山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年12月17日

(平成25年12月17日(火) 12:45~13:11  於:合同庁舎4号館2階220会議室)

1.発言要旨

 本日、閣議の後、30分間ですけれども、総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。本日は、まず国家的に重要な研究開発の評価結果(案)について決定をいただくとともに、科学技術イノベーションに適した環境創出について、有識者議員から御説明があって議論がなされました。
 更に、私の方からImPACT(革新的研究開発推進プログラム)について御報告をいたしました。
 最後に、最近の科学技術の動向について、東京大学の村山斉先生より御説明をいただきました。
 議論における出席議員からの主な発言を簡単に御紹介したいと思います。
 まず、最初の国家的に重要な研究開発の評価結果、いわゆるエクサスケール・スーパーコンピュータですけれども、「京」の次世代なんですが、これについては下村大臣の方から意見があって、科学技術イノベーションの創出や産業競争力の強化において、競争力の源泉となる成果を生むものだと。成長戦略に貢献する国家基幹技術だとエクサス・スーパーコンピュータについて御発言がありました。文科省としては、国として主導的に開発に取り組み、2020年には世界一の力を内外に示したいと。これは、東京オリンピック・パラリンピックの年ですけれども、こういうことを通じて国民と経済を元気にしていきたいということでした。
 (イノベーション環境創出について)民間議員の内山田議員の方からは、とにかく産業界としては国際競争力の確保が大事だと。国際競争力の確保がなければ、国際協調は進まないという話がありまして、とにかく国際競争力を確保するため、大学研究者・産業界が一体となって進めていかなければいけない、そのための環境整備を政府にお願いしたいという話がありました。
 民間議員の青木議員の方からは、基礎研究が大事だと。コンピュータを生み出した研究者は元々数学者だったということで、イノベーションが長期にわたっていくために、生み出していくためには基礎体力が重要であって、ここをしっかり頑張っていただきたいという話でした。
 下村大臣の方からイノベーションの環境創出についても御意見がありました。特に教育を所管としている文科省としては人が大事だということで、世界と伍していけるグローバルな人材の育成が大事だと思っているという話でした。イノベーション創出のために関係省庁、関係機関、大学、民間団体が総合的に連携・協力する体制の整備の重要性を認識しているということでした。
 それから、西村副大臣の方からイノベーション環境創出についての意見がありました。
 総合科学技術会議がしっかりリーダーシップを発揮してほしいということで、内閣府設置法の改正とか、事務局機能の強化等々、司令塔機能の強化についてもしっかりやって頂きたいというエールがありました。
 それから、磯﨑経産大臣政務官からも、イノベーション・エコシステム、これはグローバル、オープンが大事だということで、例えば、産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の機能を今後、更に強化するべく、しっかり我々も今日示された視点も踏まえて検討していきたいということでした。
 それから、先般初めて総合科学技術会議のメンバーに加わっていただいた中西議員の方からも一言コメントを頂きましたが、ImPACT、その名のとおりインパクトのあるものにする必要があると。しっかり総合科学技術会議として前向きの提案をしていきたいので、皆さんの御協力をお願いしますという話でした。
 総理からの御発言、皆さん、もうお聞きになっていると思うので、余り詳しいことは申し上げませんが、総理の方から、総合科学技術会議の再生は何とかできた。昨年の12月に安倍総理から科学技術担当大臣に任命されたときに最初に言われたのが、総合科学技術会議が動いていないと。これを何とかもう一回光を当てて再活性化してほしいということだったのですが、3月に始まって10回も開催させていただきました。恐らく今、政府内で総理に最も多く出席していただいている会議の一つではないかと思います。今後とも総合科学技術会議には大いに活躍を頂きたいという励ましも頂きました。
 総理から具体的には2点あって、一つはImPACTですが、とにかくこれは550億の予算措置を行った。国家重点プログラムとして格段の配慮をしたという話があって、とにかくこのプログラムをしっかり具体化してほしいという話でした。
 もう一つは、多様な人材のチャレンジが可能なイノベーションの連鎖を起こす環境の整備のための対応策パッケージ、これを関係府省が連携して政府一体で取りまとめて、来年の科学技術イノベーション総合戦略にしっかり盛り込んでほしいと。この2点のお話がありました。
 ちょっと長くなりました。できるだけ短くやったつもりですけれども、総合科学技術会議についての御報告は以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHK、高野です。スパコンについて3点ほど。
 評価結果が出て、総合科学技術会議としてもこの国として主導的に開発に取り組むべきという結論をだしたということでいいのかということと、来年度予算にどのように反映させていくか。最後に、これについての山本大臣の受けとめはということについて。
