山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月10日

(平成26年1月10日(金) 10:45~11:06  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、今日は特に御報告することはありません。
 冒頭いくつか申し上げたいと思いますが、領土担当大臣としての件です。
 一つは、「領土・主権をめぐる内外発信に関する総合調整会議」、今日2回目になりますが、午後2時から開催することにいたしました。
 第1回会議では、政府全体として関係府省庁が連携しつつ、各々の所掌に応じて予算案要求の策定作業に取り組んでいる、その状況について説明を受けました。今回2回目になるわけですが、昨年末の平成26年度当初予算の政府原案、それから平成25年度の補正予算案も閣議決定されていますので、関係各府省に領土・主権をめぐる内外発信の強化に必要な予算が計上されていますから、その結果について情報共有を図り、必要な議論を行いたいと思います。定期的にこの会議をきちんと行って、しっかりと定着をさせて、企画調整、総合調整をきちんと領土・主権対策企画調整室が果たせるようにしてまいりたいと思います。
 引き続き、領土担当としての御報告をさせていただきたいと思います。
 昨年発表させていただいた「領土・主権をめぐる内外発信に関するイニシアティブ」の柱の一つに、大臣自身の海外に対する発信、海外出張を活用した対外発信ということを申し上げましたが、この一環として、来週の12日の日曜日から17日の金曜日にかけてマレーシア、ベトナム、それからシンガポールの3カ国を訪問する予定です。
 今回の出張では、海洋政策・領土担当大臣として、力ではなく法の支配に基づく海洋秩序を維持・強化すると、航行の自由を確保していくための諸課題等について3カ国の政府要人、それから有識者、ジャーナリスト等と意見交換をしてまいりたいと考えています。
 具体的な日程は、まだ最終的に固まっておりません。調整中の部分もありますが、マレーシアではアニファ・アマン外務大臣と会談いたします。ベトナムではファム・ビン・ミン副首相兼外務大臣との会談を予定しております。シンガポールでは、今、政府要人、外務大臣との会談を調整していただいていまして、現時点ではまだ確定をしておりませんが、1月16日の木曜日にIISS、これはイギリスの国際戦略問題研究所の依頼を受けて、このIISS主催の講演会で、「アジアの繁栄と自由な海洋」という題で講演を行う予定です。もう出発の2日前なんですが、直前ではありますが、現地での取材を希望する方がおられたら、内閣府の大臣官房総務課まで御連絡をいただければと思います。
 以上の活動を通じて、今般の出張で領土・主権をめぐる我が国の立場について正確な理解がASEAN諸国において浸透するように発信に努めてまいりたいと思います。
 IISSのフラートン・レクチャーは大変質の高い方々が、現時点で150人以上集まるということですので、これを機会に安倍総理の立場、領土・主権はもちろんなんですが、しっかりとシンガポールから発信をしてまいりたいと思います。
 それからもう一つ、宇宙担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 現地時間、1月9日、ワシントンD.C.でアメリカ国務省主催の閣僚級の国際宇宙探査フォーラム、ISEFが開催をされ、我が国からは、皆さん御存じのとおり下村文科大臣が出席をされました。このフォーラムでは、ISS(国際宇宙ステーション)以降の宇宙探査の継ぎ目のない実施とか、宇宙探査に向けたISSの利用等に関して参加国による意見交換が行われたと聞いております。
 多様な政策目的で実施されるこの宇宙探査ですが、これは有人か無人かという選択肢も含めて費用対効果、国家戦略として実施する意義等について様々な観点から検討する必要があると、日本政府の立場について申し上げてまいりましたが、このフォーラムの議論も今後の参考にさせていただきたいと考えております。
 以上が最初のコメントで、大臣閣議後会見の恒例のプレゼン、今日は簡潔に行いたいと思います。
 科学技術関係予算の件ですが、平成26年度の予算案で、科学技術関係予算と科学技術振興費を増額確保いたしました。
