どのくらい例えば給料上がるかどうかというのは、これからやはり詰めていくところだと思います。これから法案を練り上げていく上で、少し細かい制度設計、2階の部分と3階の部分をどう差をつけるのかとか、それもこれから議論するということです。
 それから、さっき言った予算措置の話は、例えば主務大臣が中心になっていろいろ議論するということですけれども、それはどういう形で予算を増やしていくかというのも、これから多分議論をしていくことになると思います。
(問)STAP細胞との関連です。先ほど御発言で、閣議決定では最終的に全体を見極めながら決めるという御発言ありましたが、これは何か、金曜日とかの論文に関する報告を踏まえて、変わることがあり得るということなんでしょうか。
(答)それはもう先ほど言ったことに尽きるんですけれども、下村大臣としても、これからしっかりと状況を注視し、しっかり指導していくとおっしゃっていました。
 もう一回言いますが、今日決まったのは、どういう基準で選んでいくかということと、その中で理研と産総研を候補とするというところまでであって、全体を見極めながら閣議決定で最終決定すると、こういうことです。
(問)関連で恐縮なんですが、とはいえ、今日、総理も関係閣僚、主要な人は皆集まっている中で決めたということで、どういう要素があるとこれは変わり得るんですか、閣議決定で。
(答)どういう要素とか、余り具体的な話はちょっとここでは言及しませんが、もう一回言いますけれども、総理はプレスを入れた中でもおっしゃったように、どんな基準で選んでいくかということと、その基準に沿った候補を決めたということであって、これはまだ最終決定ではありません。ですから、閣議決定に向けて、もちろん今回の総合科学技術会議の結果も踏まえて、いろんな総合的な判断の中で最終的に実際に決定すると、こういうことです。
(問)日経BPの河野と申します。
 理研と産総研が新制度に認定された場合、年間の運営費交付金は確実に増やさなければいけないというコンセンサスが政府内にあると理解してよろしいでしょうか。
(答)その辺のところも、これからいろいろと詰めていかなければいけない点だと思います。
(問)大臣御自身は、当然増やしてしかるべきだというご意見でしょうか。
(答)そこはこれからの議論だと思うんですね。
(問)だから今は具体的には言及できないと。
(答)はい、今は余り細かいことを言わないでいいだろうなと思います。
(問)時事通信の越後です。
 重ねての質問で恐縮なんですけれども、今国会中に成立させるということで、させることを目指すということで、法案の提出、最低でもいつまでにというめどは。
(答)それは、現時点では、はっきり何日ということは申し上げられません。ただ、とにかく今国会で、できるだけ早く。それは多分、他の法案との関係とか、いろいろな情勢に左右されると思いますが、できるだけ早く成立をさせたいと、担当大臣としてそう思っています。この法案、多分、私の所管。恐らく稲田大臣と私の所管でしょうか。総務大臣も関係すると思うのですが、主に私と稲田大臣が恐らく答弁に立つことになるのでしょうね。そういうことなので、とにかく今国会で必ず成立をさせたいと、そういう強い気持ちでおります。
(問)読売新聞の木村と申しますけれども、STAP細胞の関係なんですけれども、これまでの理研のガバナンスについて、いろんな批判も出ているんですけれども、大臣としてどのように感じていらっしゃるのかということと、どのようにしてほしいとか、そういう御意見あれば伺いたい。
(答)先ほど申し上げたとおり、理研は本当に、日本を代表する、世界に通用する研究開発法人だと思っていますが、それだけに、もちろんこれは文科大臣の所管でありますけれども、きちっと調査をして、できるだけ早くちゃんと結果を出していただきたいなと、そう思っています。
(問)もう一つ、STAP細胞の再現性がなかなかうまくいっていないということなんですけれども、これは科学的な話なんで、まだ早いという意見もありますけれども、なかなか他の研究チームができていないということについては、どのようにお考えでしょうか。
(答)それはもう、今、理研が調査をしていますから、その調査結果をしっかりと注視したいと思います。今言った科学技術的な観点というのは、ちょっと私がここでコメントできないのですが、ちゃんと今、理研がきちっと調査をして、どういう対応をするかということを決めると思いますから、それをしっかりと見極めたいと思います。
(問)時事通信松田と申します。
 引き続きなんですけれども、調査結果が明日以降出始めると思うんですが、明後日ですね、明後日以降出始めると思うんですけれども、昨日の午後になって、理研として初めて広報室長が会見して、調査を、要するに調査委員会立ち上げて、調査を始めたこと自体の発表が、正式な発表が、理研側からの主体的な発表というのは昨日が初めてだったわけですね。疑惑が浮上してから1カ月間ずっと積極的な対応をしなかったということを、リスク管理の観点から、どう思われていますでしょうか。
(答)それは先ほど申し上げたとおり、今、理研が調査をして、きちっと報告をするということですから、その中でいろいろ、これまでの対応の経緯についても明らかになると思いますので、それはもう理研の調査の結果をしっかりと、私も科学技術イノベーション担当大臣として注視をしていますし、それをしっかりまず見てからだと思います。
(問)東京新聞の榊原ですが、仮に研究不正があったということが認められた場合に、今、文科省の方で作っているガイドラインでは、組織の管理責任を明確化する方向で進んでいると思います。それで、そういう中で研究不正があった場合に、この理研が特定法人に指定されるというのは、何か国民からすると腑に落ちないというか、そういった部分があるのかなと思うんです。そのあたりは、何か大臣は考えているところはありますか。
(答)それは仮定の状況には、現時点ではちょっとなかなかコメントできないと思いますね。何度も申し上げますが、きちっと理研が調査をした結果をしっかり発表するということですから、それをきちっと踏まえて対応していくべきだと思います。今の時点で、こうだったらとかいう、そういう仮定の状況についてコメントするということはなかなかできないと思うんです。
(問)最終結果が長引くということも予想されると思うんですが、今国会での成立に間に合うために、法案を閣議決定するタイミングに間に合わないことも予想されると思うんですが、そういった場合はどういう判断をされるのか。
(答)それ、現時点では、ちょっとそれについてはコメントできないです。まず、どういう状況なのかという理研の調査と対応を見極めるということが第一だと思います。
 よろしいですか。ありがとうございました。

(以上)