(答)これは今、高野さんの言ったとおりでいいです。総合科学技術会議としては、最初の評価でGOをかけたということだと思います。
 来年度予算でどのように反映させていくかというのは、これをもって我々が文科省の方にまず通知をするということなので、それについて、また下村大臣の方でしっかり取り組んでいただけるだろうと思います。必要があれば、いろいろとサポートさせていただきたいと思いますし、個人的には今日の評価結果ではないのですけれども、非常に大事なプロジェクトだと思っています。
(問)来年度予算要求額に30億計上されていたと思うんですが、反映されるとみて期待というか……
(答)これはまず主体が文部科学大臣の方ですので、余り差し出がましいことは言わない方がいいと思います。ただ、私が言えることは、科学技術担当大臣としても意味のあるプロジェクトだと思っています。
(問)日経BP河野です。 ImPACTについてお伺いします。現在のところ、ImPACTの支援企画、それからPM、プロジェクトの数について、ある程度のイメージはお持ちでしょうか。
(答)これは今、制度設計中ですので、余り細かいことは申し上げにくいのですが、そこはまだ、今、検討中というふうに申し上げたいと思います。
(問)PMの人材像なんですが、FIRSTのときはかなり大御所というか、かなり大物の研究者が選ばれたと思うんですが、今回のPMについてはどういった人材を……
(答)その辺の基準についても今議論中ですけれども、要は、PMは一言でいうとハリウッド映画のプロデューサーみたいな役だと思いますので、一つの目的に向かって必要な要素をしっかり集めてくる、そういうきちっとした戦略を描ける方を選ぶべきだと思います。ですから、まずはどういう基準でやっていくかということをしっかり詰めて、それに合った方を探すと。今、PMのことに言及していただきましたけれども、このImPACTの成功の成否は、いかに優秀なPMを見つけるかというところにかかっていると思いますので、そこはもう総合科学技術会議が責任をもって進めていかなければいけないと思っています。
(問)ということは、ある程度の期間、自分の研究室を率いた経験をもって一定の成果を出した経験のある人と考えていいんですか。
(答)そこは余りちょっと細かく申し上げない方がいいと思いますので、いろんな考え方があると思うのですが、今言ったように、総合プロデュースがきちっとできる人ということだと思います。
(問)科学新聞中村です。補正予算についてなんですけれども、科学技術関係、全体4,086億なんですけれども、これについての受けとめを……
(答)全体としてなかなか厳しい査定だったと思いますね、財政当局としては。だから、ここまで1年間、科学技術担当大臣として総合科学技術会議の司令塔機能を強化すると、いろいろな方針を事務局と協力しながら作ってきましたけれども、やはり一つの課題はアクションプログラムの影響力を更に高めていくと。特に、予算の査定に対してもうちょっと影響力を高める方法を考えていかなければいけないと思っています。科振費全体を増やしていくというのも、これも非常に大事なポイントだと思いますので。今回の結果を踏まえて、総合科学技術会議の役割を進化させていきたいと思っています。
(問)日経BP河野です。
 最後に一つ。先ほどの新しい研究開発法人制度の続きなんですが、大臣の原点の考え方は、以前、文部科学大臣と一緒に記者会見されてとれたあの方針、あの制度設計で、今もやはり変わっていないと考えてよろしいのでしょうか。
(答)私の個人の考えは、科学技術担当大臣としての個人の考えは、世界最高水準の研究開発法人を創設するためには、あの報告書で提言されているような方向性がベストだと思っています。ただ、もう一度申し上げますけれども、違う考え方をしている方々もいるので、それはきちっと議論はして、きちっと決着をすると。そして、決まったらもう、これは内閣の方針ですから、みんなでその方向に向かって進めるということに尽きると思います。
(問)大臣としては現時点での独立行政法人の制度では不十分だという考えにはお変わりはないと……
(答)私の方針は、今まで言ったとおりです。ただ、ここは、だからぎりぎりの交渉の中でどうなっていくかというのは、それはまだ現時点ではわかりません。
(問)共同通信須江です。
 冒頭の質問にあったスパコンの話で、繰り返しで恐縮ですけれども、お答えに総合科学技術会議として最初の評価としてGOをかけたとおっしゃっいましたけれども、つまり総合科学技術会議としてこの積極的な推進を求めていくというような理解でよろしいのでしょうか。
(答)科学技術政策分野での300億円以上の大型プロジェクトは、総合科学技術会議がきちっと評価するという仕組みになっています。だから、それをやったということです。評価の結果としては、これは意味があるという結果を出したということです。
 来年もう一回評価を行います。今、基本設計を進めるというところにGOを出したということです。正確に言うと大規模研究開発の事前評価、エクサスケール・スーパーコンピュータ開発プロジェクトについて、我が国競争力の源泉となる最先端の研究成果を創出する強力なツールとして、国として主導的に開発に取り組むべきであり、基本設計を実施することが適当と評価したと、このとおりです。
 また、このプロジェクトの実施に当たってターゲットとするアプリケーションの設定とか、これを踏まえた工程表の具体化とか、対応すべき事項についてもこの中で指摘していまして、こうした課題への対応状況については、次年度に総合科学技術会議が再度評価を行います。これが正確な流れです。

(以上)