 ここに書いてあるとおり科学技術関係予算については、総額で3兆6,260億円ということで、対前年度比1.1%増。このうち科学技術振興費は1兆3,372億円ということで、対前年度比でいうと2.8%増えました。科振費の増額については何度かこの記者会見でも申し上げましたが、今回、科振費を増額確保できたことは、科学技術政策の観点からは本当によかったと思っています。
 科学技術関係予算の全体を見てみますと、一体的に編成された平成25年度の補正予算案と合わせて、4兆円を超える規模を確保したということになります。正確に言うと4兆576億円ということですが、第4期基本計画期間、平成23年度から27年度における総額規模25兆円に向けて、今回で18.1兆円を確保いたしました。それでも25兆円に向けてということですから、これは引き続きしっかり努力をしていかなければいけないと思います。
 科学技術振興費をこの予算の中で見てみると、当初予算ベースで第4期基本計画期間、平成23年度から27年度で言うと、初めての増額になりました。
 この伸び率2.8%というのは、実は9年ぶりの規模ということになります。
 ざっと政府全体の主要経費を見てみますと、例えば、公共事業も12.9%増えていますが、そのうち6,167億円が特会からの統合分だったり、あるいはエネルギー対策も13.5%増えていますが、このうち800億円は地球温暖化対策税引上げ分ということで、いろいろな要因があってこのような数字になっています。この中で見ると、科学技術振興費が2.8%伸びているというのは、これは相当科学技術政策を重視をしていただいた結果ではないかと思います。
 今回の予算を経済再生の原動力として、科学技術イノベーション総合戦略を実行する初年度の予算ですから、その意味では増額を確保できたということはよかったと思っています。
 今後も、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)もありますし、あるいはImPACT(革新的研究開発推進プログラム)もありますので、これらの制度設計もしっかりと行っていきたいと思います。予算戦略会議も新設をしてアクションプランも今までと更に違う形に進化させましたが、アクションプランがどのように予算に反映されたかということについては、今いろいろデータを分析中ですので、それが固まったらまたこの大臣閣議後記者会見で御紹介させていただきたいと思います。
 今日は以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)日経新聞の白岩です。領土担当大臣としてお聞きするんですけれども、今日の会議では、予算の決定を受けて、その状況を共有するということがメインということですけれども、何か特定の問題について議論されたりということはないんでしょうか。例えば、今、靖国の参拝を受けて、昨年発表した動画の続報等もなかなかタイミングとして難しい状況かと思いますけれども、そういったことについて議論されたりということはないんですか。
(答)特にこのようなテーマで議論するということは決めていません。予算の状況の報告を受け、私の方からは、特に今回の出張の中身についても話をさせていただこうと思いますが、それを受けて少し自由に議論させていただきたいと思います。何か特定のテーマでということは考えていませんが、出張の中身については私の方から御報告をしたいと思っています。
(問)科学新聞の中村です。前回もお聞きしたんですけれども、SIP予算についての菅さん(内閣官房長官)との会談はどうなったのかという話をお願いします。
(答)SIPの話については、現在調整中です。官房長官とよく話し合って、すっきりと決着をさせたいと思いますし、最後はそのようになると思います。
(問)もう一つ、新たな研究開発法人の具体的な選抜というか選定というか、それについてはどのような状況なのでしょうか。
(答)これも前回の記者会見、前々回かで、申し上げましたが、具体的にどこを選定するかということについては、まず基準もきちんと作らなければいけませんから、これは引き続き今議論をしているところで、必要に応じてまた4閣僚会合・会談、4閣僚協議を行うかもしれませんが、現在検討中というところです。
(問)読売新聞の重松と申します。すみません、ちょっとこの場で伺うのは適切かどうかあれなんですけれども、今日、閣議後に大臣、甘利大臣と官房長官とお会いされてお話しされているかと思うんですが、どんなようなお話を。
(答)中身は甘利大臣に聞いていただくのが一番よいと思うんですが、いろいろなことについてお話をさせていただきました。
(問)NHKの高野です。関連ですが、その三者の会談は、このSIPについても含まれていると考えていいでしょうか。
(答)それは是非甘利大臣にお聞きいただくのがよいと思いますが、いろいろな話をさせていただきました。
 官房長官とは常に、本当にいろいろと議論しなければいけないことが山ほどあるので、安倍内閣の屋台骨を支える超多忙な官房長官にいつも申し訳ないと思っているんですが、私の所掌するいろいろな政策は官房長官といろいろ関連もありますから、結構頻繁に議論させていただいています。
(問)毎日新聞の齋藤ですが、冒頭で、国際宇宙探査フォーラムのお話がありまして、そのフォーラムの結論を参考にしたいというような御意見だったと思うんですけれども、今回、閣僚級の初めての会合ということで、直ちに日本として火星有人探査に携わるということではないということなのでしょうか。
(答)今日行われたばかりなので、詳細に結果を精査している訳ではないんですが、何かが合意されたという雰囲気ではないんだと思うんですよね。このようなことがあるということを各国が認識したような多分結論になっていると思うので、火星探査の話も、中では言及されているんですが、どのように進めていこうという具体的なことが決まったわけではないという今認識なので。ただ、確か2年後ですかね、日本で2回目を開催するということなので、これは非常に意味があるのではないかなと思いますので、この一連の議論もよく踏まえて、これから宇宙政策の議論にも反映させていきたいなと思っています。
(問)共同通信の須江と申します。同じく宇宙の話で、ISSの2024年までの運用延長についてNASA(アメリカ航空宇宙局)が正式に発表しましたけれども、これから日本の対応は当然いろいろ話し合っていくと思いますが、まず大臣、個人的な見解としてその点について、日本の運用延長への参加についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)これも何度もここで申し上げているとおり、まず2020年までは各国行うと言っているわけですよね。2016年以降の日本の協力の仕方もまだ具体的にははっきり決まっていない。まず、ここをきちんと決めなければいけないと思います。何度も言いますが、2020年から4年延ばして、2024年までという話なので、そこについてどのような可能性があるのかということは、日本政府の場合は、まず2016年以降のことを決めなければいけませんが、同じ表現になりますが、各国の状況とか全体のいろいろな流れを見極めながら考えていくということになると思います。
(問)そうしますと、関連して、現地でISEF終了後の下村大臣の記者会見で、下村大臣御自身は、我が国として前向きに考えるべきだと、その延長に対して前向きな意見を述べられていたんですけれども、山本大臣としては、まだそこまでというか、慎重にもっと考えていくべきだというような御視点でしょうか。
(答)会議に参加をされた政府の代表は下村大臣ですから、下村大臣がそのようなコメントをされたということは、宇宙担当大臣としてもしっかり踏まえておかなければいけないなと思います。
(問)同じような見解を踏まえてというのが。
(答)前向きというか、議論の中身も完全に精査しているわけではないので、今中立的に言いましたが、下村大臣が参加をされてそのように思われたということは、宇宙担当大臣としてもしっかり参考にしていかなければいけないなと思います。
(問)共同通信の野見山です。東南アジア訪問の件ですけれども、現地で閣僚との会談や講演でテーマになるのは、尖閣だけではなくて韓国との間の竹島も話題というか意見交換の内容に含まれてくるんでしょうか。
(答)会談の中でどのような話が出るかということは、今全部決めているわけではないのですが、少なくとも海洋政策についてはきちんと話をしなければいけないということなので、尖閣の話は出ると思うんですね。領土担当大臣、海洋政策担当大臣として行くわけですから、当然、各国の外務大臣との会談の中では、日本の立場を冷静に論理的に説明をしたいと思います。尖閣をめぐる立場、竹島をめぐる立場。まだ、どれをどこまで話すかということは決めていませんが、それは当然、日本の政府の立場を理解してもらうということが目的ですから、それについては言及をすることになると思います。
(問)関連ですが、その各国の外相との会談の中で、何か一致したいと考えていること、若しくは確認したいと考えていること、それは何かありますでしょうか。
(答)一致したいというか、要は、日本の立場を理解してもらうということが目的なので、日本の主張を理解していただけるように最大限の努力をするということですよね。
 それから、安倍総理や外務大臣が度々おっしゃっているように、やはりルール、国際法をきちんと遵守する形で物事を解決していかなければいけないと、この立場については改めて強調させていただきたいと思いますし、それについての理解をしっかり得たいと思います。
 昨年12月にASEAN首脳との特別首脳会談があったと思うので、その意味でいうと、今回の出張はフォローアップとしてはタイムリーだと思います。シンガポールの外務大臣との会談は現時点では決まっていませんが、おそらくどなたかそれなりの人に会えると思いますので、やはり領土担当大臣、海洋政策担当大臣として今、ASEAN諸国を訪問して各国の外務大臣に会えるということは非常に意味があると思いますから、この機会を生かしていきたいと思います。
 それから、IISS主催のフラートン・レクチャーは、日本の大臣が話したことはありません。過去のゲストを見ていたんですが、ほとんど各国の首相級の方々が行っていますから、意外と注目を集めています。日本の大臣が来るということで、IISS側も非常に喜んでいるので、ここでこの機会を利用して、もう一度言いますけど、日本の海洋政策を発信をし、領土・主権に関する立場も発信をし、講演の中身は決まっていませんが、安倍総理がどのようなリーダーなのかということも、私の言葉で、ブロークンイングリッシュで発信したいと思っています。
(問)関連ですが、先程ルールと言われたのは、中国の海洋進出を念頭に置かれていると思うんですけれども、中国政策をめぐって3カ国で温度差があるかと思うんですが、それぞれとどのように今、中国対策をめぐって話をしたいと考えていますか。
(答)別に特定の国を念頭に何か物を言うつもりはないんですが、各国それぞれ今、高野さん(記者)がおっしゃったように温度差はあると思うんですね。そのような温度差というものを確認をするということも一つ意味があると思います。もう一回言いますが、感情的な話ではなくて、論理的に冷静に日本政府としての立場をしっかり説明をしていきたいと思います。
(問)何度も恐縮なんですが、あと靖国についてはどのようなことをお話しされるんでしょうか。何かありますでしょうか。
(答)それは特に今、靖国の話をこちらから切り出すようなことは考えていませんが、もし議論に出れば、しっかりと総理の真意を私なりの言葉でお伝えをしたいなと思います。フラートン・レクチャーでは、まだ中身は決めていませんが、質問は出るかもしれません。シンガポールというお国柄ですから、いろいろな多分議論が出てくるのかもしれませんが、その際にはきちんと総理の真意を、もう一回言いますが、閣僚の一人として、安倍総理を18年間応援してきた政治家の一人として、しっかりとお伝えをしたいなと思っています。
(問)時事通信の石田と申しますけれども、今回この3カ国を選ばれた特別な理由がおありなのかということをお願いします。
(答)それはいろいろな要因がありますが、海洋政策、特に領土・主権の問題を伝えるために総合的にいろいろ考えてこの3カ国がいいだろうと思いました。それから、やはり日程がありますから、この日程で4カ国、5カ国というのはなかなか難しいだろうと。フィリピンは御存じのとおり去年行って、外務大臣と国防大臣と結構いいお話ができたので、フィリピン以外だと、いろいろな要素を勘案してこの3カ国かなと思って、それで決めさせていただきました。
(問)今年は今後も積極的に外遊に行かれる予定ですか。
(答)外遊というか、それは国会の状況次第だと思いますが、機会があれば海外に出てしっかり日本政府としての立場を発信するということは続けたいと思います。
(問)科学新聞の中村です。
 ISSの影響についてなんですけれども、下村大臣が帰国した後に、宇宙担当大臣と文科大臣としていろいろ会談というか、そういうことをやられる予定はあるのでしょうか。
(答)いや、それは特に今のところありません。でも、次の閣議でお目にかかった時にちょっとお話だけ聞いてみようかなと思っております。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:473KB)

(以上)